半導体の歴史とEUV露光|スマホ・生成AI・世界経済を支える小さな技術をわかりやすく解説

スマートフォン、パソコン、自動車、家電、通信網、データセンター、生成AI。どれも別々の技術に見えますが、内側をたどると、ほとんど必ず半導体に行き着きます。

ところが、ニュースで出てくる半導体の話は分かりにくいものです。「TSMC」「NVIDIA」「ASML」「EUV」「2nm」「GPU」「Rapidus」といった言葉が次々に登場し、技術の話なのか、企業の話なのか、経済安全保障の話なのか、全体像が見えにくいからです。

この記事では、半導体とは何かから始めて、トランジスタ、集積回路、ムーアの法則、露光、EUV露光、主要企業の役割分担、日本の半導体産業、生成AIとの関係までを一本の流れで解説します。

事実確認日:2026年7月6日。半導体企業の量産時期や政府支援は変わることがあるため、本文では「開始済み」「予定」「目標」「発表している」を分けて表現します。

30秒で分かる結論

  • 半導体とは、電気を通す性質を制御できる材料です。現代のコンピュータでは、電気のオン/オフを高速に切り替える土台になります。
  • トランジスタは、電気信号を増幅したりスイッチとして働いたりする小さな部品です。現代の計算機は、膨大な数のトランジスタを組み合わせて動きます。
  • 集積回路は、トランジスタなどを一つのチップ上に大量に作り込んだものです。これにより電子機器は小型化・高性能化しました。
  • ムーアの法則は自然法則ではなく、集積回路上のトランジスタ数が増え続けるという観察から生まれた、産業全体の目標のような考え方です。
  • EUV露光は、極端紫外線という非常に短い波長の光で、先端半導体の細かな回路パターンを作る技術です。ただし、EUVだけで半導体が完成するわけではありません。
  • TSMCは受託製造、NVIDIAはGPUやAI向け計算基盤の設計・プラットフォーム、ASMLは露光装置、とくにEUV露光装置で重要な企業です。
  • 日本はメモリ分野などでかつて強い時代がありました。現在は材料、製造装置、センサー、パワー半導体、先端ロジック再挑戦など、複数の領域で役割を持っています。

半導体の歴史を一枚の流れで見る

時期 出来事 意味
1947年 ベル研究所でトランジスタを実証 真空管より小さく、省電力で壊れにくい電子部品への転換点
1958年 ジャック・キルビーが集積回路を実証 部品を一つずつ配線する時代から、チップに作り込む時代へ
1965年 ゴードン・ムーアが集積回路の部品数増加を予測 後に「ムーアの法則」と呼ばれ、半導体産業の目標になった
1980年代 日本企業がDRAMなどで存在感を高める 品質、量産、民生機器との結びつきが強みになった
1990年代以降 韓国・台湾勢の台頭、ファウンドリモデルの拡大 設計と製造の分業が進み、国際分業が深まった
2010年代以降 EUV露光が先端半導体で本格化 より細かなパターン形成のため、露光技術が重要になった
2020年代 生成AI、データセンター、経済安全保障の中心へ GPU、HBM、先端製造、電力、供給網がまとめて注目されるようになった

半導体とは何か|電気を「制御できる」材料

半導体を一言でいえば、電気を通す性質を人間が制御しやすい材料です。

銅やアルミニウムのように電気をよく通す材料を導体といいます。ガラスやゴムのように電気を通しにくい材料を絶縁体といいます。半導体は、その中間にある材料です。ただし「中途半端な材料」という意味ではありません。条件を整えることで、電気を通しやすくしたり、通しにくくしたりできる点が重要です。

代表的な材料はシリコンです。シリコンは地球上に豊富に存在し、高純度化しやすく、酸化膜を作りやすいという性質を持っています。このシリコンに、ごく少量の不純物を加えると、電気の流れ方を変えることができます。この操作をドーピングといいます。

たとえば、ある場所では電子が動きやすく、別の場所では電子が足りない状態を作ることができます。すると、電気の流れを一方向にしたり、外からの電圧でオン/オフを切り替えたりできるようになります。コンピュータが0と1を扱えるのは、こうした小さな電気的スイッチを大量に並べられるからです。

トランジスタとは何か|現代文明を動かす小さなスイッチ

トランジスタは、電気信号を増幅したり、スイッチとして働いたりする半導体部品です。現代のコンピュータを理解する入口としては、まず電気の流れをオン/オフする小さなスイッチと考えると分かりやすいです。

トランジスタ以前の電子機器では、真空管が重要な役割を持っていました。真空管も信号の増幅やスイッチングに使えますが、大きく、熱を出し、電力を多く使い、壊れやすいという課題がありました。

1947年、ベル研究所のジョン・バーディーン、ウォルター・ブラッテン、ウィリアム・ショックレーらの研究によって、点接触型トランジスタが実証されました。トランジスタは真空管より小さく、消費電力が少なく、信頼性が高かったため、電子機器の小型化を一気に進める土台になりました。

現代のCPUやGPUには、数十億から数千億規模のトランジスタが組み込まれます。それらが高速にオン/オフを切り替えることで、計算、画像処理、通信、AIの推論などが行われています。

集積回路の誕生|部品を並べる時代から、チップに作り込む時代へ

トランジスタが発明されても、最初から現在のような高性能チップがあったわけではありません。初期の電子回路では、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの部品を別々に用意し、配線でつないでいました。

この方式では、部品が増えるほど大きく、重く、複雑になります。配線ミスや故障も増えます。そこで生まれたのが、複数の部品を一つの半導体片の上にまとめて作る集積回路、ICです。

1958年、テキサス・インスツルメンツのジャック・キルビーは、ゲルマニウム上に作った最初期の集積回路を実証しました。その後、ロバート・ノイスらによるシリコン平面技術の発展も重なり、集積回路は大量生産に向いた形へ進化していきます。

この変化の意味は大きいです。電子機器は、部品を一つずつ並べるものから、回路そのものをチップに焼き込むものへ変わりました。スマートフォンやノートパソコンが手のひらサイズに収まるのは、この集積回路の発展があったからです。

ムーアの法則とは何か|半導体産業を走らせた経験則

1965年、フェアチャイルド・セミコンダクターにいたゴードン・ムーアは、集積回路に載せられる部品数が急速に増えていく傾向を指摘しました。のちにIntelの共同創業者となるムーアのこの観察は、「ムーアの法則」と呼ばれるようになります。

注意したいのは、ムーアの法則は万有引力のような自然法則ではないということです。Intel自身も、これは経験的な観察であり、イノベーションと技術進歩に依存する予測だと説明しています。

それでも、ムーアの法則は半導体産業に強い力を持ちました。メーカーは、より小さく、より多く、より安く、より省電力にトランジスタを作る方向へ投資しました。製造装置メーカー、材料メーカー、設計ツール企業、大学、研究機関も、その目標に合わせて技術を進めました。

つまりムーアの法則は、単なる予言ではありません。産業全体が「次の世代ではもっと多くのトランジスタを載せる」と共有することで、自己実現的なロードマップのように働いてきたのです。

なぜ半導体は小さく作るほどすごいのか

半導体を小さく作ることには、いくつかの利点があります。

  • 同じ面積に、より多くのトランジスタを入れられる。
  • 信号が移動する距離が短くなり、処理を速くしやすい。
  • 一つひとつのスイッチに必要な電力を下げやすい。
  • 同じウエハーから多くのチップを取り出せれば、コストを下げやすい。

ただし、微細化は簡単ではありません。線幅が小さくなるほど、光の波長、原子レベルのばらつき、熱、漏れ電流、検査、歩留まりが難しくなります。小さくすれば無条件に良くなる、という段階ではなくなっています。

もう一つ大切なのは、2nmや3nmというプロセスノードの数字は、現在では必ずしも実際の物理寸法をそのまま示すものではないという点です。かつてはゲート長などに近い意味を持っていましたが、現在は世代名、性能・密度・電力効率の目安、企業ごとの技術呼称として使われる面が強くなっています。

そのため、半導体の進化は微細化だけでは語れません。トランジスタの3D構造、GAA、先端パッケージング、チップレット、HBMのような高性能メモリ、熱設計、設計ソフトウェアも重要になっています。

半導体はどう作るのか|ウエハーに回路を重ねていく

半導体製造は、シリコンウエハーという円盤状の基板に、微細な回路パターンを何層も作り込む工程です。ウエハーは、きれいに磨かれたシリコンの薄い板です。ここに、成膜、露光、現像、エッチング、イオン注入、洗浄、検査などを何度も繰り返します。

ざっくり言えば、半導体製造は「薄い膜を作る」「必要な模様を写す」「不要な部分を削る」「電気的な性質を変える」という作業の積み重ねです。これを数十回、場合によっては百回以上にわたって繰り返し、複雑な回路を立体的に作っていきます。

この工程のうち、回路の模様をウエハーに写す重要な工程が露光です。露光は半導体製造のすべてではありませんが、微細化を進めるうえで非常に重要な位置を占めています。

露光とは何か|写真のように回路を焼き付ける技術

露光は、写真の焼き付けに似た工程です。ウエハーの表面にレジストという光に反応する材料を塗り、回路の模様が描かれたマスクを通して光を当てます。光が当たった部分と当たらなかった部分でレジストの性質が変わるため、現像すると模様が残ります。

その後、エッチングで不要な部分を削ったり、イオン注入で電気的な性質を変えたりします。この作業を層ごとに繰り返すことで、チップの中に複雑な回路が作られます。

露光で重要なのは、どれだけ細かい模様を正確に写せるかです。一般に、より短い波長の光を使うほど、細かなパターンを作りやすくなります。従来のDUV露光では、KrFの248nm、ArFの193nmなどの光が使われてきました。そこからさらに短い波長へ進んだのがEUV露光です。

EUV露光とは何か|先端半導体を支える極端紫外線

EUVはExtreme Ultravioletの略で、日本語では極端紫外線と訳されます。ASMLは、EUV露光が波長13.5nmの光を使う技術だと説明しています。これはDUVよりはるかに短い波長です。

波長が短くなると、より細かな回路パターンを作りやすくなります。先端ロジック半導体では、EUV露光がとくに細かな層の形成に使われます。ただし、ASML公式資料が説明するように、EUVは最も複雑な層を印刷するために使われ、他の層にはDUVも引き続き使われます。つまり、先端半導体はEUVだけで作られるわけではありません。

EUV装置が難しい理由は、光を出すところからして特殊だからです。ASMLは、溶けたスズの小さな液滴にレーザーを当て、プラズマを発生させてEUV光を作る方式を説明しています。EUV光は普通のレンズでは扱いにくいため、高精度なミラー、真空環境、制御技術、計測技術が必要になります。

ASMLはEUV露光装置で非常に重要な企業ですが、半導体産業全体がASMLだけで成り立つわけではありません。レジスト、フォトマスク、ミラー、レーザー、計測装置、洗浄装置、成膜装置、エッチング装置、設計ソフト、素材、ファウンドリの量産技術がつながって初めてチップになります。

近年はHigh NA EUVも注目されています。NAは開口数を意味し、解像度に関わる指標です。ASMLのEXE世代のEUV装置はHigh NA技術を使い、今後の先端ロジックやメモリに向けた次世代露光技術として位置づけられています。ただし、High NA EUVは「すべてを一気に変える魔法の装置」ではなく、コスト、設計、マスク、工程統合まで含めて使いこなす必要があります。

TSMC・NVIDIA・ASMLは何が違うのか|半導体産業の役割分担

半導体ニュースが分かりにくい理由の一つは、「半導体企業」という言葉の中に、まったく違う役割の企業が混ざっていることです。

分類 役割 代表例
ファブレス チップを設計し、製造は外部へ委託する NVIDIA、AMD、Qualcommなど
ファウンドリ 他社が設計したチップを受託製造する TSMC、Samsung Foundryなど
IDM 設計と製造を自社内に持つ Intel、Samsung、Texas Instrumentsなど
製造装置メーカー 露光、成膜、エッチング、検査などの装置を作る ASML、Applied Materials、東京エレクトロンなど
材料メーカー シリコンウエハー、フォトレジスト、薬液、ガスなどを供給する 信越化学、SUMCO、JSRなど
EDA企業 半導体設計用ソフトウェアを提供する Synopsys、Cadence、Siemens EDAなど

NVIDIAは、GPUやAIアクセラレータ、それを動かすソフトウェア・ネットワーク・サーバー基盤で重要な企業です。ただし、最先端チップの大量製造はTSMCなどのファウンドリに委託することがあります。

TSMCは、1987年に創業した台湾のファウンドリです。自社ブランドのCPUやGPUを売るというより、顧客企業の設計したチップを高い歩留まりで量産することに強みがあります。TSMC公式サイトでは、2nmのN2技術が2025年第4四半期に量産を開始したと説明されています。

ASMLは、半導体露光装置、とくにEUV露光装置で重要なオランダ企業です。Intelは歴史的には設計から製造までを持つIDMであり、CPUとムーアの法則の文脈でも重要です。近年はファウンドリ事業も進めています。Samsungはメモリとロジック製造の大手で、IDMとファウンドリの両面を持っています。

このように、半導体産業は一社完結ではありません。設計、製造、装置、材料、パッケージング、ソフトウェア、検査、物流が国境を越えてつながっています。

日本の半導体産業|かつての強さ、失速、そして再挑戦

日本は半導体で「完全に終わった」わけではありません。一方で、1980年代の強さをそのまま保っているわけでもありません。この両方を分けて理解することが大切です。

1980年代、日本企業はDRAMなどのメモリ分野で強い存在感を持ちました。品質管理、量産技術、旺盛な設備投資、家電やコンピュータなどの需要との結びつきが背景にありました。しかし、日本のシェア拡大はアメリカとの貿易摩擦につながり、1986年の日米半導体協定などの政治的要因も加わります。

その後、メモリ市場では韓国勢が台頭し、ロジックでは米国の設計企業と台湾のファウンドリモデルが存在感を増しました。パソコン、スマートフォン、クラウド、AIへと需要の中心が移る中で、日本の垂直統合型モデルは競争力を落としていきます。

しかし現在も、日本には強い領域があります。半導体製造装置、材料、シリコンウエハー、フォトレジスト、薬液、センサー、パワー半導体、電子部品、精密加工などです。先端ロジックの量産だけを見て「日本はゼロ」と見ると、サプライチェーン全体を見誤ります。

近年の象徴が、熊本のJASMと北海道千歳のRapidusです。TSMCの熊本拠点であるJASMは、第一工場の開所と第二工場計画を通じて、自動車、産業、民生、HPC向けのロジック半導体供給を担う計画です。TSMC公式発表では、二つの工場で月10万枚以上の12インチウエハー生産能力を見込むとされています。

Rapidusは、北海道千歳市のIIMを研究開発・製造拠点として、2nm世代のロジック半導体量産を目指す企業です。Rapidus公式発表では、2025年7月に2nm GAAトランジスタの動作確認を発表し、2027年の2nmロジック半導体量産を目標に掲げています。これはすでに大規模量産で実績を持つTSMCと同じ状況にあるという意味ではなく、日本が先端ロジックの製造基盤を再構築しようとしている段階と見るのが適切です。

生成AI時代に半導体がさらに重要になった理由

生成AIは、文章、画像、音声、動画、コードなどを作るAIです。こうしたAIの学習や推論には、大量の計算が必要です。特に大規模言語モデルでは、行列計算を高速に処理するGPUやAIアクセラレータが重要になります。

NVIDIAのGPUが注目されるのは、単にチップ単体の性能だけではありません。GPU、CPU、メモリ、ネットワーク、サーバー、ソフトウェア、開発環境を組み合わせ、データセンター規模でAI計算基盤を構築する流れが強まっているからです。

生成AIで重要なのはロジック半導体だけではありません。大量のデータを素早く出し入れするため、HBMのような高帯域メモリも重要です。GPU同士をつなぐ高速ネットワーク、電源、冷却、サーバー筐体、データセンターの電力契約まで関係します。

SIAは、AIデータサーバーラックの価値の大部分を半導体が占めるという趣旨の報告を出しています。これは、AIが「ソフトウェアだけの話」ではなく、先端ロジック、メモリ、アナログ、電源、ネットワークなどを含む半導体産業全体の話であることを示しています。

ゆる歴史散歩会内では、通信技術の流れを知る記事として日本の通信史をわかりやすく|電信・電話・ラジオ・テレビ・インターネット、日本の技術発展全体を見る記事として日本の産業技術史|明治からデジタル時代まで、ものづくりの進化を解説も参考になります。

なぜ半導体は地政学の中心になったのか

半導体は、スマートフォンやパソコンだけの部品ではありません。自動車、電力網、通信、金融、医療機器、軍事、宇宙、AI、工場の自動化まで、社会の重要インフラに組み込まれています。

しかも、先端半導体は国際分業で成り立っています。設計はアメリカ、製造は台湾や韓国、露光装置はオランダ、材料や製造装置の一部は日本、パッケージングは台湾・韓国・東南アジア、最終製品は世界各地というように、複雑につながっています。

この分業は効率的ですが、弱点もあります。どこか一つの地域で災害、感染症、軍事的緊張、輸出規制、電力不足が起きると、世界中の製品供給に影響が出ます。自動車の生産停止や電子機器の納期遅れは、半導体不足が生活に直結することを示しました。

そのため、各国は国内生産、友好国との供給網、研究開発、人材育成、輸出管理を重視するようになりました。これは単に「半導体を自国で全部作る」という話ではありません。現実には完全な自給は難しく、どの部分を国内に持ち、どの部分を同盟国・友好国と分担し、どのリスクを減らすのかが政策の中心になります。

ニュースを読むための半導体用語ミニ辞典

半導体
電気を通す性質を制御できる材料。代表例はシリコン。
トランジスタ
電気信号を増幅したり、オン/オフのスイッチとして働いたりする部品。
集積回路
トランジスタや配線などを一つのチップ上に大量に作り込んだ回路。
ロジック半導体
計算や制御を担う半導体。CPU、GPU、AIアクセラレータなどが含まれる。
メモリ
データを記憶する半導体。DRAM、NANDフラッシュ、HBMなどがある。
GPU
もとは画像処理向けに発展した演算装置。並列計算に強く、AI計算でも重要。
AIアクセラレータ
AIの学習や推論を効率よく処理するための専用・準専用チップ。
ファブレス
製造工場を持たず、主に設計に集中する企業モデル。
ファウンドリ
他社が設計した半導体を受託製造する企業。
IDM
設計から製造までを自社で行う統合デバイスメーカー。
露光
マスク、光、レジストを使ってウエハー上に回路パターンを写す工程。
EUV
Extreme Ultraviolet、極端紫外線。先端半導体の細かな露光に使われる。
プロセスノード
2nm、3nmなどで表される製造世代。現在は物理寸法そのものではなく、技術世代名としての意味が強い。
パッケージング
チップを保護し、外部との電気接続や放熱を担う工程。近年は性能向上の重要技術になっている。
チップレット
大きな一枚のチップではなく、小さなチップを組み合わせて一つのシステムとして使う考え方。
HBM
High Bandwidth Memory。AI向けGPUなどで重要な高帯域メモリ。

よくある誤解

誤解1:EUV露光装置があれば半導体は作れる

EUV露光装置は非常に重要ですが、半導体製造の一部です。成膜、エッチング、洗浄、検査、材料、設計、パッケージング、量産ノウハウがそろわなければ、製品としてのチップは作れません。

誤解2:2nmは、チップの線が全部2ナノメートルという意味

現在のプロセスノード名は、実際の物理寸法をそのまま表すものではありません。2nmは技術世代名として理解する方が正確です。

誤解3:NVIDIAは自社で最先端GPUをすべて製造している

NVIDIAは主に設計・プラットフォーム企業です。先端GPUの製造は、TSMCなどのファウンドリと深く関係します。

誤解4:日本の半導体産業は完全に終わった

先端ロジックの量産では台湾・韓国・米国企業の存在感が大きい一方、日本は材料、装置、センサー、パワー半導体、部品、研究開発で重要な役割を持っています。

まとめ|半導体は、現代社会を小さな回路で支える技術

半導体は、電気を通す/通さないを制御できる材料です。その性質を使ってトランジスタが生まれ、トランジスタを大量にチップへ作り込む集積回路が生まれ、ムーアの法則のもとで小型化・高性能化が進みました。

その流れの中で、露光技術は回路の微細化を支える重要工程になりました。EUV露光は、先端半導体の細かなパターン形成を支える技術です。ただし、EUVは半導体製造の一工程であり、ASMLだけで産業全体が成り立つわけではありません。

TSMC、NVIDIA、ASML、Intel、Samsung、Rapidusは、同じ「半導体」の世界にいますが、役割は異なります。設計、製造、装置、材料、メモリ、パッケージング、ソフトウェアがつながって、初めてスマートフォンや生成AIが動きます。

半導体ニュースは、技術ニュースであると同時に、産業史、世界経済、エネルギー、地政学、安全保障のニュースでもあります。半導体を理解すると、スマートフォンの中身だけでなく、現代社会そのものの構造が少し見えやすくなります。

参考文献・参考サイト

  1. IBM “What is a semiconductor?”
  2. Nokia Bell Labs “The transistor: 75 years since the famed Nokia Bell Labs invention changed the world”
  3. Computer History Museum “The Integrated Circuit”
  4. Smithsonian National Museum of American History “Integrated Circuit by Jack Kilby”
  5. Intel Newsroom “Press Kit: Moore’s Law”
  6. ASML “EUV lithography systems”
  7. ASML “Light & lasers – Lithography principles”
  8. TSMC “2nm Technology”
  9. TSMC “TSMC Celebrates the Opening of JASM in Kumamoto, Japan”
  10. Rapidus Corporation Official Website
  11. Rapidus “Rapidus Secures 267.6 Billion Yen in Funding…”
  12. Rapidus “2nm semiconductor challenges”
  13. Semiconductor Industry Association “2025 State of the U.S. Semiconductor Industry”
  14. SIA “New Report Finds Semiconductors Account for 95% of an AI Data Server Rack’s Value”
  15. 半導体産業人協会 半導体歴史館「業界動向1980年代」
  16. 経済産業省「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」ステージゲート審査結果
  17. NVIDIA “Blackwell Architecture”