日本橋~八重洲のイルミネーションナイトウォーク

サンタクロース姿に飾られた日本橋三越本店のライオン像
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今回いくところ

TimeWalkを使うといつでもどこでも実際に歩きながら歴史を学べます。

  1. 日本橋三井タワー(集合場所)
    隣接する重要文化財「三井本館」との調和をコンセプトに、2005年に竣工した超高層ビルです。1階アトリウムは高さ約26mもの大空間で、大理石と光に包まれた荘厳な美しさが魅力です。
  2. 日本橋室町三井タワー
    2019年に誕生した、江戸時代の活気を現代に再現することを目指した複合施設です。低層階の「コレド室町テラス」には、日本の伝統と現代的なライフスタイルが融合したデザインが随所に見られます。
  3. コレド室町2
    「日本を賑わす日本橋」をコンセプトに、江戸の町屋の賑わいを再現したデザインが特徴です。館内には江戸時代の「富くじ(宝くじ)」ゆかりの福徳神社へと続く参道があり、新旧の文化が交差する空間となっています。
  4. 三井本館
    1929年に竣工した、アメリカ合衆国の設計による重厚なネオ・クラシカル様式の傑作で、国の重要文化財です。外装のコリント式大列柱は圧巻で、当時の最高水準の技術が注ぎ込まれた「壮麗・品位・簡素」の美学を体現しています。
日本橋三越本店と三井本館が向かい合う日本橋室町の街並み
三越日本橋本店(左)と三井本館(右)、2009年2月15日。撮影:Volfgang/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0。
東京都中央区日本橋室町にある重要文化財の三井本館
三井本館、2009年。撮影:Wiiii/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0。
  1. 三越本店
    1935年に全館完成したルネサンス様式の建物で、百貨店として初めて国の重要文化財に指定されました。中央ホールの5層吹き抜けや、佐藤玄々作の巨大な彫刻「天女(まごころ)像」は、建築そのものが芸術品といえる迫力です。
  2. 日本橋麒麟像
    1911年に完成した現在の日本橋(石造アーチ橋)の中央を飾るブロンズ像です。本来麒麟にはない「翼」があるのが特徴で、日本の道路網の起点である日本橋から「全国へ飛び立つ」という繁栄の願いが込められています。
日本橋の欄干に設置された翼を持つ麒麟像
日本橋麒麟像、2020年1月30日。撮影:Phlizz/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。
  1. 八重洲ファーストフィナンシャルビル
    「ガラスの重箱」をモチーフにした、シャープで透明感のある外観が目を引くオフィスビルです。1階には天井高15mもの巨大なピロティがあり、都会の真ん中にダイナミックな歩行空間を作り出しています。
  2. 鉃鋼ビルディング
    1951年に「戦後初の高層ビル」として誕生した旧ビルの歴史を継いで、2015年に建て替えられました。外観にはかつての建物の面影を残しつつ、最新の制振技術を備えた八重洲エリアのランドマークです。
  3. 北町奉行所跡
    江戸時代の町奉行所の一つで、時代劇でおなじみの「遠山の金さん」ゆかりの地です。現在、東京駅八重洲北口付近の広場には、発掘された当時の排水溝の石垣などが一部復元され、当時の遺構を間近に見ることができます。
  4. ヤン・ヨーステン記念像
    江戸時代初期、徳川家康の外交顧問となったオランダ人航海士の像です。彼の和名「耶楊子(やようす)」が「八代洲(やよす)」を経て「八重洲」という地名へ変化したことを伝える記念像です。
東京駅八重洲地下街にあるヤン・ヨーステン記念像
ヤン・ヨーステン記念像、2019年4月28日。撮影:江戸村のとくぞう/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。
  1. 八重洲テラス
    2023年に全面開業した「東京ミッドタウン八重洲」の5階にある、東京駅を眼下に見下ろせる屋外テラスです。最新のランドスケープデザインが施された開放的な空間からは、復元された東京駅赤レンガ駅舎の夜景を美しく眺めることができます。

2025年12月18日開催レポート|14人で日本橋から八重洲へ

2025年12月18日19時から、14人で「日本橋~八重洲のイルミネーションナイトウォークを楽しもう!」を開催しました。日本橋室町を出発し、三井本館や日本橋三越本店など歴史ある建築を見ながら、冬のイルミネーションで彩られた日本橋・八重洲を歩く夜の街歩きです。江戸以来の商業地、近代建築、現在進行形の再開発、そして季節の光の演出が短い距離の中で次々に切り替わるのが、このエリアならではの面白さでした。

日本橋エリアの館内を彩るゴールドと白のクリスマスツリー
日本橋エリアで見た、ゴールドと白を基調にしたクリスマスツリー。ナイトウォークの出発時から冬らしい華やかな雰囲気を楽しめました。

今回のコース概要

集合は日本橋三井タワー周辺。日本橋室町から三井本館、日本橋三越本店、日本橋周辺を見て、八重洲方面へ進み、東京ミッドタウン八重洲のイルミネーションまで巡りました。既存の「今回いくところ」に掲載している史跡や施設をベースに、冬季限定の光景も楽しむ構成です。街路樹のイルミネーションと、石造・近代建築のライトアップを同時に見比べられるため、昼の歴史散歩とは違う「建物の輪郭」の見え方にも注目しました。

日本橋の街路樹を包む冬のイルミネーション
日本橋の通りを彩るイルミネーション。街路樹に細かな光が重なり、夜の街並みを明るく演出していました。

日本橋の冬景色|歴史の街にイルミネーションが重なる

2025年の日本橋エリアでは「日本橋イルミネーション2025」が行われ、COREDO室町テラスや日本橋三井タワー、江戸桜通りなどが冬の光で彩られました。中央区観光協会の案内では、日本橋エリアのイルミネーションは2025年11月20日から2026年2月15日までとされており、開催日の12月18日はまさにシーズンの中心です。

また、日本橋では「カナエルNIHONBASHI 2025-26」も開催され、開運をテーマにした装飾が展開されました。写真に写る華やかな麒麟きりんのモチーフは、日本橋の橋上に置かれた麒麟像とも響き合います。1911年竣工の現在の日本橋には翼を持つ麒麟像が設置されており、日本橋を象徴する意匠の一つです。歴史的なモチーフが、現代の季節イベントのデザインにも取り込まれている点は、街歩きで観察すると面白いところです。

カナエルNIHONBASHI 2025-26の麒麟ゴーラウンド
「カナエルNIHONBASHI 2025-26」の期間に日本橋エリアで展開された、麒麟をモチーフにした華やかな装飾。

三井本館と日本橋三越本店|光で見える近代建築の輪郭

日本橋室町では、1929年竣工の三井本館を見ました。三井不動産は、日本橋三井タワーの開発について、重要文化財である三井本館を保存しながら超高層建築を整備した「歴史的建築物の保存と開発との両立」の事例として説明しています。夜は大列柱が下から照らされ、壁面の凹凸や柱の量感が昼間以上にはっきり見えます。古い建物を単独で眺めるだけでなく、その隣に現代の高層建築が立つこと自体が、日本橋の都市更新の歴史を示しています。

夜間にライトアップされた三井本館の列柱
夜の三井本館。大列柱が照明で浮かび上がり、昼間とは異なる重厚な表情を見せていました。

そこから日本橋三越本店へ。現在の本館は1935年に完成し、2016年に国の重要文化財に指定されました。館内中央ホールには1960年完成の「天女(まごころ)像」があり、正面玄関のライオン像とともに日本橋三越を象徴する存在です。今回の写真ではライオン像がサンタクロース姿になっており、恒久的な建築・彫刻と、期間限定の装飾を一度に見られました。

日本橋室町から八重洲方面へ向かう夜の街並み
日本橋から八重洲方面へ。歴史ある商業地と現代の高層建築が同じ視界に重なるのも、このエリアのナイトウォークの面白さです。
サンタクロース姿に飾られた日本橋三越本店のライオン像
日本橋三越本店のライオン像もクリスマス仕様に。季節ならではの装いを楽しみながら歩きました。

日本橋の商業史をさらに掘り下げたい方は、日本橋の伊勢商人と三井・越後屋の歴史を紹介した記事、また三井本館そのものについては三井記念美術館と三井本館の解説もあわせてどうぞ。

八重洲へ|地名の由来と東京駅東側の変化

日本橋から八重洲へ進むと、街の表情は近代商業地から東京駅東側の再開発エリアへ変わっていきます。「八重洲」の地名は、1600年にリーフデ号で日本へ漂着し、徳川家康に仕えたオランダ人ヤン・ヨーステンに由来するとされています。彼の和名耶楊子やようすから「八代洲」「八重洲」へ変化したと伝えられています。

大切なのは、ヨーステンの屋敷が現在の中央区八重洲にあったわけではない点です。中央区観光協会の解説では、江戸期の「八代洲河岸」は現在の丸の内側に相当し、東京駅の成立などを経て「八重洲」の名が駅東側へ移ってきました。現在の地名だけを見ると分かりにくいですが、街を歩くと「名前が移動する都市史」まで実感できます。より詳しいルート解説は、日本橋・京橋・八重洲の歴史散歩レポートでも紹介しています。

東京ミッドタウン八重洲|工芸とイルミネーション

八重洲では「MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2025」を見ました。2025年は「ジャパンクラフト×イルミネーション」を掲げ、日本各地の工芸とクリスマス装飾を組み合わせた企画が展開されました。会場の中心には静岡県の伝統工芸、駿河竹千筋細工するがたけせんすじざいくを用いた工芸ツリーが設置され、竹の細い線の間から柔らかな光が広がっていました。単純な電飾だけでなく、素材や職人技そのものを見せる構成になっているのが特徴です。

東京ミッドタウン八重洲の駿河竹千筋細工を使ったクリスマス装飾
東京ミッドタウン八重洲「MIDTOWN YAESU CHRISTMAS 2025」。駿河竹千筋細工を使った温かな光の工芸ツリーが印象的でした。

5階のYAESU TERRACEでも植栽とイルミネーションが組み合わされ、街中とは少し違う落ち着いた光景を楽しめました。公式情報では2025年のクリスマスイベントは11月13日から12月25日まで、一部イルミネーションは2026年2月15日まで実施されました。12月18日の開催日はクリスマス直前で、日本橋から歩いてきた最後に季節感のある景色をまとめて楽しめるタイミングでした。

東京ミッドタウン八重洲のYAESU TERRACEを彩るイルミネーション
東京ミッドタウン八重洲のYAESU TERRACE。植栽と光が重なり、都心の夜景を楽しめる空間になっていました。

東京駅周辺まで歩くと、冬の装飾にも地域ごとの個性が見える

この日の写真には、東京国際フォーラムの「Charming Christmas 2025」の干支ツリーも残っています。翌2026年の干支である午をモチーフにしたピンク色のぬいぐるみを積み上げた装飾で、日本橋や八重洲のゴールド系イルミネーションとはまったく違う表情でした。東京駅周辺を少し広く歩くだけでも、歴史建築のライトアップ、街路樹の電飾、伝統工芸、商業施設独自のクリスマス装飾と、光の使い方が変わっていきます。

東京国際フォーラムのCharming Christmas 2025干支ツリー
東京国際フォーラムで見た「Charming Christmas 2025」の干支ツリー。ピンク色のぬいぐるみを重ねた個性的な装飾でした。

東京駅の反対側、丸の内・大手町の都市形成も比較してみたい方は、丸の内・大手町を歩く|東京駅保存と容積移転で読む再開発入門も参考になります。駅の東西を続けて歩くと、歴史建築を残しながら更新されてきた東京駅周辺の違いがより見えやすくなります。

自分でも日本橋の歴史を歩いてみる

日本橋は、イルミネーションの時期以外にも、橋、日本国道路元標、日本橋魚河岸跡、三井本館、日本銀行本店などを歩いて巡れます。TimeWalkには日本橋歴史散歩コースがあり、現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で確認しながら、自分のペースで歴史散歩を楽しめます。

コースを決めずに周辺から探したい場合は、現在地から歩ける史跡をTimeWalkで地図から探すこともできます。今回のナイトウォークの予習・復習にもおすすめです。

まとめ

今回の日本橋~八重洲ナイトウォークでは、14人で冬のイルミネーションを楽しみながら、江戸以来の商業地、昭和初期の近代建築、東京駅東側の再開発までを一続きに歩きました。日本橋は歴史の層が厚い一方、季節イベントや再開発によって毎年少しずつ景色が変わる街でもあります。昼に建築や史跡をじっくり見る散歩と、夜に光の演出を通して街の輪郭を見る散歩では、同じ場所でも印象が変わります。冬の東京駅周辺を歩く際は、イルミネーションだけでなく、その背後にある建物や地名の歴史にも目を向けてみてください。

参考資料