無料開園日の多摩動物公園を31人で満喫|ライオン・キリン・コアラと高子の歴史【2026年開催レポート】
2026年5月5日(火・祝)13時から、ゆる歴史散歩会の31人で、東京都日野市の多摩動物公園を訪れました。イベント名は「無料開園日!多摩動物公園にいこう」。この日は開園68周年を迎える記念日で、入園料が無料。園内は大変混雑していましたが、歩くライオン、広い放飼場に集まった数多くのキリン、元気に動くコアラなど、動物たちのさまざまな姿を楽しみました。
今回は写真7枚と関連動画13本を交え、当日の見どころとともに、多摩動物公園の成り立ち、なぜキリンを多数飼育しているのか、そして開園期を支えたゾウ「高子」の歴史まで紹介します。写真はご提供いただいた順序で掲載しています。展示施設に関する歴史的な解説は、当日の体験とは分けて記しました。
開催概要|開園記念日の無料公開に31人で参加
- イベント:無料開園日!多摩動物公園にいこう
- 開催日時:2026年5月5日(火・祝)13:00から
- 参加者:31人
- 会場:多摩動物公園(東京都日野市程久保7-1-1)
- 写真で振り返る見どころ:正門、ライオン、キリン、コアラ、オランウータン、昆虫生態園
5月5日は園の開園記念日で、毎年無料公開されます。1958年の開園当日にも無料開放がおこなわれ、園の公式沿革は推定約25万人の来園者があったと伝えています。2026年の参加日も入園者が多く、新緑の中に人の列が続いていました。なお、2026年の大型連休中は開園時間を通常より1時間延長する日が設定されていました。

多摩動物公園|柵のない展示を目指した1958年開園の動物園
多摩動物公園は、戦後の上野動物園の混雑を緩和し、動物の自然な行動を伝える場として構想されました。1958年5月5日に開園し、多摩丘陵の地形と豊かな緑を活用した、50ヘクタールを超える広大な敷地が特徴です。開園当時は99種434点の動物を飼育していました。
従来の鉄柵や小さな檻に頼らず、堀や地形を使って動物と観覧者の空間を分ける「放養式展示」を取り入れたことが歴史上の特色です。1962年にはアフリカ園、1964年には世界初のサファリ形式観覧としてライオンバスが始まりました。1966年にチョウとバッタの温室が公開され、1984年には日本初のコアラ来園、2005年にはオランウータンの新施設とスカイウォークへと、展示が発展していきます。
現在の主なエリアはアフリカ園・アジア園・オーストラリア園・昆虫園です。丘の起伏が大きいため、見学するときには園内マップで場所を確かめ、休憩を取りながら動物たちを観察すると過ごしやすくなります。
ライオン|歩く姿と1964年からのライオンバス
この日はライオンが歩いている姿を見ることができました。写真には、シマウマ模様のライオンバスの近くを歩く2頭と、水辺の丸太の上に座るライオンが写っています。ライオンはメスを中心とした群れ「プライド」をつくるネコ科の動物で、仲間との距離や動きに注目すると社会性が伝わります。


世界初のライオンバスが多摩動物公園で運行を始めたのは1964年。広い放飼場の中をバスで進み、ライオンを間近から観覧する仕組みです。写真のようにバスのそばを歩くライオンの姿は、この展示ならではの特徴がよく分かる場面です。
歩き方や群れの行動を動画でも紹介しています。
なぜこんなにキリンが多い?|国内最多の繁殖実績と群れ飼育
キリンの放飼場では、たくさんのキリンがいることに参加者たちも驚きました。写真では大きなキリンだけでなく、体格の違う複数の個体が同じ空間で暮らす様子が分かります。

その理由は、多摩動物公園が長く繁殖に取り組み、群れで飼うことを大切にしてきたからです。1960年にキリンを迎え、1964年に初めて繁殖。園の公式図鑑によれば、1960~2025年に飼育したキリンは計224頭、そのうち園内で生まれたキリンは199頭(2025年末時点)。国内最多の繁殖実績です。2024年に公開された飼育記事では、2023年12月生まれの「アキ」が199頭目で、当時の群れは19頭に達していました。
キリンの群れは仲間同士の関わりを生み、個体の行動を豊かにする環境エンリッチメントにもつながります。動物同士が近づいたり離れたりする様子を比較できるのも、多頭飼育の魅力です。キリンの首の骨は人と同じ7個で、一つ一つが長く発達しています。45~50cmに達する舌で枝葉をつかみ、反すうして植物を消化します。
キリンの群れや長い首・舌の特徴は、こちらの映像でも紹介しています。
サバンナの仲間|グレビーシマウマとモモイロペリカン
キリンが暮らすアフリカ園のサバンナエリアでは、グレビーシマウマやモモイロペリカンなどの混合展示もおこなわれています。シマウマは主に地表の草を食べ、キリンは高い位置の葉を食べるなど、同じ環境に暮らす動物でも食べ物を利用する高さが違います。ペリカンは水辺を使い、大きなくちばしの下の喉の袋で魚をすくいます。
サバンナエリアで暮らすシマウマの行動を記録したShortsです。
長いくちばしと喉の袋、群れで暮らすペリカンの姿はこちらです。
コアラ|元気に動く姿を間近で観察
今回の印象的な場面の一つが、コアラが元気に動いていたことです。写真では木の幹を両手でつかみ、枝の間で体を支える様子がよく分かります。コアラはユーカリの葉を主食とする有袋類。葉の栄養が少なく、長い時間を休息に充てるため、活発に動く姿を見られると特に興味深いものです。

多摩動物公園には1984年にコアラが来園し、同年にコアラ舎が公開されました。木登りに適した手足の指と爪、ユーカリの葉を選んで食べる様子が見どころです。今回のように動く姿を映像で見ると、枝につかまる力や姿勢が伝わります。
ユーカリを食べながら動くコアラの動画です。
オランウータン|高いスカイウォークと樹上生活
空高く伸びる支柱の上にオランウータンがいました。青空を背景にした姿は、園の代表的な展示「スカイウォーク」のスケールを実感させます。

2005年に公開された新オランウータン舎では、地上約15m、長さ約150mのロープを使って離れた場所へ移動できる仕組みを設けました。ボルネオオランウータンが本来暮らす熱帯雨林の樹上生活に注目した展示です。長い腕で体を支え、手足を使って足場を確かめる能力は、森林に適応した体の特徴を示しています。
オランウータンの長い腕とスカイウォークの仕組みを動画で紹介します。
昆虫生態園|チョウの楽園を歩く
最後の写真は、草花と樹木が生い茂る「昆虫生態園」の大温室です。頭上まで広がるガラス屋根の下に通路があり、温室全体が植物とチョウの生態を体験できる空間になっています。園では1966年にチョウとバッタの温室を公開し、現在につながる昆虫展示を発展させてきました。

チョウは成虫になると細長い口を伸ばして花の蜜を吸い、幼虫はそれぞれの種類に合った食草を食べます。昆虫生態園は花を育てることと幼虫の食べ物を確保することを両立させ、植物と昆虫の関係を見せる施設です。なお、2026年8月1日以降は施設の点検・修繕のため展示休止のお知らせが出ており、訪問を計画する際は最新の公式情報を確認してください。
緑に包まれた大温室の映像もご覧ください。
ゾウの高子と最後|日本橋高島屋から多摩動物公園へ
多摩動物公園の歴史を知るうえで忘れられないのが、メスのアジアゾウ「高子」です。個体記録をまとめた「ゾウさん情報局」によると、高子は1950年にタイから日本へやって来て、日本橋高島屋の屋上動物園で親しまれました。大きく成長したため1954年に上野動物園へ移り、1958年には多摩動物公園の開園に合わせて移動しました。
百貨店の屋上、都心の上野動物園、そして広い敷地の多摩動物公園という移動の歴史は、戦後日本の動物展示の変化を物語っています。多摩動物公園は動物と観覧者の間を柵の代わりに堀で隔てる展示方法を導入した園でした。
高子は1990年3月13日、展示場のモート(観覧エリアと隔てる深い堀)に転落し、その事故が原因で亡くなりました。「ゾウさん情報局」の個体記録にはこの日付と転落の経緯が記載されています。高子の歩みは、動物を間近で見られる展示の工夫と同時に、動物の安全確保が欠かせないことを伝えています。なお、この出来事は1990年の歴史であり、今回の2026年の参加日に起きたものではありません。
現在の多摩動物公園では、アジア園のアジアゾウとアフリカ園のアフリカゾウを飼育しています。以下は現在のゾウの生態を知るための関連映像です。
大きな耳と鼻の使い方など、アフリカゾウの体の特徴を紹介します。
長い鼻で食べ物を運ぶ、ゾウの食事の様子はこちらです。
まだまだいる動物たち|高山・草原の生態を映像で知る
多摩動物公園には、今回写真で紹介した動物以外にも、中国の山岳地帯に暮らすゴールデンターキン、中央アジアの高山に適応したユキヒョウ、日本の森林に暮らすニホンツキノワグマ、アフリカの高速走者チーターなど、異なる環境に適応した動物がいます。関連動画を続けて紹介します。
ゴールデンターキンは金色の毛並みと大きく曲がる角が特徴のウシ科動物です。
ユキヒョウの長い尾は、険しい岩場で体のバランスを取るのに役立ちます。
日本の森のニホンツキノワグマは、鋭い爪と足裏を使って木を登ります。
チーターの細身の体、長い脚、目元の「涙の線」は、素早く獲物を追う暮らしに結びついています。
動物園・無料公開日の関連記事
動物園での見学をもっと楽しみたい方には、上野動物園の夜間公開を52人で楽しんだ開催レポートや、夢見ヶ崎動物公園と古墳を訪ねた歴史散歩、葛西臨海水族園の開園記念日無料公開レポートもおすすめです。また、ゾウと東京の歴史については中野坂上・宝仙寺と江戸時代の象の歴史で別の時代の足跡を紹介しています。
次回の散歩・見学企画はゆる歴史散歩会の公式サイトでご案内しています。
まとめ|にぎやかな無料開園日と動物たちの姿
2026年5月5日の多摩動物公園は、無料開園日らしく大混雑。それでも31人で、新緑の中を歩くライオンや多数のキリン、元気に動くコアラなどを楽しむことができました。動物を間近で見る楽しさに加え、群れ飼育や放養式展示の歩みを知ることで、園の風景が違って見えてきます。
園外で歴史散歩を楽しむ際には、TimeWalkも利用できます。現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめるWebアプリです。動物園の展示エリアを自由に巡るためのアプリではなく、周辺地域の史跡探しにお役立てください。
参考資料
- 多摩動物公園「多摩動物公園について・沿革」(1958年開園・放養式展示・各施設の歴史)
- 多摩動物公園「68回目の開園記念日にあたって」(2026年5月5日)
- 多摩動物公園「開園時間・休園日・入園料」(無料開園日)
- 多摩動物公園「2026年度の開園日拡大と開園時間延長」
- 多摩動物公園「キリン」生き物図鑑(繁殖実績・群れの頭数)
- 東京動物園協会「これからのキリンの繁殖」(2024年)
- 東京動物園協会「オランウータン、ロープを渡る!」(2005年)
- 多摩動物公園「昆虫園」
- 多摩動物公園「昆虫生態園の展示休止について」(2026年8月)
- ゾウさん情報局「年忌を迎えるゾウさん」(高子の来歴・1990年3月13日の事故。個体史の民間資料)

