2025年8月15日(金)の朝、ゆる歴史散歩会では21名で、東京都千代田区九段南にある駐日インド大使館の独立記念日式典を訪れました。今回のテーマは、街歩きとは少し趣向を変えた「大使館で体験するインドの歴史と文化」です。早朝7時40分に集合し、屋外での国歌斉唱と国旗掲揚、屋内での大使挨拶などを見学しました。

大使館という日常とは異なる場所に足を踏み入れ、英語で進む式典を見守り、最後にはインドの軽食を味わう――。歴史上の「独立」という大きな出来事を、現在の外交と文化交流の場で感じる貴重な時間になりました。
参加前に知っておきたい大使館入場の注意点
大使館への入場には、顔写真付きの身分証明書が必要です。今回の現地対応では、日本の運転免許証が身分証として認識されない場面があったため、パスポートやマイナンバーカードを用意するのが無難です。大きな荷物は避け、警備や入場確認には余裕をもって臨む必要があります。
会場では基本的に日本語は通じず、式典も英語で進行しました。ただし、参加者は演説や儀礼を観覧することが中心なので、英会話ができなくても見学自体に大きな支障はありません。周囲はインド出身者やインドに縁のある方が多く、日本人は少数でした。その環境も含めて、東京にいながら異文化の中へ入っていく体験になりました。
屋外で国歌斉唱と国旗掲揚
式典の最初は大使館の屋外で行われました。青空の下、参加者が旗竿を囲み、インド国歌の斉唱に続いて国旗が掲揚されます。オレンジ、白、緑の三色と、中央の青いアショーカ・チャクラが上がっていく様子を、多くの人が静かに見守りました。

国旗掲揚は短い儀礼ですが、独立国家としての歩みを毎年確認する象徴的な時間です。2025年はインドの第79回独立記念日にあたり、駐日インド大使館の式次第では、午前8時の国旗掲揚と国歌、その後に大統領の国民向け演説の朗読、学生による愛国歌の歌唱が案内されていました。
屋内で駐日インド大使の挨拶を聞く
国旗掲揚の後は屋内へ移動し、駐日インド大使による挨拶や、大統領演説の朗読などが行われました。会場にはインド国旗が並び、独立記念日を祝う装飾が施されています。式典は英語でしたが、壇上に注目し、国の節目を祝う場の雰囲気を感じるだけでも十分に参加できます。

大使館は外交実務の拠点であると同時に、自国の文化や歴史を紹介する窓口でもあります。独立記念日の式典では、過去の独立運動を記憶するだけでなく、現在のインド社会や、開催国である日本とのつながりを確認する意味もあります。
インドの独立記念日とは
インドの独立記念日は毎年8月15日です。1947年8月15日、イギリスによる植民地支配から独立し、主権を持つ国家として新たな歩みを始めたことを記念します。独立は一日で実現したものではなく、長期にわたる政治運動、社会運動、交渉、多くの人々の犠牲の上に成立しました。
独立運動を語るうえでよく知られる人物が、非暴力・不服従を掲げたマハトマ・ガンディーです。一方で、独立への道は一人の指導者だけで説明できるものではありません。インド国民会議の政治活動、各地の民衆運動、宗教・地域・階層ごとの多様な主張、第二次世界大戦後の国際環境などが重なって、1947年の独立へつながりました。
同時に、独立時には英領インドがインドとパキスタンに分離され、大規模な人口移動と衝突も起きました。祝祭の日である一方、独立の喜びと分離の痛みが隣り合う歴史でもあります。現在の式典で国旗を掲げ、大統領の演説を読み上げることには、国家の成立を祝い、これからの社会を考える意味があります。
日印関係の歴史を簡単にたどる
日本とインドの交流は、近代外交より前の仏教文化の伝来までさかのぼる長い背景を持ちます。近代以降は、思想家や文化人の交流、アジアの自立をめぐる議論などを通して関係が深まりました。
第二次世界大戦後の1949年、インドの首相ジャワハルラール・ネルーは、戦後の日本の子どもたちを励ますため、上野動物園へ象「インディラ」を贈りました。1952年4月28日には日本とインドが平和条約を結び、外交関係を樹立します。さらに1958年、日本が初めて供与した円借款の相手国がインドでした。
その後、経済協力、鉄道や都市インフラ、人的交流、安全保障など、関係は幅広い分野へ拡大しました。2014年には両国関係が「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」へ引き上げられています。大使館の独立記念日式典に日本から参加することも、政府間だけではない市民レベルの交流の一つです。
式典後はインドの軽食とドリンク
式典が終わると、来場者に軽食とドリンクが無料で配布されました。会場には箱入りのスナックが整然と並び、飲み物も十分に用意されていました。儀礼の緊張感から一転し、参加者が食文化を通じて交流する時間です。


今回いただいたのは、サモサをはじめとする揚げ物とスイーツです。サモサは、小麦粉の皮にスパイスで味付けしたジャガイモや豆などを包んで揚げる、インドで広く親しまれている軽食です。甘い菓子と香辛料のきいた料理が同じ箱に入り、味の幅広さも楽しめました。

歴史を学ぶイベントというと、史跡や博物館を思い浮かべがちです。しかし、国歌、国旗、演説、服装、食事、会場で交わされる言葉も、現在進行形の歴史文化を理解する資料です。今回の式典は、普段の生活では出会いにくいインドの雰囲気を、五感で味わえる機会でした。
2026年の独立記念日式典について
インドの独立記念日は毎年8月15日のため、2026年も8月15日(土)が記念日です。駐日インド大使館では過去の複数年にわたり、朝に集合し、国旗掲揚、国歌斉唱、大統領演説の朗読、大使挨拶という流れで式典が行われています。
ただし、2026年の東京での一般参加方法、集合時刻、持ち物などの詳細は、この記事作成時点で確認できる公式案内が見当たりません。例年と同様の流れが予想されますが、参加を考える場合は、必ず直前に駐日インド大使館公式サイトの「Upcoming events」や案内を確認してください。身分証明書の扱いや警備上の注意事項は変更される可能性があります。
まとめ――東京で体験した「現在につながる歴史」
今回の開催レポートでは、21名で駐日インド大使館の独立記念日式典を訪れました。屋外の国旗掲揚から、英語で行われる屋内式典、インドの軽食まで、普段の歴史散歩とは異なる形でインドの近現代史と文化に触れました。
英語が得意でなくても、儀礼を観覧し、場の雰囲気を感じることはできます。一方、大使館は通常の観光施設ではないため、顔写真付き身分証、荷物、時間、警備ルールなどへの配慮が欠かせません。そうした緊張感も含め、国家間の交流を支える場所を知る学びになりました。
ゆる歴史散歩会では、史跡を歩くだけでなく、祭り、文化行事、施設見学などを通して、歴史が今の暮らしにどう続いているかを体験しています。一人参加や歴史初心者の方でも、知識を持ち寄りながら楽しめる活動を目指しています。
歴史散歩の予習・復習にはTimeWalk
今回はTimeWalkを利用していませんが、街の歴史や見どころをスマートフォンで確認しながら歩けるサービスです。ほかの歴史散歩の予習や復習にご活用ください。

