〖開催レポート〗三大銀座商店街「砂町銀座商店街」で食べ歩き&石田波郷記念館

砂町銀座商店街の竹沢商店で食べた焼き鳥の串 イベント
香ばしく焼けた串を片手に、商店街歩きがさらに楽しくなります。

2024年4月28日(日)16時30分から、ゆる歴史散歩会では「三大銀座商店街『砂町銀座商店街』で食べ歩き&石田波郷記念館」を開催しました。参加者は8人。北砂二丁目公園に集合し、小名木川駅跡のモニュメントを見てから、砂町銀座商店街を西側から東側へ歩き、最後に石田波郷記念館へ立ち寄るコースです。

今回歩いたルートは、TimeWalk『砂町銀座商店街』コースでも確認できます。食べ歩きの場所だけでなく、小名木川駅跡や石田波郷記念館の解説も見られるので、後日歩くときの予習・復習にも便利です。

砂町銀座商店街の入口アーチと提灯が並ぶ通り
砂町銀座商店街の入口。ここから食べ歩きが始まりました。

江東区北砂と砂町銀座商店街の魅力

砂町銀座商店街があるのは、東京都江東区北砂。都営新宿線の西大島駅や東京メトロ東西線の南砂町駅から少し距離があり、駅前型の商店街とは違って、住宅地の中に生活の通りが続いているのが特徴です。アクセスだけを見ると少し行きにくい場所ですが、その分、商店街に着いたときの「ここまで来た」という楽しさがあります。

砂町銀座の名前は昭和初期に生まれました。当時の銀座通りのように発展してほしいという願いを込めて名付けられ、戦災後の復興を経て、惣菜、生鮮、菓子、日用品などが並ぶ下町らしい商店街として知られるようになりました。江東区観光協会も、砂町銀座を下町情緒を満喫できる有名商店街として紹介しています。

東京都江東区の行政地図
東京都江東区の位置

集合場所は北砂二丁目公園。小名木川駅跡から出発

集合場所は北砂二丁目公園でした。近くのアリオ北砂を含む一帯は、かつて小名木川駅があった場所です。現在は公園の中に車輪モニュメントと解説板があり、ここが貨物駅跡であることを伝えています。

北砂二丁目公園にある小名木川駅跡の車輪モニュメントと解説板
集合場所の北砂二丁目公園。小名木川駅跡を示す車輪モニュメントがあります。

小名木川は江戸時代以来、隅田川と中川方面を結ぶ重要な水路でした。近代に入ると、水運と鉄道、倉庫、工場が結びつき、江東区の産業を支える土地になっていきます。今は大型商業施設や住宅地の印象が強い場所ですが、足元には物流の歴史が重なっています。自己紹介をして少し打ち解けたところで、いよいよ砂町銀座商店街へ向かいました。

今回歩いたルート

この日のルートは、北砂二丁目公園を出発し、砂町銀座商店街の西側入口から商店街を横断し、東側へ抜けたあと、砂町文化センター内の石田波郷記念館へ向かう流れでした。歩行距離は長くありませんが、店先の密度が高く、立ち止まる回数がとても多い散歩になりました。

TimeWalk『砂町銀座商店街』コースを見る

砂町銀座商店街入口。入った瞬間に足が止まる

商店街に入ると、両側に惣菜店、焼き鳥店、和菓子店、肉まんの店などがぎっしり並びます。参加者の多くは砂町銀座が初めてで、入口をくぐった直後から「何を買うか」を考える時間になりました。まだ歩き始めたばかりなのに、揚げ物の香りや焼き鳥の煙に引き寄せられて、なかなか前へ進めません。

砂町銀座商店街のお惣菜店・揚一の店先に並ぶ参加者
商店街に入ると、惣菜店の前で足が止まります。

ふだんの歴史散歩では史跡や地形を見ながら歩くことが多いのですが、この日は「商店街そのもの」が主役です。店の看板、価格表、行列、店主とのやりとり、通りの幅、買い物客の流れまで、全部が砂町銀座らしさをつくっていました。

揚げ物、焼き鳥、甘いもの。食べ歩きが止まらない

最初に足が止まったのは、揚げ物やお惣菜の店先です。コロッケを買って食べると、次は焼き鳥、さらに甘いもの、肉まん、もつ煮込みと、魅力的な店が次々に現れます。商店街の真ん中あたりに来るころには、すでにおなかいっぱいになっている人もいました。

砂町銀座商店街で食べた揚げたてのコロッケ
食べ歩きの定番、揚げたてのコロッケ。

それでも、目の前に焼き鳥が焼けていたり、店先に湯気が立っていたりすると、もう一品買いたくなります。食べ歩きの楽しいところは、少しずつ分け合ったり、次の店を見つけて相談したりしながら進めることです。初対面の人が多い回でも、食べ物をきっかけに自然と会話が生まれました。

砂町銀座商店街の焼き鳥店・肉の中島の外観
焼き鳥や惣菜の店が続き、なかなか前へ進めません。
砂町銀座商店街で食べた焼き鳥のねぎま串
香ばしい焼き鳥も食べ歩きの楽しみのひとつです。
砂町銀座商店街の焼き鳥店に並ぶ串焼きと惣菜
焼き鳥店の店先には、串焼きや惣菜がずらりと並んでいました。
砂町銀座商店街の竹沢商店で食べた焼き鳥の串
香ばしく焼けた串を片手に、商店街歩きがさらに楽しくなります。

砂町銀座は、ただ古い商店街というだけではありません。安くておいしい惣菜が並び、生活の買い物の場でありながら、初めて訪れた人にとっては観光地のような高揚感もあります。「三大銀座」と呼ばれる理由を、歩きながら体感できる時間でした。

砂町銀座商店街で食べた巴焼き
甘いものも挟みながら、商店街をゆっくり進みました。
砂町銀座商店街の上海肉まんの包装と店先
肉まんなど、その場で食べたくなる名物がたくさんあります。

通りの周辺にも残る、昭和の空気

商店街の楽しさは、買い食いだけではありません。少し視線を横に向けると、年季の入った看板や、今ではあまり見かけない雰囲気の自動販売機など、昭和の記憶を感じる風景にも出会えます。

手づくりの店さかいの店先と季節限定もつ煮込みの案内
気になる店が次々に現れ、つい買い足したくなります。
砂町銀座商店街周辺で見かけたレトロなキンツバドリンクの自動販売機
通りの周辺には、昭和の空気を感じるレトロな風景も残っていました。

砂町銀座は演出されたレトロスポットではなく、日々の買い物の場として続いてきた通りです。だからこそ、古いものと新しいもの、地元の人の生活と遠方から来る人の食べ歩きが自然に混ざっていました。

石田波郷記念館で、北砂の文学にも触れる

おなかいっぱいになったあとは、商店街沿いにある砂町文化センター内の石田波郷記念館へ向かいました。石田波郷は昭和を代表する俳人の一人で、戦後に江東区で暮らし、この地域の風景を俳句に詠みました。記念館では、波郷の生涯や作品、江東区との関わりを知ることができます。

石田波郷記念館の入口と石田波郷の等身大パネル
砂町文化センター内の石田波郷記念館へ立ち寄りました。
石田波郷記念館の展示パネル。家族や三つの故郷、俳句の周辺を紹介
展示を通じて、石田波郷と北砂・砂町とのつながりを知ることができます。

参加者の多くにとって、石田波郷記念館は今回初めて知る場所でした。食べ歩きの後の休憩を兼ねた立ち寄りでしたが、商店街のすぐ近くで俳句文学に触れられるのは、砂町銀座散歩ならではの面白さです。賑やかな通りから少し離れて展示を見ることで、北砂という地域の別の顔を知る時間になりました。

砂町銀座は「また来たい」と思える商店街でした

今回の散歩では、参加者のほとんどが砂町銀座商店街を初めて訪れました。駅から少し距離があることは確かにネックですが、その不便さを超えてでも行きたくなる店の多さ、商店街全体の活気、食べ歩きの楽しさがありました。

歩き始める前は「どんな場所だろう」という雰囲気でしたが、商店街に入ってからはみんな次々に買い物をし、最後には満足度の高い散歩になりました。食べ物をきっかけに会話が増え、初対面でも自然に打ち解けやすいのも、商店街歩きの良さです。

ゆる歴史散歩会では、東京周辺の歴史スポットや文化施設、商店街などを、初心者にも分かりやすく巡る街歩きイベントを開催しています。一人参加の方も多く、歴史に詳しくない方でも気軽に参加しやすい雰囲気です。砂町銀座のように、実際に歩いて、食べて、立ち止まってみることで分かる東京の歴史を、これからも楽しんでいきます。