国際宇宙産業展ISIEX 2027は、2027年3月17日(水)から19日(金)まで東京ビッグサイト東ホールで開催される宇宙産業の専門展示会です。
ロケットや人工衛星に加え、月面開発、地上局、衛星データ、宇宙通信、スペースデブリ対策など、宇宙ビジネスを構成する幅広い分野が対象です。企業や研究機関が技術交流、商談、導入検討、新規ビジネス創出を行うBtoB(企業間取引)色の強い展示会で、一般向けの科学イベントとは性格が異なります。
ISIEX 2027の開催概要
主催は日刊工業新聞社です。会期は2027年3月17日(水)~19日(金)の3日間、開催時間は10時~17時、会場は東京ビッグサイト東ホールです。
入場は、事前入場登録者、招待状持参者、中学生以下が無料です。それ以外は入場料1,000円と案内されています。一般来場者も見学できますが、展示の中心は企業・研究機関による製品紹介、技術交流、商談や導入検討です。
同時開催は、防災産業展、ファイアテックジャパン、グリーンインフラ産業展、G空間EXPOです。会期中には講演会や出展者セミナーに加え、連携事業「月面開発フォーラム」が予定されています。2027年の出展者一覧には、JAXA宇宙科学研究所、キヤノン電子、清水建設、Space One、Space BD、日本郵船、郵船ロジスティクス、富士通、CNES、北海道スペースポートなどが掲載されています。ロケット、人工衛星、月面開発、宇宙輸送、地上局、衛星データまで異なる立場の企業・機関を同じ会場で見比べられます。
宇宙産業とは何?
宇宙産業には複数の段階があります。ロケット、人工衛星、部品、製造など「宇宙へ送るものを作る」上流、衛星を運用し、地上局で通信し、データを処理する中流、通信、測位、農業、防災、保険、インフラ監視など宇宙データを地上で使う下流です。
ISIEXでは、こうした宇宙産業の上流から下流までを一つの会場で見比べられます。ブースを見るときは「作る」「運ぶ」「運用する」「データを使う」のどこを担う企業なのかを意識すると、各社の役割をつかみやすくなります。
ロケット会社と人工衛星会社は何が違う?
ロケットは人工衛星などを宇宙へ運ぶ輸送手段です。人工衛星は宇宙へ到達した後、通信、測位、気象観測、地球観測、科学観測などの仕事をします。
打ち上げが成功しても、衛星の運用やデータ利用がなければ宇宙ビジネス全体は成立しません。輸送会社と衛星メーカー、通信・観測サービス、地上システムがつながって一つの産業になります。

NewSpaceとは?
NewSpace(ニュースペース)は、国家機関や大手企業だけでなく、スタートアップや民間投資が宇宙事業へ積極的に参入する流れを表す言葉です。
宇宙開発では、政府、JAXA、大学、民間企業が役割を分担しながら事業を進めます。民間企業が増えることで、衛星データ利用、軌道上サービス、月面輸送など事業分野も広がっています。
月面開発では何をする?
月面ビジネスには、地球から月へ物資を運ぶ輸送、月面通信、測位、電力供給、建設、探査、資源調査、居住環境など多くの分野があります。
2027年は、月面探査・宇宙資源開発・惑星探査、衛星製造・通信設備、宇宙生活支援、ロケット製造・打上げ、衛星活用ビジネス、ロケット打上げインフラ、軌道上サービスなどが出展対象として案内されています。高専・大学向けの新設ブースも用意され、連携事業「月面開発フォーラム」では出展者を中心に研究や事業の取り組みを発表する予定です。個別の2027年出展企業・展示物は順次公開されるため、未発表分は直近実績と分けて見る必要があります。
直近の2026年には122社・団体142小間が出展し、JAXA、ESA、CNES、ケニア宇宙機関、キヤノン電子、ElevationSpace、竹中工務店など国内外の企業・機関が参加しました。過去にはダイモンの超小型月面探査ローバー「YAOKI」、月面模擬環境やVR、宇宙建築、人工衛星の模型・搭載機器など、一般読者にも実物や用途を想像しやすい展示が行われています。
スペースデブリとは?
スペースデブリは、使われなくなった人工衛星、ロケット部品、衝突で生じた破片など、地球周回軌道に残る人工物です。
高速で飛ぶ小さな破片でも衛星へ大きな損傷を与える可能性があります。位置の監視、衝突回避、運用終了後の処分、除去などが宇宙産業の重要な課題です。

衛星データは地上でどう使われる?
地球観測衛星は、農地、森林、海、都市、災害地域などを広範囲に観測できます。農作物の状態把握、洪水や地震の被害確認、道路・橋・建物などの変化監視にも利用されます。
宇宙産業には、宇宙へ機器を送る仕事だけでなく、宇宙から得た情報を地上の課題解決に使う仕事も含まれます。
G空間EXPOと一緒に見ると何が分かる?
同時開催のG空間EXPOは、衛星測位、GIS(地理情報システム)、地図、3D都市データなど、位置情報や観測情報を地上でどう使うかに焦点を当てた展示です。
ISIEXで衛星や宇宙システムを作る側を見て、G空間EXPOで測位・GIS・3D地図・衛星データを地上で使う側を見ると、宇宙ビジネスの上流から下流までをつなげて理解できます。同じ会場で同時開催されるため、衛星製造とデータ利用を続けて比較できるのが大きな利点です。
同じ宇宙産業展でも、SPEXAはRX Japan主催で、2024年に始まった宇宙ビジネス展示会です。ISIEXは日刊工業新聞社主催で2022年開始、G空間EXPOや防災・グリーンインフラ分野との同時開催、月面開発フォーラムや国際宇宙カンファレンスとの連携が特徴です。宇宙産業を幅広く比較するなら両展を見比べると、主催や展示構成の違いが分かります。
過去開催|ISIEXはいつ始まった?
ISIEXは2022年に初開催され、2027年で第6回を迎えます。初回から月・火星探査、衛星、ロケットなどを扱い、2023年には月面開発フォーラム、月面探査車のVR、宇宙建築など、月面経済を具体的に想像できる企画が行われました。
2024年は2月20日~22日に東京ビッグサイトで開催され、同時開催4展のリアル来場者は20,436名でした。月面探査ローバーYAOKI、衛星・ロケット搭載機器、軌道上サービス、宇宙保険など、製造だけでなく運用・金融まで宇宙産業の裾野を示す展示が見られました。
2025年は1月29日~31日に開催され、127社・団体128小間、同時開催展を含む来場者26,338名でした。月面探査ではダイモンの超小型ローバー「YAOKI」が展示され、手のひらに収まるような小さな車体が月面の砂や段差を越えて走る未来を想像させました。ispaceの月面輸送、月の溶岩洞窟を探る群AIロボット、衛星部品、宇宙生活支援、保険・物流まで並び、ロケットや探査機だけでなく「月へ運ぶ・月で動く・事故に備える」仕事まで一つの産業として見える会場でした。
宇宙保険や物流の展示も印象的です。全日空商事や損害保険ジャパンなど、普段は宇宙企業として意識しにくい会社が並ぶことで、人工衛星を作ったあとにも輸送、打上げ、運用、事故リスクへの備えが必要だと分かります。月面ローバーのような目を引く実機から、保険や商社まで歩いていくと、宇宙ビジネスが製造業だけで終わらないことを実感できる年でした。
2026年は1月28日~30日に122社・団体142小間、同時開催展を含む来場者26,659名でした。会場にはJAXA、ESA、CNES、ケニア宇宙機関などが並び、国内展示会でありながら各国の宇宙機関や企業を一度に見られる国際色の強い構成になりました。中央大学などのチームは、月の溶岩チューブのような人が入りにくい地下空間を複数のAIロボットで自律探査する技術を実機で紹介し、小型ロボットが連携して未知の空間へ入っていく将来の月面探査を具体的に想像できました。
日本郵船は、洋上からロケットを打ち上げたり、海へ戻ってくるロケット1段目を回収したりする将来の海上宇宙輸送を紹介し、郵船ロジスティクスは衛星・ロケット部品を世界各地から安全に運ぶ物流を展示しました。キヤノン電子の衛星、軌道上サービス、宇宙生活支援も加わり、2026年は「宇宙へ行く装置」だけでなく、地上の港・物流・通信・整備まで含めた産業として宇宙を見られる会場へ広がっていました。
初参加2~3時間なら、月面→衛星→宇宙輸送→G空間の順で回る
宇宙産業に詳しくない人は、最初に月面探査やロボットの展示から入ると会場へ入りやすくなります。YAOKIや群AIロボットのような「月で動く機械」を見たあと、人工衛星や地上局のブースへ進むと、探査機と通信インフラの違いが分かります。
次にロケット・宇宙輸送を見ると、作った衛星をどう宇宙へ運ぶのかがつながります。日本郵船のような海上輸送、Space Oneのような打上げ事業、部品・材料メーカーを続けて見ると、宇宙へ行くまでにも多くの企業が関わることが分かります。
最後に同時開催のG空間EXPOへ移り、衛星測位、3D地図、衛星画像、防災など「宇宙から得た情報を地上で使う」展示を見ると、宇宙産業の上流から下流までを2~3時間で追えます。月面開発フォーラムや講演を1本加える場合は、展示時間を少し短めにすると回りやすくなります。
まとめ
ISIEXは、ロケットや宇宙船だけを見る展示会ではなく、衛星を作る企業、宇宙へ運ぶ企業、運用する企業、データを地上で使う企業まで、宇宙産業全体を見られる専門展示会です。
月面開発、スペースデブリ、衛星データなどの基礎を知ってから会場を回ると、各ブースが宇宙産業のどこを担っているのか理解しやすくなります。
