系外惑星とは、太陽系の外にある惑星です。NASA Exoplanet Archiveでは、2026年7月28日の確認時点で6,324個が登録されています。地球と同程度の大きさを持つ惑星や、表面に液体の水が存在しうる「ハビタブルゾーン」を回る惑星も複数見つかりました。
一方、地球と同じような海・大気・生命まで確認された惑星はゼロです。現在の研究は「惑星があるか」から、「大気を持つか」「どのような分子があるか」を調べる段階へ進んでいます。2026年7月には、ハビタブルゾーンを回るLHS 1140 bの上層大気から逃げるヘリウムが報告され、大気を保持する小型惑星を調べる新たな手がかりになりました。
30秒で分かる結論
- 系外惑星は、太陽系の外にある惑星です。
- 確認済みの系外惑星は6,324個です(2026年7月28日確認)。
- 地球サイズ、岩石質、ハビタブルゾーン、大気、海、生命は別々の条件です。
- 地球に近い条件を一部備える惑星は、LHS 1140 b、TRAPPIST-1系、Proxima Centauri b、TOI-700 d・eなどです。
- LHS 1140 bでは大気から逃げるヘリウムが検出されました。大気下層の組成、海、生命は調査中です。
- K2-18 bではメタンと二酸化炭素が報告されていますが、地球より大きなサブネプチューンで、DMS・DMDSの解釈には異論があります。
- 確認済みの地球外生命はゼロです。
地球に似た惑星はどこまで見つかっているのか
現在見つかっているのは、地球の特徴を一つまたは複数備えた惑星です。「第二の地球」という表現だけでは、似ている条件が曖昧です。候補を比べるときは、観測の段階を分ける必要があります。
| 段階 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 確認済み | 複数の観測や査読論文によって惑星の存在が認められている | 公転周期、半径、質量など |
| 直接観測 | 光やスペクトルに測定可能な信号が現れている | 減光、恒星の揺れ、大気中の吸収 |
| 観測から推定 | 測定値を物理モデルに当てはめて性質を求める | 岩石質の可能性、温度、大気組成 |
| 仮説 | 現在のデータと両立する複数の説明の一つ | 海洋惑星、Hycean惑星 |
| 未確認 | 観測で確かめられていない | 海、地表環境、生命 |
有力候補を観測の到達点で比較する
| 惑星・惑星系 | 地球に近い点 | 観測で分かったこと | 現在の限界 |
|---|---|---|---|
| LHS 1140 b | ハビタブルゾーンを回る。半径は地球の約1.73倍、質量は約5.6倍 | 2026年、上層大気から逃げるヘリウムを報告。2024年の観測で検出し、2025年には検出されなかったため、大気流出が時間変化する可能性がある | 下層大気の組成、液体の水、地表環境、生命は未確認 |
| TRAPPIST-1 e・f・g | 地球サイズで、赤色矮星のハビタブルゾーン付近を回る | 同じ恒星の周囲に7個の地球サイズ惑星があり、半径、質量、公転周期を比較できる | e・f・gの大気は調査中。内側の惑星では、厚い大気に厳しい観測結果が続いている |
| Proxima Centauri b | 約4.25光年先にある最も近い既知の系外惑星。質量は地球に近く、ハビタブルゾーンを回る | 恒星の揺れから質量と11.2日の公転周期を測定 | 恒星面を通過しないため大気観測が難しい。主星の強い紫外線とフレアが大気へ与える影響も大きい |
| TOI-700 d・e | dは地球の約1.07倍、eは約0.95倍の半径。いずれもハビタブルゾーン内またはその付近 | トランジットから大きさと公転周期を測定。近くの比較的明るい恒星を回る | 大気、水、表面環境は未確認 |
| Kepler-452 b | 太陽と同じG2型の恒星を約385日で回り、軌道はハビタブルゾーン内 | 半径は地球の約1.63倍。太陽に似た主星を回る代表的候補 | 岩石惑星か、大気や水があるかは未確認。遠方のため詳細観測が難しい |
| K2-18 b | ハビタブルゾーンを回り、大気中に炭素を含む分子がある | JWST観測からメタンと二酸化炭素を報告 | 半径が地球の約2.6倍あるサブネプチューン。DMS・DMDSの検出と海洋世界という解釈は研究者間で結論が分かれる |

2026年7月時点で最も大きく進んだ点は、地球に近い温度条件を持つ小型惑星について、大気の有無を観測で調べ始めたことです。生命探査はその次の段階にあります。
「地球に似ている」を決める六つの条件
地球類似性は、少なくとも次の六つの条件に分けて評価します。
| 条件 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| 大きさ | トランジットの減光から半径を測れる | 同じ大きさでも組成は異なる |
| 質量・密度 | 岩石、氷、ガスの割合を推定できる | 内部構造を直接見られるわけではない |
| 主星と軌道 | 受け取る光と熱、公転周期を求められる | 表面温度は大気にも左右される |
| 大気 | 分光観測で分子や大気流出を調べられる | 雲や恒星活動が測定を難しくする |
| 液体の水 | 温度と大気のモデルから存在条件を検討できる | 系外惑星の海や湖は直接確認されていない |
| 生命 | 複数の分子、環境、時間変化を組み合わせて検証する | 確認済みの系外生命はゼロ |
地球サイズは評価の出発点です。岩石質の表面、大気、安定した液体の水、生命活動を順に確かめる必要があります。
ハビタブルゾーンとは何か
ハビタブルゾーンは、適切な大気があれば惑星表面に液体の水が存在しうる、恒星からの距離の範囲です。恒星が暗く低温なら範囲は恒星の近くに、明るく高温なら遠くに位置します。
同じ範囲にあっても、金星のように強い温室効果が働けば高温になり、火星のように大気が薄ければ水を長く保ちにくくなります。赤色矮星の周囲では、惑星が恒星に近いため、フレア、紫外線、大気流出、潮汐固定も重要です。
- 大気の有無と組成
- 惑星が受ける放射量
- 恒星のフレアと紫外線
- 重力による大気保持
- 自転、潮汐固定、熱の循環
- 水の供給量と長期的な安定性
ハビタブルゾーンは「居住可能性を調べる候補範囲」であり、生命の証拠とは異なります。
系外惑星とは何か
系外惑星は、英語で exoplanet または extrasolar planet と呼ばれます。多くは太陽以外の恒星を回り、恒星に結びつかず宇宙空間を漂う自由浮遊惑星も研究対象です。
| 天体 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 恒星 | 核融合によって自ら光る | 太陽、シリウス、TRAPPIST-1 |
| 惑星 | 恒星などを回り、自らは恒星のように光らない | 地球、木星、系外惑星 |
| 衛星 | 惑星などを回る | 月、タイタン |
| 惑星系 | 恒星と、その周囲を回る惑星などの集まり | 太陽系、TRAPPIST-1系 |
日常語の「地球に似た星」は、天文学では「地球に似た惑星」と表すほうが正確です。
系外惑星にはどのような種類があるのか
| 種類 | 特徴 | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| 岩石惑星 | 岩石や金属を主体とする | 岩石質でも高温、極寒、大気なしの場合がある |
| スーパーアース | 地球より大きく、海王星より小さい範囲で使われる | 「アース」は地球環境を意味しない |
| サブネプチューン/ミニネプチューン | 地球より大きく、ガスや揮発性物質を多く持つ可能性がある | 太陽系に直接対応する惑星がない |
| ホットジュピター | 恒星の近くを短周期で回る巨大ガス惑星 | 初期の観測で見つけやすく、惑星系形成の理解を変えた |
| 海洋惑星候補 | 密度や大気モデルから水を多く含む可能性がある | 海の直接確認ではない |
| 自由浮遊惑星 | 恒星を回らず銀河内を漂う | 形成過程と総数は研究中 |
なぜ系外惑星は見つけにくいのか
惑星は恒星のような核融合で光らず、主に恒星光を反射します。恒星と惑星の明るさには大きな差があり、地球から見ると両者の間隔も狭く見えます。遠くの灯台のすぐ横にいる蛍を見分けるような観測です。
このため、発見の多くは惑星そのものを撮影する方法ではなく、惑星が恒星へ与える影響を測る方法で行われます。
系外惑星はどうやって見つけるのか
トランジット法|恒星の減光から半径を測る
惑星が恒星の前を通ると、恒星の明るさが周期的に低下します。減光の割合から惑星の半径、公転の間隔から周期を求めます。ケプラー宇宙望遠鏡とTESSが多数の惑星を見つけた方法です。

トランジット中の恒星光が惑星大気を通ると、分子ごとに特定の波長が吸収されます。この透過スペクトルを使って大気を調べます。
視線速度法|恒星の揺れから質量を測る
恒星と惑星は共通の重心を回ります。恒星が地球へ近づくと光は青側へ、遠ざかると赤側へずれます。このドップラー効果から惑星の公転周期と最小質量を求めます。51 Pegasi bやProxima Centauri bの発見に使われました。
直接撮像|恒星の光を抑えて惑星を捉える
コロナグラフで恒星光を隠し、補償光学で地球大気の揺らぎを補正して、惑星の光を分離します。若く高温の巨大惑星や、恒星から離れた惑星の観測に向いています。
重力マイクロレンズ法|背景星の増光を測る
手前の天体の重力がレンズのように働き、背景星の光を一時的に明るくします。惑星があると増光曲線に追加の変化が現れます。遠方や広い軌道の惑星、自由浮遊惑星を探せる方法です。
アストロメトリ法|恒星の位置変化を測る
惑星の重力によって生じる恒星の微小な位置変化を測ります。空の平面上の動きを追えるため、視線速度法と組み合わせると惑星の軌道と質量を詳しく求められます。
系外惑星発見の歴史
| 年 | 出来事 | 研究への影響 |
|---|---|---|
| 1992年 | パルサーPSR B1257+12を回る惑星を報告 | 太陽系外の惑星を確実に示した初期の発見 |
| 1995年 | 太陽に似た恒星を回る51 Pegasi bを発見 | 恒星近くを回る巨大惑星「ホットジュピター」が惑星形成論を変えた |
| 2009年 | ケプラー宇宙望遠鏡を打ち上げ | 多数の恒星を長期観測し、惑星の頻度を統計的に調べた |
| 2018年 | TESSを打ち上げ | 近くの明るい恒星を回る、追観測しやすい惑星を探索 |
| 2020年代 | JWSTによる大気分光が本格化 | メタン、二酸化炭素、水蒸気などの分子を比較する段階へ進んだ |

NASA Exoplanet Archiveでは、登録された6,324個のうち4,667個がトランジット法、1,195個が視線速度法による発見として集計されています。観測方法には、見つけやすい惑星へ偏る「観測選択効果」があります。短周期で大きな惑星が早く多く見つかったのは、そのためです。
生命はどのように探すのか
系外惑星の生命探査では、生物そのものではなく、大気中の分子と惑星環境を調べます。水蒸気、二酸化炭素、メタン、酸素、オゾンなどが対象です。

生命活動と関係しうる特徴はバイオシグネチャーと呼ばれます。判定には、次の段階が必要です。
- 信号が観測装置や解析処理によるものではないかを確認する
- 対象の分子を別の分子と区別する
- 生命を使わない化学反応や地質活動で説明できるかを調べる
- 惑星の温度、大気、主星の活動と矛盾しないかを確認する
- 異なる装置、時期、研究チームによる再解析で再現する
K2-18 bで何が議論されているのか
K2-18 bでは、JWSTの近赤外線観測からメタンと二酸化炭素が報告されました。これらは大気の化学を知る重要な情報です。
DMSとDMDSについては、存在を支持する解析と、データ処理や別分子との重なりを考えると証拠が不足するという解析があります。2025年以降の再解析でも、研究者間で結論が分かれています。さらにK2-18 bは地球の約2.6倍の半径を持つサブネプチューンで、固体表面や海の有無も未確定です。
したがって、K2-18 bで確認されているのは大気中のメタンと二酸化炭素です。DMS・DMDS、海、生命は検証中の項目です。
LHS 1140 bの大気検出は何を変えたのか
2026年にScience誌へ掲載された研究は、LHS 1140 bの2024年の近赤外線スペクトルで、上層大気から逃げるヘリウムの吸収を検出しました。2025年の観測では同じ吸収が現れず、流出量が時間とともに変化する可能性が示されました。
この結果は、ハビタブルゾーンにある小型惑星が大気を保持していることを示す観測的な証拠です。ただし、測定したのは上層大気のヘリウムであり、地表近くの大気組成、水、気候、生命は未確認です。
日本の系外惑星研究
国立天文台のすばる望遠鏡は、直接撮像、高コントラスト観測、惑星形成円盤の研究で国際的な成果を上げています。SEEDSプロジェクトは若い恒星の周囲を観測し、GJ 504 bなどの巨大惑星を撮像しました。
HIP 99770 bの研究では、Gaiaが捉えた恒星の加速と、すばる望遠鏡による直接撮像を組み合わせました。恒星の動きから候補を絞り、惑星の光を捉える方法です。
自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターは、ハビタブル惑星、生命の起源、観測装置、理論モデルを研究しています。日本の研究者はJWST、TESS、Gaiaなどの国際観測とデータ解析にも参加しています。
これからの観測計画
| 計画 | 予定・段階 | 系外惑星研究で担う役割 |
|---|---|---|
| JWST | 運用中 | トランジットする惑星の大気を赤外線で分光する |
| Nancy Grace Roman Space Telescope | 2026年8月30日打ち上げ予定 | 重力マイクロレンズで広い軌道の惑星を統計的に探し、コロナグラフ技術を実証する |
| PLATO | 2027年3月打ち上げ計画 | 太陽に似た明るい恒星を回る地球型惑星を探し、惑星と恒星の年齢を測る |
| Ariel | 2031年打ち上げ計画 | 約1,000個の系外惑星大気を同じ基準で比較し、形成と進化を調べる |
| Habitable Worlds Observatory | 構想・技術開発段階 | 潜在的に居住可能な約25個の惑星を直接撮像し、大気のバイオシグネチャーを探す |
Romanは発見数と惑星系の統計、PLATOは太陽型星を回る小型惑星、Arielは多数の大気の比較、HWOは地球型候補の直接撮像を担います。複数の観測手段を組み合わせることで、半径だけの候補から、大気と環境を測定できる候補へ進みます。
系外惑星ニュースを正確に読む方法
| 表現 | 実際に示していること |
|---|---|
| 地球サイズ | 半径が地球に近い |
| 地球型 | 岩石を主体とする可能性がある |
| スーパーアース | 主に大きさや質量の分類で、地球環境を意味しない |
| ハビタブルゾーン | 適切な大気があれば液体の水を保てる距離 |
| 水を検出 | 多くの場合は大気中の水蒸気。海や湖の確認とは異なる |
| 生命の材料 | 生命を構成しうる分子。生命活動の証拠とは異なる |
| バイオシグネチャー候補 | 生命由来と非生物由来の両方を検証する段階 |
| 第二の地球 | 科学的な分類名ではなく、何が似ているかを確認する必要がある |
見出しだけで判断せず、「直接測ったもの」「モデルで推定したもの」「未確認のもの」を分けると、研究の到達点が分かります。
よくある質問
系外惑星は肉眼で見えますか?
肉眼で見えるのは主に恒星です。その周囲の惑星は暗く、恒星光に埋もれます。発見には望遠鏡、分光器、長期間の精密測定を使います。
地球に似た惑星は見つかっていますか?
地球サイズ、岩石質、ハビタブルゾーンなど、一部の条件が近い惑星は見つかっています。海・大気・生命をすべて地球と同じ水準で確認した惑星はゼロです。
現在、最も注目される地球類似候補はどれですか?
目的によって変わります。最も近い候補はProxima Centauri b、複数の地球サイズ惑星を比較できるのはTRAPPIST-1系、大気保持の観測が進んだ候補はLHS 1140 b、太陽に似た恒星を回る代表例はKepler-452 bです。
ハビタブルゾーンにあれば人間が住めますか?
居住可能性は、大気、気圧、温度、放射線、水、重力などを含めて判断します。ハビタブルゾーンは、その検討を始めるための軌道条件です。
JWSTは生命を発見できますか?
JWSTは大気中の分子を測ります。生命由来の可能性がある信号を見つけても、非生物的な生成過程、装置の誤差、恒星活動を除き、複数の観測で再現する工程が続きます。
系外惑星へ行けますか?
最も近いProxima Centauri bでも約4.25光年先です。現在の探査機速度では人間の寿命を大きく超える移動時間になるため、研究の中心は遠隔観測です。
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参考資料
- NASA Exoplanet Archive: Exoplanet and Candidate Statistics
- NASA Exoplanet Archive: 2026 Exoplanet Archive News
- NASA Science: Exoplanets
- NASA Science: The Big Questions
- NASA Science: How We Find and Characterize Exoplanets
- NASA Science: The Habitable Zone
- NASA Science: TRAPPIST-1
- ESA: No Earth-like atmosphere on TRAPPIST-1 d
- NASA Exoplanet Catalog: Proxima Centauri b
- NASA Exoplanet Catalog: TOI-700 d
- NASA Exoplanet Catalog: TOI-700 e
- NASA Exoplanet Catalog: Kepler-452 b
- NASA Exoplanet Catalog: LHS 1140 b
- Science: Helium escaping from the atmosphere of a nearby rocky exoplanet orbiting in a habitable zone
- Cadieux et al.: Transmission Spectroscopy of LHS 1140 b with JWST/NIRISS
- NASA Webb: Methane and Carbon Dioxide in the Atmosphere of K2-18 b
- Luque et al.: Insufficient evidence for DMS and DMDS in the atmosphere of K2-18 b
- Stevenson et al.: K2-18b Does Not Meet The Standards of Evidence For Life
- NASA Webb: Carbon Dioxide in WASP-39 b
- NASA Science: Nancy Grace Roman Space Telescope
- ESA: Plato
- ESA: Ariel
- NASA Science: Habitable Worlds Observatory
- 国立天文台:太陽系外惑星HIP 99770 bの直接撮像
- 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター:ABCとは

