SEMICON Japan 2026は、2026年12月9日(水)から11日(金)まで東京ビッグサイトで開催される、半導体・エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会です。展示会への入場は無料ですが、事前の来場登録とバッジ印刷が必要です。セミナーは一部有料です。
会場の主役は完成した小さなチップだけではありません。半導体を作るための大型製造装置、材料、検査・計測、搬送、設計、先端パッケージなど、製造サプライチェーン全体が集まります。一般向けの科学イベントというより、企業の商談、技術導入、情報収集、ネットワーキングを主目的としたBtoB展示会です。業界外の初心者でも、製造工程を少し知っておくと展示の意味をつかみやすくなります。
SEMICON Japan 2026の開催概要
会期は2026年12月9日(水)〜11日(金)の3日間で、開催時間は10時から17時です。会場は東京ビッグサイト。東展示棟、西展示棟、会議棟を使い、公式サイトでは半導体製造工程の全域にわたる1,200社・団体超の出展を予定しています。前工程の巨大装置から材料、検査、設計、後工程、車やIoTなどの応用分野まで、東京ビッグサイトを歩きながら一つのサプライチェーンとして追える規模です。

展示会は無料の事前登録制です。入場には来場登録後に発行されるバッジをA4用紙へ印刷して持参します。SuperTHEATERなど無料の講演もありますが、セミナーには一部有料のものがあります。2026年の各講演内容は今後更新されるため、申込前に公式サイトの最新情報を確認してください。
同時開催として、先端パッケージとチップレットを扱うAPCS(Advanced Packaging and Chiplet Summit)、半導体設計と検証を扱うADIS(Advanced Design Innovation Summit)、検査・計測を扱うMIS(Metrology & Inspection Summit)が案内されています。
2026年は量子・先端パッケージ・AI半導体を見る
SEMICON Japan 2026は、製造装置や材料に加え、Advanced Packaging and Chiplet Summit(APCS)、Advanced Design Innovation Summit(ADIS)、Metrology and Inspection Summit(MIS)、AI × Sustainability × Semiconductor Summitを同時展開します。初心者は「小さく作る前工程」だけでなく、複数のチップを高密度に組み合わせる先端パッケージ・チップレット、設計、検査・計測まで含めて見ると、現在の半導体競争の全体像をつかみやすくなります。
量子コンピューティングパビリオンでは、半導体方式の量子コンピューターに関わる極低温装置やQPUなどの実物展示が案内され、blueqat、JSR、キーサイト、産総研、FormFactor、富士通などが関わります。AI向けではGPUや高帯域メモリーだけでなく、消費電力、冷却、パッケージ、検査まで一体で見る必要があり、AIブームが装置・材料メーカーへどう波及するかを確認できるのが2026年の見どころです。
完成した電子機器やAI・ロボットが社会でどう使われるかを広く見たい場合は、CEATEC 2026ガイドもあわせて読むと、SEMICON Japanが担う「産業の土台」と完成製品側のつながりが分かります。
半導体とは何か
半導体は、電気をよく通す導体と、ほとんど通さない絶縁体の中間的な性質を持つ材料です。産業上は、その性質を利用して電気の流れを精密に制御する点が重要です。
半導体チップの内部には多数のトランジスタが作られ、電気のONとOFFを組み合わせて計算、記憶、通信、電力制御などを行います。主な種類には、計算を担うロジック半導体、情報を保存するメモリ、電力を制御するパワー半導体、連続した電気信号を扱うアナログ半導体、画像や温度などを検出するセンサーがあります。
半導体はどう作る?

半導体製造の大きな流れは、シリコン→ウェハー→成膜→レジスト塗布→露光→現像→エッチング→イオン注入→配線→ウェハー検査→ダイシング→パッケージ→最終検査です。高純度シリコンから円柱状のインゴットを作り、それを薄く切って円盤状のシリコンウェハーにするところから始まり、回路形成と検査を何度も繰り返します。
ウェハー表面に薄膜を作り、感光材のフォトレジストを塗り、露光装置で回路パターンを転写します。その後、不要な部分を削るエッチングや、半導体の電気的性質を調整するイオン注入などを繰り返し、複雑な回路を形成します。
完成したウェハーは検査され、小さなチップに切り分けられます。さらに外部との接続や保護を担うパッケージへ組み込み、最終検査を経て製品になります。SEMICON Japanには、こうした各工程を支える装置・材料・検査・搬送企業が多数集まります。
半導体業界はなぜ会社が分かれている?
半導体は設計、製造、組立、検査の専門性が高く、一社がすべてを担当する形だけではありません。設計を中心に行い自社工場を持たない企業は「ファブレス」、他社から設計データを受けて製造する企業は「ファウンドリ」、設計から製造まで自社で担う企業は「IDM」と呼ばれます。
パッケージングや最終検査を受託する企業はOSATと呼ばれます。さらに、EDA(半導体回路の設計を支援するソフトウェア)、半導体IP、製造装置、薬品、ウェハーなど、多数の企業が分業で関わっています。SEMICON Japanは、この産業構造を実物の装置や企業展示から理解しやすい場です。
日本の半導体産業はなぜ強かった?
日本の半導体産業は1970〜1980年代に急成長し、特にDRAMなどのメモリ分野で世界的に大きな存在感を持ちました。1980年代後半の日米半導体協定の時期を経て、1990年代以降はパソコン市場の拡大、設計を担うファブレスと製造を担うファウンドリの分業、韓国・台湾企業の成長が進み、日本企業の完成半導体における世界シェアは低下しました。
ただし「日本の半導体産業が丸ごと衰退した」と見ると実態をつかみにくくなります。現在もウェハー、フォトレジスト、シリコン材料、製造装置、検査・計測、精密部品など、チップを量産するための工程で日本企業が重要な役割を担っています。SEMICON Japanで巨大な成膜・洗浄・搬送装置や材料メーカーのブースが大きな存在感を持つのは、この産業構造があるためです。
近年は国内製造基盤を再び強める動きも進んでいます。TSMCの熊本拠点JASMは第1工場が2024年末に量産を開始し、第2工場の建設も進行中です。Rapidusは北海道千歳市で2025年に2nm世代GAAトランジスタの試作を進め、2026年には前工程だけでなくチップレットなど後工程の研究開発拠点も拡充しています。完成半導体のシェアだけでなく、装置・材料、海外企業の国内工場、最先端ロジック、先端パッケージまで含めて見ると、現在の日本半導体産業は「失った分野」と「今も強い分野」と「再構築を進める分野」が同時に存在しています。
チップレットと先端パッケージとは?
半導体は長く、一つのチップにより多くのトランジスタを集積する方向で性能を高めてきました。現在は、役割の異なる複数の小さなチップを高密度に接続し、一つの大きなシステムとして動かす「チップレット」も重要になっています。
この方法では、複数のチップを高速かつ効率よく接続する技術が性能を左右します。そのため、かつてはチップを保護する役割が中心だったパッケージ技術が、計算性能や消費電力を左右する重要工程になっています。SEMICON Japan 2026ではAPCSが同時開催され、先端パッケージとチップレットが主要テーマの一つになっています。
AIブームと半導体
生成AIは大量の計算を必要とします。そこでGPUなどの計算用半導体だけでなく、高速メモリ、ネットワーク、電源、冷却、先端パッケージ、製造装置まで需要が広がります。
AI向け半導体の成長は、一社のGPUメーカーだけの動きではありません。計算チップを作るファウンドリ、HBMなどの高帯域メモリ、基板やパッケージ、製造・検査装置まで広いサプライチェーンが関係します。SEMICON Japanは、その全体像を一度に見るのに向いた展示会です。
SEMICON Japanの歴史
SEMICON Japanは1977年に始まった長寿展示会です。会場は時代とともに変わり、晴海、幕張メッセなどを経て、現在は東京ビッグサイトで開催されています。展示内容もウェハー製造、装置、材料、検査から、設計、先端パッケージ、AI、自動車などへ広がってきました。
2024年・2025年は何が見られた?
2024年の延べ来場者数は103,165人でした。初心者にも分かりやすかった特別企画が、東8ホールの「SEMICON STADIUM」です。テーマはAIロボット&スポーツ。身長211cmのトヨタ「CUE6」がバスケットボールのロングシュートを決めると会場から拍手が起こり、オムロンの卓球ロボット「フォルフェウス」は人とラリーを続けました。富士通はカメラ映像から野球のスイングを解析し、三菱電機の「TOKUFASTbot」はパズルキューブを高速で解きます。普段は装置や材料として見えにくい半導体が、認識・判断・モーター制御を通して目の前で動く様子を体験できる企画でした。
ロボットの周囲を離れると、会場の景色は一変します。人の背丈を超える半導体製造装置、鏡のようなシリコンウェハー、薬液・ガス・精密部材、顕微鏡のような検査装置が並び、「小さなチップを作るために、なぜこれほど巨大な産業が必要なのか」を実物の大きさから理解できました。スポーツロボットの華やかなデモと、その裏側を支える製造サプライチェーンを同じ日に往復できたのが2024年らしい構成です。
2025年は延べ121,267人へ拡大しました。講演にはNVIDIAのTim Costa、TSMCジャパン、Applied Materials、さくらインターネット、Rapidusなど、AI計算基盤から半導体製造まで異なる立場のキーパーソンが登壇しました。Rapidus関係者と「ものづくり太郎」による特別企画も行われ、北海道千歳で進む2nm世代半導体の量産準備が、遠い将来の構想ではなく実際の工場・装置・人材の話として語られました。
2025年の会場では、AI向けチップの性能競争だけでなく、チップレットや先端パッケージ、検査・計測、消費電力、工場の自動化まで注目が広がりました。講演でAIデータセンターや最先端ロジックの話を聞いたあと展示ホールへ戻ると、その性能を実現するための装置、材料、搬送、検査企業が何列も続きます。「NVIDIAやTSMCのニュースの裏側には、これほど多くの会社と工程がある」と実感できるのがSEMICON Japanの面白さです。
初心者はどう回る?
最初にウェハーや大型の製造装置を見て、「半導体がどんな工程で作られるか」をつかむと理解しやすくなります。その後に、検査、材料、搬送、先端パッケージなど興味のある工程へ移ると、各社の役割が見えてきます。
ブースを見るときは企業名だけでなく、「この会社は製造工程のどこを担当しているのか」「装置、材料、設計、検査のどれに当たるのか」を確認すると、展示が産業地図としてつながります。商談目的の来場者も多いBtoB展示会なので、混雑するブースで長時間説明を求めるより、まず展示パネルや製品分類を見て要点をつかむと回りやすくなります。
まとめ
SEMICON Japan 2026は、スマートフォンやAIの中に入る半導体そのものだけでなく、それを設計・製造・検査・実装する巨大な産業を見られる展示会です。入場は無料の事前登録制で、セミナーは一部有料です。製造工程を少し理解してから会場を回ると、大型装置や材料の展示がどの工程を支えているのか分かりやすくなります。

