第二の地球を探せ!NASA Eyesで系外惑星を3D探索する初心者ガイド

赤色矮星を7個の地球型惑星が回るTRAPPIST-1惑星系の想像図

太陽系の外には、すでに6,000を超える確認済みの系外惑星があります。NASA/JPL-Caltechの公式Webツール「Eyes on Exoplanets」では、その実在する惑星系を3Dで動かし、軌道、大きさ、発見方法、地球からの距離などを比べられます。

そこで浮かぶのが「第二の地球はどこにあるのか」という問いです。現在は、地球に近い大きさ、岩石質と考えられる性質、恒星から受けるエネルギー量、ハビタブルゾーンとの位置関係など、地球との共通点を一つずつ確かめる段階です。Eyesを使うと、そうした条件を自分の目で比べられます。

第二の地球とは何を探しているのか

系外惑星は、太陽以外の恒星を回る惑星です。観測が進むにつれ、岩石惑星、スーパーアース、海王星型、巨大ガス惑星など、多様な世界が見つかりました。NASAの惑星分類ではTerrestrialやSuper Earthなどを用い、「第二の地球」は一般向けの呼び名です。

岩石惑星や巨大ガス惑星など多様な種類の系外惑星の想像図
さまざまな種類の系外惑星の想像図。NASA/JPL-Caltech/NASA Science。

地球に近い世界を考えるときは、惑星半径、質量や組成、主星から受けるエネルギー、大気、液体の水が存在できる環境、主星の活動性などを組み合わせて見ます。とくに赤色矮星せきしょくわいせいは太陽より小さく低温なので、ハビタブルゾーンが恒星の近くにできます。そのぶん惑星は主星のフレアや高エネルギー放射の影響を受けやすく、表面環境には軌道、大気、主星の活動性など複数の条件が関わります。

確認項目第二の地球を考えるときの見方
惑星半径地球と近い大きさかを比べる。岩石惑星候補を絞る最初の目安になる
質量・密度岩石主体の惑星か、ガスを多く含む惑星かを考える手がかりになる
受けるエネルギー主星からどれほどエネルギーを受けるかを比べ、温度環境を考える材料にする
ハビタブルゾーン適切な大気条件なら、表面に液体の水が存在し得る距離範囲にあるかを見る
主星温度、明るさ、フレア、高エネルギー放射など、惑星環境に影響する恒星側の条件を見る
大気観測大気の有無や組成を調べ、温室効果や表面環境を考える材料にする
地球からの距離追加観測のしやすさや、どれほど遠い惑星系なのかを把握する

「地球サイズ」「ハビタブルゾーンにある」「生命が住める」は、それぞれ別の指標です。Eyesでは、まず大きさと軌道を比べ、その次に主星、発見方法、大気研究へ視点を広げると、観測済みの情報と追加の観測が必要な部分を整理しやすくなります。

系外惑星はどうやって見つけるのか

系外惑星の多くは、恒星の光や動きの変化を測って発見されました。Eyesの「Discovery Method」を読むために、代表的な方法を押さえておきます。

トランジット法は、惑星が恒星の手前を横切るときに起こる周期的な減光を測る方法です。減光の大きさから惑星の半径、繰り返す間隔から公転周期を推定できます。ケプラー宇宙望遠鏡やTESSは、多数の恒星の明るさを監視し、この方法で多くの系外惑星候補を見つけてきました。

惑星の通過による恒星の減光と光度曲線を示すトランジット法の図
系外惑星のトランジットと光度曲線。NASA’s Jet Propulsion Laboratory。

視線速度法は、惑星の重力で恒星がわずかに揺さぶられ、地球から見た恒星の光のスペクトルが周期的に変化することを捉えます。惑星の最低質量を求める重要な方法で、Proxima Centauri bはこの方法で発見されました。直接撮像は、強く輝く恒星の光を抑え、その周囲の惑星から届く光を分けて捉える方法です。

2009年に打ち上げられたケプラー宇宙望遠鏡は、同じ領域の多数の恒星を長期間観測し、系外惑星がありふれた存在だと理解するうえで大きな役割を果たしました。TESSは全天に近い範囲で明るい恒星のトランジットを探し、詳しい追観測につなげています。

宇宙空間で観測するケプラー宇宙望遠鏡のNASA想像図
ケプラー宇宙望遠鏡の想像図。NASA/Ames/JPL-Caltech/NASA Science。

発見史や各方式の長所・短所、代表的な地球型惑星を詳しく知りたい場合は、系外惑星の発見史と地球型惑星の基礎で整理しています。

NASA Eyes on Exoplanetsとは

Eyes on Exoplanetsは、NASA/JPL-Caltechが公開する3Dインタラクティブツールです。2026年8月22日時点のNASA公式Tutorialでは、6,000を超える確認済み系外惑星を探索できると案内されています。発見数は増え続けるため、画面上の件数は今後も変わります。

現在はWebブラウザ版に移行しており、インストールは不要です。NASAのFAQでは、インターネット接続と現代的なWebブラウザがあれば、スマートフォン、タブレット、デスクトップ、ノートPCなどで利用できると案内しています。一般公開のWebアプリで、料金やアカウント登録なしで利用できます。

3D空間では、惑星系の軌道を回転・拡大し、太陽系を重ねてスケールを比較できます。緑色で示されるハビタブルゾーン、惑星の大きさ、発見方法、観測施設も確認できます。惑星の情報画面では、地球からの距離に加え、光速、ジェット機、自動車で向かった場合にどれほど時間がかかるかという比較も表示されます。

2026年6月11日には大きな更新があり、導入画面の刷新と、Eyesに収録された恒星の説明パネル追加が行われました。NASAは同日に新しいTutorialを公開しています。将来の宇宙望遠鏡が地球型惑星探索で注目する恒星を集めた「Where We Explore」や、地球上の位置を指定して系外惑星を持つ恒星が空のどこにあるかを示す「View from Earth」も現在の公式Tutorialで案内されています。

NASA Eyesを開いて第二の地球候補を探してみる

NASA公式「Eyes on Exoplanets」を開く

2026年6月11日公開のNASA公式Tutorialに沿って操作しながら、「地球に近い」と感じた理由をデータで確かめます。

  1. 右上の検索欄で星または惑星を探します。まず「TRAPPIST-1」と入力すると、7惑星を持つ一つの系をまとめて見られます。特定の惑星を探す場合は「TRAPPIST-1 e」「Kepler-186 f」「Proxima Centauri b」のように英語名を使います。
  2. 星を選び「System View」を開きます。恒星、惑星、軌道を一度に見渡せます。惑星単体の絵より先に、どれほど主星の近くを回っているか、同じ系に何個の惑星があるかを見ます。
  3. 緑色のハビタブルゾーンと軌道を重ねます。惑星の軌道が緑の領域に入るかを確認します。TRAPPIST-1ではe、f、gがこの領域を回り、7惑星すべてが水星より主星に近い軌道にあります。
  4. 右下の太陽系比較機能を使います。TRAPPIST-1系のように非常にコンパクトな系では、地球の公転軌道を基準にすると縮尺の違いが一目で分かります。
  5. 惑星を選んで大きさと公転周期を読みます。惑星半径を地球の1倍と比べ、公転周期も見ます。地球に近い半径でも、一年の長さや受ける放射環境が大きく違う場合があります。
  6. 「Learn More」で距離、発見方法、観測施設を確認します。トランジット法で半径が分かった惑星か、視線速度法で質量が分かった惑星かを見ると、各数値がどんな観測から得られたのかを考えられます。到達時間の比較は、数光年でも現在の人類には極端に遠いことを体感できます。
  7. 「Browse Destinations」で別の惑星へ移ります。観測施設別の発見例や、NASAが選んだ特徴的な世界を続けて見られます。高温惑星や巨大惑星も比べると「地球らしさ」の比較軸がはっきりします。
  8. 「Where We Explore」や「View from Earth」も試します。前者では将来の望遠鏡が注目する恒星、後者では地球上の自分の位置から系外惑星を持つ恒星が空のどこにあるかを確認できます。3Dモデル上の点が、実際の夜空にある恒星へつながります。

Eyesに表示される軌道や測定値は観測データをもとにしていますが、惑星の表面の色、雲、海、大陸のように見える描写の多くはアーティストによる想像図です。NASA公式Tutorialも惑星表示を「artist’s concept」と説明しています。見た目を入口にし、判断は数値と観測方法に置きます。

実在する惑星を比べると何が見えるか

同じ「地球に近そう」という印象でも、TRAPPIST-1 e、Kepler-186 f、Proxima Centauri bでは、分かっている量と発見方法が異なります。下表の半径と公転周期はNASA Exoplanet Catalogの2026年8月22日確認値を基準にしています。

まず、4つの数字だけを比べます。

惑星地球比の半径公転周期地球からの距離
TRAPPIST-1 e0.92倍6.1日約40光年
Kepler-186 f1.17倍129.9日約500光年
Proxima Centauri b1.02倍(推定)11.2日約4.2光年

TRAPPIST-1 e

  • 惑星タイプ:Terrestrial
  • 主星:M型の赤色矮星
  • ハビタブルゾーン:内側に位置
  • 発見方法:トランジット
  • 大気・環境:JWSTデータは解析継続中です。厚い水素大気は除外され、二次大気がある場合と大気がほとんどない場合の両方が残っています。

Kepler-186 f

  • 惑星タイプ:Super Earth
  • 主星:M型星
  • ハビタブルゾーン:内側のうち外側寄り
  • 発見方法:トランジット
  • 大気・環境:現在のNASA資料では、主に半径と軌道の情報が示されています。

Proxima Centauri b

  • 惑星タイプ:Super Earth
  • 主星:M型の赤色矮星
  • ハビタブルゾーン:内側に位置
  • 発見方法:視線速度
  • 大気・環境:主星の強い活動と高エネルギー放射が大気維持を考える重要な条件です。半径は推定値です。

TRAPPIST-1 eは地球より少し小さく、ハビタブルゾーンにあります。Kepler-186 fは現在のNASAカタログで半径1.17地球、惑星タイプはSuper Earthとされ、約130日で主星を回ります。Proxima Centauri bは最も近い候補で、視線速度法で発見されました。そのため、半径1.02地球は推定値です。

大きさ、受けるエネルギー、観測のしやすさ、地球からの距離では、評価の高い惑星がそれぞれ異なります。「第二の地球」を探すときは、一つの数値で順位を付けるより、条件ごとの差を並べるほうが実態に近づきます。

ハビタブルゾーンにあっても地球とは限らない

ハビタブルゾーンは、適切な大気条件などを仮定したとき、惑星表面に液体の水が存在できる可能性のある恒星からの距離範囲です。実際の表面環境には、大気の組成と圧力、水の量、雲、地質活動、自転、磁場、主星の活動などが関わります。

とくに赤色矮星せきしょくわいせいの周囲では、ハビタブルゾーンが恒星の近くにあるため、強いフレアや紫外線・X線が大気へ与える影響が大きな研究対象です。近い軌道にある惑星は、潮汐相互作用によって自転と公転の関係も太陽系とは異なる可能性があります。

大気を調べる代表的な方法が透過スペクトルです。惑星が恒星の前を通過するとき、恒星光の一部が惑星大気を通ります。波長ごとの吸収を測ると、特定の分子が持つ特徴を探せます。JWSTはWASP-39 bで二酸化炭素の吸収を明瞭に捉え、光の波長別データから遠い惑星の大気組成へ迫れることを示しました。

JWSTが観測したWASP-39 b大気の二酸化炭素吸収を示す透過スペクトル
WASP-39 bのNIRSpec透過スペクトル。NASA・ESA・CSA・STScI。

TRAPPIST-1 eについて、NASAが2025年9月に公表したJWSTの解析では、厚い水素主体の原始大気が除外され、二次大気がある場合と大気がほとんどない場合の両方が残っています。NASAの2026年のTRAPPIST-1解説でも、eのデータは引き続き解析中とされています。追加のトランジット観測も進んでいます。

Eyesで緑色のハビタブルゾーンを見つけたら、次に「主星はどんな星か」「惑星の半径と質量はどこまで測れているか」「大気観測はあるか」を調べると、単純な色分けから現在の研究へ一段深く進めます。

よくある質問

NASA Eyes on Exoplanetsは無料ですか?

NASAが公開するWebアプリで、無料・アカウント登録なしで利用できます。

インストールは必要ですか?

現在のEyes製品はWebブラウザ版に移行しているため、通常はインストール不要です。NASAは古いダウンロード版のサポートを終了しています。

スマートフォンでも使えますか?

NASAのFAQでは、現代的なWebブラウザとインターネット接続があれば、スマートフォン、タブレット、デスクトップ、ノートPCなどで利用できると案内しています。広い範囲の軌道を比較するときは、画面の大きいPCやタブレットのほうが見やすくなります。

日本語に対応していますか?

2026年8月22日時点で、NASA公式Tutorialと主要な画面ラベルは英語です。検索する惑星名も英語表記を使うと確実です。System View、Learn More、Browse Destinationsなど、よく使う項目を覚えるだけでも基本操作は進められます。

表示される惑星の姿は実際の写真ですか?

多くは観測データをもとに制作された想像図です。NASA公式Tutorialも各惑星をartist’s conceptとして表示すると説明しています。半径、公転周期、発見方法などの測定値と、表面の色や雲を表現した想像図は分けて見ます。

ハビタブルゾーンにあれば生命がいるのですか?

ハビタブルゾーンは、適切な大気条件なら表面に液体の水が存在できる距離条件です。生命の有無を考えるには、大気、主星の活動、温度、圧力などを合わせて調べます。

「第二の地球」はすでに見つかっていますか?

現時点の研究は、地球に近い条件を持つ惑星を比較する段階です。地球に近い大きさやハビタブルゾーンなど、一部の条件が似た確認済み惑星は複数あります。

系外惑星の数は今後も増えますか?

増え続けています。NASAは6,000を超える確認済み系外惑星を掲載し、さらに多数の候補が確認を待っています。EyesもNASA Exoplanet Archiveのデータをもとに更新されます。

参考文献