冬の恵比寿ガーデンプレイスでは、シャンパンゴールドの光の先に巨大なバカラシャンデリアが輝きます。現在の華やかな街並みの地下には、約100年にわたってビールを造った工場の歴史が重なっています。
2024年12月、ゆる歴史散歩会ではアメリカ橋公園からYEBISU BREWERY TOKYO、センター広場、三田丘の上公園、恵比寿ガーデンプレイスタワー38階まで歩きました。ここでは当時のコースをもとに、イルミネーションと夜景だけでなく、恵比寿という街が生まれた経緯までたどります。

恵比寿という街は「恵比寿ビール」から生まれた
現在の恵比寿一帯には、明治中頃まで「恵比寿」という地名はありませんでした。1889年、日本麦酒醸造会社が現在の恵比寿ガーデンプレイスの地にビール醸造場を完成させ、翌1890年に「恵比寿ビール」を発売します。
販売が伸びると、1901年にビール輸送のための貨物駅「恵比寿停車場」が開設されました。1906年には旅客営業が始まり、駅名として広まった「恵比寿」は、1928年に地名にも採用されます。街の名前が先にあり商品名になったのではなく、ビールの名が駅名を経て地名へ広がった、東京でも珍しい成り立ちです。

ビール工場跡地から恵比寿ガーデンプレイスへ
恵比寿の工場は約100年にわたりビールを造り続け、1988年に工場移転に伴って閉鎖されました。その跡地を再開発して1994年に開業したのが恵比寿ガーデンプレイスです。
施設名には「庭園都市=GARDEN CITY」と「商業都市=MARKET PLACE」を融合させる考えが込められています。オフィス、住宅、ホテル、商業・文化施設を一体化した複合都市として整備され、かつての工場用地は現在の恵比寿を代表する街区へ変わりました。

35年ぶりに醸造が戻ったYEBISU BREWERY TOKYO
2024年4月3日、恵比寿ガーデンプレイス内にYEBISU BREWERY TOKYOが開業しました。1988年の工場閉鎖から約35年ぶりに、恵比寿の地でビール醸造が復活したことになります。
ブルワリーでは、旧恵比寿工場で使われていたヱビス酵母を再選抜して使用しています。ビール工場跡地を記念する展示施設にとどまらず、再びこの場所でビールを造っている点が、恵比寿ガーデンプレイスの歴史を現在につないでいます。

冬の象徴、バカラシャンデリア
バカラは1764年、フランス東部のバカラ村で生まれたクリスタルブランドです。1824年にはフランスで初めてクリスタル製シャンデリアを制作し、1855年のパリ万国博覧会では大型シャンデリアを披露しました。
恵比寿ガーデンプレイスで点灯されるシャンデリアは、高さ約5メートル、幅約3メートル。クリスタルパーツは8,500ピース、ライトは250灯に及び、制作には15,000時間を要した世界最大級の作品です。13人のフランス最優秀職人(M.O.F.)を含む職人たちが制作に携わっています。
2024年はバカラ創設260周年、恵比寿ガーデンプレイス開業30周年にあたり、この場所での点灯も25回目を迎えました。2024年の「Baccarat ETERNAL LIGHTS-歓びのかたち-」は11月9日から2025年1月13日まで開催され、11時から23時まで点灯されました。

2024年のイルミネーションは約10万球
2024年のイルミネーションは、エントランスパビリオン、時計広場、坂道のプロムナード、シャトー広場を中心に、シャンパンゴールドを基調とした約10万球の光で彩られました。開催期間は2024年11月9日から2025年2月23日まで、点灯時間は16時から23時でした。
開業30周年の特別企画として時計広場には高さ約10メートルのクリスマスツリーが登場し、坂道のプロムナードでは30分ごとに特別イルミネーションが実施されました。バカラシャンデリアへ向かって坂を下ると、光の密度が少しずつ増し、センター広場で大きなシャンデリアが正面に現れます。

彫刻を見ながら歩く
ガーデンプレイス内には屋外彫刻も点在しています。散歩コースでは、彫刻家の土谷武による「握手する人」と、フランスの彫刻家アントワーヌ・ブールデルの「果実」を見ながらセンター広場を歩きました。イルミネーションの光を受けた彫刻は、昼とは違う輪郭で見えてきます。
三田丘の上公園はガーデンプレイス開業と同じ1994年に開園
センター広場から南へ進むと、目黒区三田一丁目の三田丘の上公園があります。開園日は1994年10月1日、面積は3,591.28平方メートルです。恵比寿ガーデンプレイスの開業と同じ1994年に生まれた、丘の上の見晴らしのよい公園です。
最後は38階SKY LOUNGEから東京の夜景へ
散歩の締めは、恵比寿ガーデンプレイスタワー38階・39階のレストランフロア「TOP of YEBISU」にある展望スペース「SKY LOUNGE」です。東京の観光公式サイトGO TOKYOでも、無料で眺望を楽しめるスポットとして紹介されています。
地上でバカラとイルミネーションを見たあと、高層階から東京の灯りを見下ろすと、同じ「夜景」でもスケールが大きく変わります。ビール工場から始まった街の歴史を地上でたどり、最後に現在の東京を一望する流れが、このコースの魅力です。
2024年12月に歩いたコース
恵比寿周辺をさらに歩く
恵比寿から白金台まで夜の街を歩いた様子は、「恵比寿から白金台へ|裏路地と史跡をめぐるナイトウォーク開催レポート」で紹介しています。恵比寿から目黒方面の史跡を歩くなら、「防衛装備庁、隧道跡、三田用水跡など恵比寿〜目黒の史跡を巡るナイトウォーク」もあわせて楽しめます。
冬のイルミネーションを続けて歩くなら、「イルミネーションで埋め尽くされた桜で有名な目黒川をぐるりと歩きます」も近いテーマの記事です。

