上池袋・北池袋の歴史散歩|裏路地・IWGPロケ地・鎌倉街道を歩く

東京都豊島区上池袋の子安稲荷神社拝殿

池袋駅の北側から上池袋・北池袋へ歩くと、駅前の繁華街から数分で、細い路地、鉄道をまたぐ橋、旧町名、神社、戦前から続く駅の痕跡が現れます。このコースは池袋駅を出発し、IWGPのロケ地、ウイロード、池袋大橋、鎌倉街道中道とされる道、子安稲荷神社、北池袋駅を経て板橋駅まで歩きます。

池袋ウエストゲートパーク(IWGP)と池袋北側

『池袋ウエストゲートパーク』は石田衣良の小説を原作とし、2000年4月14日から6月23日までTBS系で放送されたテレビドラマです。脚本は宮藤官九郎、主演は長瀬智也。池袋を舞台に、マコトと仲間たちの事件や人間関係を描きました。

この散歩では、池袋西口公園だけでなく、ドラマに登場したウイロード、池袋駅北側の駐車場、池袋大橋周辺、ハイパーレーンをたどります。繁華街の中心から鉄道施設の多い北側へ移るため、作品の舞台と現在の街路を続けて見られるルートです。

池袋ウエストゲートパーク(IWGP)ロケ地・聖地巡礼

池袋から上池袋へ歩く前に知っておきたい歴史

豊島区一帯では縄文時代の遺跡が確認され、池袋本町では氷川神社裏貝塚が発見されています。近世から明治初期の池袋周辺は、江戸市街の外側にある農村地帯でした。

1878年(明治11年)、郡区町村編制法の施行により北豊島郡が発足しました。1885年(明治18年)には日本鉄道の品川―赤羽間が開業し、板橋駅が設けられました。この時点では池袋駅はありません。

1903年(明治36年)、日本鉄道豊島線の開業に合わせて池袋駅が開業しました。池袋は田端方面へ線路が分かれる分岐駅として出発し、その後、東上鉄道や武蔵野鉄道が接続したことで交通の結節点へ成長します。

明治期の池袋駅と木造駅舎、跨線橋、線路設備
明治期の池袋駅。撮影者不詳。国書刊行会『目でみる懐かしの停車場』/Wikimedia Commons/Public Domain。

池袋駅の成立と、東武・西武・百貨店・闇市・地下鉄が街を拡大させた過程は、池袋駅の歴史で詳しく解説しています。鉄道会社と都市形成の関係は、西武と東急が池袋・渋谷をつくった都市史も参考になります。

散歩ルート|池袋駅から板橋駅まで14スポット

池袋駅西口側から北へ進み、鉄道を越えて上池袋へ入り、北池袋駅を経て板橋駅へ向かいます。全行程は寄り道を含めておおむね5km前後、歩くだけなら1時間強、各地点を見ながら歩く場合は2~3時間ほどを見込むと回りやすいコースです。途中の北池袋駅から東武東上線に乗れるため、時間に合わせて短縮できます。★はIWGP関連地点です。

  1. 池袋西口モザイカルチャー「えんちゃん」
  2. WE・ROAD(雑司が谷隧道)
    池袋駅北側の東西を結ぶ公共地下通路です。1925年(大正14年)に建設され、1986年(昭和61年)の改修で「ウイロード」の愛称が付けられました。現在の壁面・天井のアートは2019年の改修で整備されたものです。ドラマでは、シュンたちがマサのために商売を始める場面に登場します。
  3. タイムズ池袋北口駅前第1
    ドラマでマコトたちの車や若者たちの場面に使われた池袋駅北側のロケ地です。
  4. 池袋大橋の途中で分岐する歩道橋
    池袋駅北側の線路群をまたぐ池袋大橋周辺は、ドラマの複数の場面に登場します。橋上からはJR・東武の線路と、駅北側の街区をまとめて見渡せます。
  5. ハイパーレーン
    ドラマでマサが働き、マコトが賭けボウリングをしていた場所として登場します。
  6. 健康プラザとしま
    池袋大橋を渡って上池袋方面へ進みます。隣に見える高い煙突は豊島清掃工場のものです。
  7. 六ツ又歩道橋
    明治通りと春日通りなどが交わる大きな交差点です。駅前の密集した街路から上池袋方面へ移る境目になります。
  8. 宮仲橋
    ここから上池袋二丁目交差点方面へ、鎌倉街道中道の一部と伝えられる道筋を歩きます。豊島区周辺には中世の鎌倉街道に結び付けて伝えられる道が複数ありますが、現在の道路と中世の道筋をそのまま一致させることはできません。この区間では、古い道筋の伝承を手がかりに、幹線道路の裏側へ続く細い街路をたどります。
  9. 上池袋二丁目交差点
    上池袋の住宅地へ入る地点です。駅周辺の大規模な街区とは異なり、細い道が多く残る一帯を歩きます。
  10. 子安稲荷神社
    創建年は不詳ですが、神社の由緒では天正年間(1573~1592年)より前から現在地に祀られていたとされています。天正年間以後、この一帯を領した旗本・斎藤惣左衞門が社殿を建立して奉斎したと伝わります。1715年(正徳5年)、地域で疫病が流行した際に多くの子どもが助かったという伝承から「子安稲荷」と称えられるようになりました。祭神は保食神(うけもちのかみ)です。
  11. 東京都豊島区上池袋の子安稲荷神社拝殿
    子安稲荷神社拝殿、2025年。撮影:Asanagi/Wikimedia Commons/CC0 1.0。
  12. 豊島区立堀之内公園
    「堀之内」はこの一帯の旧町名に残った地名です。子安稲荷神社にも旧町名「堀之内町」の継承碑があり、同神社の説明では堀之内町は1932年から1969年まで使われました。現在の住所だけでは見えにくい旧村・旧町の記憶を確認できます。
  13. 北池袋駅
    東武鉄道によると、1934年(昭和9年)に「東武堀之内駅」として開設され、戦災後の1947年に廃止、1951年に「北池袋駅」として再開しました。現在の駅名は池袋の北側に位置することに由来します。
  14. 東武東上線北池袋駅の駅舎
    北池袋駅、2009年。撮影:LERK/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0。
  15. 池袋本町電車の見える公園
    東武東上線とJR線に近く、池袋北側に集まる鉄道を間近に見られる公園です。
  16. 板橋駅
    1885年(明治18年)の品川―赤羽間開業時から置かれた駅です。1903年開業の池袋駅より古く、この地域の鉄道史を比較する終点として適しています。

この散歩で見える上池袋・北池袋の特徴

池袋駅北側では、鉄道が街を分ける一方、ウイロードや池袋大橋が東西を結んでいます。上池袋へ進むと、駅前の大規模商業地から住宅地へ景観が変わり、旧町名の「堀之内」、子安稲荷神社、細い街路が地域の古い層を残しています。さらに北池袋駅では、戦前の東武堀之内駅から戦災・廃止・再開を経た鉄道史が重なります。

池袋駅の発展だけを見ると巨大ターミナルの歴史が中心になりますが、北へ歩くと、その周辺に旧村の地名、古い信仰、鉄道による分断と接続が残っていることが分かります。IWGPのロケ地巡りと歴史散歩を同じルートで行える点も、このコースの特徴です。

参考資料

昔の東京を地図で歩くならTimeWalk

現地を歩きながら昔の地図と現在地を見比べたい場合は、TimeWalkを利用できます。上池袋・北池袋のように旧町名や道路、鉄道の変化が街並みに残る地域では、現在の地図だけでは分かりにくい土地の履歴を確認する手がかりになります。

この記事を書いた人
ゆる歴史散歩会 運営者
なかまつ

北海道大学工学部卒。現在はIT系会社員の傍ら、年間400回以上の街歩きイベントを企画し、これまで延べ25,000名以上の方にご参加いただいている、ゆる歴史散歩サークルを運営しています。東京の歴史・文化・建築・地形などを、初心者でも気軽に楽しめるイベントとして企画しています。

なかまつをフォローする
イベント