2026年9月25日(金)19時15分から、港区立芝公園で「中秋の名月の夜🌕芝公園でナイトピクニックを楽しもう(月見団子付き)」を開催しました。参加者は38名。前日までは曇りや雨の可能性もある予報でしたが、当日は雲の切れ間ができ、一時的ながら中秋の名月をはっきり眺めることができました。
秋の虫の音を聞きながら月を待ち、後半は食べたり飲んだりしながら歓談。芝生の向こうには東京タワーや周辺の高層建築が広がり、夜の芝公園らしい景色も楽しめる時間になりました。

今回の会場は、港区芝公園4丁目にある港区立芝公園です。東京タワーを近くに望める芝生広場で、月見と夜景を同時に楽しめるのが大きな魅力です。
開催概要
- 開催日:2026年9月25日(金)19:15〜20:45
- 会場:港区立芝公園
- 参加人数:38名
- テーマ:中秋の名月、月見、芝公園の歴史、東京タワーの夜景
前半は月や芝公園周辺の歴史に目を向けながら過ごし、後半はピクニックらしく歓談を楽しみました。歴史解説だけに偏らず、季節の行事を実際の風景の中で味わうことを大切にした回です。
中秋の名月|2026年は満月の2日前
中秋の名月は、太陰太陽暦の8月15日の夜に見える月のことです。現在の暦では毎年日付が変わり、2026年は9月25日が中秋の名月に当たりました。国立天文台によると、2026年の天文学上の満月は9月27日1時49分で、中秋の名月と満月の日付が2日ずれています。つまり「中秋の名月=必ず満月」というわけではありません。
旧暦では7月・8月・9月を秋とし、その真ん中にあたる8月は仲秋、8月15日は秋の真ん中という意味で「中秋」と呼ばれます。「仲秋」と「中秋」の違いや、孟・仲・季という古い月名の考え方は、当サイトの「季節」の「季」って何? 中秋の名月・伯父と叔父までつながる孟・仲・季の語源でも詳しく紹介しています。
月見の習慣は平安時代に中国から伝わったとされ、日本では収穫に関わる行事とも結びつきました。国立天文台は中秋の名月が「芋名月」と呼ばれることがあることも紹介しています。夜空を眺める行事でありながら、暦や季節感、農耕文化までつながるのが月見のおもしろさです。

この日は雲が多い時間もありましたが、切れ間から名月が姿を見せる瞬間がありました。ずっと晴れている夜とは違い、「見えるだろうか」と空を眺めながら待つ時間も含めて月見らしい夜になりました。
港区芝公園|増上寺の旧境内と近代公園の歴史が重なる場所
今回利用した港区立芝公園は、港区芝公園4丁目8番4号にある区立公園です。港区によると、2002年10月以降に暫定開放され、区民参加のワークショップを経て2006年度に本格整備されました。芝生広場や緑地のほか、災害用マンホールトイレ、かまどベンチ、雨水貯留槽なども備え、防災機能を持つ公園として整備されています。
一方、この一帯を歴史的に見ると、すぐ近くの増上寺との関係が欠かせません。江戸時代の増上寺は現在よりはるかに広い寺域を持ち、現在の芝公園や東京タワー周辺にも寺院や徳川将軍家の霊廟に関わる空間が広がっていました。明治6年(1873)には芝公園が日本最初期の公園の一つとして開設され、近代以降の土地利用の変化を経て、現在の公園・寺院・道路・ホテル・東京タワーが並ぶ景観になっています。
増上寺の歴史や徳川将軍家墓所、旧境内の遺構については、当サイトの「増上寺の見どころと歴史」で詳しく紹介しています。また、芝公園から東京タワー、御成門へ歩いた回は「三田~東京タワー~御成門の夜散歩」開催レポートも参考になります。
中秋の名月だけの東京タワー特別ライトアップ
この夜は東京タワーも特別な姿でした。東京タワー公式情報では、2026年9月25日は中秋の名月に合わせた「お月見ダイヤモンドヴェール」を点灯。名月を引き立てるためにタワー上半分を消灯し、下半分を9月の光色「秋草色(Autumn Purple)」で照らす一夜限りの演出が行われました。
芝公園から見ると、通常の全面ライトアップとは違う光の重心が低い姿になり、夜空の月と東京タワーを同じ視界で楽しめました。今回の写真にも、紫色を基調とした下半分のライトアップが写っています。
平和の灯|広島・八女・長崎の火を合わせた記念施設
芝公園の一角には「平和の灯」があります。現地銘板によると、港区が1985年8月15日に「港区平和都市宣言」を行ってから20周年となる2005年8月15日に設置されたものです。

港区の公式説明では、ここに灯された火は、広島市の「平和の灯」、福岡県八女市の「平和の火」、長崎市の「ナガサキ誓いの火」を合わせたものです。ひとつの火に複数の土地の記憶が重なり、戦争の惨禍と平和の尊さを後世に伝える役割を担っています。

現地には港区平和都市宣言も掲示されています。夜の芝公園では東京タワーの華やかな光が目を引きますが、そのすぐ近くに戦争と平和を考える場所があることも、この公園を歩く上で知っておきたいポイントです。
紅葉館と能楽堂|東京タワー周辺にあった明治の社交と芸能の舞台
現在の東京タワー周辺には、明治時代に紅葉館と能楽堂がありました。現地解説板と港区立郷土歴史館の資料によると、紅葉館は明治14年(1881)に開設された会員制の高級料亭で、外国の賓客の接待や政財界・海軍関係者の懇親の場として利用されました。文学結社硯友社の文人たちの交流の舞台でもありました。
紅葉館は昭和20年(1945)3月の東京大空襲で焼失しました。その後、跡地を取得した日本電波塔株式会社、現在の株式会社TOKYO TOWERに紅葉館関係資料が伝わり、港区指定文化財となっています。現代の東京タワーだけを見ていると想像しにくいのですが、この一帯は明治期には東京の社交文化を象徴する場所の一つでした。

同じ明治14年、岩倉具視らが能楽の維持・発展と能楽師の保護を目的として、芝公園に能舞台を建設しました。現地解説板では、屋根と室内に覆われた国内初の室内能楽堂として紹介されています。靖国神社の公式案内によると、この能舞台は明治36年(1903)に靖国神社へ移築奉納され、現在の能楽堂となっています。
つまり東京タワー周辺では、江戸期の増上寺、明治期の社交場と能楽、戦後の電波塔という異なる時代の都市文化が重なっています。夜景の背景にこうした土地の記憶を重ねてみると、芝公園の見え方が少し変わります。
月見の後は芝生で歓談
中秋の名月が雲間から見えた後は、食べたり飲んだりしながら歓談する時間へ。秋の虫の音が聞こえる芝生で、東京タワーや周辺のビルの夜景を眺めながら、20時45分頃までゆっくり過ごしました。

歴史スポットを次々に歩く街歩きとは違い、今回はひとつの場所に腰を落ち着け、季節の行事と会話を楽しむナイトピクニックです。その分、空の変化や虫の音、ライトアップなど、普段の散歩では通り過ぎてしまうものにも目を向けることができました。

芝公園周辺を自分でも歩いてみたい方へ|TimeWalk
芝公園・増上寺・東京タワー周辺には、今回紹介した場所のほかにも江戸・明治・昭和の史跡が点在しています。ゆる歴史散歩会のWebアプリ「TimeWalk」は、現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめるWebアプリです。
参考資料
- 国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」
- 国立天文台 暦計算室「中秋の名月とは」
- 港区「芝公園」
- 港区「平和の灯(ひ)」
- 港区立郷土歴史館「紅葉館資料」
- 靖国神社「能楽堂」
- 東京タワー公式「9月の東京タワー、夕焼けと秋の気配が交わる時間」
- 港区立芝公園 現地解説板「平和の灯」「紅葉館と能楽堂」(2026年9月25日撮影)
まとめ
2026年の中秋の名月は、雲が多い中でも一時的にはっきり姿を見せてくれました。東京タワーの特別ライトアップ、秋の虫の音、芝生での歓談が重なり、都心にいながら季節の行事をゆっくり味わえる夜になりました。
芝公園は夜景の美しい場所であると同時に、増上寺の旧境内、平和の灯、紅葉館と能楽堂など、歴史を知る手がかりが集まる場所です。月を眺めた記憶と一緒に、土地の背景も持ち帰れる開催レポートになればうれしいです。

