開催日時:2026年7月16日(木)19:00
参加者17名で、六本木ヒルズから元麻布・南麻布を抜け、日本東京神殿を見学した後、広尾駅まで歩くナイトウォークを開催しました。華やかな六本木の再開発街区、高台の低層住宅地、坂と窪地に残る細い路地、近代建築、国際色豊かな宗教施設まで、約2.4キロの中で街の表情が大きく変わるコースです。
今回はTimeWalk「六本木~南麻布~広尾」コースに沿って歩きました。後日の復習や、同じ地域を歩く際の見どころ確認には、TimeWalk「六本木~南麻布~広尾」コースを見るをご利用いただけます。
港区六本木・元麻布・南麻布を夜に歩く面白さ
六本木から広尾にかけては、武家屋敷や大名屋敷の記憶を残す土地に、大使館、インターナショナルスクール、高級住宅、再開発街区が重なっています。地図上では近距離でも、高台と谷、坂道と細街路が連続し、少し道を入るだけで景観が大きく変わります。夜は建物の照明や街路灯が高低差を際立たせ、昼とは違う街の輪郭が見えてきました。

今回歩いたルート
六本木ヒルズを出発し、さくら坂公園、元麻布の低層住宅街、サンマリノ大使館、マジェス元麻布ガーデンズ、宮村坂・狐坂、元麻布二丁目の窪地、松方ハウス、有栖川宮記念公園、日本東京神殿を経て広尾駅へ向かいました。
六本木ヒルズ集合—現代の街と映画の話題からスタート

集合場所の六本木ヒルズにはドラえもんの展示が並び、スタート前から明るい雰囲気でした。ここでは「ヒルズ族」と呼ばれた六本木ヒルズ開業後の時代像に触れながら、再開発によって生まれた職住近接の街について紹介しました。

高層住宅を見上げながら、六本木周辺が映画『天気の子』や『君の名は。』を思い出させる都市風景としても楽しめることを話しました。作品の具体的な舞台を断定するのではなく、空と高層建築、坂道がつくる東京らしい構図を観察しました。
けやき坂から東京タワーを撮影

けやき坂では、並木の先に東京タワーが現れる定番の眺めを撮影しました。冬のイルミネーションで特に知られる場所ですが、夏の夜も緑の枝葉と街の灯りが額縁のようになり、東京タワーがよく映えます。
乃木大將生誕之地碑—長府藩邸の記憶

さくら坂公園では、乃木希典の生誕地を示す石碑を見学しました。乃木は1849年、長府藩の江戸屋敷内で生まれました。現在の六本木ヒルズ周辺にはかつて長府藩邸があり、再開発後の公園に石碑が置かれています。近代的な街区の一角に江戸から明治へつながる記憶が残っている点が、この場所の面白さです。当日は乃木の生涯や、乃木坂・乃木神社とのつながりも紹介しました。
元麻布の低層高級住宅街とサンマリノ大使館

六本木の高層建築を離れ、元麻布へ入ると街並みは一変します。塀と植栽に囲まれた低層住宅が続き、参加者からも驚きの声が上がりました。大使館や国際学校が点在するため、静かな住宅街でありながら国際色を感じられます。

住宅地の中にあるサンマリノ共和国大使館も通過しました。世界最古級の共和国として知られる小国の外交拠点が、元麻布の路地に自然に溶け込んでいるのは、この地域らしい風景です。
マジェス元麻布ガーデンズ—石畳の小径で結ばれた低層住宅

サンマリノ大使館を過ぎると、マジェス元麻布ガーデンズの緑豊かな小径が現れます。約5,300平方メートルを超える敷地にA棟からF棟までの6棟が配置され、石畳の街路で結ばれた低層レジデンスです。第28回東京都建築賞を受賞し、ヨーロッパの小さな街区を思わせる構成が特徴です。住戸面積は約82平方メートルから200平方メートルを超えるものまであり、都心の高級住宅地ならではのゆとりが感じられます。
六本木ヒルズに近い一方、周辺には大使館やインターナショナルスクールが点在し、落ち着きと国際性が同居しています。外から見える植栽、石、照明の組み合わせを観察するだけでも、街区設計の工夫が伝わりました。
宮村坂と狐坂—坂の名を手がかりに地形を読む
元麻布では宮村坂と狐坂を通りました。麻布一帯は台地が谷によって刻まれ、多くの坂道があります。坂名は旧町名、寺社、土地の伝承などを今に伝える小さな歴史資料でもあります。夜の坂道を歩くと、勾配や道幅の変化が足裏で分かり、地図だけでは把握しにくい地形を実感できます。
元麻布二丁目の窪地—高台に囲まれた細い路地

宮村児童遊園のある元麻布二丁目周辺は、全体として高台の地域にありながら、周囲より一段低くなった特徴的な窪地です。住宅の間を抜ける細い道に入ると、すぐ近くに大きな幹線道路や高層建築があるとは思えないほど、閉じた地形が感じられます。

参加者17名で歩くと路地の細さが一層よく分かりました。坂を下り、平坦な底部を通り、再び上がるという動きから、元麻布の複雑な起伏を体験できました。

窪地を見渡せる場所では、低い住宅地の奥に六本木ヒルズがそびえます。地形の低い場所と再開発による垂直の都市景観が一枚に収まり、このコースを象徴する眺めでした。
松方ハウス—ヴォーリズ設計の歴史的洋館

松方ハウスは1921年に、松方正義の子・松方正熊と美代子夫妻の私邸として建てられました。設計は、日本各地に学校、教会、住宅を残したウィリアム・メレル・ヴォーリズです。現在は西町インターナショナルスクールの校舎として使われ、東京都選定歴史的建造物にもなっています。
落ち着いた壁面と白く縁取られた窓まわり、深い軒などを外から観察し、住宅としての親しみやすさと洋館らしい意匠を学びました。学校施設のため内部は一般公開されていませんが、説明板と外観から建築の来歴をたどれます。
夜の邸宅街を抜けて有栖川宮記念公園へ

さらに住宅街を進みました。夜の街歩きでは、建物そのものだけでなく、塀の高さ、道路の曲がり方、照明、植栽の密度から街の性格が見えてきます。

かつて著名な企業経営者の邸宅として知られた建物の前も通りました。現在の所有・利用状況は確認できないため断定せず、特徴的な外観を持つ邸宅建築として見学しました。その後、起伏と樹木の多い有栖川宮記念公園を通り抜け、南麻布へ向かいました。
日本東京神殿と訪問者センターを見学

最後の主な見学先は、末日聖徒イエス・キリスト教会の日本東京神殿です。一般の礼拝堂とは異なり、神殿は教会員にとって特別な儀式を行う場所とされています。建物は垂直性を強調した外観と塔が印象的で、夜の照明によって輪郭がはっきり見えました。

併設の訪問者センターは、教会や神殿について知るための一般向け施設です。2021年に開設され、展示を通じて信仰、家族、神殿の役割などを紹介しています。当日は暑い夜だったため、冷房の効いた館内に入ると参加者もほっとした様子でした。

あまり馴染みのない宗教施設を、外から眺めるだけでなく案内展示を通して学べたことも、今回の街歩きの大きな特徴でした。特定の信仰を勧めるのではなく、東京の国際性や宗教建築の一例として、丁寧に見学しました。
夜の街歩きで見えてきた、麻布の地形と重層性
六本木ヒルズの高層建築から出発し、乃木希典の生誕地、低層住宅街、大使館、石畳の小径、坂と窪地、ヴォーリズ建築、宗教施設へと進む今回のルートは、東京の歴史を歩いて学ぶ面白さが凝縮されていました。最後は広尾駅で解散。初めて見る路地や建物が多く、17名で会話を交わしながら楽しく学ぶ夜となりました。
同じ地域を歩く際の予習・復習には、TimeWalk「六本木~南麻布~広尾」コースで順路と各スポットをご確認ください。
ゆる歴史散歩会では、東京周辺の歴史スポットや文化施設を、初心者にも分かりやすく巡る街歩きイベントを開催しています。一人参加の方も多く、歴史に詳しくない方でも気軽に参加しやすい雰囲気です。

