国立科学博物館・地球館を39名で見学|文化の日に恐竜・化石と地球史を楽しむ【2026年開催レポート】

国立科学博物館地球館に展示された大型肉食恐竜の全身骨格と来館者

2026年11月3日(火・文化の日)15時から、ゆる歴史散歩会の「地球の歴史|国立科学博物館『地球館』を楽しもう!」を開催しました。会場は東京・上野の国立科学博物館。39名が参加し、5つのグループに分かれて交流しながら、地球館の地下2階から地上3階までの展示を見学しました。文化の日は常設展の入館料が無料となるため、館内は大変混雑していました。

野口英世像の前に集合、5グループで博物館へ

集合場所は上野恩賜公園の野口英世のぐちひでよ像付近。木々に囲まれた銅像の周りに参加者が集まりました。野口英世は感染症の研究に取り組んだ細菌学者で、上野の像は1951年に建立されました。試験管を掲げる姿は、これから科学の展示を見に行く日にふさわしい待ち合わせの目印でした。

国立科学博物館前の野口英世像付近に集まるゆる歴史散歩会の参加者
上野公園の野口英世像付近で集合。39名が参加し、5グループに分かれて地球館を見学しました。

39名という人数でも展示を見やすく、参加者同士で交流できるよう、今回は5グループに分かれて行動しました。文化の日の無料公開は国立科学博物館が公式に設けている制度で、対象は常設展です。入館無料で多くの来館者が集まるなか、グループごとに展示を楽しみました。

国立科学博物館の地球館について

国立科学博物館は1877年(明治10年)創立の歴史を持つ、日本を代表する自然史・科学技術史の総合科学博物館です。標本資料を集めて研究・保存することと、その成果を展示や学習活動で伝えることを柱にしています。

地球館のテーマは「地球生命史と人類」。現在の地球館にあたる新館は1999年に第1期の常設展示が公開され、2004年にグランドオープンしました。「地球館」という名称になったのは2006年です。2015年には一部展示がリニューアルされました。日本列島の自然を扱う日本館とは異なり、地球全体の長い歴史、生き物の進化、科学と技術を幅広く学べる構成です。博物館の立地や建築史は、関連記事「国立科学博物館の見どころと歴史」でも紹介しています。

博物館公式のフロアマップによる各階の主な展示テーマは次のとおりです。

  • 地下2階:「誕生と絶滅の不思議」。地球の約46億年の歴史、海の生物の進化、陸上への進出、人類の進化など。
  • 地下1階:「恐竜の謎を探る」。恐竜の系統や多様化、絶滅を骨格標本などから考える展示。
  • 1階:「地球史ナビゲーター」と「地球の多様な生き物たち」。宇宙・生命の時間の流れや現生生物の多様性を紹介。
  • 2階:地球を観測する技術と「科学技術の歩み」。日本の科学・技術の発展をたどる展示もあり、一部は改修に伴い閉鎖中。
  • 3階:「大地を駆ける生命」。大型哺乳類や鳥類の剥製はくせいなどから生物の形と生き方を知る展示。

当日は地下3階「自然のしくみを探る」が展示改修のため閉鎖されており、見学対象は地下2階から3階までとしました。地下3階の閉鎖は2026年9月8日に始まったもので、訪問前には公式のフロアマップで公開エリアを確かめるのがおすすめです。

魚類の進化から巨大な骨格へ――長い地球の歴史

展示で最初に目を引いたものの一つが、古代の魚類を紹介するコーナーでした。写真には、硬い装甲のような頭部が特徴的な板皮類ばんぴるい(板皮魚類)の展示と、ボトリオレピスの解説が写っています。魚の姿が現在と異なることから、長い時間の中で生き物の体がどのように変わったかを考えられます。

国立科学博物館地球館の板皮魚類展示とボトリオレピスの解説パネル
板皮魚類を紹介する展示。魚類の進化を、特徴的な頭部の復元模型と解説で学べます。

地球館地下2階には「46億年の散歩道」や、化石・地層から過去の環境を読み解く展示があります。地球の歴史を年代順に追うと、海で多様化した生物が陸へ広がり、環境の変化とともに繁栄と絶滅を繰り返した流れを学べます。例えば三葉虫さんようちゅうのような古生物は、地層の年代を知る手がかりにもなります。

館内には見上げるほど大きな骨格があり、体の高さや首・脚の長さを周囲の来館者と比べられます。図鑑の写真と実物大の骨格を比べられるのも、現地ならではの見どころです。

国立科学博物館地球館に展示された巨大な古生物の骨格標本と来館者
地球館でひときわ目を引く大型の骨格展示。実物大の迫力を体感できました。

恐竜の頭骨を間近で観察する

恐竜の展示では、長い角、歯、頭部の骨の形が目を引きます。写真にある角を持つ恐竜の頭骨を近くから見ると、骨格全体の写真だけでは気づきにくい細部まで観察できます。角や大きなフリルのような骨の張り出しは、その恐竜の姿を見分ける手がかりです。

国立科学博物館地球館の角を持つ恐竜の頭骨のクローズアップ
角と大きな頭部の骨格を間近で観察。形態を細かく見られるのが博物館ならではの魅力です。

地球館地下1階は、恐竜がどのように進化し、多様化し、最後に何が起こったのかを紹介するフロアです。恐竜を「大きくて怖い動物」として眺めるところから一歩進み、骨の構造、歩き方、食べ物、仲間同士の違いに注目すると、化石が語る情報の多さを感じられます。

水に適応した生物と、陸の恐竜たち

水中を泳いだ動物の骨格を並べた展示も印象的でした。陸上で生活する祖先から水中生活へ移った四肢動物ししどうぶつには、体を水中で動かすためのさまざまな適応があります。ひれのようになった四肢や細長い胴体、尾の構造を見比べると、同じ水中生活でも体のつくりが一様ではないことがわかります。

国立科学博物館地球館の水中生活に適応した四肢動物の骨格展示
水中生活へ適応した脊椎動物の骨格が並ぶ展示。泳ぎ方に関わる骨格の違いも見どころです。

さらに大型肉食恐竜の全身骨格では、鋭い歯の並ぶ頭部と長く伸びた尾、体を支える骨格の配置が迫ってきます。恐竜の体を支える後脚の力強さは、立体展示でより具体的に感じられます。

国立科学博物館地球館に展示された大型肉食恐竜の全身骨格と来館者
鋭い歯と長い尾が目を引く大型恐竜の全身骨格。混雑する館内でも存在感が際立ちます。

別の展示では、トリケラトプスの大きな頭部や角がよくわかる骨格も見られました。3本の角と幅広いフリルが特徴の植物食恐竜で、先ほどの肉食恐竜と比較すると、頭の形や歯の役割の違いが鮮明です。

国立科学博物館地球館のトリケラトプスの角と頭部を含む全身骨格
三本の角と大きな頭部のフリルが特徴のトリケラトプス。骨格から体のつくりを読み取れます。

背中に帆のような長い突起を持つ骨格もありました。こうした姿で知られるディメトロドンは、恐竜とは別系統で、哺乳類につながる単弓類たんきゅうるいの仲間です。見た目が「恐竜らしい」動物でも、進化の系統を確かめると意外な関係があることがわかります。

国立科学博物館地球館に展示された背中に帆状突起を持つ古生物の骨格
背中の長い突起が特徴的な古生物の骨格。進化の多様性を知る展示です。

海の大型動物と現代まで続く生物の多様性

大きなクジラの模型が頭上に広がる展示も迫力十分でした。クジラは海で暮らす哺乳類で、肺で呼吸し、子どもに乳を与えます。魚類とよく似た流線形の体でも、その進化の来歴は異なります。海で暮らすために似た形へ近づく現象は、収斂進化しゅうれんしんかを考える入り口になります。

国立科学博物館地球館に吊られた大型クジラの模型と展示室
天井近くに広がる大型のクジラ模型。海の生物の大きさを実感できます。

地球館では、化石からわかる過去の生物と、現在生きている生物を同じ建物の中で比較できます。過去の絶滅を知ったうえで現生生物の展示を見ると、絶滅危惧種や生息環境の変化という今日の課題にも関心を向けられます。3階の哺乳類・鳥類の展示では、その多彩な姿を剥製で見比べられます。

文化の日の混雑と、夕暮れの上野

当日は無料公開の日とあって、館内の各展示室には多くの来館者がいました。その中で5グループに分かれて見学したことで、参加者同士の交流と展示鑑賞を両方楽しめました。大きな骨格は離れた場所から全体を眺め、細かな展示は近くで読み込むなど、見方を変えながら過ごせるのも科学博物館の魅力です。

外に出る頃には、国立科学博物館の建物が色とりどりの光で照らされていました。写真の建物は1931年竣工の日本館で、2008年に国の重要文化財に指定されています。今回は日本館の内部には入らず、夕暮れの外観を写真に収めました。

夕暮れにライトアップされた国立科学博物館日本館の外観
見学後に撮影した国立科学博物館の夕景。今回は日本館に入らず、地球館を中心に楽しみました。

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博物館を訪れる前後には、上野公園の史跡にも目を向けてみてください。今回集合した野口英世像が登場する上野公園の紅葉歴史散歩レポートでは、西郷隆盛像や上野大仏なども紹介しています。また、上野公園の外周を歩く歴史散歩では、寛永寺や東京藝術大学の周辺に残る歴史をたどれます。ほかの博物館を探したい方には東京の無料ミュージアム一覧も役立ちます。

ゆる歴史散歩会の次回イベントはイベント一覧から確認できます。自分のペースで上野や身近な地域を歩きたい方には、現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめるWebアプリTimeWalkもあります。

参考資料