横浜中華街の春節2026を14人で夜さんぽ|爆竹と獅子舞「採青」、山下町公園のフィナーレ【開催レポート】

春節2026の山下町公園を彩る色鮮やかな龍と鳳凰の大型ランタンオブジェ

2026年2月17日(火)19時15分から、「春節の熱気に包まれる横浜中華街。爆竹と獅子舞が舞う旧正月の夜を楽しもう」を開催しました。参加者は14人。平日の仕事終わりに集まり、横浜中華街を歩きながら、旧暦の新年を祝う街の様子を楽しみました。

この夜の主役は、商売繁盛や五穀豊穣を願う中国獅子舞「採青つぁいちん」。爆竹の音が街に響き、老舗料理店前に人々が集まります。参加者はみんな今回が初めてのイベントで、街中でこれほど華やかな伝統行事が行われていることに驚いていました。獅子舞の迫力とともに、歴史ある門や路地、フィナーレ会場・山下町公園の華やかな景色が印象に残る夜となりました。

開催概要と歩いたエリア

  • 開催日時:2026年2月17日(火)19:15から
  • 参加人数:14人
  • 開催場所:神奈川県横浜市中区・横浜中華街
  • テーマ:春節(旧正月)の街歩き、中国獅子舞「採青」、爆竹、夜の中華街の歴史と景観
  • 写真で紹介する主な地点:萬珍樓周辺、善隣門、台南小路、山下町公園と横濱媽祖廟周辺

写真に残る地点を中心に、街並みから獅子舞のフィナーレまでを紹介します。移動順や正確な歩行距離・所要時間は記録に基づく確認ができる範囲に限り、ここでは掲載写真に写る見どころを軸にたどります。

横浜中華街|開港から続く華僑の街と善隣門

横浜中華街の歴史は、1859年の横浜開港と外国人居留地の成立にさかのぼります。西洋商人とともに来日した中国人は、日本語と漢字を介した筆談や通訳、貿易、印刷、建築などの仕事を担いました。現在の中華街の一帯は、当時「横浜新田」と呼ばれた土地です。横浜開港資料館の調査を紹介する横浜中華街発展会の解説では、1862年頃には中国人がこの区画に進出していたことが確認できます。

中華街の街路が周辺の市街地に対して斜めに見えるのも、昔の地形と土地利用の名残です。街を歩いていると、開港期の横浜新田の区画が今の道路に重なっていることに気づきます。横浜中華街は料理の街であると同時に、貿易港・横浜の歴史を体感できる地域でもあります。

萬珍樓前|春節の商店街に獅子が現れる

大通りの老舗「萬珍樓まんちんろう」前には人が集まり、ライトアップされた店構えと獅子舞が春節の夜を彩っていました。伝統的な意匠の屋根、金色の看板、鮮やかな獅子頭が重なる風景は、この街ならではのもの。採青が商売を営む店々の祝福に結びついた芸能であることを、実際の商店街の中で感じられます。

横浜中華街の老舗萬珍樓前に集まる人々と春節の獅子舞・採青の夜の風景
春節の夜、萬珍樓前に人々が集まり、店頭では獅子舞が披露されていました。

採青の躍動感や爆竹・太鼓の響きは、現地で撮影した次のShortsでもご覧いただけます。店舗を巡る獅子舞と街の熱気が伝わる映像です。

https://www.youtube.com/watch?v=3ZfabAEQUWQ

善隣門|戦後復興の象徴になった中華街の入口

写真に写る華やかな門は「善隣門ぜんりんもん」。大きな「中華街」の扁額を掲げる、中華街大通りの象徴です。横浜中華街発展会によると、門の建立は1955年。1923年の関東大震災、1945年の横浜大空襲を経て復興した街が、友好と繁栄の願いを込めたシンボルでした。写真の現在の門は1989年に更新された2代目です。

横浜中華街には10基の牌楼ぱいろうがあり、東西南北の四方に設けられた門にはそれぞれ方角と守護の意味があります。門をただの記念撮影スポットとして見るだけでなく、街の復興や願いを表す建築として眺めると、その存在感がいっそう際立ちます。

春節2026の夜の横浜中華街・善隣門、中華街大通りを彩る提灯と伝統建築
「中華街」の扁額を掲げる善隣門。華やかな門と提灯も夜の街歩きの見どころです。

台南小路|中華民国(台湾)の旗が並ぶ路地

赤い提灯が連なる「台南小路」には、青地に白い太陽、赤い地色の旗が掲げられていました。これは中華民国(台湾)の国旗で、「青天白日満地紅旗」と呼ばれます。中華民国総統府と国立台湾歴史博物館の資料でも確認できる意匠です。

ここでいう中華民国は、現在台湾を統治する政府を指します。現在の中華人民共和国の国旗は赤地に五つの黄色い星を描く五星紅旗で、写真の旗とは異なります。横浜中華街を一つの単純な文化にまとめず、異なる歴史的背景を持つ人々と文化が重なる街として見る手がかりになります。

横浜中華街の台南小路に並ぶ中華民国(台湾)の青天白日満地紅旗と赤い提灯
台南小路に掲げられた中華民国(台湾)の旗。横浜中華街の文化的な多様性を感じる一角です。

春節(旧正月)と採青|爆竹、紅包、獅子舞の意味

春節は旧暦の正月を祝う行事で、家族の団らん、新年の幸福、健康や商売の繁栄などを願います。中国大陸(中華人民共和国)と台湾(中華民国)では、それぞれの社会・制度のもとで旧暦新年の行事が営まれています。2026年の旧暦元日は2月17日、干支は午年です。横浜中華街では1986年に春節の催しが始まり、2026年は第40回「馬年吉祥」として街全体で祝いました。

採青は、獅子が「青」を採って福を呼び込む儀礼

横浜中華街の公式案内では、2026年2月17日の採青は16時前後に始まり、白や黄色など5頭の獅子が5コースに分かれて店舗を巡りました。獅子は太鼓と銅鑼どらに合わせて踊り、店先に吊るされた青菜と赤い祝儀袋「紅包ほんぱお」をくわえ取ります。「採」は採る、「青」は青菜。祝儀を受け取る所作を通じて商売繁盛や五穀豊穣を祈ります。

獅子は低い姿勢から頭を持ち上げ、後ろ足で立って伸び上がるなど、強弱に富んだ動きを見せます。横浜中華街発展会の解説によれば、採青には100種類を超える舞い方が伝わり、店や人に多くの福が訪れる「百福臨門ひゃくふくりんもん」という願いが込められています。

なぜ爆竹を鳴らすのか

春節の爆竹は、邪気を祓い福を招く「駆邪・降福」の伝統と結びついています。鋭い破裂音に太鼓の力強い拍子、銅鑼の響きが重なり、獅子舞は音と動きの一体となった祝祭へと変わります。演目が店舗ごとに繰り広げられるため、歩いていた街角が突然にぎわいの中心になるのも、採青の大きな魅力です。

中国獅子舞には北方と南方の系統があり、横浜中華街で受け継がれているのは、広東地方などに由来する南方獅子舞です。獅子頭と尾を二人が操り、武術の技法を土台に息の合った動きを見せます。地域の華僑学校の学生や卒業生らが、獅子舞文化の継承を担ってきました。

山下町公園のフィナーレ|龍・鳳凰の灯りと横濱媽祖廟

街中での採青のあとに、今回のフィナーレの舞台となったのは山下町公園です。海辺の山下公園とは別の、中華街内にある公園。公園では龍と鳳凰ほうおうをかたどった色鮮やかなランタンオブジェが輝き、旧正月らしい景観をつくっていました。

春節2026の山下町公園を彩る色鮮やかな龍と鳳凰の大型ランタンオブジェ
採青のフィナーレ会場・山下町公園。龍と鳳凰のランタンオブジェが鮮やかに輝きます。

フィナーレ開始直前の写真では、公園に人々が集まり、奥にはライトアップされた横濱媽祖廟よこはままそびょうが見えています。春節の街の祝祭と信仰の場がひとつの画面に収まる、印象的な風景でした。

2026年2月17日夜の横浜中華街・山下町公園、採青フィナーレ開始直前と背景の横濱媽祖廟
採青フィナーレの開始直前。山下町公園には観覧者が集まり、奥には横濱媽祖廟がライトアップされていました。

公園はかつて清国領事館が置かれた場所

山下町公園の住所は山下町135番地の1。開港期の外国人居留地135番地にあたり、横浜中華街の形成史をたどる重要な場所です。横浜中華街発展会の歴史解説によると、ここには19世紀に会芳楼という劇場・料理屋などがあり、1883年に清国領事館が設けられました。

清朝が終わり1912年に中華民国が成立すると、領事館も中華民国の外交機関へ移行しました。1923年の関東大震災では建物が倒壊。戦後の1960年に児童公園となり、2000年の再整備では会芳楼の名を受け継ぐ中国風の東屋「会芳亭かいほうてい」が造られました。春節の催しを楽しむ場所の足元に、横浜と中国・台湾につながる近代史が重なっています。

横濱媽祖廟|海の安全を祈る女神と港町の信仰

公園の隣に建つ横濱媽祖廟は、海上の安全を守る女神「媽祖まそ」を祀る道教の廟です。正式名称は「横浜大天后宮」。公式案内によると2006年3月17日に開廟しました。海を渡った人々の航海安全や暮らしの平安を願う信仰が、港町横浜で受け継がれています。

横濱媽祖廟の建立には、台湾・台南の「台南祀典大天后宮」の協力もありました。さらに建設時には震災以前の古いレンガなどが出土し、一部が廟の建築基礎に再利用されています。中国文化の伝統と横浜の街の記憶を合わせて伝える場所です。

フィナーレの様子は次のShortsでも紹介しています。背景の媽祖廟と、山下町公園で締めくくられた春節の採青を、映像でも振り返ってみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=ltKTUiSZaSY

平日の夜に14人で出会った春節の街

この日は仕事を終えてからの集合でした。昼間の観光とは違い、灯りがともる門や提灯を見ながら街を歩き、店先に人々が集まる採青の光景に触れました。参加者はみんな初めてのイベントでしたが、特に街中で爆竹と獅子舞が繰り広げられることへの驚きがありました。

横浜中華街は、料理店や門の風景だけでも楽しい街です。その背景に、開港以来の華僑の暮らし、春節の祈り、商店街の伝統行事、清国領事館跡や媽祖信仰の歴史があると知ると、夜の街並みはいっそう立体的に見えてきます。

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TimeWalkで歴史スポットを探す

歴史散歩を自分でも楽しみたい方には、TimeWalkというWebアプリがあります。現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめます。採青などの祭礼の観覧では、現地スタッフの案内や通行規制に沿って楽しみましょう。

まとめ

2026年の春節当日、14人で歩いた横浜中華街の夜。萬珍樓前の獅子舞、善隣門と台南小路の華やかな街並み、山下町公園で迎えた採青のフィナーレには、横浜で育まれてきた多様な文化が表れていました。爆竹の音や獅子の舞を楽しみながら、港町の歴史まで知ることのできる街歩きとなりました。

参考資料