【開催レポート】皇居 千鳥ヶ淵の灯ろう流しにいこう!

千鳥ヶ淵ボート場屋上から眺めた灯ろうとボート イベント

2026年7月22日(水)19時から20時15分まで、ゆる歴史散歩会で「皇居 千鳥ヶ淵の灯ろう流しにいこう!」を開催しました。参加者は32名。日本の方に加え、中国、台湾、ベトナム、エジプトにゆかりのある方々も参加し、東京の中心で夏の伝統行事と歴史景観を一緒に楽しむ国際色豊かな夜となりました。

集合時刻にはまだ空に明るさが残っていましたが、時間が進むにつれて水辺は夕景から夜景へ変化していきます。会場は非常に混雑していたものの、明るい時間の千鳥ヶ淵と、暗くなってから水面に灯りが広がる様子の両方を見ることができました。

品川弥二郎像の下で集合する参加者
品川弥二郎像の下に集合した参加者の皆さん。
品川弥二郎像の前で二グループに分かれて自己紹介する参加者
品川弥二郎像前で二つのグループに分かれて自己紹介。

開催概要

  • イベント名:皇居 千鳥ヶ淵の灯ろう流しにいこう!
  • 開催日時:2026年7月22日(水)19:00〜20:15
  • 参加人数:32名
  • 集合場所:九段坂公園の品川弥二郎像
  • 終了場所:千鳥ヶ淵ボート場の屋上

2026年の「皇居 千鳥ヶ淵 灯ろう流し」は7月22日と23日に開催され、公式案内では19時から20時ごろが見頃とされていました。千鳥ヶ淵ボート場、千鳥ヶ淵緑道、九段坂公園、北の丸公園が主な観覧場所となり、私たちも九段坂公園側から人の流れに合わせて水辺の景色を見ていきました。

集合場所の品川弥二郎像

集合場所にしたのは、九段坂公園に立つ品川弥二郎しながわ やじろう像です。案内文では「弥次郎」と書かれる場合もありますが、千代田区観光協会の公式表記は「品川弥二郎」です。像は牛ヶ淵うしがふちを望む九段坂公園内にあり、高い台座の上から周囲を見渡すように立っています。

品川弥二郎は長州藩出身の人物で、15歳で吉田松陰の松下村塾しょうかそんじゅくに入りました。幕末には尊皇攘夷そんのうじょうい運動や倒幕運動に関わり、明治維新後は欧州に派遣され、駐独公使、農商務大輔、内務大臣などを歴任しました。一方、内務大臣時代には選挙干渉の責任を問われて辞任しています。功績だけでなく、近代国家が形づくられる過程の政治的な緊張も映し出す人物です。

銅像は高村光雲の監督、木山白雲の原型によるものとされます。灯ろう流しへ向かう前にこの像を眺めることで、九段周辺が江戸城の濠、明治の人物像、現代の公園や行事が重なる場所であることを確認できました。

多くの来場者で混雑する九段坂公園と千鳥ヶ淵
多くの来場者でにぎわう九段坂公園と千鳥ヶ淵。

千鳥ヶ淵とは

千鳥ヶ淵ちどりがふちは、皇居を取り巻く濠の一つです。皇居外苑には12の濠があり、環境省は、濠や城門などの歴史的構造物と緑地が一体となった景観を皇居外苑の大きな特徴として紹介しています。千鳥ヶ淵は桜の名所として有名ですが、もともとは江戸城を支えた水辺でもありました。

千代田区観光協会によると、江戸開府当時には麹町方面から流れる小川をせき止め、水を確保するダムのような役割を担ったとされています。「千鳥ヶ淵」という名の由来は、冬に都鳥などが集まったためという説や、濠の形が千鳥に似ているためという説などがあり、確定した一説だけではありません。

現在の千鳥ヶ淵緑道は、靖国通りから北の丸公園沿いに続く約700メートルの遊歩道です。春には桜、夏には深い緑と水辺、そして灯ろう流しと、季節によって印象が大きく変わります。また、皇居の濠は都市部に残された貴重な生態系でもあり、環境省は水質改善や水生植物・動物の保全に取り組んでいます。歴史遺構であると同時に、現在も管理と保全が続く都市の自然環境なのです。

会場で販売されていた色とりどりの手持ち提灯
会場に並んだ色とりどりの手持ち提灯。
夕暮れの千鳥ヶ淵緑道から灯ろう流しを眺める参加者
夕暮れの千鳥ヶ淵緑道から灯ろう流しを眺めます。

千鳥ヶ淵灯ろう流しとは

「皇居 千鳥ヶ淵 灯ろう流し」は、千代田区と千代田区観光協会が主催する夏の行事です。2026年は約2,000個の灯ろうが用意され、一つひとつに感謝、希望、平和への願いを込めて水面へ送る催しとして開催されました。

灯籠流しとうろうながしは、灯りをともした灯籠を川や海などに流す行事の総称です。地域によって、先祖や死者を送る盆行事、慰霊、平和への祈り、地域の納涼行事など意味合いは異なります。千鳥ヶ淵では、個人の願いを記した灯ろうと、皇居の濠という歴史的な場所が重なり、静かな祈りと都市の夏祭りの両面を感じられます。

公式には、ボートから直接流す「船上灯ろう」と、事前購入した灯ろうをスタッフに預けて流してもらう方法が案内されていました。観覧は無料で、多くの人が千鳥ヶ淵緑道、九段坂公園、北の丸公園から水面を見守ります。暗くなるほど一灯一灯の光が際立ち、まとまりながらゆっくり移動する様子が、この行事ならではの景観をつくります。

千鳥ヶ淵緑道から灯ろうとボートを撮影する参加者
千鳥ヶ淵緑道から灯ろうとボートを撮影する参加者。
千鳥ヶ淵の灯ろうと北の丸公園会場の青いライトアップ
灯ろうの光と、青く照らされた北の丸公園側の景色。

明るい水辺から、灯りの夜へ

19時の集合時点では、周囲の景色を見渡せる程度の明るさが残っていました。九段坂公園から千鳥ヶ淵方面へ進むと、木々の緑、濠の水面、対岸の景観が夕暮れの中に見えます。灯ろう流しというと暗闇に浮かぶ光を思い浮かべますが、実際には日没前後の変化も見どころです。

この日は大勢の観覧者が訪れ、緑道や観覧場所はかなりの人混みでした。32名のグループで行動するため、周囲の通行を妨げないよう注意しながら、見える場所を少しずつ移動しました。人の多さも、この行事が千代田区の夏の風物詩として定着していることを実感させます。

夜の千鳥ヶ淵に浮かぶ灯ろうと青く照らされた北の丸公園
夜の千鳥ヶ淵に浮かぶ灯ろうと、青く照らされた北の丸公園。
千鳥ヶ淵の水面に広がる灯ろうとボート
水面に広がる灯ろうと、その間を進むボート。

空が暗くなるにつれて、灯ろうの光は水面にはっきりと映るようになりました。近くの灯りは輪郭まで見え、遠くの灯りは小さな点となって連なります。水面の揺れによって光が伸びたり縮んだりするため、同じ場所を見ていても景色は刻々と変わりました。

千鳥ヶ淵ボート場屋上から眺めた灯ろう流し
千鳥ヶ淵ボート場の屋上から眺めた灯ろう流し。

多国籍の参加者と楽しむ日本の夏

今回は、日本の方だけでなく、中国、台湾、ベトナム、エジプトにゆかりのある参加者も加わりました。灯ろう流しは説明がなくても視覚的に楽しめますが、その背景にある祈りや慰霊、地域行事としての意味を知ると、見え方がさらに深まります。

また、千鳥ヶ淵の周辺には江戸城の濠、北の丸公園、明治期の人物像、戦争の記憶に関わる施設など、異なる時代の歴史が集中しています。一つの景色を入口に、江戸、明治、戦後、そして現在の国際都市・東京へと話題を広げられることも、歴史散歩の面白さです。

ボート場の屋上で終了

最後は千鳥ヶ淵ボート場の屋上で灯りの広がる水面を眺め、20時15分ごろに終了しました。明るい時間には濠や木々の形がよく見え、暗くなると主役が灯ろうの光へ移ります。一度の散歩で二つの表情を楽しめたことが、今回の大きな魅力でした。

会場の混雑は大変でしたが、それ以上に、皇居の濠に数多くの灯りが浮かぶ光景は印象的でした。歴史的な水辺を舞台に、願いや祈りが現代の都市の風景として共有される——千鳥ヶ淵灯ろう流しは、見る楽しさと学ぶきっかけの両方を持つ行事です。

まとめ

今回のゆる歴史散歩会では、品川弥二郎像を集合地点に、千鳥ヶ淵の成り立ちと皇居の濠の役割を学びながら、夕暮れから夜へ移り変わる灯ろう流しを鑑賞しました。32名での散歩は国際交流の場にもなり、日本の夏の行事をさまざまな背景を持つ参加者と共有できました。

ゆる歴史散歩会では、歴史初心者や一人参加の方にも楽しんでいただけるよう、現在の風景と歴史を結びつける街歩きを行っています。これからも、季節の行事や地域の文化を入口に、東京の歴史をゆっくり歩いていきます。

参考資料

TimeWalkのご紹介

今回のイベントではTimeWalkを利用していません。TimeWalkは、歴史スポットの解説をスマートフォンで読みながら街を歩ける、ゆる歴史散歩会のセルフガイドサービスです。予習や復習、別の日の歴史散歩にご活用ください。

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