汐留から竹芝へ向かう夜散歩は、超高層ビルの展望、宮﨑駿がデザインしたからくり時計、イタリア式庭園、東京湾の水辺を一度に楽しめるコースです。新橋駅・汐留駅周辺から浜松町駅まで、見学を含めて約2時間を目安に歩けます。夜景だけでなく、日本初の鉄道ターミナルだった汐留が貨物駅を経て再開発地区へ変わった歴史もたどります。
汐留・竹芝の夜散歩コース概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出発 | JR新橋駅または都営大江戸線・ゆりかもめ汐留駅 |
| 到着 | JR・東京モノレール浜松町駅 |
| 主な見どころ | カレッタ汐留、日テレ大時計、汐留イタリア街、イタリア公園、ウォーターズ竹芝 |
| 所要時間 | 移動のみで約40~50分、見学を含めて約2時間 |
| 料金 | 紹介する屋外スポットと展望スペースは原則無料 |
| おすすめの時間 | 日没前後から夜。日テレ大時計の演出時刻に合わせて出発 |
| 歩きやすさ | 舗装路が中心。デッキ、階段、エスカレーターを使う場所があります |
おすすめの順路は、カレッタ汐留、日テレ大時計、汐留イタリア街、イタリア公園、ウォーターズ竹芝、浜松町駅です。新橋側から南へ進む一方向のコースなので、同じ道を戻る区間が少なく、夜でも歩きやすい構成です。
汐留は「鉄道の街」から「超高層ビルの街」へ変わった
現在の汐留には日本テレビ、電通、ホテル、商業施設などの高層建築が並びます。しかし、この一帯はもともと日本の鉄道史が始まった場所です。1872年(明治5年)、新橋―横浜間に日本初の鉄道が開業し、現在の東新橋に初代新橋停車場が置かれました。
1914年(大正3年)に東京駅が開業すると、旅客駅としての役割は現在の新橋駅へ移ります。旧駅は貨物専用の汐留駅となり、東京へ物資を運び込む物流拠点として使われました。貨物駅は1986年(昭和61年)に廃止され、その広大な跡地で再開発が進み、2000年代に汐留シオサイトが形成されました。
夜景の新しい街を歩きながら、地上と地下に残る鉄道の記憶を探せることが、このコースの大きな特徴です。旧新橋停車場や鉄道開業の経緯は、関連記事「新橋の歴史、旧新橋停車場および鉄道の歴史をみてみよう」でも詳しく紹介しています。
1. カレッタ汐留|地上約200メートルから東京湾の夜景を見る
最初の目的地は、電通本社ビル内の商業施設「カレッタ汐留」です。46階には無料の展望スペース「SKY VIEW」があり、地上約200メートルから築地、勝どき、豊洲、お台場、レインボーブリッジ方面を見渡せます。日没前に上がれば、街と東京湾が青く沈んでいく時間から、高層ビルや橋の明かりが際立つ夜景まで連続して楽しめます。

展望スペースへは高層階用エレベーターを利用します。レストランフロアの共用部にあるため、通路をふさがず静かに見学しましょう。窓ガラス越しの撮影では、レンズをガラスに近づけ、室内照明の反射が少ない角度を探すと夜景を写しやすくなります。営業時間や入館方法は変更されることがあるため、訪問前にカレッタ汐留公式サイトで確認してください。
2. 宮﨑駿デザインの日テレ大時計|32か所の仕掛けが動く
日本テレビタワーの外壁に設置された「宮﨑駿デザインの日テレ大時計」は、高さ約12メートル、幅約18メートルの巨大なからくり時計です。銅板を手作業で打ち出して制作され、時計の中には職人、鐘、歯車、炉を思わせる造形が組み込まれています。32か所の仕掛けが連動し、約3分間の演出をつくります。
| 曜日 | 演出時刻 |
|---|---|
| 月~金 | 12:00、15:00、18:00、20:00 |
| 土・日 | 10:00、12:00、15:00、18:00、20:00 |
夜散歩では18時または20時の回が組み込みやすく、開始5~10分前に到着すると正面に近い場所を選べます。時計は日本テレビタワー2階のデッキ側にあり、地上から見上げるより、デッキ上で全体を正面から見る方が仕掛けを追いやすくなります。演出中は一か所だけを見続けず、左右の人形や上部の鐘にも目を向けると、動きの連鎖が分かります。
3. 汐留イタリア街|貨物駅跡に生まれた石畳の街区
日本テレビから南西へ進むと、石畳風の舗装と欧州風の建物が並ぶ汐留イタリア街に着きます。ここは汐留シオサイト5区として整備された街区です。店舗や集合住宅、ホテルが外観の調和を意識して配置され、超高層ビルが中心の汐留とは異なる景観をつくっています。
街区の中心にある汐留西公園には、旧新橋停車場で機関車の方向を変えるために使われた転車台の遺構を踏まえた円形の意匠があります。港区によれば、発掘された転車台は直径約12.5メートルで、1872年(明治5年)に完成し、1914年(大正3年)前後まで使われたと考えられています。足元の円形を意識すると、イタリア風の街並みの下に鉄道施設があったことを実感できます。
「イタリア街」と、次に訪れる港区立イタリア公園は別の場所です。イタリア街では車が通る道路上での撮影を避け、歩道や公園内から建物と街灯を眺めましょう。
4. イタリア公園|イタリアから贈られた本格的な庭園
イタリア街から線路沿いに南へ進むと、港区立イタリア公園があります。「日本におけるイタリア2001年」を記念してイタリアから寄贈された公園で、面積は3,660.02平方メートルです。幾何学的に整えられた植栽、噴水、イタリア製の彫刻が配置され、周囲の高層建築や東京モノレールと古典的な庭園が対照的に見えます。

ここは汐留駅の貨物線が広がっていた区域にあたります。鉄道と物流のための土地が、国際交流を記念する庭園へ変わった点に、汐留再開発の性格が表れています。夜は昼間より彫刻の輪郭と建物の照明が際立ちますが、噴水や植え込みの周囲には段差があるため、足元を確認して歩いてください。
5. ウォーターズ竹芝|劇場と干潟が並ぶ都市の水辺
イタリア公園からさらに南へ歩くと、2020年にまちびらきしたウォーターズ竹芝に着きます。アトレ竹芝、JR東日本四季劇場[春][秋]、自由劇場、ホテル、オフィスからなる複合施設で、浜松町駅北口から徒歩約6分の水辺に位置します。

水辺には芝生広場、テラス、船着場、干潟が整備されています。船着場からは浅草やお台場方面へ向かう船が発着し、東京の交通が鉄道だけでなく水路にも支えられてきたことを感じられます。干潟は東京湾の生き物が生息できる環境の再生を目的に設けられ、通常は外から観察します。中へ入れる日は公式の「竹芝干潟オープンデイ」などに限られます。
夜は水面に周囲の照明が映り、汐留の高層ビル群とは異なる、広がりのある景色を楽しめます。水辺は風が強くなりやすいため、秋から春は市街地より寒く感じることがあります。飲食店やトイレを利用しやすく、散歩の終盤で休憩する場所としても便利です。
6. 竹芝新八景|建物の中で生物多様性を探す
東京ポートシティ竹芝のオフィスタワーでは、「雨・水・島・水田・香・菜園・蜂・空」をテーマにした竹芝新八景が展開されています。雨水の利用、水田や菜園、養蜂などを都市の建物に組み込み、生物多様性や環境の循環を身近に見せる試みです。
夜間は見学できる範囲や通行経路が変わる場合があります。公開時間と立入可能な場所を現地案内で確認し、オフィスや店舗の利用者の動線を妨げないように見学してください。
おすすめの時間配分
| 目安 | 行程 |
|---|---|
| 日没30分前 | カレッタ汐留に到着し、46階から夕景を見る |
| 演出10分前 | 日テレ大時計へ移動して見やすい位置を選ぶ |
| 演出後20分 | 汐留イタリア街と汐留西公園を歩く |
| その後15分 | イタリア公園を見学する |
| その後30~45分 | ウォーターズ竹芝の水辺を歩き、休憩する |
| 終了 | 浜松町駅へ向かう |
日テレ大時計の18時の演出を見る場合は、季節によってカレッタ汐留から夕景または夜景を楽しめます。20時の回は完全な夜景を見られる一方、各施設の営業時間や公開範囲に注意が必要です。日没時刻は季節で大きく変わるため、「日没前後の展望」と「大時計の演出」のどちらを優先するか決めて出発時間を調整してください。
夜散歩で気をつけたいこと
- 日テレ大時計は定刻の約3分前から動き始めます。余裕を持って到着してください。
- 演出時刻、展望スペースの営業時間、施設の公開範囲は変更される場合があります。訪問当日に公式サイトを確認してください。
- 汐留イタリア街では車道に出て撮影せず、歩道や公園から景観を楽しんでください。
- 水辺は風が強く、冬は体感温度が下がります。羽織れるものがあると安心です。
- 三脚、照明、商用撮影には施設ごとのルールがあります。一般利用者の通行を優先してください。
汐留・竹芝夜散歩のまとめ
汐留から竹芝へ歩くと、日本初の鉄道ターミナル、貨物駅、超高層ビルの再開発、イタリア式庭園、現代の水辺再生が短い距離の中に重なっていることが分かります。カレッタ汐留の高所から街全体を眺め、日テレ大時計の機械的な造形を見て、鉄道遺構の残るイタリア街を通り、最後に竹芝の水辺へ出ると、東京が陸と海の両方からつくられてきた都市であることを実感できます。
TimeWalkで周辺の歴史スポットを探す
散歩の途中で「この建物の前には何があったのか」「近くにほかの史跡はないか」と気になったときは、街歩きアプリ「TimeWalk」を利用できます。現在地をもとに周辺の歴史スポットを距離順で探せるため、予定したルートにもう一か所加えたいときや、現地で偶然見つけた場所の背景を調べたいときに便利です。

