5大商社の平均年収は約1,957万円|役員報酬・役職・学歴・経歴を最新データで比較

丸の内にある現在の三菱商事ビルディング

5大商社で働く社員の平均年間給与を単純平均すると、2026年3月期は約1,957万円です。最も高い三菱商事は2,112万5,472円、三井物産も2,058万9,000円に達しました。

経営陣では、岡藤正広おかふじ まさひろ伊藤忠商事会長CEOの2025年度報酬総額が19億8,400万円、中西勝也なかにし かつや三菱商事社長が10億600万円、堀健一ほり けんいち三井物産社長CEOが7億6,200万円でした。

役員報酬の総額には固定給のほか、利益や株価に連動する賞与、株式報酬などが含まれます。会長、社長、CEO、代表取締役、執行役員も同じ意味の肩書ではありません。

以下では、社員の平均年間給与、2025年度に個人別報酬が開示された29人の役職・学歴・キャリア、5社の報酬制度を順に整理します。

5大商社の平均年収は約1,957万円

2026年3月期の有価証券報告書などに記載された「平均年間給与」を並べると、三菱商事が2,112万5,472円で最も高く、三井物産が2,058万9,000円、伊藤忠商事が1,991万1,534円で続きます。

会社平均年間給与平均年齢
三菱商事21,125,472円42.3歳
三井物産20,589,000円42.0歳
伊藤忠商事19,911,534円42.0歳
住友商事18,402,971円43.3歳
丸紅17,843,699円42.5歳
5社単純平均19,574,535円(約1,957万円)約42.4歳

5社単純平均は19,574,535.2円で、加重平均ではありません。各社の「平均年間給与」は原則として提出会社単体の従業員を対象とした数字です。例えば伊藤忠商事は2026年3月末時点で単体4,125人、連結11万4,570人ですが、1,991万1,534円は単体の平均年間給与です。

各社で集計対象の細部は異なります。三菱商事は超過勤務手当と賞与を含み、住友商事は18,402,971円とは別に、嘱託を除く場合は18,906,975円と注記しています。数万円・数十万円単位の差だけを切り取らず、各社の算定条件も合わせて見る必要があります。

社長・会長・CEO・代表取締役は何が違うのか

「取締役」は会社法上の機関である取締役会の構成員で、経営の重要事項を決め、業務執行を監督します。「代表取締役」は会社を対外的に代表する権限を持つ取締役です。

「執行役員」は会社が独自に置く業務執行上の役職で、原則として会社法上の機関ではありません。これに対し「執行役」は、指名委員会等設置会社で会社法上置かれる業務執行者です。丸紅は2026年に指名委員会等設置会社へ移行したため、「執行役員」と「執行役」を区別して読む必要があります。

「社長」「会長」は会社内で使われる役位・呼称です。代表権の有無は「代表取締役」「代表執行役」などで確認します。「CEO」「COO」「CFO」はそれぞれ最高経営責任者、最高執行責任者、最高財務責任者という職責を示す呼称です。

株式会社の株主、社長、取締役の関係は、「株式会社とは何か|株主・社長・取締役・上場の仕組みを歴史から理解する」で詳しく解説しています。

個人の報酬額が分かるのは1億円以上の役員

有価証券報告書の役員報酬開示では、連結報酬等の総額が1億円以上の役員について個人別の報酬額を開示する仕組みがあります。5大商社の2025年度有価証券報告書などで個人別に開示されたのは計29人でした。

以下の表は、すべての役員を報酬順に並べたランキングではなく、個人別の報酬額が開示された役員を会社別に整理したものです。個人別開示のない役員の報酬は推定していません。

株式報酬は、その年度に全額を現金で受け取った金額と同じ意味ではありません。会社によっては当該年度に会計上費用計上した額が含まれます。また、百万円単位の丸めや切り捨てにより、種類別の内訳合計と報酬総額が一致しない場合があります。

伊藤忠商事――19.84億円の岡藤会長、10.78億円の石井社長

東京都港区北青山にある伊藤忠商事東京本社
伊藤忠商事東京本社。撮影:Lombroso/Wikimedia Commons/Public Domain。

伊藤忠商事では2025年度、6人の報酬が1億円を超えました。

氏名2025年度の主な役職学歴・主な経歴報酬総額
岡藤正広おかふじ まさひろ代表取締役会長・会長執行役員・CEO東京大学経済学部。繊維・ブランド事業を中心に歩み、社長を経て会長CEO19.84億円
石井敬太いしい けいた代表取締役社長・社長執行役員・COO・CSO早稲田大学法学部。化学品、海外事業、エネルギー・化学品部門など10.78億円
都梅博之つばい ひろゆき代表取締役副社長執行役員・機械カンパニープレジデント一橋大学商学部。機械・プラント、海外事業を中心に担当8.23億円
小林文彦こばやし ふみひこ代表取締役副社長執行役員・CAO等東京外国語大学外国語学部ロシア語学科。木材、海外事業、人事・総務など7.52億円
鉢村剛はちむら つよし代表取締役副社長執行役員・CFO等早稲田大学法学部。金属、財務・経理など7.43億円
中宏之なか ひろゆき代表取締役・CXO等京都大学経済学部。繊維、事業戦略、デジタル・経営企画など2.57億円

岡藤氏の19.84億円のうち月例報酬は1.91億円で、業績連動型賞与5.73億円、株価連動型賞与1.40億円、BIP信託1.92億円、RS報酬8.89億円などが加わっています。伊藤忠は短期・中長期の報酬を連結純利益と強く連動させ、株価連動型賞与では自社株価とTOPIXの相対評価も用います。

2026年6月19日時点では、岡藤氏は会長CEO、石井氏は社長COO兼CSO、都梅氏は機械カンパニープレジデント兼COO補佐、中氏はCFO兼CXOです。小林氏と鉢村氏は2026年3月31日付で取締役・執行役員を退任し、4月から顧問となりました。

三菱商事――社長報酬10.06億円、会長は固定報酬3.35億円

丸の内にある現在の三菱商事ビルディング
現在の三菱商事ビルディング(2024年)。撮影:Kakidai/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。

三菱商事で2025年度に1億円以上を開示したのは6人です。

氏名2025年度の主な役職学歴・主な経歴報酬総額
垣内威彦かきうち たけひこ取締役会長京都大学経済学部。農水産・生活産業を中心に歩み、社長を経て会長3.35億円
中西勝也なかにし かつや代表取締役社長東京大学教養学部。中東・中央アジア、新エネルギー・電力など10.06億円
塚本光太郎つかもと こうたろう代表取締役副社長執行役員・社長補佐・CCO上智大学経済学部。鉄鋼、メタルワン、金属資源、総合素材など3.51億円
柏木豊かしわぎ ゆたか代表取締役常務執行役員・人事、地域、IT担当慶應義塾大学法学部。環境、電力ソリューション、国内開発、IT・人事など2.66億円
野内雄三のうち ゆうぞう代表取締役常務執行役員・CFO一橋大学商学部。主計・財務を中心に担当2.66億円
野島嘉之のじま よしゆき代表取締役常務執行役員・総務、法務担当学歴は公表資料で確認できず。法務部長、総務部長を経て総務・法務を担当2.66億円

中西氏の10.06億円は、基本報酬1.78億円、個人業績連動報酬1.75億円、業績連動賞与1.52億円、株価連動型株式報酬4.99億円で構成されています。株価連動型株式報酬は当連結会計年度に費用計上した金額で、実際に交付・支給される金額とは異なると会社が注記しています。

三菱商事は短期報酬で営業収益キャッシュフロー、ROE、サステナビリティなどを組み合わせ、中長期の株式報酬では自社TSRと配当込みTOPIXの成長率を比較します。

2026年6月19日時点で垣内氏は取締役会長、中西氏は代表取締役社長、野島氏はGeneral Counsel・CCOを兼ねる代表取締役常務執行役員です。野内氏はCFOを離れ、取締役・常勤監査等委員となりました。塚本氏と柏木氏は2026年4月に取締役となった後、6月の株主総会で退任しています。

三井物産――利益だけでなくキャッシュ創出も報酬に反映

東京都千代田区大手町の三井物産本社ビル
三井物産本社ビル(2024年)。撮影:Kakidai/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。

三井物産では6人が1億円以上でした。

氏名2025年度の主な役職学歴・主な経歴報酬総額
安永竜夫やすなが たつお代表取締役会長東京大学工学部。機械・輸送システムを経て社長CEO、会長5.38億円
堀健一ほり けんいち代表取締役社長・CEO慶應義塾大学経済学部。化学品、海外、IR、経営企画など7.62億円
竹増喜明たけます よしあき代表取締役副社長執行役員・CHRO・CCO慶應義塾大学法学部。人事総務を中心に担当3.46億円
重田哲也しげた てつや代表取締役副社長執行役員・CFO一橋大学商学部。経理・財務を中心に担当3.45億円
中井一雅なかい かずまさ代表取締役専務執行役員・CSO早稲田大学政治経済学部。プロジェクト、戦略など2.71億円
福田哲也ふくだ てつや代表取締役専務執行役員慶應義塾大学理工学部。複数事業・コーポレート領域を担当2.61億円

堀氏の7.62億円は、基本報酬1.58億円、賞与2.95億円、業績連動型株式報酬1.67億円、在任条件型株式報酬1.43億円で構成されています。

三井物産は短期賞与で当期利益と基礎営業キャッシュ・フローを重視します。長期株式報酬にはROEやESG要素も組み込み、利益だけでなくキャッシュ創出、資本効率、中長期の企業価値を報酬指標に含めています。

2026年6月17日時点で安永氏は代表取締役会長・取締役会議長、堀氏は代表取締役社長・CEO、中井氏は代表取締役副社長執行役員、福田氏は代表取締役専務執行役員です。竹増氏は6月17日付で取締役を退任して顧問となり、重田氏は常勤監査役となりました。

住友商事――5社の中では報酬総額が比較的抑えられた設計

住友商事で1億円以上を開示したのは5人です。

氏名2025年度の主な役職学歴・主な経歴報酬総額
兵頭誠之ひょうどう まさゆき取締役会長京都大学大学院工学研究科修士課程。電力・インフラ、海外事業、経営戦略など2.45億円
南部智一なんぶ としかず取締役副会長京都大学経済学部。鋼管、海外事業、メディア・デジタルなど1.81億円
上野真吾うえの しんご取締役社長執行役員・CEO慶應義塾大学商学部。鋼管、欧州・北米、エネルギー・資源など3.79億円
清島隆之せいしま たかゆき取締役副社長執行役員東京大学法学部。人事・法務などコーポレート部門、海外勤務1.98億円
諸岡礼二もろおか れいじ取締役副社長執行役員東京大学経済学部。輸送、財務・リスクマネジメントなど1.96億円

上野氏の3.79億円は、例月報酬1.05億円、業績連動賞与1.25億円、譲渡制限付業績連動型株式報酬1.50億円です。住友商事は、この株式報酬について当期に会計処理上費用計上した金額を記載すると注記しています。

社長CEOの標準的な報酬構成は、業績等が100%の状態で固定27%、業績連動賞与33%、株式40%です。短期賞与では純利益とROE12%となる利益水準などを参照し、個人評価では財務・非財務双方の指標を使います。

2026年6月29日時点で兵頭氏は取締役会長、南部氏は取締役副会長、上野氏は取締役社長執行役員CEO、諸岡氏は取締役副社長執行役員です。清島氏は2026年3月末に執行役員を退任し、4月に取締役社長付となった後、6月29日時点の役員一覧には掲載されていません。

丸紅――2026年に「取締役」と「執行」の制度が大きく変化

東京都千代田区大手町にある丸紅本社ビル
丸紅本社ビル(2024年)。撮影:Kakidai/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。

丸紅では6人が1億円以上でした。

氏名2025年度の主な役職学歴・主な経歴報酬総額
柿木真澄かきのき ますみ取締役会長東京大学法学部。電力・機械、海外事業などを経て社長、会長5.81億円
大本晶之おおもと まさゆき代表取締役社長早稲田大学商学部、Harvard Business School MBA。電力・エネルギー、マッキンゼー、次世代事業など4.15億円
及川健一郎おいかわ けんいちろう代表取締役副社長執行役員東京大学工学部。不動産、経営戦略、デジタルなど1.88億円
古谷孝之ふるや たかゆき代表取締役専務執行役員・CFO等神戸大学経済学部。経営企画・財務を中心に担当2.81億円
國分文也こくぶ ふみや取締役・名誉顧問慶應義塾大学経済学部。石油・ガス、海外・エネルギーなどを経て社長、会長1.79億円
寺川彰てらかわ あきら取締役・特別顧問東京大学経済学部。化学品、素材、食料・アグリなど1.16億円

2025年度で最も高かったのは会長の柿木氏で、5.81億円のうちTSR連動型譲渡制限付株式が3.69億円を占めました。大本氏は4.15億円で、月例報酬8,300万円、業績連動賞与等1.11億円、譲渡制限付株式6,200万円、TSR連動型株式1.59億円でした。

丸紅は2026年6月19日に指名委員会等設置会社へ移行しました。大本氏は「取締役・代表執行役社長」、及川氏は「取締役・代表執行役副社長」となり、会社法上の「執行役」を置く体制へ変わっています。古谷氏は専務執行役員で、取締役は機関設計変更に伴い退任しました。

報酬制度では純利益や基礎営業キャッシュ・フローに連動する短期インセンティブに加え、TSRを用いた中長期株式報酬を採用しています。2026年度の代表執行役社長では、連結純利益5,000億円・基礎営業キャッシュ・フロー6,000億円の前提で「月例報酬:短期インセンティブ:中長期インセンティブ」が概ね1:1:2となる設計です。

5社の報酬制度を同じ物差しで比べる

会社短期報酬で重視する指標中長期報酬の主な指標・特徴
伊藤忠商事連結純利益株価、TOPIXとの相対評価、株式報酬
三菱商事営業収益キャッシュフロー、ROE、サステナビリティTSRと配当込みTOPIXの相対比較
三井物産当期利益、基礎営業キャッシュ・フローROE、ESG、株式報酬
住友商事純利益、ROE、個人評価株式成長率、財務・非財務評価
丸紅純利益、基礎営業キャッシュ・フローなどTSR、TOPIXとの相対評価

5社とも固定給だけで役員報酬を決めていません。伊藤忠商事は純利益と株価、三菱商事と三井物産はキャッシュフロー、住友商事はROEや非財務評価、丸紅はTSRを含む中長期評価を組み合わせています。

株式報酬は、経営陣の報酬を中長期の企業価値や株主リターンと結びつける仕組みです。ただし、開示表に記載された株式報酬額には会計上の費用認識が含まれる場合があるため、現金給与と同じ読み方はできません。

学歴よりも「どの事業を歩いたか」に会社ごとの色が出る

29人の学歴には、東京大学、京都大学、一橋大学、慶應義塾大学、早稲田大学、上智大学、東京外国語大学、神戸大学などが並びます。学歴と昇進や報酬の因果関係を示すデータではなく、公開資料で確認できた経歴情報として整理したものです。

職歴は多様です。伊藤忠商事の岡藤氏は繊維、三菱商事の中西氏は新エネルギー・電力、三井物産の安永氏は機械・輸送、住友商事の上野氏は鋼管・エネルギー、丸紅の柿木氏は電力・機械を主な足場として経営トップへ進みました。CFO経験者には主計・経理・財務を長く担当した人物が多く、法務・総務・人事から経営中枢に入った人物もいます。

総合商社がどのように成立し、現在の事業投資型企業へ変わったのかは、「総合商社とは何か|三井物産・三菱商事から見る日本独自のビジネスの歴史」でたどれます。三井・三菱・住友の歴史的背景は、「財閥とは何か|三井・三菱・住友・安田からわかる日本近代経済史」で解説しています。

まとめ

2026年3月期の5大商社の平均年間給与は、単純平均で約1,957万円です。三菱商事と三井物産は2,000万円を超えました。

2025年度に個人報酬1億円以上として開示された役員は5社で29人です。最高額は伊藤忠商事の岡藤正広会長CEOの19.84億円で、月例報酬1.91億円に業績連動賞与、株価連動型賞与、株式報酬などが加わっています。

5社の制度には、純利益、キャッシュフロー、ROE、TSR、株価、非財務評価などが組み込まれています。役員の経歴も、繊維、電力、機械、鋼管、法務、財務などに分かれ、総合商社の事業領域の広さが経営陣のキャリアにも表れています。