板橋区成増三丁目の「成増との山遺跡」は、縄文時代より前の旧石器時代の人々が使った道具を多数残す遺跡です。平成2~3年(1990~1991)の都営住宅建て替えに伴う発掘では、立川ローム層第IX層上部から800点を超える石器が見つかりました。出土した石器の種類や位置を調べることで、古い時代の人々がどのように道具を作り、利用したかを考えることができます。
成増三丁目の台地で見つかった遺跡
遺跡は板橋区成増3丁目33番付近にあります。武蔵野台地の北側は谷と台地が入り組む地形で、旧石器時代から人々が活動した場所が各地に見つかっています。成増との山遺跡では住宅の建て替え前に地下の地層を調べ、長い時間にわたって堆積した土の中から道具やその破片を取り出しました。
立川ローム層は主に火山灰に由来する土の層です。石器がどの層から見つかったかを記録することは、石器が使われた時期や、複数の時代の資料が混ざっていないかを検討するために欠かせません。
1990~1991年の発掘調査
平成2年から翌年にかけての発掘調査では、旧石器時代の複数の文化層が確認されました。文化層とは、石器やその製作に伴う破片など、人々が活動した痕跡を含む地層です。文化層ごとの資料を分けて扱うことで、異なる時期の石器の特徴を比較できます。
特に立川ローム層第IX層上部から出土した石器は800点を超えます。石器は完成した道具だけでなく、石材を打ち欠く際に生じた石片や、加工に使われた石の芯なども研究の対象です。石器が集中する場所を調べると、製作や作業が行われた地点を検討できます。
800点を超える石器から調べられること
石器研究では、打ち欠かれた面の形や刃の位置、石材の種類を調べます。同じ石材から割り出された石片を接合できれば、石器が作られる順序を復元する手がかりにもなります。まとまった点数が出土した成増との山遺跡は、こうした石器の製作技術を比較するための資料に恵まれています。
発掘成果は『成増との山遺跡』などの調査報告書にまとめられ、追加の地点でも調査が行われました。平成4年(1992)には東京都の埋蔵文化財発表会で成増との山遺跡の成果が報告されています。建物の建設後も、発掘時に記録された出土状況が研究に使われます。
菅原神社台地上遺跡との関係
成増五丁目には菅原神社台地上遺跡もあり、旧石器時代の硬質頁岩製石器が注目されています。成増との山遺跡は石器がまとまって出土した文化層、菅原神社台地上遺跡は遠方の石材とのつながりが、それぞれの特徴です。
発掘地点の大部分は現在の住宅地に含まれ、遺構をそのまま見学するための施設は設けられていません。板橋区立郷土資料館の展示や発掘調査報告書を通して、出土した道具と地域の古代史を知ることができます。成増・赤塚の寺社や遺跡は赤塚・成増周辺の歴史と文化財でも紹介しています。
