晴海フラッグと東京2020選手村跡地を歩く|勝どき駅・晴海ふ頭公園・トリトンスクエアの歴史と夜景

晴海ふ頭公園から見たHARUMI FLAGのマンション群

東京都中央区の勝どき駅から、東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村跡地に整備されたHARUMI FLAG(晴海フラッグ)を歩き、晴海ふ頭公園、SUN VILLAGE、PARK VILLAGE、SEA VILLAGE、晴海緑道公園、晴海アイランドトリトンスクエアを経て勝どき駅へ戻るルートです。選手村が現在の住宅地へ変わった経緯、晴海の水辺と運河、レインボーブリッジを望む夜景、戦後の晴海高層アパートから現在の再開発までを現地の見どころとともに整理します。

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今回のコース概要|勝どき駅から晴海フラッグを一周

出発地都営大江戸線 勝どき駅
到着地都営大江戸線 勝どき駅
主なスポット黎明小橋、晴海ふ頭公園、HARUMI FLAG各街区、晴海緑道公園、晴海臨海公園、晴海アイランドトリトンスクエア、桜小橋
テーマ東京2020選手村跡地、湾岸再開発、集合住宅史、運河と橋、レインボーブリッジの夜景

ルートは勝どき駅から晴海五丁目へ入り、晴海ふ頭公園とHARUMI FLAGの水辺を回って晴海一丁目方面へ戻ります。

晴海の歴史|埋立地・国際見本市・客船ふ頭から選手村へ

晴海の市街地は20世紀の埋立によって生まれました。1931年に晴海町につながる埋立工事が竣工し、1933年には東京市庁舎の移転先として月島四号地が選ばれます。1936年の東京市オリンピック計画では月島埋立地約30万坪が競技場予定地となり、1937年には晴海町一丁目から六丁目の町名が成立しました。1938年には1940年開催予定の日本万国博覧会のシンボル施設の地鎮祭も行われています。

戦後の晴海は展示会と港の街へ変わります。1955年3月に晴海ふ頭が開業し、同年5月に第1回東京国際見本市が開催されました。1959年に東京国際貿易センターが整備されると、1996年の閉鎖までモーターショーやコミックマーケットなど多数の催事が開かれ、最盛期には年間600万人以上が訪れました。

1991年には晴海客船ターミナルが開業し、東京港の客船の玄関として使われました。2022年2月の閉館まで約31年間利用され、その間の2021年には晴海五丁目が東京2020大会の選手村となりました。展示会、集合住宅、客船、国際スポーツ大会と、大規模な都市機能を受け入れてきた土地の延長線上に現在のHARUMI FLAGがあります。

HARUMI FLAG(晴海フラッグ)とは|東京2020選手村から住宅地へ

HARUMI FLAGは、東京都中央区晴海五丁目の東京2020オリンピック・パラリンピック選手村跡地を活用したまちです。東京都の晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業として約18haを整備し、住宅5,632戸、24棟の施設建築物が計画されました。大会時には選手村として使われ、大会後に住宅や商業施設へ改修・整備されています。

東京都は2016年4月に再開発事業へ着手し、2021年の大会で選手村として使用しました。2023年11月に板状の住宅棟と商業棟の工事が完了し、2024年1月から入居が始まり、同年5月26日にまちびらきを迎えました。タワー棟は2025年8月に竣工し、9月から入居が始まり、晴海五丁目西地区の整備事業は2026年3月末に完了しています。

選手村の街区は大会後、住宅、学校、商業施設、公園、交通、エネルギー設備を備えた日常の街へ転換されました。中央区立晴海西小学校・晴海西中学校も2024年4月に開校しています。

なぜ晴海に選手村がつくられたのか

晴海五丁目は都心に近く、東京湾に面したまとまった土地を確保できる場所です。東京都は大会時の選手用宿泊施設として利用した後、住宅や生活施設を備えた新しい街へ転用することを前提に整備しました。大会後の使い道まで都市計画に組み込まれていたため、現在のHARUMI FLAGでは選手村の街区を住宅地として読み替えることができます。

街で見るポイント|シンボルロード・地下駐車場・水素

開発エリアの中央にはシンボルロードが通り、住宅街区と商業・公共施設をつないでいます。駐車場を地下にまとめ、地上の歩行空間や緑地を確保したことも特徴です。東京都は大会後のまちづくりで水素エネルギーの活用を掲げ、晴海五丁目には水素ステーションも整備されました。現地では建物だけでなく、道路、歩道、公園、交通拠点、エネルギー設備を一体で見ると、選手村から生活都市へ変わった構成が分かります。

HARUMI FLAGのマップ(画像)

晴海ふ頭公園から見たHARUMI FLAGのマンション群
晴海ふ頭公園から見たHARUMI FLAG、2024年。撮影:しっかかもっかか/Wikimedia Commons/CC0 1.0。

今回歩いたルートと16のスポット

以下は今回のルート順です。地図リンクは各地点のGoogleマップを開きます。住宅の賃料は2025年5月時点の記録です。

  1. 勝どき駅
    都営大江戸線の駅。ここから晴海方面へ向かいます。
  2. パークタワー勝どき(三井不動産)
    2025年5月の元記事メモ:17F 1LDK 35㎡ 月22.8万円/42F 3LDK 106㎡ 月120万円。
  3. 黎明小橋(れいめいこばし)
    朝潮運河に架かる橋で、2024年3月25日に開通しました。勝どき側から晴海五丁目へ歩く入口の一つです。朝潮運河には黎明橋、黎明大橋なども架かり、水辺の歩行動線をつくっています。
  4. 風の丘
    住友不動産の「ドゥ・トゥール」敷地内。先日のイベント「住友不動産総合マンション ミュージアム」で登場しました。2025年5月の元記事メモ:52F 1R 33.72㎡ 月24.2万円/52F 2LDK 66㎡ 月40万円。
  5. ENEOS 東京晴海水素ステーション
    HARUMI FLAGのエネルギー施策を現地で確認できる施設です。隣の中央清掃工場の煙突は、晴海の水辺から位置を把握するときの目印になります。
  6. マルチモビリティステーション(東京BRT発着場)
    鉄道駅から距離のある晴海五丁目を支える交通拠点です。住宅地を見るときは、建物とともにBRTやバスの動線も確認できます。
  7. SUN VILLAGE(5街区)
    HARUMI FLAG北側の住宅街区です。大会後に選手村の宿泊棟を住宅として活用した街区と、後から建設されたタワー棟を合わせて現在の街並みが形成されています。
  8. 晴海ふ頭公園
    東京2020大会では選手村の一部として使われた海上公園です。海辺のテラスからレインボーブリッジや臨海部の景観を望めます。夜景を見るなら、建物だけでなく水面への光の反射と対岸の街並みも見どころです。
  9. PARK VILLAGE(6街区)
    晴海ふ頭公園側に広がる住宅街区です。公園と住宅地が連続する配置を見ると、選手村跡地が日常の街へ変わったことを実感できます。
  10. SEA VILLAGE(4街区)
    晴海運河側の住宅街区です。水辺との距離が近く、隣接する中央区立晴海西小学校・晴海西中学校は2024年4月に開校しました。
  11. 晴海緑道公園(西部)
    豊洲大橋の下を通り、水辺を東へ進みます。
  12. 晴海緑道公園(中部)
    晴海大橋の下を通ります。晴海ふ頭公園から晴海二丁目方面へ続く水辺の歩行ネットワークの一部です。
  13. 晴海臨海公園(東部)水辺のテラス
    豊洲側の街並みや「アーバンドック ららぽーと豊洲」周辺を望める水辺です。晴海の散歩では、運河越しに対岸の再開発地区を見比べられます。
  14. 晴海アイランドトリトンスクエア
    2001年に開業したオフィス、商業、住宅などの複合街区です。この場所にはかつて日本住宅公団の晴海団地があり、前川國男が設計した晴海高層アパートは戦後集合住宅史の重要な事例として知られます。HARUMI FLAGより前の晴海にも、大規模な集合住宅と再開発の歴史があったことを確認できる地点です。
  15. 晴海アイランドトリトンスクエアの高層棟
    晴海アイランドトリトンスクエア、2018年。撮影:Kakidai/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。
  16. 桜小橋
    朝潮運河に架かる歩行者橋です。通勤時の混雑緩和と災害時の避難経路の確保を目的に整備され、土木学会デザイン賞2019優秀賞を受賞しました。
  17. 勝どき駅
    朝潮運河を渡って出発地点へ戻ります。

晴海ふ頭公園で見る東京2020大会のレガシーとレインボーブリッジ

晴海ふ頭公園は、今回のコースで東京2020大会と現在の水辺を同時に確認しやすい場所です。東京都港湾局は、同公園が大会時に選手村の一部として使われたこと、海辺のテラスからレインボーブリッジや臨海エリア・都心エリアを一望できることを案内しています。

現地では、海側へ開けた視界、レインボーブリッジ、対岸の港区・臨海部の高層建築、背後に広がるHARUMI FLAGを見比べると、晴海が東京湾岸の住宅地であると同時に港の景観を持つ場所だと分かります。昼は街区の配置を確認しやすく、日没後は橋と対岸の照明が水面に映ります。

晴海アイランドトリトンスクエアと晴海高層アパート|戦後の集合住宅史

HARUMI FLAGより半世紀以上前、晴海一丁目には日本住宅公団の晴海団地がありました。1958年に完成した晴海高層アパートは、建築家の前川國男まえかわ くにおが設計した10階建ての高層集合住宅です。エレベーターを1・3・6・9階に止めるスキップアクセス方式などを採用し、戦後の集合住宅史を代表する建築の一つとなりました。跡地を含む地区は再開発され、現在は晴海アイランドトリトンスクエアとなっています。

戦後の公団住宅から2001年開業の大規模複合開発、さらに東京2020大会後のHARUMI FLAGへと歩くと、晴海で住宅地のつくり方が何度も更新されてきた流れを一つの地域で比較できます。公団住宅や晴海高層アパートの背景は、団地まるわかりガイド|公団住宅・2DK・スターハウスの歴史でも整理しています。

朝潮運河と橋を見る|黎明小橋・桜小橋・トリトンブリッジ

晴海と勝どきの間には朝潮運河があり、街の移動は橋によって支えられています。今回のルートでは黎明小橋と桜小橋を通ります。少し北には晴海アイランドトリトンスクエアと勝どき側を結ぶトリトンブリッジもあり、運河をまたぐ歩行者動線が複数つくられています。

橋では水面だけでなく、橋がどの街区を結んでいるかを見ると都市構造が分かります。住宅が増えた晴海では、駅、BRT、学校、商業施設、公園へ人を運ぶ歩行ルートとして橋の役割が大きくなっています。

晴海の夜景を歩くなら|晴海ふ頭公園と豊海ふ頭をつなげる

晴海ふ頭公園はレインボーブリッジを正面に近い角度で見られる代表的な水辺です。HARUMI FLAGの住宅街を歩いたあとに海辺へ出ると、住宅地と港湾景観の切り替わりが分かります。

別の方向から東京湾岸の夜景を見るなら、レインボーブリッジや港区海岸の夜景などが綺麗にみえる豊海ふ頭を歩いてみようも続けて読めます。晴海と豊海はどちらも勝どき周辺から歩けますが、見える橋や港湾施設、対岸の街並みが変わります。

同じ晴海を別ルートで歩いた記録

晴海ふ頭公園、晴海臨海公園、朝潮運河、トリトンブリッジを中心に歩く別ルートは、晴海ふ頭ナイトウォーク|朝潮運河・東京2020選手村跡地・レインボーブリッジ夜景を歩くに残しています。今回のHARUMI FLAG街区中心のルートと比べると、同じ晴海でも水辺と橋を中心にした見方ができます。

TimeWalkで晴海周辺の歴史スポットを探す

TimeWalkは、現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめるWebアプリです。晴海や勝どきを歩く前後に、周辺の史跡、記念碑、歴史人物に関係する場所を探す用途にも使えます。

解説付きの街歩きに参加する

ゆる歴史散歩会では、東京の街を歩きながら歴史、建築、地形、街の成り立ちを現地で紹介するイベントを開催しています。現在募集中の街歩きはイベント一覧で確認できます。初参加・一人参加向けの案内も同じページにあります。

参考資料