夕暮れの渋谷キャンパスに、低く長い笛の音と、金属を静かに打つ音が重なります。祭場には供え物が整えられ、装束を着けた学生たちが進み、やがて舞人が高舞台に現れます。國學院大學の観月祭は、月を見る行事のかたちを借りながら、祭典、管絃、祭祀舞、舞楽が一つの流れで続く秋の神事です。
初めて見ると、何が祭典で、どこから音楽や舞が始まったのか分かりにくい場面もあります。順番、楽器、舞の種類、装束の意味を知ると、約2時間の行事は、音と所作が少しずつ変化していく立体的な時間として見えてきます。
國學院大學の観月祭とは
國學院大學の観月祭は、供物を献じて十五夜の満月を鑑賞する「中秋観月」に由来する行事です。大学では平成22年、つまり2010年から毎年10月に斎行されてきました。「中秋」と「仲秋」の違い、孟・仲・季という月名の由来は、別記事で詳しく解説しています。
中心となるのは神道文化学部の学生です。神道文化学部は、神道を軸に日本の伝統文化や宗教文化を学ぶ学部で、観月祭では学生が祭典、管絃、祭祀舞、舞楽、着装、舞台設営などを分担します。
行事は一般公開され、例年は渋谷キャンパスの130周年記念5号館ピロティに特設舞台を設けて行われます。所要時間はおおむね約2時間です。演目は年度によって変わり、過去に行われた曲や舞と翌年の演目は一致しない場合があります。
| 構成 | 内容 | 初心者向けの見どころ |
|---|---|---|
| 祭典 | 供物を供え、神前に観月祭の斎行を奉告する神事です。 | 祭壇、供物、参進、所作の静けさ。 |
| 管絃 | 雅楽の器楽合奏です。舞を伴わず、楽器の響きを聴きます。 | 音取で音が整い、笙・篳篥・龍笛が重なる瞬間。 |
| 祭祀舞 | 神社祭典で奉納される舞です。歌、楽器、採物が結びつきます。 | 扇、鈴、歌詞、舞姫や神職の動き。 |
| 舞楽 | 雅楽のうち、舞を伴う上演形式です。 | 舞台を清める振鉾、左方・右方の装束、足運び。 |
中秋観月の歴史と神事との関わり
中秋の月を眺める文化は、中国から日本へ伝わりました。日本では平安時代の宮廷や貴族社会で、月を見ながら詩歌や音楽を楽しむ行事として広がります。月は季節の移り変わり、歌の題、楽の場を生む存在でした。
秋の月見には、里芋、栗、団子、すすきなどを供える風習も重なりました。収穫の時期に自然の恵みを供え、月を仰ぐ行為が、後の祭壇や供物を伴う月見のかたちにつながります。
國學院大學の観月祭は2010年に始まった現代の大学行事です。古い観月文化を背景に、中秋観月の文化史、雅楽の伝統、近代の祭祀舞、学生が担う現代の神事が、渋谷キャンパスで組み合わされています。

観月祭の始まり――2010年の創始まで
國學院大學では、2009年の神輿渡御で祭典と蘭陵王の奉納が行われました。翌2010年、学生の間にあった「秋の行事として観月祭を行いたい」という願いを受け、有志によって第1回観月祭が実現します。
第1回は舞台の代わりに毛氈を敷き、楽人の座や来賓席も現在とは違う配置でした。第2回以降は継続開催となり、小野貴嗣先生をはじめ小野雅楽会の先生方が稽古を指導する体制が整っていきました。
第3回では大学設立130周年記念の年に合わせて舞台が整えられ、大学関係者の装束での参列も見られるようになりました。第4回には夏期休暇前から稽古が始まり、観月祭は大学の秋の恒例行事として知られるようになります。
祭典から舞楽まで――当日の流れ
年度や会場条件によって細部は変わりますが、観月祭は祭典から始まり、続いて管絃、祭祀舞、舞楽へ進むのが基本です。2024年の記事では、奉告祭と奉納演奏の二部構成として説明されています。
| 流れ | 目的 | 音・動き | 注目点 |
|---|---|---|---|
| 祭典 | 神前に供物を供え、行事の斎行を奉告します。 | 参進、献供、祝詞奏上などの静かな所作が中心です。 | 供物の配置、参列者の動き、祭場の空気が整う過程。 |
| 管絃 | 舞を伴わず、雅楽の合奏を聴きます。 | 管楽器、絃楽器、打楽器が重なり、ゆるやかに音が進みます。 | 音取、笙の和音、篳篥の旋律、龍笛の流れ。 |
| 祭祀舞 | 神前に舞を奉納します。 | 歌と楽器に合わせ、扇や鈴などを持って舞います。 | 採物の扱い、舞姫や神職の姿勢、歌詞の意味。 |
| 舞楽 | 舞を伴う雅楽を高舞台で見ます。 | 管楽器と打楽器が舞の動きを支えます。 | 振鉾、装束の色、袖、足運び、面。 |
祭典の所作と神饌・祝詞
最初に行われる祭典では、祭場に供え物が整えられます。神饌は神前に供える食物や酒などで、観月祭では秋の実りを思わせる供物が置かれます。献供は、その供物を神前に供える所作です。
2024年の詳細記事では、会場に設けられた神籬に國學院大學の神殿に祀る大神を招き、神饌などを供えた後、斎主が祝詞を奏上して観月祭の斎行を奉告したと説明されています。
学生は、祭典の奉仕、祭式、着装、斎庭の準備などを担います。神道の基礎を知る入口としては、当会の神社の種類も参考になります。
管絃――雅楽の器楽合奏
管絃は、雅楽の器楽合奏です。舞を伴う舞楽に対し、管絃では楽器の響きそのものを聴きます。現在の管絃では、笙、篳篥、龍笛に、琵琶、箏、鞨鼓、太鼓、鉦鼓が加わる「三管両絃三鼓」の編成が基本です。
音取は、曲の前にその調子の響きを整える短い楽曲です。2025年は壱越調音取から始まり、2024年は太食調音取から始まりました。調子が変わると、同名の曲でも響きの位置や色合いが変わります。2022年の観月祭では、平調・盤渉調・黄鐘調に伝わる越天楽の違いが取り上げられました。
雅楽を別の場で聴く流れを知るには、当会の雅楽・和歌披講・催馬楽を解説した「七夕の歌宴」完全ガイドや、神明雅楽「七夕の歌宴」の開催レポートも参考になります。

笙・篳篥・龍笛――三管の音色と役割
笙は、細い竹管を束ねた管楽器です。合奏の中では和音をつくり、空間全体を支える役割を持ちます。単独の旋律を追うより、音の層がふっと明るくなる場所を探すと聴き分けやすくなります。
篳篥は、短い縦笛で、二枚のリードを使います。音量が大きく、管絃の中で旋律の芯として聞こえます。細く震えるように伸びる音が現れたら、まず篳篥を意識すると全体の旋律がつかみやすくなります。
龍笛は横笛です。音域が広く、旋律に動きや広がりを与えます。篳篥が旋律の中心を強く示すのに対し、龍笛はその周囲を流れ、上方へ抜けるような線を描きます。
鞨鼓・太鼓・鉦鼓――拍と進行を支える三鼓
鞨鼓は、台に乗せた小型の両面太鼓です。細い桴で打ち、曲の入り、拍の変化、進行の合図を担います。楽人の中で全体を導く役割を持つため、動きを見ると演奏の切れ目が分かりやすくなります。
太鼓は、曲の大きな拍や区切りを示します。管絃では釣太鼓や楽太鼓が用いられ、舞楽では大きな太鼓が舞台の存在感を強めます。
鉦鼓は、金属製の鉦を吊って打つ打楽器です。鋭く澄んだ音で拍を刻み、合奏の輪郭を整えます。鞨鼓が進行を導き、太鼓が大きな節目を示し、鉦鼓が金属音で拍の線を引きます。
祭祀舞――神前に奉納する舞
祭祀舞は、神社祭典などで神前に奉納される舞です。舞を伴う雅楽である舞楽とは系統や役割が違い、歌、楽器、舞、採物が一体になって神前での奉納を形づくります。
國學院大學の観月祭では、朝日舞、浦安の舞、豊栄舞などが過年度に奉納されています。これらの祭祀舞には近代に作られたものが多く、古代や平安時代から同じ形で続く舞として扱うと誤解が生じます。
朝日舞
朝日舞は、1950年に作られた舞です。歌詞は明治天皇の御製で、朝日のように清らかな心を保つ願いを含みます。神職が舞うことが多く、「宮司舞」とも呼ばれます。
國學院大學の観月祭では、2022年と2024年などに朝日舞が行われました。浦安の舞と続けて見ると、歌意、舞い手、採物の違いが分かりやすくなります。
浦安の舞
浦安の舞は、1940年の皇紀2600年奉祝に合わせて作られた舞です。歌詞は昭和天皇の御製で、多忠朝が作曲・作舞しました。波の立たない海のような平和を願う歌意を持ちます。
見どころは、扇と鈴の扱いです。四人舞の例では、舞姫が動きをそろえ、扇による静かな所作から鈴の音を伴う場面へ移ります。鈴の音は、舞の進行と祈りの響きを支えます。

豊栄舞
豊栄舞は、1950年に作曲・作舞された祭祀舞です。自然の恵み、太陽、神への感謝を歌い、季節の花などを持つ舞として行われます。
國學院大學の観月祭では、2014年、2017年、2018年、2023年、2025年などに豊栄舞が確認できます。浦安の舞が平和への祈りを前面に出すのに対し、豊栄舞では季節と自然の恵みへの感謝がよく表れます。
舞楽――雅楽の音楽と舞
舞楽は、舞を伴う雅楽です。管絃が合奏そのものを聴く形式であるのに対し、舞楽では舞人の動き、装束、面、舞台上の位置が音楽と結びつきます。
宮内庁の解説では、雅楽には国風の歌舞、大陸系の唐楽・高麗楽、催馬楽や朗詠などが含まれ、演奏形式は管絃、舞楽、歌謡に分かれます。観月祭の舞楽は、主に大陸・朝鮮半島から伝わった系統の楽舞を、高舞台で見せる場面です。宮内庁式部職楽部の公開演奏を具体的に見るなら、「宮内庁の秋季雅楽演奏会とは?2026年の演目・用語・歴史と過去3回を解説」で、実際の演目と用語を整理しています。
管絃には琵琶や箏などの絃楽器が入りますが、舞楽では原則として管楽器と打楽器で舞を支えます。舞人の足運び、袖の広がり、面の向き、楽器の拍が一つの画面を作ります。
雅楽の周辺にある和歌披講や宮廷歌謡との違いを見比べるなら、「七夕の歌宴」完全ガイドも合わせて読むと、歌と楽の関係が整理しやすくなります。

左方舞と右方舞――装束・楽器・舞の違い
左方と右方の基本的な違いは、由来する楽舞の系統です。左方は中国系の楽舞を源流とする左舞、右方は朝鮮半島系の楽舞を源流とする右舞として整理されます。
音楽では、左方に唐楽、右方に高麗楽を用いるのが基本です。左方では笙、篳篥、龍笛に鞨鼓、太鼓、鉦鼓が加わります。右方では多くの場合、笙が入らず、篳篥、高麗笛、三ノ鼓、太鼓、鉦鼓による編成になります。例外的に唐楽の編成を用いる右方の曲もあります。
装束は、左方が赤系統、右方が緑や青系統を基調とすることが多く、國學院大學の2024年詳細記事でもこの違いが紹介されています。舞台上の左右は、舞人が舞台に現れる側や楽制上の呼び方に関わるため、観客席から見た単純な左右とは異なる整理です。
過年度の代表的な演目
観月祭の演目は年度ごとに変わります。ここでは、國學院大學の公式記録で観月祭に登場したことが確認できる演目を中心に、見分ける手がかりをまとめます。
| 演目 | 観月祭で確認できる年度 | 系統・見どころ |
|---|---|---|
| 振鉾 | 2015、2016、2017、2018、2019、2024、2025など | 舞楽の始めに鉾を振り、舞台を清める役割を持ちます。鉾の動きと楽人の合図が見どころです。 |
| 蘭陵王/陵王 | 2009奉納、2017管絃で陵王 | 武人の故事を背景に持つ代表的な雅楽曲です。面と華やかな装束で知られますが、観月祭での扱いは年度記録に従います。 |
| 賀殿急 | 2016、2019、2024など | 左方の舞として上演されます。赤系統の装束、舞の始まりと終わりが音楽に合う点に注目できます。 |
| 仁和楽 | 2024 | 右方の舞として確認できます。右方らしい緑・青系統の装束と、左方との響きの差が手がかりです。 |
| 延喜楽 | 2016、2019、2025など | 右方の舞として上演された例があります。ゆったりした動きと右方の装束が見どころです。 |
| 萬歳楽 | 2023 | 左方の祝賀性の強い演目です。鳳凰に関わるめでたい曲として説明されています。 |
| 登殿楽 | 2018、2023 | 右方の舞として確認できます。ゆるやかな四人舞の例が紹介されています。 |
| 迦陵頻 | 2017 | 鳥を思わせる華やかな舞姿で知られます。衣裳の構造や着装にも注目できます。 |
| 抜頭 | 2016、2017 | 2017年には右舞として確認できます。力強い動きが特徴として紹介されています。 |
| 五常楽急 | 2018、2025 | 五常楽の急の形式です。朱色の装束や端正な足運びが見どころです。 |
| 越天楽 | 2022 | 2022年は平調・盤渉調・黄鐘調の違いが説明されました。同名曲でも調子で響きが変わります。 |
| 胡飲酒破 | 2019、2023、2025 | 管絃で確認できる曲です。2025年は壱越調音取に続いて演奏されました。 |
| 武徳楽 | 2017、2023、2025 | 管絃で確認できる曲です。年度により他の曲と組み合わされます。 |
装束・冠・扇・鈴・鉾の見どころ
舞人の装束は、舞楽の系統を見分ける手がかりになります。左方は赤系統、右方は緑・青系統を基調とすることが多く、色の違いは遠目にも分かります。細部の名称は演目と装束によって異なるため、名称を推測せず、色、袖、面、採物の動きから見ると理解しやすくなります。
祭祀舞では、扇や鈴などの採物が重要です。浦安の舞では扇を持つ場面と鈴を持つ場面があり、音と所作が切り替わります。振鉾では鉾が舞台を清める動作の中心になります。
舞楽面が出る演目では、顔の表情より面の向きが舞の印象を決めます。冠や袖は、舞人の歩幅や腕の高さに合わせて揺れます。大きな動きより、足が止まる瞬間、袖が戻る瞬間、面が正面を向く瞬間が見どころです。
観月祭を支える学生たち――半年間の稽古と準備
観月祭は、当日の舞台に至るまでの準備も大きな柱です。第15回の振り返り記事では、学生が中心となり約半年間準備を進め、当日には300名を超える人が訪れると紹介されています。
準備は、管絃、祭祀舞、舞楽、祭式、衣紋着装、礼法、舞台設営、会場整理、しおり作成などに分かれます。2024年詳細記事では、舞台配置や設営、装束の準備と着付け、献花、ポスター、チラシ、しおりまで学生が担うと説明されています。
2026年5月27日には、第16回観月祭の稽古始めが行われました。青葉雅楽会、みすゞ会、瑞玉會、萠黃會、禮法研究會、若木睦から奉仕する学生が参加し、管弦、舞楽、祭祀舞などのパートごとに先生方との顔合わせや稽古が始まっています。
学生の振り返りでは、演奏や舞だけでなく、舞人との相談、着装、所役、斎庭係などの仕事が語られています。観月祭では、表に見える舞台と、舞台を成り立たせる準備の両方が学びの場になっています。
現地で注目したい10の場面
年度によって演目は変わるため、見られる場面も年ごとに異なります。実施された場合の観察ポイントとして整理します。
- 祭壇に神饌が供えられ、祭場の空気が静かに整う場面。
- 音取で、楽器がその日の調子の響きへ入っていく場面。
- 笙が和音を支え、音の奥行きが広がる瞬間。
- 篳篥が旋律の中心として立ち上がる場面。
- 鞨鼓が進行を導き、楽人全体の拍がそろう場面。
- 祭祀舞で、扇から鈴へ採物が変わる場面。
- 左方舞と右方舞で、装束の色合いが変わる場面。
- 舞人の袖が遅れて動き、足運びの静けさが見える場面。
- 振鉾で、舞台が舞楽の場へ切り替わる場面。
- 曲が終わった後、音が消え、舞人の姿勢だけが残る余韻。
歴代プログラム一覧
公式記録で確認できる範囲をまとめます。演目が確認できない年度は推測で補わず、「公式記録で演目未確認」としています。
| 年度・回 | 管絃 | 祭祀舞 | 舞楽・備考 |
|---|---|---|---|
| 2010年・第1回 | 公式記録で演目未確認 | 公式記録で演目未確認 | 第1回。舞台は毛氈で代用。 |
| 2011年・第2回 | 公式記録で演目未確認 | 公式記録で演目未確認 | 小野雅楽会の指導が始まり、以後の配置が整いました。 |
| 2012年・第3回 | 公式記録で演目未確認 | 公式記録で演目未確認 | 大学設立130周年記念の年。舞台が設営されました。 |
| 2013年・第4回 | 公式記録で演目未確認 | 公式記録で演目未確認 | 公式記録で「胡蝶の舞」への言及があります。 |
| 2014年・第5回 | 盤渉調音取、竹林楽、青海波、千秋楽 | 豊栄舞、浦安の舞 | 人長舞、五常楽。 |
| 2015年・第6回 | 公式記録で曲目未確認 | 朝日舞、浦安の舞 | 振鉾、左舞、右舞。曲目名は公式記事本文で未確認。 |
| 2016年・第7回 | 傾盃楽、抜頭 | 豊栄の舞、浦安の舞 | 振鉾、延喜楽、賀殿急。熊本地震復興祈念。 |
| 2017年・第8回 | 双調音取、武徳楽、陵王 | 朝日舞、浦安の舞 | 振鉾、迦陵頻、抜頭。雨天開催、650人の来場。 |
| 2018年・第9回 | 平調音取、林歌、陪臚 | 浦安の舞、豊栄舞 | 振鉾、五常楽急、登天楽。 |
| 2019年・第10回 | 双調音取、酒胡子、嘉辰、胡飲酒破 | 朝日舞、浦安舞 | 振鉾、賀殿急、延喜楽。 |
| 2020年・第11回 | 陪臚 | 浦安の舞、朝日舞 | 無観客ライブ配信。 |
| 2021年 | 公式記録で演目未確認 | 公式記録で演目未確認 | 新型コロナ禍の影響期。公式総合ページ上で当日記録未確認。 |
| 2022年・第12回 | 越天楽 | 浦安の舞、朝日舞 | 人長舞。限定50名、事前抽選制。 |
| 2023年・第13回 | 双調、武徳楽、酒胡子、胡飲酒楽 | 豊栄舞、浦安舞 | 登殿楽、萬歳楽。 |
| 2024年・第14回 | 太食調音取、合歓塩、長慶子 | 朝日舞、浦安の舞 | 振鉾、賀殿急、仁和楽。360人を超える来場。 |
| 2025年・第15回 | 壱越調音取、胡飲酒破、酒胡子、武徳楽 | 豊栄舞、浦安の舞 | 振鉾、延喜楽、五常楽急。約2時間。 |
| 2026年・第16回 | 音取、鶏徳、陪臚 | 朝日舞、浦安の舞 | 振鉾、左方・萬歳楽、右方・登殿楽。当日配布小冊子で確認。 |
2026年の第16回観月祭
第16回観月祭は2026年10月17日(土)、國學院大學渋谷キャンパスの130周年記念5号館1階ピロティで行われました。ゆる歴史散歩会からは20人が参加し、祭典から管絃、祭祀舞、舞楽までを鑑賞しました。祭典は15時30分から15時50分ごろ、管絃・祭祀舞・舞楽は16時から17時40分ごろでした。観覧は無料です。國學院大學の第16回観月祭開催案内には、整理券配布や入場時刻が掲載されています。
| 項目 | 2026年10月17日の現地記録 |
|---|---|
| 開催日・会場 | 10月17日(土)、國學院大學渋谷キャンパス130周年記念5号館1階ピロティ。 |
| 整理券配布 | 14時00分。13時35分ごろは約20人、配布開始時には約100人が待機。 |
| 関係者・保護者入場 | 14時55分開始の案内。一般観覧より先に着席。 |
| 一般観覧入場 | 15時20分開始。立見席も開放。 |
| 祭典 | 15時30分~15時50分ごろ。祭典中の写真撮影は関係者以外禁止。 |
| 管絃・祭祀舞・舞楽 | 16時00分~17時40分ごろ。 |
| 管絃の演目 | 音取、鶏徳、陪臚。 |
| 祭祀舞の演目 | 朝日舞、浦安の舞。 |
| 舞楽の演目 | 振鉾、左方・萬歳楽、右方・登殿楽。 |
| 観覧料 | 無料。一般席200席、立見席約100人分として案内。 |
| 雨天 | 実施する旨が事前に案内されていました。 |
現地で確認した受付・整理券配布と入場
130周年記念5号館の受付前には、整理券配布から入場・祭典までの時刻を記した案内板が設置されていました。13時35分ごろの待機列は約20人、14時の配布開始時には約100人に増えていました。人数はいずれも現地での目視による概数です。



14時に整理券と当日の小冊子を受け取りました。受け取った整理券は26番でした。関係者・保護者は14時55分から先に入場し、一般観覧は15時20分から始まりました。

当日の小冊子で確認した演目
受付で配布された小冊子には、当日の次第、管絃・祭祀舞・舞楽の演目解説、指導者と参加団体の紹介が掲載されていました。管絃の鶏徳と陪臚は、いずれも平調に伝わる唐楽として紹介されています。2026年11月の雅楽天神会・第34回定期演奏会では、「陪臚」が舞楽の演目に選ばれました。舞楽は、振鉾に続いて左方の萬歳楽、右方の登殿楽を演じる構成でした。



祭典前の会場と神前の供え物
会場では保護者や関係者が先に着席し、その後、一般の観覧者が入場しました。ピロティの中央には赤い欄干で囲まれた舞台が設けられ、その周囲と奥に客席が並んでいました。祭典中は関係者以外の写真撮影が禁止されており、掲載写真は祭典前の様子です。


祭場の中央には、榊や幣、酒、果物、餅などの供え物が整えられていました。15時30分からの祭典では、この場所に神霊を迎え、祝詞が奏上されました。祭典は15時50分ごろに終わりました。

17時40分ごろの終了と会場の様子
16時からは管絃、祭祀舞、舞楽が続き、17時40分ごろに終了しました。終了後には観覧者が席を立ち、舞台と楽人の姿を見渡せる状態になりました。

同日に國學院大學博物館も見学できる
國學院大學博物館では、2026年9月19日(土)から11月15日(日)まで、企画展「杉原祥造没後100年 刀剣学総論 ―学際研究が紐解く『日本刀史』―」が開催されています。
第16回観月祭が行われた2026年10月17日(土)は、企画展の会期中で、博物館の開館日でした。博物館は10時開館、観月祭の整理券配布は14時開始で、同じ渋谷キャンパスで企画展と観月祭の両方を鑑賞できる日程でした。同日に20人で鑑賞した企画展の様子は、「杉原祥造没後100年 刀剣学総論」の現地レポートで紹介しています。
博物館の開館時間は10時から18時、最終入館は17時30分、入館料は無料です。会期中の休館日は毎週月曜日ですが、祝日は開館と案内されています。臨時変更の有無は公式カレンダーでの確認が必要です。國學院大學博物館の雰囲気は、当会の國學院大學博物館の展示とキャンパスの雰囲気がわかる開催レポート、國學院大學博物館の特別展鑑賞会レポートでも紹介しています。
初心者向け用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 雅楽 | 日本で伝承されてきた宮廷音楽・舞・歌の総称です。 |
| 管絃 | 舞を伴わない雅楽の器楽合奏です。 |
| 舞楽 | 舞を伴う雅楽の上演形式です。 |
| 祭祀舞 | 神社祭典などで神前に奉納される舞です。 |
| 神饌 | 神前に供える食物や酒などです。 |
| 音取 | 曲の前に調子を整える短い楽曲です。 |
| 壱越調 | 雅楽の調子名の一つです。観月祭では音取の名称にも出ます。 |
| 太食調 | 雅楽の調子名の一つです。低く落ち着いた響きの曲で用いられます。 |
| 平調 | 雅楽の調子名の一つです。越天楽などで知られます。 |
| 盤渉調 | 雅楽の調子名の一つです。曲名の前に付いて響きの種類を示します。 |
| 黄鐘調 | 雅楽の調子名の一つです。越天楽の別調として紹介されることがあります。 |
| 双調 | 雅楽の調子名の一つです。観月祭の過年度演目にも見られます。 |
| 左方 | 中国系の楽舞を源流とする左舞の系統です。 |
| 右方 | 朝鮮半島系の楽舞を源流とする右舞の系統です。 |
| 笙 | 竹管を束ね、和音で合奏を支える管楽器です。 |
| 篳篥 | 強い旋律を担う短い縦笛です。 |
| 龍笛 | 広い音域で旋律に流れを与える横笛です。 |
| 鞨鼓 | 拍や進行を導く小型の両面太鼓です。 |
| 鉦鼓 | 金属音で拍の輪郭を示す打楽器です。 |
| 高麗笛 | 右方の高麗楽で用いられる横笛です。 |
| 採物 | 舞で手に持つ扇、鈴、榊などの道具です。 |
| 御製 | 天皇が詠んだ和歌です。 |
| 振鉾 | 舞楽の始めに鉾を振り、舞台を清める舞です。 |
まとめ
観月祭では、祭典、音、歌、舞、装束が順に現れ、一つの奉納を形づくります。中秋観月の古い文化、雅楽の響き、近代に作られた祭祀舞、学生が半年かけて準備する大学行事が、秋の夕暮れの渋谷キャンパスで重なります。
演目は毎年変わります。過年度の記録を手がかりに、祭典の静けさ、管絃の重なり、祭祀舞の祈り、舞楽の色と動きを見ると、同じ観月祭でも年度ごとの違いが立ち上がります。
歴史・文化を初心者向けに解説する記事は、ゆる歴史散歩会のまるわかりガイド一覧にまとめています。
参考文献
- 國學院大學 神道文化学部「観月祭」
- 國學院大學「第16回観月祭稽古始めが行われました(令和8(2026)年5月27日)」
- 國學院大學「第15回 観月祭」
- 國學院大學「第15回観月祭が斎行されました(令和7(2025)年10月18日)」
- 國學院大學「第15回観月祭 振り返りレポート」
- 國學院大學「第14回 観月祭」
- 國學院大學「第14回観月祭が斎行されました(令和6(2024)年10月19日)」
- 國學院大學「神道文化学部主催『観月祭』が開催されました(令和6年10月19日)」
- 國學院大學「第13回 観月祭」
- 國學院大學「神道文化学部主催『観月祭』が開催されました」
- 國學院大學「第12回 観月祭」
- 國學院大學「神道文化学部 第12回観月祭 開催報告」
- 國學院大學「神道文化学部 第8回観月祭 開催報告」
- 國學院大學「第5回観月祭(平成26年10月11日)」
- 國學院大學「第6回観月祭(平成27年10月17日)」
- 國學院大學「第7回観月祭(平成28年10月15日)」
- 國學院大學 神道文化学部
- 國學院大學博物館 企画展「杉原祥造没後100年 刀剣学総論 ―学際研究が紐解く『日本刀史』―」
- 國學院大學博物館 開館カレンダー
- 宮内庁「雅楽」
- 文化デジタルライブラリー「管弦:宮廷の器楽合奏」
- 文化デジタルライブラリー「管弦の唐楽と舞楽の唐楽」
- 文化デジタルライブラリー「舞楽:左方と右方」
- 文化デジタルライブラリー「舞楽と管絃、左方と右方」

