FRBとは何?民間企業?大統領は利下げを命令できる?FOMCをQ&Aで解説

ワシントンD.C.のFRB本部マリナー・S・エクルズ・ビルディング

米国の金利ニュースでは、FRB、Fed、FOMC、地区連銀という言葉が次々に出てきます。最初に関係を整理すると、米国の中央銀行制度全体がFedです。Fedの中に、ワシントンD.C.の理事会、12の地区連銀、金融政策を決める連邦公開市場委員会れんぽうこうかいしじょういいんかい(Federal Open Market Committee、FOMC)があります。

米国の中央銀行制度全体の正式名称は連邦準備制度れんぽうじゅんびせいど(Federal Reserve System)です。英語ではFederal Reserve、またはFedと呼ばれます。日本語ニュースでは、この制度全体を「FRB」と呼ぶこともありますが、厳密にはFRBはワシントンD.C.の連邦準備制度理事会を指します。FRBの正式名称はBoard of Governors of the Federal Reserve Systemです。

本文で使う主な略称は、フェデラルファンド金利(federal funds rate、FF金利)、量的緩和(Quantitative Easing、QE)、量的引き締め(Quantitative Tightening、QT)、米財務省製版印刷局(Bureau of Engraving and Printing、BEP)です。FOMCは連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)の略称です。

2026年9月2日現在、FRB議長はケビン・ウォーシュです。米国の政策金利であるフェデラルファンド金利の目標は3.50~3.75%です。7月28~29日のFOMCでは、9人が据え置き、3人が0.25%の利上げを支持しました。政策金利はFOMCの投票で決まります。

大統領の権限、議会との関係、歴代政権の流れとあわせて読む場合は、歴代アメリカ大統領一覧と政治制度の解説から全体像を確認できます。

まずFRB・Fed・FOMCの違いを整理

Q1 FRBとは何ですか?

答え:FRBは、厳密にはワシントンD.C.にある7人の連邦準備制度理事会です。

米国の中央銀行制度全体はFederal Reserve Systemで、一般にFedと呼ばれます。その中に、7人の理事からなる連邦準備制度理事会れんぽうじゅんびせいどりじかい(Board of Governors)、12の地区連銀、FOMCがあります。

日本語ニュースではFed全体を「FRB」と呼ぶことが多いため、記事やニュースを読むときは「理事会だけを指しているのか、米国の中央銀行全体を指しているのか」を文脈で判断する必要があります。

Q2 FRB・Fed・FOMCは何が違いますか?

答え:Fedは中央銀行制度全体、FRBは中央の理事会、FOMCは金融政策を決める委員会です。

言葉意味
Fed / Federal Reserve System米国の中央銀行制度全体
Board of Governors / FRBワシントンD.C.にある7人の理事会。Fed全体を統括・監督する中心組織
12 Federal Reserve Banks全米12地区で実務を担う地区連邦準備銀行
FOMCFederal Open Market Committee。日本語では連邦公開市場委員会。金融政策を決める委員会
日本語ニュースではFed全体を「FRB」と呼ぶ場合があります。

Q3 アメリカの中央銀行は1つですか?12個ですか?

答え:中央銀行制度は1つです。ただし、その実務を12の地区連銀に分けています。

「12の銀行をまとめる親銀行が1つある」という形ではありません。12地区連銀の上に、銀行としての本店があるわけでもありません。

中央には7人のBoard of Governorsがあり、Fed全体を統括し、12地区連銀を監督します。金融政策はBoardの理事と地区連銀総裁が参加するFOMCで決めます。したがって、Fed=12地区連銀だけをまとめたものではなく、「中央の理事会+12地区連銀+FOMC」で一つの中央銀行制度と考えるのが正確です。

12地区は、ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、シカゴ、セントルイス、ミネアポリス、カンザスシティ、ダラス、サンフランシスコです。

Q4 なぜ12の地区連銀があるのですか?

答え:金融の力をワシントンやニューヨークだけに集中させず、各地域の経済を中央銀行の判断に反映させるためです。

1913年にFedが作られた当時の米国では、強い中央銀行への警戒がありました。そこで、中央に政府機関であるBoard of Governorsを置き、地域には12の地区連銀を置く分権型の制度が作られました。

地区の境界は州境と同じではありません。当時の商業や銀行取引のつながりも考えて決められています。

FRBは政府?民間企業?

Q5 FRBは民間企業なのですか?

答え:いいえ。FRB、つまりBoard of Governorsは連邦政府機関です。

ただし、Fed全体は政府機関だけでできている組織でもありません。12の地区連銀はそれぞれ独立した法人で、加盟する民間銀行が地区連銀のstockを持ちます。Fed公式も、この制度を「公的な性格と民間的な性格を組み合わせたもの」と説明しています。

「半官半民に近い」というイメージは大きく外れていませんが、日本の第三セクターと同じ制度ではありません。 日本の第三セクターは国や自治体と民間が共同出資する会社などを指すことが多いのに対し、Fedは連邦法で作られた中央銀行制度です。中央のBoardは政府機関、12地区連銀には民間的な仕組みが入るという独特の形です。

Q6 地区連銀の株を民間銀行が持つなら、民間銀行がFRBを支配しているのですか?

答え:いいえ。加盟銀行が地区連銀のstockを持っていても、普通の株式会社の株主のようにFedを支配することはできません。

加盟銀行は、自分の地区の連邦準備銀行のstockを持つことを法律で求められます。しかし、このstockは自由に売買できず、担保にもできません。地区連銀も株主利益を最大にする会社として運営されていません。

Board of Governorsが12地区連銀を監督します。地区連銀の取締役には民間銀行が選ぶ人もいますが、Boardが任命する取締役もいます。金融政策は地区連銀の株主総会ではなくFOMCが決めます。

誰がアメリカの金利を決める?

Q7 FRB議長が一人で政策金利を決めるのですか?

答え:いいえ。政策金利はFOMCの投票で決めます。FRB議長も1票を持つメンバーの一人です。

2026年7月28~29日のFOMCでは、政策金利を3.50~3.75%に据え置く案が9対3で可決されました。ウォーシュ議長は据え置きに賛成しましたが、ベス・ハマック、ニール・カシュカリ、ロリー・ローガンの3人は0.25%の利上げを支持しました。

FOMC議長は、ニュース上の役割では日銀総裁に近い立場です。 米国ではFRB議長がFOMC議長も務めますが、投票は12人のうち1票です。日本でも日銀総裁は金融政策決定会合の議長を務め、9人の政策委員のうち1票を持ちます。日銀側の人事、政府との関係、独立性は、日銀Q&Aで詳しく整理しています。

FRB本部エクルズ・ビルディング内のFOMCボードルーム
FRB本部エクルズ・ビルディングのボードルーム。2007年、Board of Governors of the Federal Reserve System / Public Domain。

Q8 FOMCでは誰が投票するのですか?

答え:2026年は12人です。Board of Governorsの7人、ニューヨーク連銀総裁1人、その他の地区連銀総裁4人が投票します。

名前所属役割
Kevin WarshBoard of GovernorsFOMC議長
John C. WilliamsNew York FedFOMC副議長
Michael S. BarrBoard of Governors投票メンバー
Michelle W. BowmanBoard of Governors投票メンバー
Lisa D. CookBoard of Governors投票メンバー
Beth M. HammackCleveland Fed地区連銀の輪番枠
Philip N. JeffersonBoard of Governors投票メンバー
Neel KashkariMinneapolis Fed地区連銀の輪番枠
Lorie K. LoganDallas Fed地区連銀の輪番枠
Anna PaulsonPhiladelphia Fed地区連銀の輪番枠
Jerome H. PowellBoard of Governors投票メンバー
Christopher J. WallerBoard of Governors投票メンバー
Federal Reserve公式、2026年FOMCメンバー。

Board of Governorsの7人は毎回投票します。ニューヨーク連銀総裁も常に投票します。残る4票を、その他11地区の連銀総裁が輪番で持ちます。前議長ジェローム・パウエルも2026年9月時点でBoard memberとして残り、FOMCで投票しています。

Q9 投票できない地区連銀総裁は会議に参加しないのですか?

答え:いいえ。投票権がない年でも、地区連銀総裁はFOMC会合に参加して議論します。

12地区の連銀総裁は経済状況や金融政策について意見を述べます。年ごとに輪番になるのは投票権です。

Q10 なぜニューヨーク連銀だけ毎年投票できるのですか?

答え:ニューヨーク連銀が、FOMCで決めた金融政策を市場で実行する中心拠点だからです。

ニューヨーク連銀総裁はFOMCの常任投票メンバーで、副議長を務めます。ニューヨーク連銀にはOpen Market Trading Deskがあり、FOMCの決定に従って米国債などを売買します。

ニューヨークが世界的な金融市場の中心地であるという歴史に加え、金融政策を市場で実際に動かす役割を持つため、他の地区連銀とは違う位置づけになっています。

大統領はFRBへ命令できる?

Q11 FRB議長は誰が選ぶのですか?

答え:大統領が指名し、上院が承認します。

ケビン・ウォーシュはドナルド・トランプ大統領の指名を受け、上院の承認を経て2026年5月22日に議長へ就任しました。

Boardの理事の任期は最長14年、議長としての任期は4年です。ウォーシュの議長任期は2030年5月21日まで、理事としての任期は2040年1月31日までです。

Q12 大統領は「利下げしろ」とFRBに命令できますか?

答え:いいえ。大統領に政策金利を命令する権限はありません。

大統領や政権は、利下げや利上げについて意見や批判を公に述べることはできます。しかしFOMCの決定に大統領の承認は必要なく、政策金利はFOMCが投票で決めます。

Fedはこの関係を「政府の中で独立している」と説明しています。議会が法律でFedの目標を決め、Fedがその目標を達成するための金融政策を判断します。

理事は、政策への考え方が政権と違うという理由だけで交代させる制度にはなっていません。長い任期は、選挙や政権交代による圧力から金融政策を離す仕組みの一つです。

Q13 ではFRBは誰にも止められない「独裁機関」なのですか?

答え:いいえ。Fedの権限と目標は議会が法律で決め、人事には大統領と上院が関わります。

Fedの権限は、米議会がFederal Reserve Actで与えています。金融政策の目標も議会が決めています。議会が法律を変えれば、Fedの制度そのものを変更できます。

議長と理事は大統領指名・上院承認で決まり、議長は議会で証言します。Fedは年2回Monetary Policy Reportを議会へ提出し、FOMC声明、議事要旨、記者会見、財務諸表も公開します。金融政策を決めるときは政治から一定の独立性を持ち、その代わりに議会と国民へ説明する仕組みです。

日本でも中央銀行の独立性は、法律、人事、国会への説明責任と組み合わされています。日銀の独立性と政府・国会との関係で詳しく整理しています。

FRBの「政策金利」とは何?

Q14 FRBが決める政策金利とは何ですか?

答え:銀行などが一晩だけお金を貸し借りするときの金利を、FOMCが目標の範囲へ誘導します。これがフェデラルファンド金利です。

正式には、フェデラルファンド金利(Federal Funds Rate)の「誘導目標レンジ」を決めます。フェデラルファンド市場では、銀行などがFedに持つ準備預金を翌日まで貸し借りします。その実際の市場金利を、Fedが政策手段を使って目標範囲へ近づけます。

日銀の政策金利と大きくは同じ理解で大丈夫です。 日本では、銀行同士が一晩だけお金を貸し借りする「無担保コールレート(オーバーナイト物)」を、2026年9月2日時点で1.0%程度で推移するよう日銀が促しています。米国も日本も、中央銀行が市場の翌日物金利を狙った水準へ動かす仕組みです。

「誘導目標」というのは、中央銀行が市場の取引金利を法律で1つの数字に固定するという意味ではありません。市場で実際に決まる金利を、準備預金につける金利や資金の出し入れを使って、目標に近づけるという意味です。日銀も同じように「1.0%程度で推移するよう促す」と決めています。

Q15 なぜ3.50%ではなく「3.50~3.75%」という幅なのですか?

答え:米国では、実際の市場金利を1つの数字ではなく、3.50~3.75%という範囲の中へ誘導する方式だからです。

銀行同士の貸し借りで決まる金利は毎日少し動きます。Fedは、銀行がFedに預ける準備預金へ支払う金利などを使って、その市場金利が目標レンジから大きく外れないようにします。

2026年7月29日の決定では、目標レンジは3.50~3.75%、準備預金への付利金利IORBは3.65%でした。日本は幅ではなく「1.0%程度」という形で目標を示しています。

なぜFRBは物価だけでなく雇用を見る?

Q16 FRBの目標は物価2%だけですか?

答え:いいえ。Fedには「物価の安定」と「雇用の最大化」という2つの大きな目標があります。

この2つはdual mandate、日本語では「二重の使命」と呼ばれます。物価については、PCE物価指数(Personal Consumption Expenditures Price Index、個人消費支出価格指数)の前年比2%を長期的な目標にしています。

雇用には「失業率○%」という固定した数字を置かず、失業率や雇用者数など複数の指標を見て判断します。

Q17 なぜCPIではなくPCE物価指数を見るのですか?

答え:Fedは、家計の支出をより広く捉え、消費の変化も反映しやすいPCE物価指数を2%目標の基準にしているからです。

CPIはConsumer Price Index、日本語では「消費者物価指数」です。消費者が自分で支払う商品やサービスの価格を中心に測ります。日本のニュースでもよく出てくる物価指数です。

PCEはPersonal Consumption Expenditures、日本語では「個人消費支出」です。PCE物価指数は、CPIより広い範囲の消費を対象にします。たとえば医療では、家計が窓口で払う分だけでなく、保険や政府が負担する分も含みます。また、人々が買う物を変えたときに、品目の重みも変わりやすい仕組みです。

ニュースではCPIも重要ですが、Fedが「物価上昇率2%」と言うときの正式な基準はPCE物価指数です。

FRBはドルを印刷している?

Q18 FRBは好きなだけドル紙幣を印刷できるのですか?

答え:いいえ。Fedが自分の判断で好きなだけ紙幣を印刷する仕組みではありません。

Federal Reserve notes、つまりドル紙幣の発行を担うのはBoard of Governorsです。Boardが必要な紙幣の枚数を見積もって発注し、実際の印刷は米財務省のBureau of Engraving and Printing(BEP)が行います。新しい紙幣の多くは、古くなって回収された紙幣の交換用です。

米財務省(U.S. Department of the Treasury)は、日本の財務省に近い政府機関です。BEPはその中で紙幣を製造する部門です。 日本で近い仕事をしているのは財務省そのものではなく、独立行政法人の国立印刷局です。日本では日銀が銀行券を発行し、国立印刷局が実際に製造します。

もう一つ、中央銀行には「銀行が中央銀行に持つ預金を増やす」力があります。Fedが国債などを買うときは、銀行がFedに持つ準備預金の残高を増やして代金を支払います。これは印刷機で紙幣を刷ることとは別です。

後で説明する量的緩和(QE)は、Fedが国債などを大規模に買う政策です。その支払いも主に準備預金を増やす形で行われます。「QE=紙幣を大量に印刷して配る」と考えると、紙幣の印刷と電子的な準備預金の増加が混ざってしまいます。

FRBは米国債を政府から直接買う?

Q19 FRBは米政府の赤字を直接お金で埋めているのですか?

答え:いいえ。Fedは、米政府が新しく発行する国債を財務省から直接買って赤字を埋める仕組みにはなっていません。

米財務省が新しい国債を発行するとき、Fedはその国債を財務省から直接買わず、国債入札の競争入札にも参加しません。

Fedが米国債を買うときは、すでに民間の金融機関などが持っている米国債を市場で買います。これを「流通市場で買う」といいます。実際の売買は、FOMCの指示を受けたニューヨーク連銀のOpen Market Trading Deskが行います。

市場でFedが国債を買えば国債金利へ影響するため、結果として政府の資金調達環境にも影響します。しかし「政府が新しく出した国債をFedがその場で引き受け、赤字を直接埋める」制度とは分けて考える必要があります。

米国債市場と国際的な資金移動が日本へどうつながるかは、円キャリートレードと米国債の逆回転で詳しく整理しています。

QEとQTは何?

Q20 QEとは何ですか?

答え:QEは、Fedが国債などを大量に買って、長期金利を下げたり景気を支えたりする金融政策です。

QEはQuantitative Easing、日本語では「量的緩和」です。政策金利を大きく下げる余地が少なくなったときなどに、Fedが長期国債や住宅ローン関連証券を大規模に買います。

Fedが大量に買うと、債券の価格が上がり、長期金利には下がる力がかかります。企業や家計がお金を借りる条件を緩め、景気を支えることが目的です。米国では2008年の金融危機後や2020年のコロナ危機後に大規模なQEが行われました。危機のたびに金融政策や経済学がどう変わったかは、経済危機が経済学を変えた歴史で解説しています。

Q21 QTとは何ですか?

答え:QTは、QEなどで増えたFedの保有国債などを減らし、中央銀行の資産を小さくしていく動きです。

QTはQuantitative Tightening、日本語では「量的引き締め」と呼ばれます。Fedが満期を迎えた国債の一部を買い直さないなどの方法で、保有する証券を減らします。

2022年6月から始まった縮小では、Fedの証券保有は2.2兆ドル超減りました。FOMCは2025年10月に縮小終了を決め、12月1日から保有証券の減少を止めました。2026年9月時点で、このQTは終了済みです。

Q22 2026年にFedが国債を買っているなら、QEが再開したのですか?

答え:いいえ。2026年の国債購入は、景気刺激を目的としたQEではなく、準備預金を十分に保つためのRMPです。

2025年12月に導入されたのが、準備預金管理のための資産購入(Reserve Management Purchases、RMP)です。2026年1月以降、Fedは主に短期のTreasury billsを買っています。

QEは長期金利を下げて景気を刺激することが目的です。RMPは、銀行がFedに持つ準備預金を十分な水準に保ち、短期金利を安定して動かすことが目的です。同じ「国債を買う」という行為でも、狙いが違います。

2026年7月のMonetary Policy Reportでは、Fedのバランスシートは約6.7兆ドル、準備預金は約3.1兆ドルでした。

FOMCニュースをどう読めばいい?

Q23 FOMCは年に何回ありますか?

答え:定例会合は年8回です。

必要に応じて臨時会合も開けます。2026年9月2日時点の次回会合は9月15~16日です。政策決定は米東部夏時間9月16日午後2時、日本時間では9月17日午前3時ごろに公表される予定です。その次は10月27~28日です。

Q24 FOMCが終わると何が発表されますか?

答え:政策金利などを書いた声明がまず発表され、その後に議長の記者会見、約3週間後に議事要旨が公表されます。

会合直後にはFOMC StatementとImplementation Noteが公表され、議長が記者会見を行います。議事要旨Minutesは通常、約3週間後に公表されます。

3月、6月、9月、12月の会合では、経済見通し(Summary of Economic Projections、SEP)も公表されます。FOMCの会議そのものは非公開です。

Q25 ドットチャートとは何ですか?

答え:FOMCの参加者一人ひとりが「将来、どの政策金利が適切だと考えるか」を点で示した図です。Fedの約束や予定表ではありません。

点はFOMC全体の決定ではなく、それぞれの参加者の見通しです。誰の点かも公表されません。景気や物価の見通しが変われば、次の公表で点も変わります。

2026年9月2日時点で最新のSEPは6月17日分で、2026年末のフェデラルファンド金利の中央値は3.8%でした。次のSEPは9月15~16日のFOMCで更新される予定です。

FRBの決定は日本にどう届く?

Q26 なぜ日本人もFOMCを気にするのですか?

答え:FOMCが米国の金利を動かすと、ドル円、輸入物価、日本の株や金利にも影響が及ぶからです。

流れを単純化すると、FOMCの決定 → 米国金利 → 米国債利回りやドル相場 → 日米金利差 → ドル円 → 日本の輸入物価や金融市場、となります。

日米金利差と円安の関係は、日銀利上げと米金利をつないだ解説で詳しく扱っています。米国債と国際的な資金移動は、円キャリートレードと米国債の逆回転で整理しています。

円安が輸入価格から日本の物価へ届く仕組みは、円安と物価の関係を一次資料で検証した記事で詳しく解説しています。

日銀とFRBは何が違う?

答え:どちらも中央銀行ですが、組織の作り方、政策目標、政策金利の示し方、紙幣を作る仕組みに違いがあります。

比較米国日本
中央銀行制度Federal Reserve System。Board+12地区連銀+FOMCの分権型日本銀行という一つの法人を中心に、本店・支店を置く
創設の背景1913年12月23日にFederal Reserve Act成立。1907年恐慌など相次ぐ金融危機を受け、安定した金融・銀行制度を作るため1882年6月に日本銀行条例制定、10月10日に開業。西南戦争後の紙幣増発とインフレを受け、通貨価値の安定と近代的な銀行制度を整えるため
主な根拠法創設時:Federal Reserve Act(1913年)
現在:Federal Reserve Act(1913年、以後多数の改正)
創設時:日本銀行条例(1882年)
現在:日本銀行法(平成9年法律第89号、1998年4月1日施行)
制度を作った考え方中央政府への権力集中を避け、地域や民間銀行の情報も取り込む一つの中央銀行に通貨・金融政策の機能を集める
金融政策決定機関FOMC政策委員会・金融政策決定会合
政策決定メンバー投票メンバー12人。Board7人+NY連銀総裁+輪番4人政策委員9人。総裁1人+副総裁2人+審議委員6人
主な政策目標雇用の最大化+物価の安定物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資する
2%目標の基準PCE物価指数消費者物価指数(CPI)
政策金利フェデラルファンド金利を目標レンジへ誘導。2026年9月2日時点3.50~3.75%無担保コールレート(オーバーナイト物)を目標付近へ誘導。2026年9月2日時点1.0%程度
金利は固定するのか市場金利を目標の範囲へ誘導する市場金利を「○%程度」で推移するよう促す
議長・総裁FRB議長はFOMC議長も務めるが、投票は1票日銀総裁は政策委員会の議長を務めるが、投票は1票
議長・総裁の任命大統領指名+上院承認内閣任命+衆参両院の同意
政府との関係議会が目標と制度を決め、金融政策の判断は独立日銀法が自主性を尊重し、政府との意思疎通も求める
紙幣を発行する主体Federal Reserve notesはBoard of Governorsが発行を担う日本銀行が日本銀行券を発行する
紙幣を実際に作る組織米財務省のBEP独立行政法人国立印刷局
国債購入時のお金Fedは準備預金を増やして支払える日銀も日銀当座預金を増やして支払える
政府の新発国債を直接買うか財務省から新発国債を直接購入せず、市場で購入する財政法5条で直接引受けを原則禁止。例外は国会の議決を経た範囲
2026年9月2日時点。制度の違いが分かるように主要点を比較。

米国は、中央の政府機関だけに権限を集めず、12地区連銀を組み合わせた分権型です。日本は一つの日本銀行に中央銀行機能を集めています。一方、金融政策の判断を短期的な政治圧力から離し、法律と人事と説明責任で統制するという考え方は共通しています。日本側の仕組みは、日銀と政府の関係をQ&Aで整理した記事で詳しく解説しています。

日米だけでなく、欧州中央銀行(European Central Bank、ECB)、中国、香港、CFAフランなど世界の中央銀行制度を比較する場合は、世界の中央銀行はみんな同じ?日銀・Fed・ECBから特殊な通貨制度までQ&Aで解説もあわせてご覧ください。CFAは西アフリカではCommunauté Financière Africaine(アフリカ金融共同体)、中央アフリカではCoopération Financière en Afrique Centrale(中央アフリカ金融協力)を指します。

一次資料・参考資料