2026年7月19日、ゆる歴史散歩会では13人で洗足学園音楽大学 現代邦楽コースによる和楽器コンサート「和のいろは」を鑑賞しました。

会場は神奈川県川崎市高津区にある洗足学園音楽大学のシルバーマウンテン1階。真夏の青空の下、多くの来場者が集まり、約90分にわたって近現代邦楽の世界を楽しみました。
今回は明治期から1990年代まで、約100年の幅を持つ作品を一度に聴くことができる意欲的なプログラムです。各曲の前には顧問の先生による簡潔な解説があり、初めて邦楽に触れる参加者にも非常に分かりやすい内容でした。
洗足学園音楽大学と現代邦楽コース

洗足学園音楽大学はクラシックやジャズだけでなく邦楽教育にも力を入れている音楽大学です。今回演奏した現代邦楽コースは学部生と大学院生を合わせても10人程度という小規模なコースとのことですが、その分、箏・三味線・琵琶・笛などの和楽器を専門的に学ぶ環境が整っています。
演奏者には海外出身の学生も多く、日本の伝統音楽が国際的に学ばれていることも印象的でした。
開演前の会場

開演前の舞台には7面の箏が並べられていました。一般的な邦楽演奏会ではなかなか見られない壮観な光景で、開演前から期待が高まります。

客席はほぼ満席に近く、地域の方々や邦楽ファン、関係者など幅広い来場者で賑わっていました。
6人の作曲家でたどる近現代邦楽
事前学習として公開した「和楽器コンサート『和のいろは』鑑賞ガイド|6人の作曲家でたどる近現代邦楽」では、各作品と作曲家を一般向けに解説しています。今回の開催レポートでは、当日のデジタルパンフレットに掲載された曲目・作曲年・使用楽器を優先して紹介します。
紺碧く(1983年)
作曲:栗林秀明
使用楽器:箏四重奏(箏1a・1b・2a・2b)
コンサートは7名の箏奏者による演奏で幕を開けました。箏というと静かで古典的な音楽を想像しがちですが、この作品はそのイメージを大きく覆します。多彩な奏法や重層的な響きによって、現代音楽としての箏の可能性を感じることができました。
紺(1990年)
作曲:石田さえ
使用楽器:琵琶、三味線
第1楽章と第3楽章が演奏されました。琵琶と三味線の組み合わせによる演奏を生で聴く機会は非常に少なく、多くの参加者にとって新鮮な体験でした。第3楽章にはアドリブも取り入れられており、伝統楽器でありながら現代的な表現も感じられました。
新高砂
作曲:初世 寺島花野
使用楽器:箏本手、箏替手、尺八
本日のプログラムの中では最も古典に近い作品です。前の2曲とのギャップも大きく、同じ邦楽でも時代によって音楽が大きく異なることを実感できました。明治期の新作邦楽として作られた作品ですが、多くの人が持つ「箏らしい音楽」のイメージに近い演奏でした。
合竹の賦(1972年頃)
作曲:唯是震一
使用楽器:笛1・笛2
事前には尺八作品という印象を持っていましたが、当日は笛による編成で演奏されました。5人の奏者が立って横笛を吹く姿は、まるでフルートアンサンブルのようです。和楽器の世界にもさまざまな編成や演奏スタイルがあることを知る機会になりました。
五十鈴川(1948年)
作曲:宮城道雄
使用楽器:箏独奏
独奏による静かな作品ですが、その美しさは際立っていました。非常に聴きやすく、多くの参加者が「箏にぴったりの音楽」と感じた演奏です。伊勢神宮近くを流れる五十鈴川を題材とした作品らしく、清らかな流れを思わせる音色が印象に残りました。
夢の輪(1993年)
作曲:沢井比河流
使用楽器:一箏、二箏、十七絃、笛、三味線(三絃)、琵琶

フィナーレを飾ったのは大編成による迫力ある作品でした。比較的新しい作品ながら非常に親しみやすく、演奏が始まると会場全体が音に引き込まれます。特に十七絃の重厚な低音が印象的で、終演にふさわしい華やかな演奏でした。

終演後には十七絃を間近で見ることができました。通常の箏よりも低音域を担当する大型の楽器で、その存在感に多くの参加者が見入っていました。
まとめ
今回の演奏会で特に印象的だったのは、同じ邦楽でも時代によって音楽が大きく異なることです。明治期に近い作品から1990年代の現代邦楽まで続けて聴くことで、近現代邦楽の変化を体感できました。
また、各曲の前に行われた解説のおかげで、初めて聴く作品でも理解しやすく、邦楽初心者でも十分に楽しめる内容でした。
約100年の幅を持つ近現代邦楽を約90分で味わえる非常に価値のあるコンサートであり、参加者からも満足の声が多く聞かれました。
ゆる歴史散歩会では、歴史スポットだけでなく、美術館や博物館、音楽や伝統文化に触れるイベントも開催しています。一人参加の方も多く、初心者でも気軽に参加しやすい雰囲気です。

