コンビニのマルチコピー機で、現在も「居住者名入り」の住宅地図を購入できます。
ゼンリン住宅地図プリントサービスは、全国の住宅地図から必要な範囲をA3で出力できるサービスです。2026年9月時点の価格は1枚660円。購入時の確認画面では居住者名を表示しませんが、実際にプリントされる住宅地図には居住者名や番地が収録されます。
スマートフォンの地図で建物や住所を検索することが一般化した現在も、個人宅の名字まで載った地図が一般販売されています。
住宅地図に載る氏名・住所は「個人情報」です。ゼンリン自身が個人情報として取り扱うことを明記しています。
個人情報保護法は、個人情報の取得・利用・第三者提供・本人による停止請求などのルールを定めています。ゼンリンは現地調査で居住者情報を集め、利用目的や第三者提供方法を公表しています。個人情報保護委員会も「住宅地図業者」を、法律上のオプトアウト方式による第三者提供の具体例として挙げています。

30秒でわかる結論
- 住宅地図の居住者名・住所は個人情報です。
- ゼンリンは表札、看板、郵便受け、住居表示プレートなどを現地で確認し、場合によっては訪問して氏名・住所を確認します。
- ゼンリンは個人情報保護法第27条第2項に基づく第三者提供を公表しています。
- 個人情報保護委員会の公式ガイドラインにも、住宅地図業者がオプトアウト方式で販売する例が明記されています。
- 本人は地図表記の削除・変更を申し出ることができます。
- 個人データの第三者提供停止については、ゼンリンが別の正式な請求手続きを設けています。
- 住宅地図の居住者名と不動産所有者名は同じものではありません。
- 1952年に始まったゼンリン住宅地図は、宅配、不動産、行政、防災、消防、警察、ライフラインなどで利用されてきました。
- 古い住宅地図は、街や建物、居住者の変化を追える歴史資料にもなっています。
名前はどうやって調べている?
ゼンリンの公式FAQでは、住宅地図に掲載する個人名・事業所名について、表札、看板、郵便受けなどを現地で調査・確認すると説明しています。
場合によっては調査員が個別に訪問し、調査目的と利用目的を説明したうえで、名前や住所を確認することもあります。
住宅地図帳に載る情報は、出版月のおおむね3か月から半年前に現地調査されたものです。
全国の調査員が現地を歩く
住宅地図の基礎になるのは現地調査です。ゼンリンは、調査員が実際に地域を歩き、建物、入口、表札、看板、道路などを目視して情報を更新しています。
一戸建てでは表札を確認し、集合住宅では立入禁止表示などに配慮しながら確認できる範囲の情報を調査します。住民へ確認する必要がある場合は、調査の目的を説明して情報を収集します。
人が現地で変化を確認し続けることが、住宅地図の細かな更新を支えています。
住居表示プレートも情報源になる
ゼンリンの個人情報保護方針には、住宅地図事業で取得する情報として「表札、郵便受け及び住居表示プレートの表記に基づく居住者情報」が明記されています。対象となる居住者情報は氏名と住所です。

地域によって更新頻度は異なります。住宅地図は継続的な現地調査によって更新されるため、掲載された名前や建物が現在の状況と一致しない場合があります。訂正・削除・変更には専用窓口が設けられています。
住宅地図の名前は個人情報なのか
住宅地図に載る居住者名と住所は個人情報です。ゼンリン住宅地図プリントサービスのFAQも、住宅地図に記載された情報について「個人情報にあたります」と説明しています。
個人情報保護法上の「個人情報」は、生存する個人に関する情報で、氏名などによって特定の個人を識別できるものを含みます。表札など外部から確認できる情報でも、この定義から外れるわけではありません。
住所録や電話帳などで個人情報がどのように公開され、制度が変化してきたかは「昔は他人の住所を簡単に調べられた?紳士録・電話帳から見る日本の個人情報史」でも扱っています。
個人情報なのに、なぜ住宅地図を販売できる?
個人情報保護法では、個人データを第三者へ提供する場合、本人同意が原則です。一方、一定の条件を満たした場合には、本人の事前同意を一人ずつ得る方式とは異なる「オプトアウトによる第三者提供」が認められています。個人情報保護法第27条第2項に基づく仕組みです。
事業者は、第三者提供を利用目的とすること、提供する個人データの項目、取得方法、提供方法、本人から求められた場合に第三者提供を停止すること、停止の受付方法などを本人が知り得る状態に置き、個人情報保護委員会へ届出を行います。
個人情報保護委員会が「住宅地図業者」を具体例にしている
個人情報保護委員会の通則ガイドラインには、オプトアウトによる第三者提供の事例として「住宅地図業者(表札や郵便受けを調べて住宅地図を作成・販売)」が明記されています。
ゼンリンの2026年4月改定の個人情報保護方針にも、個人情報保護法第27条第2項に基づき個人データを第三者提供することが記載されています。居住者情報として掲げられている項目は氏名と住所です。住宅地図帳、住宅地図データベース、配信サービスを含む関連商品を制作し、販売、使用許諾、貸与によって第三者へ提供することが利用目的として示されています。
本人から提供停止を求められた場合は、次回データ更新に基づき制作される商品から第三者提供を停止するとしています。住宅地図の販売は、こうした法律上の条件と本人の停止手続きを組み合わせて運用されています。
「市販の住宅地図」にはもう一つ法律上の扱いがある
個人情報保護法では、「個人情報」と「個人情報データベース等」「個人データ」は区別されています。
個人情報保護委員会の通則ガイドラインでは、次の条件をすべて満たす情報の集合物を「個人情報データベース等」から除外しています。
- 不特定多数への販売を目的として発行され、適法に発行されていること
- 不特定多数がいつでも購入できる、または購入できたこと
- 生存する個人に関するほかの情報を加えず、本来の用途に使うこと
具体例として「市販の電話帳、住宅地図、職員録、カーナビゲーションシステム等」が挙げられています。
住宅地図に載った氏名・住所が個人情報であることと、市販された住宅地図そのものが一定条件のもとで「個人情報データベース等」から除外されることは別の話です。ゼンリンが住宅地図を制作するために管理し、第三者へ提供する個人データについては、ゼンリン自身が第27条第2項に基づく提供として公表しています。
名前を消したい場合はどうする?
ゼンリンは、住宅地図に掲載された個人名・事業所名・番地について、掲載、削除、変更を受け付けています。「地図表記お問い合わせフォーム」から申し込み、ゼンリン側で調査・確認したうえで地図データへ反映されます。
個人宅の場合は、本人または同居家族からの要請を受け付ける仕組みです。住宅地図帳の出版・更新サイクルがあるため、依頼後の反映時期は商品ごとに異なります。
地図表記の削除と「第三者提供停止」は別の手続き
ゼンリンの個人情報保護方針には、個人データの第三者提供停止を請求する正式な手続きもあります。「個人情報の取扱いに関する請求書」を使い、郵送またはFAXで請求します。本人確認も行われます。
地図上の表記を訂正・削除してほしい場合の問い合わせと、個人情報保護法に基づく個人データの第三者提供停止請求は、窓口と法的な位置づけが異なります。
住宅地図の名字は土地・建物の所有者なのか
住宅地図の居住者名と、土地・建物の所有者名は別です。住宅地図の居住者情報は、表札や郵便受けなどの表示を基に調査されます。
ゼンリンの個人情報保護方針には、「住宅地図帳等の当社発行物に不動産所有者の氏名を掲載することはありません」と明記されています。土地・建物の所有者を確認する資料は登記情報で、住宅地図で確認できる居住者名とは役割が異なります。
マンションやビルはどこまで載る?
住宅地図では、マンション、アパート、ビルなどについて、入居者やテナント情報を「別記」として収録する商品があります。収録方法や対象建物の基準は商品・地域によって異なります。
コンビニの住宅地図プリントサービスでは、ビル・マンション等の入居者情報である「別記」は確認できません。一方、通常の住宅地図や対応サービスには別記情報を持つものがあります。
住宅地図は何に使われる?
ゼンリンは1952年の初版以来、住宅地図が社会のさまざまな場面で使われてきたと説明しています。
- 電気、ガス、水道などライフラインの維持・保全
- 防災
- 消防
- 警察
- 郵便
- 宅配、配送
- 不動産の物件管理
- 銀行、保険などの業務
- 自治体、官公庁の業務
住宅地図は、道路や施設の位置だけでなく、建物単位の形状、入口、周囲の建物、表札などを細かく扱います。災害現場、配送先、不動産物件などで、目的の建物を特定するための情報として使われてきました。
ゼンリン住宅地図はどう生まれた?
ゼンリンの創業は1948年です。創業者の大迫正冨らが大分県別府市で後の善隣出版社を創業しました。
1949年には観光小冊子『年刊別府』を発行します。ゼンリンの公式説明によると、観光客から高く評価されたのは付録として折り込まれていた市街地図でした。大迫は、屋号まで書かれた江戸時代の古地図をヒントに住宅地図を手掛けます。
1952年6月、同社初の住宅地図『別府市住宅案内図』を刊行しました。観光案内の付録として始まった市街地図は、建物単位で街を記録する住宅地図事業へ発展しました。
1980年に住宅地図の全国出版を達成
1954年、会社は小倉市、現在の北九州市小倉北区へ本拠を移しました。1967年にはマイクロフィルムを利用した住宅地図制作を開始します。
1980年に住宅地図の全国出版を達成し、1982年には地図情報のデジタル化に着手しました。1983年、「善隣」から現在の「株式会社ゼンリン」へ商号を変更し、1986年には地図情報データベース「Zmap電子地図」を発表しました。
紙の住宅地図からカーナビ、スマートフォンへ
ゼンリンの地図データは住宅地図帳だけにとどまりません。1990年にはGPSカーナビゲーションシステム専用ソフトを開発し、2002年にパソコン用電子住宅地図「デジタウン」、2005年にインターネット住宅地図配信「ZNET TOWN」、2012年にスマートフォン版住宅地図の配信を開始しました。
2017年には東京都島嶼部7村の住宅地図帳を出版し、日本全国の住宅地図データをすべて整備したとしています。現在地を衛星測位で知る仕組みは「GPSの歴史としくみ|スマホの現在地はなぜわかるのか」で詳しく説明しています。
コンビニで個人名入り住宅地図を買える
2026年9月時点で、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、デイリーヤマザキ、セイコーマートの対応店舗で住宅地図をプリントできます。価格はA3カラー1枚660円、縮尺は1/1,500相当です。
購入操作中の範囲確認画面では居住者名などを表示しません。ゼンリンのFAQは、実際にプリントされる地図について「居住者名や番地が収録された住宅地図」と説明しています。
昔の住宅地図はいまや歴史資料
住宅地図は更新され続ける実用品であると同時に、過去の版は街の状態を保存した歴史資料になります。
国立国会図書館は、住宅地図を「建物名や建物ごとの居住者を記載している地図の総称」と説明しています。東京23区については1950年代末以降、その他の地域では主に1970年代以降の住宅地図を所蔵しています。1967年までに刊行された住宅地図のうち、特に劣化の激しい東京23区の資料はデジタル化されています。
同じ場所の住宅地図を年代順に比べると、住宅からマンションへの建て替え、商店や施設の入れ替わり、工場・倉庫から住宅地への転換、路地や敷地形状の変化などを建物単位で確認できます。江戸・明治の地図、地形図、空中写真などの使い分けは「古地図まるわかりガイド|江戸・明治の地図で東京の街歩きが楽しくなる入門」で紹介しています。
2026年改正個人情報保護法との関係
2026年7月17日、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。個人情報保護委員会によると、改正法は一部を除き、公布日から2年以内に政令で定める日から施行されます。
2026年9月時点では、住宅地図とオプトアウト制度について、現行法・現行ガイドライン・ゼンリンの個人情報保護方針が基準になります。個人情報保護委員会の現行通則ガイドラインには、住宅地図業者がオプトアウトによって第三者提供する例が掲載されています。
よくある質問
表札を出していなければ住宅地図に名前は載らない?
ゼンリンは、表札、郵便受け、看板などを現地確認し、場合によっては個別訪問で名前や住所を確認すると説明しています。表札だけを情報源としている仕組みではありません。
近所の人への聞き込みで名前を集めている?
現在のゼンリン公式説明で示されているのは、表札、看板、郵便受けなどの現地確認と、場合による本人への訪問確認です。
住宅地図の名前は土地の所有者?
居住者情報と所有者情報は別です。ゼンリンは住宅地図帳などの発行物に不動産所有者の氏名を掲載しないと明記しています。
勝手に名前を載せられたら削除できる?
ゼンリンは、住宅地図の個人名、事業所名、番地について掲載・削除・変更の要望を受け付けています。個人宅については本人または同居家族からの要請を受け付け、調査・確認後、更新サイクルに応じて反映されます。
個人データの提供そのものを止められる?
ゼンリンの個人情報保護方針では、本人から第三者提供停止を求められた場合、次回データ更新に基づいて制作される商品から第三者提供を停止するとしています。正式な停止請求は、所定の請求書を使い郵送またはFAXで受け付けています。
誰でも住宅地図を買える?
紙の住宅地図はゼンリンストアなどで購入できます。必要な範囲だけなら、対応するコンビニのマルチコピー機でも購入できます。
コンビニの確認画面に個人名が出ないのはなぜ?
確認画面は出力範囲を選ぶための地図です。実際のプリントには居住者名と番地が収録されます。
Google マップと住宅地図は何が違う?
一般的なWeb地図は道路、施設、店舗、経路検索などを中心に利用されます。住宅地図は建物の形状、番地、建物名称、居住者名など、建物単位の詳細情報を扱う点が大きな特徴です。
まとめ
ゼンリン住宅地図に載る居住者名・住所は個人情報です。ゼンリンは表札、郵便受け、住居表示プレートなどを現地調査し、住宅地図帳、データベース、配信サービスなどを制作しています。
個人データの第三者提供については、個人情報保護法第27条第2項に基づくオプトアウト方式を公表し、本人から停止を求められた場合の手続きも設けています。個人情報保護委員会のガイドラインにも、住宅地図業者がこの方式を利用する具体例があります。
1952年に別府で始まった住宅地図は、全国を一軒ずつ調査する仕組みへ発展し、宅配、不動産、消防、防災、警察、ライフラインなどを支える地図になりました。過去の版は、街や建物、居住者の変化を追う歴史資料にもなっています。

