2025年3月14日(金)19:30から、ゆる歴史散歩会では「弦巻川(つるまきがわ)」の跡をたどる夜の暗渠散歩を開催しました。参加者は13名。豊島区立元池袋史跡公園に集合し、池袋西口から雑司が谷、護国寺、音羽児童遊園を経て、江戸川橋方面まで歩きました。
いまの池袋や雑司が谷を歩いても、地図上に弦巻川という川はほとんど見えてきません。それでも現地を歩くと、道の曲がり方、土地の低さ、水が湧く場所、通り名、寺社や公園の位置に、かつての水の流れを想像する手がかりが残っています。今回の散歩は、目に見えない川を、街の形から読み解いていく歴史散歩です。
今回歩いたルートは、TimeWalk「弦巻川暗渠散歩コース」でも確認できます。イベント後の復習や、同じ場所を自分で歩いてみたい方は、各地点の解説とあわせてご覧ください。
この周辺を実際に歩いてみたい方へ
弦巻川跡のような暗渠・川跡は、地図だけでは分かりにくい一方で、現地を歩くと道の曲がり方や土地の低さから、かつての水の流れが見えてきます。今回のルートは、TimeWalk「弦巻川暗渠散歩コース」で地点ごとの解説を見ながら歩けます。
30秒で分かる今回の散歩
- 開催日:2025年3月14日(金)19:30開始
- 参加人数:13名
- 集合場所:豊島区立元池袋史跡公園
- テーマ:池袋西口を水源とする弦巻川跡、暗渠、雑司が谷・護国寺周辺の地形
- 見どころ:池袋地名ゆかりの池、弦巻通り、旧雑司谷小学校跡地、雑司が谷公園、清土鬼子母神堂、自噴井戸、音羽児童遊園、江戸川橋方面の神田川
- 面白さ:見えない川を、道筋・低地・水の湧く場所・古地図から読み解くこと
今回の舞台:豊島区西池袋から文京区音羽・江戸川橋へ
今回の散歩は、豊島区西池袋から始まり、雑司が谷を抜けて、文京区音羽・江戸川橋方面へ向かうコースです。池袋というと大きなターミナル駅や商業地の印象が強いですが、かつては湧水や小河川が関係する低地の記憶を持つ場所でもあります。


弦巻川とは?池袋西口から流れた見えない川
弦巻川は、池袋西口付近を水源とし、雑司が谷、護国寺前、音羽方面を経て神田川へ向かっていた小河川・水路として知られています。豊島区立元池袋史跡公園の案内でも、かつてこの付近にあった丸池は弦巻川の源流として湧水があり、丸池は「池袋」の地名の由来になったとも紹介されています。
現在は多くの区間で暗渠化され、水面を見ながら歩くことはできません。暗渠とは、川や水路にふたをしたり地下化したりして、地表から水の流れが見えにくくなった場所のことです。暗渠散歩では、川そのものではなく、道の曲がり方、低い土地、橋や水路に関係する地名、マンホール、緑道、水が湧く場所などを手がかりにします。
弦巻川跡は、いわゆる観光名所を順番に巡るコースとは少し違います。一見ふつうの道でも、「ここは水が流れた場所かもしれない」と考えながら歩くことで、池袋・雑司が谷・護国寺周辺の街の見え方が変わっていきます。
豊島区立元池袋史跡公園から出発
集合場所は、豊島区立元池袋史跡公園。豊島区公式サイトによると、この公園には「池袋地名ゆかりの池」の碑と「成蹊学園発祥之地」の碑があります。現在の公園は小さな史跡公園ですが、池袋の地名と弦巻川の源流を考えるうえでは、とても象徴的な出発地点です。
池袋西口の夜は人通りも多く、駅前の明るさや飲食店のにぎわいがあります。そこから「かつての水源」を意識して歩き出すと、現代の繁華街の下に別の時間軸が重なっているように感じられます。暗渠散歩の面白さは、まさにこの切り替わりにあります。
弦巻通りを歩く|暗渠らしさは細道だけではない
出発後は、暗渠化された弦巻川であろう道をたどっていきました。通りの名前は「弦巻通り」。川跡を歩くうえでは非常に分かりやすい手がかりです。
暗渠の上の道というと、細い路地や緑道を想像しがちです。実際、東京の暗渠散歩では、車が入りにくい細道や、かつての水路敷を利用した緑道に出会うことがよくあります。ところが今回の弦巻通りは、車も通れる比較的広い道でした。
ここが面白いところです。暗渠や川跡は、必ずしも「細くてくねくねした道」として残るわけではありません。都市化の過程で道路や下水道、周辺施設と一体化しながら、見た目を変えていきます。だからこそ、通り名、地形、古地図、周辺の水の痕跡を合わせて見る必要があります。

旧雑司谷小学校跡地から東京音楽大学池袋キャンパスへ
途中で通ったのが、旧雑司谷小学校跡地に整備された「オリナスふくろうの杜」周辺です。学校跡地や公共施設は、街の歴史を読み解くうえで大切な場所です。現在の施設だけを見ると新しいまちづくりの一部ですが、古い道筋や周辺の地形と重ねると、地域の土地利用の変化も見えてきます。
さらに歩くと、東京音楽大学池袋キャンパスの建物が夜の街に映えていました。今回の散歩は19時30分開始だったため、昼間の史跡めぐりとは違い、建物の灯りや高架下の雰囲気、夜道の暗さも含めて、弦巻川跡の印象を形づくっていました。

雑司が谷公園・丘の上テラスへ少し寄り道
ルートの途中では、弦巻川暗渠から少し外れて、雑司が谷公園の丘の上テラスにも立ち寄りました。豊島区公式サイトでは、雑司が谷公園に多目的広場や集会室、防音室などを備える「丘の上テラス」が設置されていると紹介されています。
「丘の上」という名前が示すように、この周辺は平らなだけの街ではありません。雑司が谷周辺には坂や寺社、細い道が多く、弦巻川跡を歩くことで、谷と高台の関係が見えやすくなります。川跡散歩では、川の線だけを見るのではなく、周辺の高低差や街の広がりも一緒に見ると、土地の成り立ちが理解しやすくなります。
自噴井戸と清土鬼子母神堂|水の気配が残る場所
再び弦巻川暗渠に戻り、次に向かったのが自噴井戸と清土鬼子母神堂です。水が地表に湧き出す場所は、暗渠散歩ではとても重要な手がかりになります。川が見えなくなっていても、水が出ている場所に立つと、この土地に水の流れがあったことを実感しやすくなります。
清土鬼子母神堂は、雑司が谷鬼子母神と関係の深い場所として知られています。雑司が谷鬼子母神は江戸時代から参詣を集めた安産・子育ての信仰の場で、現在の鬼子母神堂は国の重要文化財にも指定されています。弦巻川跡を歩くと、寺社や参道、低地、水の気配が、ばらばらの名所ではなく、同じ地域の歴史としてつながって見えてきます。

護国寺前で水窪川と出会う地形を考える
最後は、弦巻川が護国寺の前に出て、弦巻川暗渠上にある音羽児童遊園を歩き、江戸川橋でゴールしました。今回のコースの終盤で特に面白いのは、護国寺前の水の集まり方です。
弦巻川は西側、つまり池袋西口方面から護国寺前に流れてきます。一方で、池袋東口方面を水源とする水窪川は東側から流れてきます。両方の川跡が、護国寺の参道におおむね並行するように神田川、かつての江戸川方面へ向かっていく構図は、池袋を水源とする複数の小河川を考えるうえで特徴的です。
池袋西口の弦巻川、池袋東口の水窪川。この二つを比べると、同じ池袋を起点にしながら、街の東西で異なる水の記憶があったことが見えてきます。水窪川暗渠散歩については、別のレポートで改めて紹介したいテーマです。
夜の街歩きで見えた季節の風景
この日は途中でハクモクレンが咲いていました。暗渠や地形に注目する散歩でも、季節の花や夜の灯り、建物の表情は大切な記憶になります。水の痕跡を追いながら、ふと立ち止まって花を見る時間があるのも、街歩きイベントならではの楽しさです。

暗渠・川跡散歩の楽しみ方
暗渠や川跡は、水面が見えないからこそ、観察する楽しさがあります。まずは「水は低いところへ集まる」と考えて、坂を下りた先、谷のような地形、周囲より少し低い道を探してみます。次に、道の曲がり方、通り名、橋や水に関係する地名、寺社や公園の位置を重ねて見ていきます。
弦巻川跡は、暗渠散歩の入門にも向いたテーマです。池袋、雑司が谷、護国寺、江戸川橋というよく知られたエリアを歩きながら、ふだんは見落としがちな水の記憶を探すことができます。古地図や地形図を合わせて見ると、現代の街並みの下にある古い流れがさらに想像しやすくなります。
暗渠の見方を知りたい方は、暗渠まるわかりガイド|東京の消えた川を見つける街歩き入門も参考になります。古地図を使った街歩きに興味がある方は、古地図まるわかりガイド|江戸・明治の地図で東京の街歩きが楽しくなる入門もあわせてどうぞ。
関連して歩きたいテーマ
弦巻川跡を歩いて面白いと感じた方には、次のテーマもおすすめです。
- 東京の暗渠・川跡散歩:暗渠とは何か、街でどう見つけるかを知る入門記事
- 古地図で歩く東京:江戸・明治の地図と現在の街を重ねる見方
- 南青山〜広尾のいもり川跡散歩:別エリアの暗渠イベント記事
- 田端〜中里の崖線・鉄道・裏路地散歩:地形の変化を楽しむ開催レポート
- 募集中の街歩きイベント:次回の歴史散歩に参加したい方向け
実際に弦巻川跡を歩くなら
弦巻川跡は、地図だけでは分かりにくい場所が多い一方で、現地を歩くと道の曲がり方や土地の高低差から、かつての川の気配を感じやすいコースです。今回の散歩でめぐった各地点の解説は、TimeWalk「弦巻川暗渠散歩コース」にまとめています。
暗渠・川跡の街歩きに興味がある方へ
ゆる歴史散歩会では、川跡、暗渠、低地、崖線、古地図などを手がかりに、東京の街の成り立ちを歩いて読み解くイベントを開催しています。弦巻川跡のように、いまは見えにくくなった水路も、現地を歩くと街の形の中に痕跡が残っていることがあります。
関連する散歩テーマとしては、東京の暗渠・川跡散歩、古地図で歩く東京、神田川・水路・低地の街歩き、崖線と坂道の地形散歩などがあります。
まとめ|見えない川を歩くと、池袋・雑司が谷の見え方が変わる
今回の弦巻川暗渠散歩では、池袋西口の元池袋史跡公園から出発し、弦巻通り、雑司が谷公園、自噴井戸、清土鬼子母神堂、護国寺前、音羽児童遊園、江戸川橋方面へと歩きました。川の水面は見えなくても、道の形や土地の低さ、水が湧く場所をたどることで、街の下に残る水の記憶が少しずつ立ち上がってきます。
暗渠・川跡散歩の魅力は、特別な史跡だけでなく、ふだんの道や住宅街が歴史の入口になることです。池袋、雑司が谷、護国寺というよく知られた街も、弦巻川という視点を加えると、まったく違う表情を見せてくれます。
ゆる歴史散歩会では、東京周辺の歴史スポットや文化施設を、初心者にも分かりやすく巡る街歩きイベントを開催しています。一人参加の方も多く、歴史に詳しくない方でも気軽に参加しやすい雰囲気です。暗渠、古地図、地形、川跡に興味がある方は、ぜひ次回の街歩きにもご参加ください。
