病院の看板には「医療法人○○会」「大学病院」「赤十字」「済生会」など、さまざまな名前が並びます。これらの名称から、診療内容に加えて、その施設を誰が開設し、どの組織が経営しているかを読み取れます。
病院は診療を行う施設、医療法人は病院や診療所などを開設・運営する法人、病院グループは複数の病院や介護施設などを束ねるまとまりです。大学病院、日本赤十字社、済生会、国立病院機構には、それぞれ別の運営主体があります。
厚生労働省の2024年医療施設調査では、2024年10月1日時点の病院8,060施設のうち、医療法人が開設する病院は5,626施設、69.8%でした。街で目にする病院は、医療法人、大学、公的組織、社会福祉法人、全国病院グループまで運営主体を見渡すと構造を理解できます。
医療法人とは?まず病院を運営する「法人」を知る
医療法人は、医療法に基づき、病院、一定の診療所、介護老人保健施設、介護医療院などを開設するために設けられる法人です。個人経営だった病院が法人格を持つと、施設や資金、雇用、契約を個人から切り離し、組織として継続しやすくなります。
制度が設けられたのは1950年の医療法改正です。当時の厚生省通知は、私人が経営する病院などの経営難を緩和するため、法人格を取得しやすくし、資金の集積を容易にすることを制度の趣旨として説明しています。病院そのものの創立が江戸・明治期にさかのぼっても、現在の医療法人としての設立は1950年以降という例があります。
医療法人には大きく「社団」と「財団」があります。社団は人の集まりを基礎とし、財団は寄附された財産を基礎とする形です。さらに、救急医療やへき地医療など地域で特に重要な役割を担い、一定の要件を満たす「社会医療法人」などの類型があります。
2024年医療施設調査の病院8,060施設を開設者別にみると、医療法人5,626施設、公的医療機関1,182施設、国317施設、個人92施設などとなっています。医療法人は全病院の約7割を占め、日本の病院運営の中心的な主体です。
病院・医療法人・病院グループは何が違う?
| 言葉 | 何を指すか | 例 |
|---|---|---|
| 病院 | 患者を診療する「施設」 | ○○病院 |
| 医療法人 | 病院や診療所などを開設・運営する「法人」 | 医療法人社団○○会 |
| 病院グループ | 複数の病院・診療所・介護施設などの「まとまり」 | 徳洲会グループ、IMSグループなど |
一つの医療法人が複数の病院を運営する場合があります。さらに大規模なグループでは、複数の医療法人、社会福祉法人、学校法人、関連会社などが共通のグループ名の下で連携します。
構造を単純化すると、「病院グループ → 法人A → 病院・診療所」「病院グループ → 法人B → 病院・介護施設」のような階層です。グループ名は、複数法人をまとめる共同名称として使われることがあります。病院概要の「開設者」「運営法人」を見ると、実際の法人構造を確認できます。
日本の病院は誰が運営している?
病院の開設主体は多様です。厚生労働省の統計は「開設者」という区分で集計し、一般的な法人制度とは異なる整理軸を使っています。代表的な運営主体を法人制度に沿って並べると、次のようになります。
| 運営主体の例 | 代表的な病院・組織 | 特徴 |
|---|---|---|
| 医療法人 | 民間病院の多く | 医療法に基づく非営利法人 |
| 国立大学法人 | 東京大学医学部附属病院など | 国立大学を設置する法人 |
| 学校法人 | 私立大学の附属病院など | 私立大学を設置する法人 |
| 公立大学法人・自治体 | 公立大学病院、公立病院 | 地域の大学・医療を担う |
| 独立行政法人 | 国立病院機構など | 法律に基づく独立行政法人 |
| 地方独立行政法人 | 自治体病院の一部 | 自治体が設立する法人 |
| 日本赤十字社 | 赤十字病院 | 日本赤十字社法に基づく法人 |
| 社会福祉法人 | 済生会など | 社会福祉事業を担う法人 |
| 公益法人・生協など | 公益法人病院、生協病院など | 設立根拠や目的がそれぞれ異なる |
| 会社・個人 | 一部の企業立病院、個人病院 | 会社の病院開設には限定的な扱いがある |
大学病院の運営主体は、大学の設置主体に応じて変わります。国立大学の附属病院は国立大学法人、私立大学の附属病院は学校法人、公立大学の附属病院は公立大学法人や自治体などが運営します。東京大学医学部附属病院は国立大学法人東京大学、東京慈恵会医科大学附属病院は学校法人慈恵大学が運営しています。
聖路加国際病院は、2014年に病院事業が学校法人聖路加国際大学へ移され、大学と病院が一体化しました。現在は学校法人聖路加国際大学の施設として位置づけられています。大学病院を理解するときも、名称より「現在の設置者・開設者」を見るのが確実です。

医療法人は非営利なのに、どうやって経営している?
医療法人も診療報酬、自由診療、健診などの事業収入を得て、人件費、医薬品、医療材料、医療機器、建物維持費などを支払い、黒字を出すことがあります。非営利性は、剰余金を構成員へ配当せず、医療提供体制へ再投資する仕組みに表れます。
医療法第54条は「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」と定めています。1950年の制度創設時の通知でも、剰余金は施設の整備などに充てる趣旨が示されました。黒字で生まれた資金は、人材確保、医療機器更新、病棟改修、新規施設、将来の運転資金などへ再投入できます。
株式会社は株主への利益配当を制度として持ちます。医療法人は剰余金配当が禁止されるため、資金の出口が異なります。株式会社など営利法人による一般的な病院開設は原則として認められず、従業員の福利厚生を目的とする病院など、限定的な例が歴史的に認められてきました。
医療法人には、出資持分を持つ旧来型の法人と、持分のない法人があります。現在、新設できるのは持分なし医療法人です。初心者向けには、日常の経営で生じる黒字と、構成員への剰余金配当を分けて考えることが要点です。
なぜ巨大な病院グループが生まれる?
病院が集団化する理由の一つは、医療が一施設だけで完結しにくくなったことです。救命救急や手術を担う急性期病院から、回復期リハビリテーション、慢性期、在宅医療、訪問看護、介護施設へ患者の状態に応じて機能をつなぐには、複数施設の連携が有効です。
グループ化すると、医師・看護師などの採用と教育、医療機器や物品の調達、情報システム、経理、人事、資金管理を共同化しやすくなります。病院ごとに異なる診療機能を持たせ、地域内で役割を分担することもできます。
事業承継やM&Aも拡大の経路になります。後継者不足や設備投資負担を抱える病院が他法人・グループへ事業を引き継ぐケースがあり、経営資源を共有しながら医療提供を続ける形です。規模は調達力や人材配置の選択肢を広げますが、医療の質は診療体制、安全管理、専門性、地域で担う機能などを個別に見る必要があります。
日本の主要巨大病院グループを規模で比較
病院グループの規模は、病院数、病床数、職員数、総事業所数、事業収益のどれを軸にするかで順位が変わります。全国の全グループを同じ基準日・同じ定義で並べる公的ランキングは未整備です。ここでは2026年8月22日時点で各グループ公式サイトから確認できる病院数を第一の軸に、主要な民間病院グループを比較します。
矢野経済研究所の2026年調査は、公的・準公的組織を除き「3病院以上を保有する団体」を病院グループと定義し、168グループ・1,238病院を確認しています。2026年1月時点の全国8,107病院の15.3%に当たります。
| グループ | 病院数 | 基準日 |
|---|---|---|
| 徳洲会グループ | 96 | 2026年8月22日 |
| IMSグループ | 36 | 2026年8月22日 |
| TMG | 29 | 2026年8月22日 |
| 上尾中央医科グループ(AMG) | 28 | 2026年8月22日 |
| カマチグループ | 26 | 2026年8月22日 |
| 平成医療福祉グループ | 26 | 2026年8月22日 |
| ふれあいグループ | 16 | 2026年8月22日 |
| 南東北グループ | 10 | 2026年8月22日 |
病院数は各公式サイトの現行表示を確認した値です。カマチグループは公式グループ一覧に掲載された病院を数えています。病床数と職員数は公表時点が異なるため、基準日を分けて比較します。
| グループ | 病床数 | 職員数 | 基準日 |
|---|---|---|---|
| 徳洲会グループ | 22,153床 | 約49,700人 | 病床:2026年5月/職員:2026年4月 |
| IMSグループ | 12,710床 | 26,918人 | 病床:2025年9月/職員:2025年4月 |
| TMG | 6,396床 | 16,558人 | 病床:2025年5月/職員:2026年5月 |
| 上尾中央医科グループ(AMG) | 6,426床 | 20,159人 | 2025年4月末 |
| ふれあいグループ | ― | 7,600人超 | 2026年8月22日公式表示確認 |
| 南東北グループ | 3,000床超 | 約9,000人 | 2026年8月22日公式表示確認 |
葵会グループは公式概要で134施設、病院6,500床、職員16,310人(開設予定を含む)を公表しています。病院総数の集計値が同じページにないため、病院数を軸にした表から分けました。亀田グループは千葉県鴨川市を中心に、高度医療から外来・介護・教育までを集積する地域拠点型のネットワークです。
全国には、医療法人とは異なる法的主体が運営する大規模な医療組織もあります。法人類型を分けて比較すると、規模と組織の性格を同時に把握できます。
| 全国組織 | 病院数 | 病床・職員規模 | 基準 |
|---|---|---|---|
| 国立病院機構 | 139 | 48,073床・約80,000人 | 2025年4月1日 |
| 日本赤十字社 | 90 | 33,076床・医療事業60,210人 | 原則2026年4月1日、病床は3月31日 |
| 済生会 | 83 | 全事業約67,000人 | 2025年度 |
済生会は、現行の施設検索で委託運営等を含む85病院、2025年度の公式事業概要で「主な施設」83病院を掲げています。上表は年度集計値の83病院を採用しました。集計範囲が異なる数字は、基準を分けて読む必要があります。
日赤・済生会・国立病院機構は医療法人と何が違う?
日本赤十字社
日本赤十字社は、日本赤十字社法によって法人格と組織が定められた法人です。医療事業に加え、災害救護、血液事業、国際活動、看護教育、社会福祉事業を担います。2026年4月1日現在の「日本赤十字社現勢」では90病院、病床総数33,076床です。
済生会
済生会は社会福祉法人恩賜財団済生会という一つの法人で、40都道府県に支部を置きます。1911年に生活困窮者への医療救済を目的に創設され、現在も無料低額診療事業などを続けています。2025年度の公式概要では406施設・435事業、83病院、職員約67,000人です。
国立病院機構
国立病院機構は独立行政法人国立病院機構法に基づく独立行政法人です。2004年に発足し、2025年4月1日時点で139病院、48,073床、約80,000人の職員を持ちます。医療提供に加え、臨床研究や教育研修、政策的に必要な医療も担います。
三者とも全国に多数の病院を持つため外見上は「巨大病院グループ」に見えますが、医療法人グループとは設立根拠、法人類型、目的が異なります。
日本の病院・医療法人はどう発展してきた?
江戸時代には藩や幕府の養生所、医家、蘭方医学の学塾が医療と教育を担いました。幕末から明治にかけて西洋式病院と医学校が各地に生まれ、医師養成と病院診療が制度化されていきます。
明治期には大学・医学校の附属医院、慈善病院、軍病院、日本赤十字社の前身である博愛社など、異なる目的を持つ組織が並行して発達しました。1911年には済生会が創設され、生活困窮者救済を軸に医療・福祉事業を広げます。
戦後は1948年施行の医療法が病院・診療所の制度的な枠組みを整え、1950年改正で医療法人制度が誕生しました。高度経済成長期から地域の民間病院が拡大し、1970年代以降は徳洲会のように救急医療や地域展開を軸に全国規模へ成長するグループも現れました。
高齢化が進むと、病院から回復期、在宅医療、訪問看護、介護までをつなぐ必要が増えました。現在は人口減少と85歳以上人口の増加を見据え、地域ごとに医療機関の機能分化と連携を再設計する「2040年に向けた地域医療構想」が進んでいます。
医学校、大学病院、研究所、救済組織、軍・公立病院が現在の医療機関へどうつながったかは、別記事日本の医学・病院の歴史と系譜で詳しくたどっています。
歴史が古い病院・医療組織はどこ?
「古い病院」を比べるときは、①現在につながる医療活動・医家の起源、②病院としての設立、③現在の法人の設立・法人化を分ける必要があります。三つの年代がずれる例が多く、同じ組織でも「創立年」が複数あります。
| 組織 | 歴史の起点・主な節目 | 現在の法人との関係 |
|---|---|---|
| 亀田 | 寛永末頃から医療を営む家系。1948年に有限会社亀田病院 | 1954年に医療法人鉄蕉会へ改組 |
| 順天堂 | 1838年に佐藤泰然が江戸で和田塾を開く。1843年に佐倉へ | 現在は学校法人順天堂 |
| 東京慈恵会 | 1881年の成医会講習所、1882年の有志共立東京病院 | 現在は学校法人慈恵大学 |
| 日本赤十字社 | 1877年に博愛社、1887年に日本赤十字社へ改称 | 1952年制定の日本赤十字社法に基づく法人 |
| 聖路加 | 1901年、築地で聖路加病院を開設 | 2014年に学校法人へ病院事業を統合 |
| 済生会 | 1911年創設 | 1952年に社会福祉法人として認可 |
亀田のように医家としての源流が江戸時代に及ぶ組織でも、現在の医療法人鉄蕉会への改組は1954年です。病院・医家としての歴史と、現在の法人としての歴史は年代を分けて見る必要があります。
歴史が面白い病院・医療組織
亀田――江戸期の医家から現代の総合医療へ
亀田グループの公式沿革は、寛永末頃から亀田家が医療を営んでいたと伝えます。漢方から蘭方、西洋医学へと診療を変化させ、1948年に有限会社亀田病院を設立、1954年に医療法人鉄蕉会へ改組しました。長い医家の歴史と、戦後につくられた法人制度が一つの系譜で重なる例です。
東京慈恵会――英国医学と脚気対策
高木兼寛は英国で医学を学び、1881年に成医会講習所を開き、翌年には有志共立東京病院の設立に関わりました。海軍軍医としては、長期航海での食事内容を変える実地的な取り組みによって脚気患者を大きく減らしました。東京慈恵会医科大学の臨床重視の伝統にも、高木の英国医学の影響が受け継がれています。

日本赤十字社――西南戦争の救護から全国組織へ
1877年の西南戦争で、佐野常民と大給恒らは博愛社を設立しました。政府軍・薩摩軍の別を問わず傷病者を救護する活動を進め、1887年に日本赤十字社へ改称します。その後、病院、看護師教育、災害救護、血液事業、国際活動へ役割が広がりました。

済生会――1911年の救済事業が現在まで続く
1911年、明治天皇は生活困窮者の医療救済のため150万円を下賜し、恩賜財団済生会が創設されました。現在は社会福祉法人として医療と福祉を全国で展開し、生計困難者に無料または低額で診療を行う無料低額診療事業を続けています。
聖路加――宣教医療から大学と病院の一体化へ
聖路加病院は1901年、宣教医ルドルフ・トイスラーによって築地に開設されました。医療と看護教育を発展させた後、2014年に学校法人聖路加看護学園と財団法人聖路加国際病院が組織を一体化し、学校法人聖路加国際大学となりました。現在の病院は大学の施設として位置づけられています。
徳洲会――1973年の一病院から全国ネットワークへ
徳洲会は1973年、60床の徳田病院(現・松原徳洲会病院)から始まりました。24時間・年中無休の救急医療を掲げ、離島・へき地を含む地域へ病院を展開しました。2026年8月22日現在の公式施設検索には96病院が掲載され、2026年5月時点のグループ病床数は22,153床です。民間病院グループの全国展開を考える代表例です。
大学病院・医局・系列病院はどうつながっている?
大学病院には、「大学の附属病院」という経営上の構造と、「大学の診療科・医局から地域の病院へ医師が移動する」という人事・教育上のネットワークがあります。「系列病院」という言葉は、この二つの関係を含んで使われます。
医学部・医科大学には診療科があり、大学病院では診療、学生・研修医の教育、臨床研究が行われます。「医局」は診療科などを基盤に医師が所属し、診療・教育・研究・人事を支えてきた組織・仕組みを指します。東京大学の診療科も、大学病院勤務者と関連病院への出向者を含む医局員ネットワークを公式に説明しています。
大学医局は歴史的に関連病院へ医師を派遣し、若手医師が複数病院で経験を積む仕組みや、地域の診療体制を支えてきました。厚生労働省の2026年資料でも、大学病院本院と都道府県が地域医療構想に沿って医師派遣先を調整する仕組みが検討されています。
関連病院には、大学とは別の医療法人などが経営する病院も多く、特定大学の医局から継続的に医師派遣を受ける例があります。経営上の「病院グループ」と、医師人事・教育上の「大学医局ネットワーク」は別の地図です。
医療ドラマで描かれる教授選や派閥は、医局が持ってきた人事機能の一側面を強調した表現です。現実の医局は診療、教育、研究、専門医育成、関連病院との人材交流など日常的な機能を持ち、地域医療にも関わっています。
病院業界はいま何が変わっている?
人口減少と85歳以上人口の増加
全国では人口減少が進む一方、85歳以上人口の増加が続きます。医療需要の変化は地域ごとに異なり、必要な病床機能や在宅医療との連携を地域単位で組み直す課題が大きくなっています。
2040年に向けた地域医療構想
厚生労働省の新たな地域医療構想は、急性期の拠点機能、高齢者救急、在宅医療との連携、専門医療など、医療機関の役割を地域で整理する方向を示しています。対象は病床数に加え、外来・在宅・介護との連携、必要に応じた再編・集約化まで含む医療提供体制全体です。
医師の働き方改革と人材確保
2024年4月から医師にも時間外・休日労働の上限規制が適用されました。地域へ医師を派遣する大学病院や救急病院では、診療体制を維持しながら労働時間を管理する必要があります。看護師、薬剤師、技師などを含む人材確保も、病院経営の重要な条件です。
経営情報の見える化と再編
厚生労働省は医療法人の経営情報を収集する「医療法人経営情報データベース(MCDB)」を運用し、分析結果も公表しています。設備更新、人件費上昇、事業承継への対応が重なるなか、単独経営、連携、統合、M&Aなど、病院が選ぶ経営形態も変化しています。
よくある質問
医療法人以外の病院は何法人ですか?
国立大学法人、学校法人、公立大学法人、独立行政法人、地方公共団体、地方独立行政法人、社会福祉法人、日本赤十字社、公益法人、生協、個人など多様です。病院名より「開設者」を見ると運営主体が分かります。
大学病院は医療法人ですか?大学法人ですか?
大学病院の運営主体は大学の設置主体によって変わります。国立大学なら国立大学法人、私立大学なら学校法人、公立大学なら公立大学法人や自治体などが一般的です。大学から医師派遣を受ける「関連病院」は大学附属病院と別で、医療法人が経営する場合もあります。
医療法人は儲けてもいいのですか?
医療法人は事業収入を得て黒字を出せます。医療法第54条が禁止しているのは剰余金の配当で、黒字は人材、設備、施設整備、運転資金などへ回せます。
医療法人と株式会社は何が違いますか?
最大の違いは利益の分配です。株式会社は株主への配当を行えるのに対し、医療法人は剰余金配当が禁止されています。設立根拠、目的、意思決定の仕組みも異なります。
株式会社は病院を経営できますか?
一般患者向けの病院開設は、非営利性のある法人や医師個人が原則です。株式会社など営利法人には、従業員の福利厚生を目的とする病院など限定的な例があります。
医療法人の理事長は必ず医師ですか?
原則として医師または歯科医師である理事から選びます。都道府県知事の認可を受けた場合には例外があります。
医療法人と社会福祉法人は何が違いますか?
医療法人は医療法、社会福祉法人は社会福祉法を主な根拠として設立されます。社会福祉法人も病院を運営でき、済生会はその代表例です。
日本赤十字社の病院は国立病院ですか?
赤十字病院の開設主体は日本赤十字社です。日本赤十字社法に基づく法人が運営しており、国立病院機構とは別組織です。
済生会は国営ですか?
済生会は社会福祉法人恩賜財団済生会です。1911年に明治天皇の済生勅語と御下賜金を契機に創設されましたが、現在の法人類型は社会福祉法人です。
国立病院と国立病院機構は同じですか?
「国立病院」は歴史的・一般的な呼び方として幅があります。現在の独立行政法人国立病院機構は2004年に発足した一つの法人で、全国139病院を運営しています。国立大学病院や国立高度専門医療研究センターなどは別組織です。
医療法人と病院グループは同じですか?
医療法人は法律上の法人、病院グループは複数施設・複数法人を束ねる名称です。一つの医療法人だけで形成されるグループも、複数法人から成るグループもあります。
医局とは何ですか?
大学病院などの診療科を基盤に、医師の診療、教育、研究、人事、関連病院との交流を支える組織・仕組みです。大学ごと、診療科ごとに運営形態は異なります。
「○○大学系列の病院」とはどういう意味ですか?
大学が直接運営する附属病院を指す場合と、大学医局から多くの医師派遣を受ける関連病院を指す場合があります。後者は別の医療法人などが経営する例も多く、法人上の系列と医師人事上のつながりは別の関係です。
病院にもM&Aはありますか?
あります。法人合併、事業譲渡、持分や経営権の承継など、法人形態に応じた手法が使われます。後継者問題や経営再建、地域医療の維持、機能再編が背景になることがあります。
医療法人が経営破綻することはありますか?
あります。非営利法人でも人件費、材料費、設備投資、借入返済などの負担が収入を上回れば経営は悪化します。非営利という法人の性格と、財務上の健全性は別の問題です。
非営利なのに、なぜ巨大病院グループが存在するのですか?
黒字を施設整備や人材、医療機器、新規事業へ再投資でき、複数法人・施設をグループ化して規模を広げられるためです。非営利性は、剰余金の配当禁止というルールに表れ、組織規模とは別の概念です。
病院長と医療法人の理事長は何が違いますか?
病院長は一つの病院の医療提供と管理を担う管理者です。医療法人の理事長は法人全体を代表し、複数病院や施設を持つ法人なら法人全体の経営・運営を統括します。同じ人物が兼ねる場合もあります。
まとめ
病院は「施設」、医療法人は「運営法人」、病院グループは「複数施設・法人のまとまり」です。2024年10月1日時点では日本の病院の69.8%を医療法人が開設しています。大学病院、日本赤十字社、済生会、国立病院機構には別の運営主体があり、法人構造を見ると同じ「病院」の看板の背後に異なる歴史と目的があることが分かります。
参考文献・公式資料
- 厚生労働省「医療法」
- 厚生労働省「令和6(2024)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」
- 厚生労働省「医療法人に関する情報の調査及び分析等について」
- 厚生労働省「2040年に向けた地域医療構想」
- 徳洲会グループ「施設検索」
- 徳洲会グループ「RECRUIT GUIDE 2026-2027」
- IMSグループ「概要・沿革」
- TMG「グループ概要」
- 上尾中央医科グループ「概要・沿革」
- カマチグループ「グループ一覧」
- 平成医療福祉グループ「私たちについて」
- ふれあいグループ「グループ概要」
- 南東北グループ「関連施設」
- 矢野経済研究所「病院グループに関する調査を実施(2026年)」
- 葵会グループ「グループ概要」
- 独立行政法人国立病院機構「国立病院機構の概要」
- 日本赤十字社公式サイト
- 日本赤十字社「歴史・沿革」
- 済生会「施設・事業数と利用者数」
- 済生会「組織概要」
- 亀田グループ「歴史・沿革」
- 東京慈恵会医科大学公式サイト
- 聖路加国際大学公式サイト
- 聖路加国際病院公式サイト
- 東京大学消化器内科「入局とは?」

