無料の地区大会に、オリンピック代表や世界選手権の上位選手が集まります。
東京フィギュアスケート選手権は、日本スケート連盟が行う6つのブロック大会の一つです。シニアでは、東京選手権から東日本選手権、全日本選手権へとつながる予選ルートを構成します。
2026年大会には、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックに出場した選手、世界ジュニア王者、四大陸選手権王者らが出場しました。一般観戦は無料で、地区予選の緊張感と世界レベルの演技を同じリンクで見られます。
東京フィギュアスケート選手権とは
日本のフィギュアスケートは、東北・北海道、関東、東京、中部、近畿、中四国・九州の6ブロックに分かれています。東京は単独で一つのブロックを形成し、公式リザルトでは「Block 3」と表記されます。
シニアの基本ルートは、東京選手権→東日本選手権→全日本選手権です。各大会には進出枠が設定され、東京選手権を通過した選手は東日本選手権へ進み、さらに全日本選手権を目指します。
前年の全日本選手権上位者などにはシードがあり、国際大会との日程重複などによる免除制度もあります。すでに上位大会への出場資格を持つトップ選手が、シーズン序盤の実戦機会としてブロック大会へ出場する例もあります。
日本スケート連盟のオンライン記録では、東京ブロックの大会は少なくとも2001年まで遡れます。2001年大会は明治神宮外苑スケート場で開催され、シニア男子では竹内洋輔が優勝、田村岳斗が2位でした。
2026年大会の開催期間は10月1日から4日までで、競技は2日から4日に田中貴金属アイスアリーナ(東京辰巳アイスアリーナ)で行われます。入場料は無料です。
ノービス、ジュニア、シニアは何が違う?
フィギュアスケートの大会区分は、年齢だけでなくバッジテストの級も組み合わせて決まります。2026年東京選手権では、シニアに当たる「選手権競技」、ジュニア選手権競技、ノービスA・Bが行われます。
| 区分 | 2026年東京選手権の年齢・生年月日条件 | シングルの主なテスト級条件 |
|---|---|---|
| シニア(選手権競技) | 2026年7月1日以前に17歳に達している | 男女とも7級以上 |
| ジュニア | 2007年7月1日~2013年6月30日生まれ | 男子6級以上。女子は生年月日により6級または7級以上で、一部にミニマムポイントによる参加条件あり |
| ノービスA | 2013年7月1日~2015年6月30日生まれ | 男子4級以上、女子6級以上 |
| ノービスB | 2015年7月1日~2017年6月30日生まれ | 男子3級以上、女子5級以上 |
年齢区分は大会当日の満年齢だけで決めるのではなく、7月1日を基準にした生年月日の範囲で判定されます。ノービスBからノービスA、ジュニア、シニアへ進むにつれて、年齢条件と必要なテスト級が上がります。2026年東京選手権では、同じ選手がジュニアとシニアの両方へ申し込むことはできません。
羽生結弦も少年時代に地域ブロック大会を経験しています。2004年の東北・北海道フィギュアスケート選手権ではノービスB男子に出場して優勝しました。東京選手権への出場ではありませんが、現在のトップ選手につながる競技者も、こうしたノービスの地域大会から全国大会へ進んできました。
フィギュアスケートは何を競うのか
シングル競技は、ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)の2本で争います。両方の得点を合計したものが最終得点です。
1回の演技の得点は、大きく技術点(TES)、演技構成点(PCS)、転倒などによる減点から構成されます。
技術点にはジャンプ、スピン、ステップなどが含まれます。それぞれの技には基礎点があり、審判が出来栄えをGOEで評価します。GOEはマイナス5からプラス5までです。
演技構成点は、Composition(構成)、Presentation(表現)、Skating Skills(スケーティング技術)の3項目です。エッジを使って滑る技術、リンクを移動するスピード、音楽との一体感などが評価されます。
ジャンプ・スピン・ステップはここを見る
シングルで使われる代表的なジャンプは6種類です。
| ジャンプ | 初心者向けの特徴 |
|---|---|
| トーループ | つま先を突いて跳ぶ |
| サルコー | エッジから跳ぶ |
| ループ | エッジから跳び、同じ足で着氷する |
| フリップ | 後ろ向きからつま先を使って跳ぶ |
| ルッツ | フリップと似るが踏み切りエッジが異なる |
| アクセル | 唯一、前向きに踏み切る |
最初に見分けやすいのはアクセルです。前向きで踏み切るため、ほかの5種類より判別しやすくなっています。トリプルアクセルは3回転半、4回転ジャンプは「クワッド」と呼ばれます。
着氷したジャンプも、回転不足や踏み切り、着氷後の流れによって評価が変わります。転倒したジャンプも、要素として認定されれば基礎点を土台にGOEと減点が加わります。
スピンは回転速度、軸の安定、姿勢の難しさ、ポジションの変化が見どころです。ステップでは、足元の細かなターンに加え、上半身や腕の動きと音楽の関係まで演技が続きます。
2026-27シーズンのISU規則では、シニア男女のフリーに入れられるジャンプ要素は最大6本です。6本のうち1本はアクセル系ジャンプを含みます。
6分間練習から競技は始まっている
各グループの競技前には6分間練習があります。複数の選手が同時にリンクへ入り、本番で使うジャンプや氷の感触を最終確認します。
有力選手が4回転やトリプルアクセルを次々に試すため、競技開始前からジャンプの高さやスピードを比較できます。直前の練習で転倒したジャンプを本番で成功させることもあり、数分の間に感覚を整える過程が見えます。
生観戦で分かりやすい5つの違い
ジャンプの高さと着氷後の流れ
大きなジャンプは空中だけでなく、着氷後にも差が出ます。着氷した瞬間に速度が落ちず、そのまま次の動きへ流れるジャンプは、会場で見ると滑らかさがよく分かります。
少ない蹴りで進む速さ
上位選手ほど、少ないストロークでリンクを大きく移動します。スケーティング技術では、エッジ、バランス、滑走、流れ、パワー、スピードなどが評価対象になります。
スピンの軸
高速で回っていても、中心が大きく移動するスピンと、同じ場所で回り続けるスピンがあります。軸の安定は客席からも見つけやすい違いです。
音楽と動き
ジャンプの間も演技は続きます。音が強くなる瞬間の動き、曲調に合わせた速度変化、ステップの入り方まで見ると、同じ技を使う選手でも印象が変わります。
前半グループと最終グループの差
多くの選手を続けて見るブロック大会では、上位選手が登場したときのスピード、ジャンプの高さ、リンクの使い方を比較できます。
2026年シニア女子の注目選手
2026年の女子シニアは、世界大会で実績を持つ選手が上位に並びました。公式最終結果の上位6人は次の通りです。年齢は2026年10月4日時点です。
| 順位 | 選手 | 年齢 | 総合得点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 中井亜美 | 18歳 | 225.52 |
| 2 | 青木祐奈 | 24歳 | 219.91 |
| 3 | 住吉りをん | 23歳 | 193.89 |
| 4 | 千葉百音 | 21歳 | 184.42 |
| 5 | 河辺愛菜 | 21歳 | 182.75 |
| 6 | 渡辺倫果 | 24歳 | 175.23 |
中井亜美――前向きに踏み切るトリプルアクセル
18歳の中井亜美は、2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピック女子シングル銅メダリストです。
東京選手権ではSP、フリーともに首位。フリーでは冒頭のトリプルアクセルを成功させ、総合225.52点で優勝しました。
アクセルは6種類のジャンプで唯一、前向きに踏み切ります。中井の演技では、3回転半を回るトリプルアクセルの踏み切りと着氷後の流れに注目すると、高難度ジャンプの迫力をつかみやすくなります。

青木祐奈――ジャンプと音楽表現を一緒に見る
24歳の青木祐奈は、2026年四大陸選手権優勝者です。
東京選手権では219.91点で2位。フリーでは全6本のジャンプを降り、演技構成点は女子フリーで最高の68.76点でした。
得意要素の一つが3回転ルッツ+3回転ループです。2本目にトーループではなくループを組み合わせます。2026-27シーズンのフリーは「シルク・ドゥ・ソレイユ」の楽曲を使用しています。

千葉百音――世界選手権銀メダリストの復帰戦
21歳の千葉百音は、2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピック4位、2026年世界選手権2位の実績を持ちます。
7月の右足首捻挫後、この東京選手権が今季初戦となりました。SPでは77.31点を記録して2位につけ、フリーは転倒が重なって総合4位でした。

住吉りをん・河辺愛菜・渡辺倫果
23歳の住吉りをんは4回転トーループにも取り組み、国際大会のグランプリシリーズで表彰台経験があります。
21歳の河辺愛菜は2022年北京冬季オリンピック代表。24歳の渡辺倫果もグランプリファイナルや世界選手権に出場してきました。
2026年シニア男子の注目選手
2026年10月4日に男子フリーが行われ、三浦佳生が総合271.91点で優勝しました。2位は中田璃士の260.83点、3位は三宅星南の209.66点です。年齢は2026年10月4日時点です。
| 順位 | 選手 | 年齢 | 総合得点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 三浦佳生 | 21歳 | 271.91 |
| 2 | 中田璃士 | 18歳 | 260.83 |
| 3 | 三宅星南 | 24歳 | 209.66 |
| 4 | 戸田晴登 | 20歳 | 202.24 |
| 5 | 田中蓮音 | 19歳 | 190.37 |
| 6 | 森本涼雅 | 19歳 | 190.17 |


三浦佳生――リンクを大きく使うスピード
21歳の三浦佳生は、2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピック日本代表で、2026年四大陸選手権優勝、2023年世界ジュニア選手権優勝などの実績があります。
東京選手権はSP84.37点、フリー187.54点でともに1位となり、総合271.91点で優勝しました。高いスピードを保ったままリンクを大きく使う滑りが特徴で、ジャンプの回転数とともに、リンクの端から端までを進むストロークにも差が表れます。

中田璃士――世界ジュニア2連覇からシニアへ
18歳の中田璃士は、2025年、2026年の世界ジュニア選手権を連覇。2025年全日本選手権でも4位に入り、2026-27シーズンはシニア国際大会へ移行しています。
東京選手権はSP84.34点で2位、フリー176.49点でも2位となり、総合260.83点で2位でした。ジュニア時代から世界大会で勝ってきた選手が、シニアの構成でも高い得点を記録しました。

三宅星南――4回転とトリプルアクセルを組み込む
24歳の三宅星南は、全日本選手権や国際大会への出場経験を重ねてきた選手です。2026年東京選手権はSP74.85点で3位、フリー134.81点でも3位となり、総合209.66点で3位に入りました。
最終結果は、20歳の戸田晴登が202.24点で4位、19歳の田中蓮音が190.37点で5位、19歳の森本涼雅が190.17点で6位でした。大学世代の選手、シニアへ上がったばかりの選手、オリンピック代表が同じ大会で競い、スピード、ジャンプ、表現の違いを比較できます。
なぜ地区大会にオリンピック級の選手が出るのか
ブロック大会は全日本選手権へ向かう予選で、シード選手や上位大会への出場資格を持つ選手が出場する場合もあります。
シーズン序盤の東京選手権は、新プログラムを公式競技で滑る実戦機会にもなります。国際大会や全日本選手権へ向け、選手は競技プログラムの完成度やジャンプ構成を試合の中で整えていきます。
トップ選手と、東日本選手権への進出を争う学生・若手選手が同じ大会に並び、世界級の滑りと上位を目指す選手を一度に比較できます。
田中貴金属アイスアリーナで観戦する
2026年大会の会場は、江東区辰巳の田中貴金属アイスアリーナです。施設の条例上の名称は東京辰巳アイスアリーナで、2026年8月30日からネーミングライツ名称が使われています。
最寄りは東京メトロ有楽町線の辰巳駅で、会場まで徒歩10分です。新木場駅からも徒歩13分で、大会案内では来場者用駐車場は利用できないとされています。
前身は東京辰巳国際水泳場です。改修を経て2025年9月6日にアイスアリーナとして開業し、メインリンクは国際規格に対応する60メートル×30メートルです。
2026年東京選手権は一般観戦無料。開場は競技開始1時間前、公式練習は非公開で、撮影は選手の親族のみ可と案内されています。場内の飲食設備は飲料自動販売機のみで、近隣にコンビニエンスストアがあります。
氷上競技の会場は客席も冷えやすく、長時間観戦では上着やひざ掛けが役立ちます。
会場周辺の辰巳・東雲・豊洲を歩く場合は、辰巳・東雲・豊洲ナイトウォーク|運河とタワマン夜景を巡る散歩コースも参照できます。
日本のスポーツ競技全体を見渡す場合は、日本のスポーツまるわかり図鑑|歴史・ルール・リーグ・強豪校・注目大会を初心者向けに解説も参照できます。

