
2026年6月21日(日)9時30分から、江東区の猿江恩賜公園で開催された自然観察会に参加しました。イベント名は「樹木医の解説を聞きながら自然観察してみませんか?」。今回は花ではなく、普段の散歩ではつい背景のように見過ごしてしまう「樹木」がテーマです。
ゆる歴史散歩会からの参加は16人。公園の自然観察会にはサークルメンバー以外の方も15名ほど参加され、地元に長く住んでいる方のお話も聞きながら、約1時間、濃い緑の森の中を歩きました。前日の雨で園内はしっとりとしていて、都会の真ん中とは思えないほどの森林浴気分を味わえました。

江東区・猿江恩賜公園はどんな場所?
猿江恩賜公園は、都営新宿線・東京メトロ半蔵門線「住吉」駅からすぐの場所にある都立公園です。新大橋通りをはさんで、庭園や野球場のある落ち着いた南園と、広場やテニスコート、遊具のある開放的な北園に分かれています。
現在は緑豊かな公園として親しまれていますが、この土地はもともと木材と深い関わりを持つ場所でした。公園の案内では、幕府から皇室御用材までを扱った貯木場の歴史が紹介されています。公園内にある「ミニ木蔵」は、かつて水中に木材を貯えていた風景を思わせる場所で、護岸には実際に丸太の重しとして使われていた切石も残されています。
つまり猿江恩賜公園は、単に木が多い公園というだけではありません。江戸・東京の暮らしを支えた木材流通の記憶と、現在の都市公園としての緑が重なっている場所です。樹木をテーマに歩くと、公園そのものの歴史まで見え方が変わってきます。
花ではなく「木」を見ると、公園の解像度が上がる
植物観察というと、咲いている花や季節の実に目が向きがちです。もちろん花は見つけやすく、色や形の違いも分かりやすいものです。一方で樹木は、いつもそこに立っているため、名前や特徴を意識しないまま通り過ぎてしまうことが多くあります。
今回の観察会で新鮮だったのは、幹、枝、葉のつき方、樹皮の表情、傷跡、根元の環境など、見るべきポイントが思った以上にたくさんあることでした。同じ「大きな木」に見えても、木の種類によって枝の広がり方や葉の重なり方が違い、光の入り方や足元の湿り方まで変わってきます。

樹木医の方の解説は、単なる名前当てではなく「この木が今どんな状態なのか」「なぜこういう姿になったのか」を考える内容でした。歴史散歩でも地形や建物を読むように、自然観察でも木の姿を読むことができるのだと感じました。
今回の自然観察で歩いた園内の見どころ
集合後、樹木の見方を教わりながら出発
集合場所では、参加者が受付を済ませ、資料を手にして観察会が始まりました。一般参加の方も多く、若い方から地元の年配の方まで幅広い顔ぶれです。初めての場所でも、同じ説明を聞きながら歩くため、自然に会話が生まれる雰囲気がありました。

最初に印象的だったのは、樹木医の方が木の前で立ち止まると、参加者全員の視線が一斉に上へ、そして幹へ向かうことです。普段なら日陰を作ってくれる存在として通り過ぎる木が、解説を聞くことで一つひとつ観察対象になります。
森のような緑の中で、樹木の病気や傷を見る
園内を歩いていくと、幹の一部が傷んだ木や、樹皮に独特の表情が出ている木も見られました。樹木医の解説では、木の傷、腐朽、病気、害虫との関係など、普段は聞く機会の少ない話が次々と出てきます。

「木は動かないから強そうに見えるけれど、実は周囲の環境をずっと受け止めている存在なのだ」と感じます。枝が折れた跡、幹の変色、樹皮のめくれ方には、それぞれ理由があります。都市公園の木は、人の通行、剪定、雨風、暑さ、虫、菌など、さまざまな条件の中で生きているのだと分かりました。

前日に雨が降ったこともあり、樹皮にはたくさんのダンゴムシが登っていました。地面の巣が水で浸かったため、上へ避難してきているのだそうです。参加者の皆さんも思わず足を止め、樹皮のすき間をまじまじと観察していました。小さな生き物の動きからも、雨上がりの公園の環境が見えてきます。
メタセコイアや木陰の道で、都会の森林浴を味わう
猿江恩賜公園の公式情報では、主な植物としてイチョウ、ソメイヨシノ、メタセコイア、ラクウショウ、プラタナスなどが紹介されています。実際に園内を歩くと、背の高い木が並ぶ場所では、都心の公園にいることを忘れるほど緑が濃く感じられました。

特に、まっすぐ伸びる幹が並ぶ景色は迫力があります。下から見上げると、枝葉が空を覆い、光がやわらかく落ちてきます。木の名前を覚えきれないほど情報量の多い会でしたが、「この木はどんな場所を好むのか」「なぜここに植えられているのか」と考えるだけでも、公園の見え方が大きく変わりました。

枝がトンネルのように重なる道では、涼しさや湿り気まで感じられます。花の季節を追いかける散歩も楽しいですが、木陰そのものを味わう散歩には、また別の面白さがあります。
雨上がりの水辺、スイレン、そして鴨
園内では、白いスイレンもきれいに咲いていました。葉の上に雨粒が残り、前日の雨がまだ公園の風景の中に残っているようでした。

猿江恩賜公園には、かつての貯木場を思わせる水辺があります。また、もともと池があった場所では、今でも雨が降ると水がたまりやすいそうです。この日は実際に水たまりができ、そこへ鴨が来ていました。

地元の方のお話を聞くと、普段見ている公園にも、住んでいる人だけが知っている小さな変化があることに気づきます。歴史散歩では古地図や地名から昔を想像しますが、自然観察では雨、土、木、虫、鳥の動きから、その場所の性格を感じ取ることができます。
樹木医のガイドで歩くから分かる、自然観察の面白さ
今回の観察会は約1時間でしたが、情報量は覚えきれないほどでした。木の名前だけでなく、病気、傷、樹皮、虫、湿った場所、木陰の環境まで、解説の切り口がとても多く、同じ公園でも専門家と歩くとまったく違う景色になることを実感しました。

特に面白かったのは、「きれいな花を探す」だけではない自然観察の楽しさです。木の幹の傷も、ダンゴムシの移動も、雨のあとにできる水たまりも、すべて観察の入口になります。身近な公園でも、見方を教わるだけで発見が増えていくのは、街歩きや歴史散歩にも通じる楽しさです。
まとめ|猿江恩賜公園は、木の歴史と都市の自然を感じられる場所でした
猿江恩賜公園での樹木医ガイドによる自然観察会は、都会の公園で森林浴をしながら、木をじっくり見る時間になりました。花のように分かりやすく目立つものだけではなく、幹や樹皮、葉、傷、生き物、雨上がりの水辺まで観察すると、公園の奥行きが一気に深まります。
もともと貯木場の歴史を持つ場所で、いま樹木をテーマに歩くというのも、猿江恩賜公園ならではの面白さでした。江東区や住吉周辺を歩く際には、駅近くの大きな緑地としてだけでなく、木材の記憶と都市の自然が重なる場所として訪れてみると、新しい発見がありそうです。
ゆる歴史散歩会では、東京周辺の歴史スポットや文化施設、公園などを、初心者にも分かりやすく巡る街歩きイベントを開催しています。一人参加の方も多く、歴史に詳しくない方でも気軽に参加しやすい雰囲気です。今回のように、専門家の解説を聞きながら自然や地域の魅力を見つける企画にも参加していきます。

