
今回行くところ
※歴史を体験できる街歩きアプリ「TimeWalk」もおすすめです!
- 日本橋ダイヤビルディング
低層部分は1930年竣工の旧三菱倉庫江戸橋倉庫ビル。前身の「江戸橋倉庫ビル」は、日本初の都市型倉庫の一つであり、船をイメージした半円窓や船橋を模した塔屋を持つ、個性的な外観でした。新しいビルでは、この既存建物の外観(躯体の一部も)を保存し、その上に高層棟を増築するという、高度な保存再生手法が採用されています。 - 日証館(にっしょうかん)
1928年竣工。以前は、新一万円札の顔としても知られる渋沢栄一の邸宅があった場所に建てられました。関東大震災後、事務所を失った証券会社などに賃貸する「証券集合ビル」として、東京株式取引所(現・東京証券取引所)によって建設されました。 - 証券取引発祥の地
1878年(明治11年)、東京証券取引所の前身である東京株式取引所が兜町に設立され、同年6月1日に売買立会を始めました。かつての株券売買立会場は1999年に閉場し、その跡地は東証Arrowsとして使われています。兜町が日本の証券市場の中心となった歴史をたどれる場所です。


- 第一国立銀行跡・銀行発祥の地
1873年(明治6年)、渋沢栄一が中心となって日本最初の国立銀行である第一国立銀行を開業した場所です。兜町が証券取引だけでなく、近代的な銀行制度の出発点でもあったことを伝えています。 - KABUTO ONE (澁澤栄一ゆかりの赤石)
2021年竣工。平和不動産株式会社(日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト)。東京証券取引所(東証)の現物市場売買システムを収容する次世代のITセンターが核として入居しています。

- 聚玉文庫(しゅうぎょくぶんこ)ギャラリー
日本橋の老舗和紙舗「榛原(はいばら)」が、長年にわたって集積してきた紙文化に関する貴重な資料コレクションです。「聚玉」という名称は、明治21年(1888年)に、榛原が皇居新宮殿の内装の御用を務めた際に、有栖川宮熾仁親王殿下より賜った堂号「聚玉」の御染筆に由来しています。 - TODA BUILDING
長年京橋に本社を構えていた戸田建設の新本社ビルです。低層部(1階~6階)が「芸術文化エリア」として構成されており、京橋エリアの文化発信の核となることを目指しています。アーティゾン美術館と連携し、京橋をアートの街として盛り上げる役割を担っています。 - 京橋エドグラン
2016年に開業した複合施設です。中央通り側には、1933年(昭和8年)竣工の明治屋京橋ビルを保存・再生して残しています。新しい再開発棟と歴史的建築物を左右に並べた外観や、地下鉄銀座線京橋駅と建物が直結する昭和初期の設計が見どころです。 - 東京ミッドタウン八重洲
八重洲二丁目北地区の再開発で2022年に竣工し、2023年にグランドオープンした複合施設です。商業施設、オフィス、ホテル、中央区立城東小学校、バスターミナルなどが一つの建物に集まっています。5階のYAESU TERRACEからは東京駅八重洲口を見渡せます。
2025年12月8日 開催レポート
2025年12月8日20時15分から、11人で日本橋・兜町・京橋・八重洲を歩きました。テーマは、近代金融の歴史が残る街をたどりながら、冬のイルミネーションやライトアップも楽しむナイトウォークです。昼間はオフィス街として見える場所も、夜になると建物の照明や街路樹の光が加わり、歴史的な建物・再開発・現代アートを一度に見比べられる時間になりました。

今回のコース概要
このページで事前に整理していた日本橋ダイヤビルディング、日証館、証券取引発祥の地、第一国立銀行跡、KABUTO ONE、聚玉文庫ギャラリー、TODA BUILDING、京橋エドグラン、東京ミッドタウン八重洲を軸に、日本橋から兜町、京橋、八重洲へと街の変化を追いました。近代金融史を象徴する兜町から、保存再生された建築、アートを取り込んだ再開発、冬の光に包まれる東京駅東側へ移っていくため、「古いものを見る」だけではなく、歴史を引き継ぎながら更新される都心の姿が見やすいコースです。

兜町はなぜ「日本のウォール街」と呼ばれるのか
兜町が金融街として大きく動き始めるのは明治時代です。1873年には第一国立銀行が開業し、1878年には渋沢栄一らが関わった東京株式取引所が設立され、同年6月1日に売買立会が始まりました。日本取引所グループの沿革でも、現在の東京証券取引所につながる市場の出発点としてこの経緯が確認できます。銀行と取引所が近接したことで、兜町は近代日本の金融を象徴する街になっていきました。
現地で面白いのは、金融史が説明板の中だけにあるのではなく、建物や石、街区そのものに残っていることです。日証館は旧渋沢栄一邸跡に1928年に建てられ、戦後には多数の証券会社が入居しました。関東大震災後の復興と、その後の証券業界の集積を伝える建物として、現在も兜町の景観を形づくっています。

KABUTO ONEのアトリウムに展示されている「佐渡の赤石」も、その歴史を具体物で感じられる場所です。平和不動産によると、この石は1888年に渋沢が兜町邸宅を建てた際、日本経済の繁栄を祈念する縁起石として置かれ、その後の移転を経て2017年に兜町へ戻り、現在はKABUTO ONEで展示されています。赤い巨石を目の前にすると、渋沢栄一という人物の名前だけでなく、彼が実際に暮らし、金融制度づくりに関わった土地として兜町を捉えやすくなります。
歴史的な街に重なる現代アートと夜の光
京橋へ進むと、金融街とは少し違った都市文化の層が見えてきます。TODA BUILDINGは「人と街をつなぐ」を掲げ、低層部にミュージアム、ギャラリー、ホールなどを置く芸術文化の拠点です。公式案内では、江戸期からものづくり文化が育まれた京橋で、アートとビジネスが交わる場を目指すと説明されています。歴史散歩の途中に現代アートが自然に入ってくるのは、京橋という街の現在を理解するうえでも印象的でした。


この日は街路樹や建物周辺にも光の演出があり、同じ通りでも照明の色や密度によって雰囲気が大きく変わりました。昼間の建築観察とは違い、夜は外壁の輪郭、ガラス面への反射、植栽のライトアップなどが強調されます。歴史的な建物と新しい再開発ビルを続けて見ると、京橋・八重洲が「保存」だけでも「建て替え」だけでもなく、両方を組み合わせながら更新されていることが分かります。


八重洲で見る再開発と冬のイルミネーション
八重洲まで来ると、東京駅前の大規模再開発と季節演出が主役になります。東京ミッドタウン八重洲では、2025年11月13日から12月25日まで「MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2025」が開催され、1階ガレリアでは工芸と光を組み合わせた展示、5階YAESU TERRACEではシャンパンゴールドのイルミネーションが展開されていました。公式情報では、5階のイルミネーションは2026年2月15日まで、16時から23時に点灯する企画として案内されています。


金融街として発展した兜町から歩いてきたあとに、東京駅直結の再開発エリアを見ると、同じ中央区でも街の役割が時代ごとに変化してきたことが実感できます。市場、銀行、倉庫、オフィス、商業施設、アート、交通拠点が短い徒歩圏に重なっているのが、このコースの大きな特徴です。

歴史散歩とイルミネーションを一緒に楽しむ面白さ
日本橋・兜町・京橋・八重洲は、近代金融史、震災復興建築、保存再生、現代アート、再開発を一続きに見られる地域です。今回はそこへ冬のイルミネーションが加わり、建物や街路の見え方まで変化しました。参加者11人で歩きながら、光を楽しむだけでなく、「なぜここに銀行や取引所が集まったのか」「古い建物が現在の街にどう残されているのか」を現地で確認できたのが、この回ならではの面白さでした。
同じ日本橋・京橋・八重洲を別の切り口で歩くなら、日本橋・京橋・八重洲の歴史散歩|江戸秤座・広重・ヤン・ヨーステンもあわせてどうぞ。兜町と渋沢栄一の関係をさらに深く知りたい方は、渋沢栄一が形づくった東京|日本橋・兜町・王子・飛鳥山の近代都市史も参考になります。また、別日に開催した日本橋~八重洲のイルミネーションナイトウォークでは、同じエリアの冬景色を別ルートから紹介しています。
参考資料
- 日本取引所グループ「日本取引所グループ発足以前|沿革(東京証券取引所)」
- 日本取引所グループ「兜町の歴史」
- 平和不動産「日本橋兜町の歴史・史跡」
- 平和不動産「地域社会等への貢献」
- TODA BUILDING「TODA BUILDINGとは」
- 東京ミッドタウン八重洲「MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2025」
TimeWalkで周辺の歴史スポットを探す
日本橋・兜町・京橋・八重洲を歩くときは、現在地の近くにある史跡や記念碑を探せる街歩きWebアプリ「TimeWalk」も利用できます。スポットごとの歴史解説やトリビア、関連人物を確認しながら、この記事で紹介した場所以外にも立ち寄れます。
インストールは不要です。スマートフォンのブラウザから開き、位置情報を許可すると周辺のスポットが距離順に表示されます。

