江戸川橋~早稲田を歴史散歩|肥後細川庭園・甘泉園と神田上水を巡る

肥後細川庭園の池と松聲閣

江戸川橋から早稲田へ、神田川沿いの水道史をたどりながら、肥後細川庭園と甘泉園公園という2つの大名屋敷跡の日本庭園を巡る街歩きです。途中には大井玄洞翁胸像、神田上水取水口の石柱、大洗堰跡があり、江戸の上水と武家地がこの地域の景観をどう形づくったのかを現地でたどれます。

主な見どころは、目白台の起伏と湧水を生かした肥後細川庭園、清水家の下屋敷だった甘泉園、そして江戸市中へ水を送った神田上水です。庭園だけを見るのではなく、その間を歩くことで「なぜこの一帯に大名屋敷と庭園が残ったのか」を地形と水の歴史から理解できます。

今回のコース概要|江戸川橋から肥後細川庭園・甘泉園へ

  • 出発:大塚警察署 江戸川橋交番付近
  • 到着:新宿区立甘泉園公園
  • 主要スポット:大井玄洞翁胸像、神田上水取水口の石柱、大洗堰跡、肥後細川庭園、甘泉園公園
  • テーマ:神田上水、大名屋敷跡、日本庭園、江戸川橋・目白台・早稲田の地域史

所要時間と距離は、立ち寄りや庭園内の散策時間によって変わるため、ここでは固定していません。

今回巡った場所

各リンクはGoogleマップです。

  1. 大塚警察署 江戸川橋交番
  2. 大井玄洞翁胸像
  3. 神田上水取水口の石柱
  4. 大洗堰跡
  5. 肥後細川庭園 南門
肥後細川庭園の池と松聲閣
肥後細川庭園と松聲閣、2024年。撮影:Kakidai/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。
  1. iro(経由地)
  2. 新宿区立甘泉園公園

江戸川橋と神田上水|大洗堰が支えた江戸の水道

江戸川橋から早稲田へ向かう神田川沿いは、江戸の上水道を知るうえで重要な場所です。神田上水は関口の大洗堰付近で水を取り入れ、江戸市中へ生活用水を供給しました。文京区の資料でも、関口大洗堰で取水した神田上水が江戸市民の生活を支えたことが確認できます。

今回立ち寄った神田上水取水口の石柱と大洗堰跡は、その水道史を現地で確認できるポイントです。現在の川だけを見ると分かりにくいものの、取水施設の痕跡を意識すると、ここが江戸の都市生活を支えるインフラの要所だったことが分かります。

大井玄洞と江戸川の治水

コースでは大井玄洞翁胸像にも立ち寄りました。江戸川橋周辺では、水は上水として利用される一方、川の流れや治水も地域の暮らしに直結していました。胸像、取水口の石柱、大洗堰跡を続けて見ると、この地域を「川沿いの散歩道」だけでなく、水と都市の歴史が残る場所として歩けます。

肥後細川庭園|熊本藩細川家の下屋敷跡を歩く

文京区目白台の肥後細川庭園は、目白台の自然地形を生かした池泉回遊式庭園です。この地は江戸時代中期から旗本の邸地となり、江戸末期には徳川三卿の清水家、のち一橋家の下屋敷を経て、幕末には熊本藩細川家の下屋敷・抱屋敷となりました。明治以降は細川家の本邸となり、1961年に都立公園として開園、1975年に文京区へ移管されています。

庭園では、池だけでなく周囲の高低差を見るのがポイントです。台地を山に見立てた立体的な眺望、池を巡る園路、台地の湧水を取り入れる構成に、目白台の地形がそのまま生かされています。平坦な土地に造った庭園とは違い、坂と水が景観の骨格になっています。

松聲閣と細川家

園内の松聲閣は、旧熊本藩細川家下屋敷のあった場所に残る建物です。細川家の学問所として使われていたとされ、大正期の改修後には一時期、細川家の住まいにもなりました。現在は歴史性を残して保存・修復されています。

現地では、松聲閣から池、斜面の林、園路へ視線を移すと、建物と庭園を一体として見ることができます。今回のコースで肥後細川庭園を訪れる意味は、細川家という大名家の歴史だけでなく、武家地と目白台の地形が結びついた景観を実際に歩ける点にあります。

甘泉園公園|清水家の下屋敷から続く早稲田の日本庭園

コースの終盤で訪れた甘泉園公園は、新宿区西早稲田にある区立唯一の回遊式庭園です。「甘泉園」の名は、園内から湧く泉の水がお茶に適していたことに由来すると伝わります。

この地は宝永年間(1704~1711年)に尾張徳川家の拝領地となり、1774年には徳川御三卿の清水家の江戸下屋敷が置かれました。明治以降は子爵相馬家の庭園として整備され、昭和期には早稲田大学の付属甘泉園となった後、1969年に新宿区立公園となりました。

池を中心に園路を歩くと、樹木と水面によって周囲の市街地から切り離されたような景観になります。ツツジ、アジサイ、新緑、紅葉、冬の雪吊りなど、季節ごとに景色が変わる庭園です。都電荒川線の面影橋停留場から徒歩1分ほどで、早稲田周辺の散歩にも組み込みやすい場所です。

肥後細川庭園と甘泉園に共通する「清水家」

2つの庭園を同じ日に歩くと、共通する名前が見つかります。徳川御三卿の一つ、清水家です。肥後細川庭園の地は江戸末期に清水家の下屋敷となり、甘泉園の地にも1774年に清水家の江戸下屋敷が置かれました。

現在は文京区と新宿区に分かれ、肥後細川庭園は細川家、甘泉園は早稲田の庭園という印象が強い場所です。しかし大名屋敷の履歴をたどると、両者は江戸の武家地という共通の歴史でつながります。江戸川橋から早稲田まで歩くことで、個々の庭園を別々に訪れるだけでは気づきにくい関係を確認できます。

肥後細川庭園・甘泉園の見学情報

肥後細川庭園は入園無料です。庭園は2~10月が9時~17時(入園16時30分まで)、11~1月が9時~16時30分(入園16時まで)で、休園日は12月28日~1月4日です。東京メトロ有楽町線江戸川橋駅・東西線早稲田駅からはいずれも徒歩15分、都電荒川線早稲田停留場からは徒歩5分です。

甘泉園公園は3~10月が7時~19時、11~2月が7時~17時です。都電荒川線面影橋停留場から徒歩1分、地下鉄早稲田駅から徒歩約7分です。開園時間などは変更される場合があるため、訪問前に各施設の公式情報を確認してください。

江戸川橋・早稲田周辺を別ルートでも歩く

文京区側の街歩きを広げるなら、後楽園~白山ナイトウォーク!白山神社とあじさい鑑賞を楽しもうもあります。庭園だけでなく、神社や街路を含めて文京区の歴史を歩きたいときにあわせてご覧ください。

ゆる歴史散歩会の街歩きに参加する

ゆる歴史散歩会では、東京の史跡、庭園、神社仏閣、建築、坂道、川跡などを、現地の解説とともに歩くイベントを開催しています。歴史初心者や一人参加の方も参加できます。現在募集中の街歩きはイベント一覧から確認できます。

TimeWalkで江戸川橋・早稲田の歴史スポットを探す

イベントがない日にも自分で歩きたい場合は、TimeWalkを利用できます。現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめるWebアプリです。江戸川橋や早稲田を起点に、今回のコース周辺にある史跡を探すときにも使えます。

参考資料

この記事を書いた人
ゆる歴史散歩会 運営者
なかまつ

北海道大学工学部卒。現在はIT系会社員の傍ら、年間400回以上の街歩きイベントを企画し、これまで延べ25,000名以上の方にご参加いただいている、ゆる歴史散歩サークルを運営しています。東京の歴史・文化・建築・地形などを、初心者でも気軽に楽しめるイベントとして企画しています。

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