海の森公園を歩く|新木場からシャトルバスで23区最大級の海上公園へ【開催レポート】

海の森公園から望む東京ゲートブリッジ

2025年11月16日(日)、20名で新木場駅から海の森公園へ向かいました。今回のテーマは、2025年3月にグランドオープンした広大な海上公園を実際に歩き、東京港の埋立地が森へ変わってきた歩みと、東京湾岸ならではの眺望を体感することです。

楽しみにしていた自動運転バスは当日、自動運転ではなく手動運転での運行でした。少し残念なスタートでしたが、公園ではヤギに迎えられ、ビジターセンターの展示、広い草地、高台からの東京ゲートブリッジや東京港の景色、東京2020大会の会場となった場所の名残まで、海の森ならではの風景をたっぷり楽しみました。

今回のコース概要

新木場駅からシャトルバスで海の森公園へ移動し、ビジターセンター周辺から園内へ。ヤギのいる草地を見ながら、高台や展望地点、広い草原を巡りました。園内は約60ヘクタールあり、実際に歩くと写真以上にスケールを感じます。ビジターセンターは公園の成り立ちを学べる環境学習拠点で、トイレもこの周辺にあるため、散策の最初に立ち寄ると便利です。

自動運転バス

新木場駅前に停車する海の森公園シャトルバス
新木場駅前の海の森公園シャトルバス。訪問日は自動運転ではなく手動運転でした。

新木場駅と海の森公園を結ぶ無料シャトルバスでは、2025年7月から自動運転車両が導入されました。東京都の発表では、自動運転レベルは「レベル2」。ドライバーが乗車し、必要な場合には手動で運転する仕組みです。予約不要・無料で、海の森公園への公共交通の足として運行されています。

海の森公園シャトルバスの手動運転案内
車内に掲示されていた手動運転の案内。

私たちが訪れた日は、車内に「当面の間、自動運転ではなく手動運転で運行します」と案内が掲示されていました。掲示には、8月29日に八王子市高尾駅周辺で発生した別の自動運転バスの事故を受けた対応であり、海の森公園の車両・事業者は当該事故とは異なることも記されていました。当日は自動運転を体験できませんでしたが、実証・社会実装の途中にある交通技術を考える機会にもなりました。

運行方法やダイヤは変更されることがあります。利用時は東京都・海の森公園の最新案内をご覧ください。

海の森公園

海の森公園に到着した参加者とシャトルバス
海の森公園に到着。広い公園を巡る散策が始まります。

海の森公園は、江東区海の森三丁目、東京港の中央防波堤ちゅうおうぼうはてい内側埋立地に整備された約60ヘクタールの都立公園です。2025年3月28日にグランドオープンしました。東京都の構想では「資源循環」と「都民協働」を柱に、ごみと建設発生土でできた埋立地を緑豊かな森へ変える取り組みが進められてきました。

この場所は1973(昭和48)年から1987(昭和62)年まで、ごみの最終処分場として使われました。東京都によれば、埋立地は約1,230万トンのごみで造成され、その上にリサイクル土や建設発生土などの層をつくっています。2007年度から2015年度には、スダジイやタブノキなど約24万本の苗木が植えられました。苗木づくりや植樹には都民、企業、NPOなどが参加しており、現在の森そのものが東京の廃棄物処理と市民参加の歴史を伝える教材になっています。

ヤギがお出迎え

海の森公園の園路からヤギを見る参加者
公園に入って間もなくヤギがお出迎え。

公園に入って間もなく、草地にいたヤギがお出迎え。20名で歩き始めたばかりのところに現れた、和やかな見どころでした。

海の森公園で草を食べる3頭のヤギ
草地で過ごすヤギたち。

東京港の人工島という立地を思うと、緑の中でヤギが草を食べる風景は、この土地の変化を印象づけます。

海の森ビジターセンターで公園の成り立ちを学ぶ

海の森ビジターセンター外観
環境学習の拠点となる海の森ビジターセンター。

散策の拠点として助かったのが海の森ビジターセンターです。東京都はここを環境学習拠点として位置づけています。広い園内を歩く前に、公園の地図や背景を知っておくと、その後の景色の見え方が変わります。

海の森ビジターセンター館内
休憩しながら公園や自然について学べるビジターセンター館内。

館内には休憩できるスペースや、公園の自然を知る展示があります。トイレもビジターセンター周辺にあるため、長めの散策前に立ち寄っておくと安心です。

海の森ビジターセンターの公園解説展示
埋立地から森へ変わってきた過程を紹介する展示。

展示では、江戸の海と人々の暮らし、東京港の埋立て、ごみの島から森への転換、資源循環と協働による森づくりが順を追って紹介されています。なぜこの場所に森があるのかを知ることで、海の森公園の特徴がより具体的に理解できます。

高台から東京ゲートブリッジを望む

海の森公園から望む東京ゲートブリッジ
高台からは東京ゲートブリッジを大きく望めました。

園内の高い場所へ進むと、東京ゲートブリッジが大きく見えてきました。東京都の海上公園ガイドでも、西の小山・東の小山は都心の高層ビル群やゲートブリッジを望める展望エリアとして紹介されています。海に囲まれ、周囲を遮る建物が少ない海の森ならではの眺望です。

海の森公園の高台を歩く参加者
起伏のある園内を歩いて高い場所へ向かいます。

参加者で起伏のある園路を進み、最高地点へも上りました。広い公園の中で標高を上げるにつれ、東京湾岸の地形や港の広がりが立体的に見えてきます。

東京港の物流と海を一望

海の森公園から夕日に照らされる東京港を望む
夕方には東京港の船や港湾施設が光に浮かび上がりました。

貨物船やコンテナ、港湾施設が広がり、森の緑と巨大な物流拠点が同じ視界に収まります。海の森が自然だけの公園ではなく、東京港の現在を眺められる場所であることを実感しました。

東京2020大会の記憶が残る場所

海の森周辺は、東京2020オリンピック・パラリンピックの競技会場となった地域でもあります。東京都の資料では、この島で総合馬術が行われ、隣接する海の森水上競技場ではボート・カヌー競技が行われました。園内を歩くと、大規模競技が行われた土地のスケールを感じられます。

歩いて分かる、23区最大級の広さ

海の森公園の広い草地と園路
広大な草地が続き、公園のスケールを実感します。

公園の中へ入るほど、視界いっぱいに草地と空が広がります。海の森公園は約60ヘクタール。中央防波堤内側埋立地に区部最大級の公園をつくる構想として計画され、長い年月をかけて整備されてきました。展望地点などを巡るなら歩きやすい靴がおすすめです。

ごみの最終処分場から「森」へ

今回の散策で印象的だったのは、目の前の自然が長い時間をかけて人の手で育てられてきたことです。東京の都市生活から出た大量のごみで造成された土地に、リサイクル資材を生かした土をつくり、どんぐりから育てた苗木を含む約24万本を植える。海の森は、東京の発展の裏側にある廃棄物の歴史と、その土地を次の世代へどう引き継ぐかという試みを一度に学べる場所です。

ビジターセンターの展示を見てから森や草原を歩くと、「埋立地」「公園」「東京港」という別々に見えるテーマが一本につながります。現代都市がつくられてきた過程を地形と景観から読むことも、歴史散歩の楽しみです。

TimeWalkで身近な歴史スポットも探してみませんか

ゆる歴史散歩会の「TimeWalk」は、現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめるWebアプリです。今回のように、現在の風景から土地の過去をたどる散歩にも役立ちます。

現在地から歩ける史跡を地図で探す

まとめ

自動運転バスを楽しみにしていた分、手動運転だったのは残念でしたが、海の森公園では多彩な景色に出会えました。ヤギ、ビジターセンター、広大な草地、東京ゲートブリッジ、東京港の物流風景、そして東京2020大会の記憶。最高地点まで歩くことで、東京湾の人工島が森へ変わってきたスケールを体で感じる一日になりました。

開園したばかりの新しい公園ですが、土地の歴史は1970年代のごみ処分場、2000年代からの森づくり、東京2020大会へと重なっています。数年後にもう一度歩き、森の成長を見比べるのも楽しそうです。

参考資料