護国寺〜池袋の暗渠散歩|水窪川の痕跡と池袋・美久仁小路の歴史を歩く

文京区大塚の護国寺本堂

護国寺から池袋へ向かい、地上から姿を消した水窪川の流れを逆向きにたどります。川そのものは見えなくても、細く曲がる道、台地との高低差、谷底に沿う街路、東池袋の小さな広場や路地に、かつて水が流れていた地形が残っています。

終点は池袋駅東口の美久仁小路みくにこうじ周辺。水窪川の源流部とされる低地と、戦後の闇市整理を経て生まれた横丁が重なる場所です。護国寺の江戸史、大塚・東池袋の谷地形、池袋の戦後史を一本のルートでつなげて歩きます。開催後は、このページに当日の写真と開催レポートを追記します。

今回のコース概要

護国寺駅周辺を出発し、護国寺東側の低地から大塚・東池袋を抜け、池袋駅東口の美久仁小路へ向かいます。水窪川は本来、池袋側から護国寺・音羽方面へ流れていたため、今回は源流へさかのぼる向きです。

  1. 護国寺駅周辺・護国寺
  2. 富士見坂周辺と谷地形
  3. 大塚坂下町公園周辺
  4. 東池袋の辻広場
  5. 池袋駅東口・美久仁小路

水窪川とは|池袋東口から神田川へ流れていた川

水窪川みずくぼがわは、池袋駅東口の「蟹ケ窪」と呼ばれた低地を源流部とし、東池袋・大塚・護国寺・音羽を経て、江戸川橋付近で神田川へ注いでいた小河川です。現在は大部分が暗渠となり、水面の代わりに道路や路地として流路の輪郭が残っています。

暗渠歩きで手がかりになるのは、川名の標識よりも街の形です。周囲より一段低い道、谷底へ下りる階段、直線的な都市計画道路の中に残る不自然な曲線、崖下に沿う道を続けて見ると、旧河道が立体的に読み取れます。

水窪川暗渠の経路付近を走る都電荒川線
都電荒川線、2022年3月12日。撮影:Drivephotographer/Wikimedia Commons/CC0。

水窪川を池袋東口から神田川まで通して追いたい方は、水窪川跡を歩く|池袋東口から護国寺・音羽・神田川へ続く暗渠と歴史散歩で全体像を詳しく紹介しています。

護国寺|江戸の大寺院と水窪川の谷が接する場所

護国寺は1681年、五代将軍徳川綱吉とくがわつなよしが生母・桂昌院けいしょういんの発願を受けて創建した真言宗豊山派の大本山です。幕府の高田薬園の地を与えられて堂宇が築かれ、現在の観音堂(本堂)は1697年の造営。国の重要文化財に指定されています。

護国寺の歴史は建物だけを見るより、周囲の地形と合わせると輪郭がはっきりします。境内は高まりにあり、その東側には水窪川の谷筋、西側には池袋西口方面を水源とした弦巻川の谷筋があります。護国寺前から音羽へ下る一帯は、池袋から流れ出した二つの川の地形を比較できる場所です。

文京区大塚の護国寺本堂
護国寺本堂、2006年5月4日。撮影:Lombroso/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0。

境内には桃山時代の建築を伝える月光殿もあります。近江三井寺の塔頭・日光院客殿を1928年に移築したもので、こちらも国の重要文化財です。護国寺の建築と音羽・大塚の地形を古地図で見たい方は、音羽関連記事もあわせて楽しめます。

大塚から東池袋へ|坂と細い道が残す旧河道

護国寺から池袋方向へ進むと、道は住宅地の中へ入ります。富士見坂周辺、大塚坂下町公園、東池袋の小さな広場を結ぶ区間では、広い幹線道路よりも、その脇に残る低い道や細い抜け道が水窪川の流れを読む手がかりになります。

東池袋には、木造住宅が多い市街地で防災や日常の休憩に使われる小規模な広場が点在します。水窪川跡を歩くと、こうした現在の都市空間と、谷底に沿って形成された古い街路が隣り合っているのが分かります。川が消えた後も地形までは消えず、道路や敷地境界に残っています。

池袋東口|蟹ケ窪と美久仁小路

水窪川の源流部とされるのが、池袋駅東口からサンシャインシティ方向へ入った美久仁小路周辺です。この一帯にはかつて「蟹ケ窪かにがくぼ」という字名があり、明治後期の地図では周辺に水田と水窪川が描かれています。現在の繁華街からは想像しにくい景観ですが、路地へ入ると今もわずかな低さを感じられます。

池袋駅周辺は戦災後に大規模な闇市が形成され、露店整理と区画整理が進む中で、1950年代初頭に美久仁小路などの横丁へ店舗が移りました。豊島区の資料でも、美久仁小路は戦後の池袋を伝える横丁として紹介されています。現在の都市計画でも、美久仁小路と栄町通りは「歴史ある街並み、通り」の保全対象として位置づけられています。

池袋駅東口の駅前風景
池袋駅東口、2010年12月4日。撮影:Pyzhou/Wikimedia Commons/GFDL。

池袋の別の「消えた川」も比べると地形がさらに分かりやすくなります。池袋西口側から雑司が谷・護国寺へ向かった流路は、弦巻川跡を歩く|池袋・雑司が谷の暗渠と川跡をたどる歴史散歩レポートで紹介しています。駅周辺の歴史スポットを広く巡るなら、池袋の歴史散歩|駅周辺8スポットを巡るモデルコースも参考になります。

暗渠散歩で見るポイント

  • 高低差:坂の下や崖線に沿って低地が連続しているか。
  • 道の曲線:周囲の区画と合わない細い曲がり道が続いているか。
  • 街路の幅:広い道路の間に、旧河道らしい細い道が入り込んでいないか。
  • 古い地名:「窪」など水や低地を思わせる地名が残っていないか。

護国寺から池袋へ歩くこのコースでは、寺院史、都市の地形、戦後の繁華街形成が短い距離の中で重なります。川跡そのものを探すだけでなく、街が谷をどう利用し、都市化の中で水路を道路へ変えてきたかまで見えるのが水窪川散歩の魅力です。

散歩の続きはTimeWalkで

TimeWalkは、現在地や指定地点の近くにある史跡・寺社・記念碑などを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめるWebアプリです。護国寺や池袋周辺を歩くときも、近くの歴史スポットを距離順に確認できます。

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