麻布台ヒルズから東京タワーを歩く散歩コース|洞窟霊場と寺社・教会8スポット

神谷町駅前から見た麻布台ヒルズの全景

麻布台ヒルズから東京タワー周辺には、超高層ビル、近代宗教建築、平安時代創建と伝わる神社、増上寺ゆかりの寺院、英語礼拝の教会、公開日が限られる洞窟霊場が集まっています。神谷町駅から御成門駅方面へ約2.5km歩き、8つの見どころを歴史と建築の両面からたどります。東京タワーへの入場はコースに含めず、周辺の寺社・教会・歴史建築を巡ります。

最終確認:2026年8月11日。施設の公開時間、礼拝・法要、松蓮社の弁天洞公開、麻布台ヒルズ上層階の利用条件は変更される場合があります。訪問前に公式情報をご確認ください。

麻布台ヒルズから東京タワーを歩くコース概要

項目目安
スタート東京メトロ日比谷線 神谷町駅
ゴール都営三田線 御成門駅周辺
距離約2.5km(立ち寄り方で変動)
歩行時間約40~50分
見学を含む所要時間約2時間30分~3時間30分
おすすめ日松蓮社の弁天洞を目的にする場合は原則毎月1日・17日
主な注意点森JPタワー33・34階は利用条件あり。寺社・教会は礼拝や法要を優先

コースは、麻布台ヒルズ 森JPタワー、霊友会釈迦殿、西久保八幡神社、瑠璃光寺、心光院、聖オルバン教会、松蓮社、青松寺の順です。各地点は近接していますが、麻布台から芝公園にかけては坂や階段があります。歩きやすい靴がおすすめです。

  1. 麻布台ヒルズ 森JPタワー
  2. 霊友会釈迦殿
  3. 西久保八幡神社
  4. 瑠璃光寺
  5. 心光院
  6. 日本聖公会 聖オルバン教会
  7. 松蓮社
  8. 曹洞宗 萬年山 青松寺

歩く前に知っておきたい3つの注意点

松蓮社の弁天洞は原則毎月1日・17日公開

松蓮社の洞窟霊場は、公開情報では原則毎月1日・17日に開かれます。臨時変更や法要による非公開の可能性があるため、洞窟を主目的にする場合は最新状況を確認してください。洞内は暗く、足元が滑りやすいことがあります。

森JPタワー33・34階は利用条件を確認

森JPタワー33・34階のスカイロビーは、一般向け無料開放を終了しています。2026年7月時点では、森JPタワーのオフィス関係者、Hills House会員とゲスト、Dining 33、Sky Room Cafe & Barなどの利用者が対象です。東京タワーを望む景色を目的にする場合は、対象店舗の営業情報と利用条件を事前に確認してください。

寺社・教会では参拝者と墓参者を優先します

法要・礼拝中は静かにし、立入禁止区域や墓所には入らず、施設の案内に従います。墓石や参拝者を撮影するときは、施設のルールを確認してください。

なぜ麻布台・芝公園に宗教施設が集まっているのか

この一帯の特徴は、江戸以前の信仰、徳川家の菩提寺である増上寺を中心とした寺院群、明治以降のキリスト教、近代の在家仏教、現代の大規模再開発が短い距離に重なっていることです。

西久保八幡神社は平安時代の創建を伝え、心光院と松蓮社は増上寺の歴史と結びつきます。青松寺は江戸の曹洞宗寺院を統括した寺院の一つで、聖オルバン教会と霊友会釈迦殿は20世紀の宗教建築です。その隣に高さ約330mの森JPタワーが建ち、千年近い時間の層を一度に歩けます。

周辺をさらに広く歩くコースは、東麻布、麻布台、虎ノ門の教会・神社仏閣や天文台跡など史跡巡りでも紹介しています。

1.麻布台ヒルズ 森JPタワー|高さ約330mの再開発の象徴

麻布台ヒルズ 森JPタワーは地上64階、高さ約330mの超高層ビルです。2026年7月時点で日本で最も高い超高層ビルですが、将来の新築計画によって順位は変わる可能性があります。外観デザインはペリ・クラーク・アンド・パートナーズが担当しました。

神谷町駅前から見た麻布台ヒルズの全景
麻布台ヒルズ、2024年6月17日。撮影:松倉傑/Wikimedia Commons/CC0。

現地で見るポイント

  • 神谷町駅側から見上げ、低層部と高層部のつながりを確認します。
  • 5階の外務省外交史料館展示室は入場無料で、幕末以降の条約書や外交文書を見学できます。
  • 33・34階は一般の無料展望台ではありません。対象店舗などの利用条件を確認します。

麻布台ヒルズの成立過程や森ビルの都市開発を深く知りたい方は、森一族がつくった東京|森ビルと森トラストの再開発史もあわせてご覧ください。虎ノ門から麻布台の再開発を歩く別コースは、虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズなどをブラタモリ風にゆる散歩で紹介しています。

2.霊友会釈迦殿|地下6階・地上3階の巨大宗教建築

霊友会は、久保角太郎と小谷喜美らによって形づくられ、1930年に発会式を行った在家主義仏教の団体です。釈迦殿は1975年竣工。竹中工務店が設計施工し、地下6階・地上3階、延床面積約2万5720平方メートルの大規模建築です。

麻布台に建つ霊友会釈迦殿の外観
霊友会釈迦殿、2012年10月。撮影:Rs1421/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0。

黒い屋根が地面から立ち上がるような外観は、周囲の超高層ビルと強い対比をつくります。外観を見るときは、建物の高さよりも、地上部を低く抑えながら大空間を地下へ展開した構成に注目すると特徴が分かります。内部見学や催事は霊友会の公式案内に従ってください。

3.西久保八幡神社|源頼信と太田道灌の伝承を残す古社

西久保八幡神社は、寛弘年間(1004~1012)に源頼信が石清水八幡宮の神霊を勧請し、霞ヶ関付近に創建したと伝わります。1457年の太田道灌による江戸城築城に際して現在地へ遷されたという伝承があり、移転年には別説もあります。

江戸時代には「江戸八所八幡」の一つとして参詣を集めました。現在の社殿は令和の御造替事業によって再建され、2021年に本殿遷座祭が行われています。流造の本殿、幣殿、拝殿が連なる構成と、境内の高低差が見どころです。

社殿形式を現地で見分けたい方は、東京で学ぶ神社建築|神社の建築様式を現地で見分けるガイドも参考になります。

4.瑠璃光寺|東京タワーを間近に見る曹洞宗寺院

瑠璃光寺は東麻布にある曹洞宗寺院で、1614年の創建と伝わります。境内の背後に東京タワーが迫り、寺院の屋根や墓地の向こうに鉄塔が立つ、芝公園周辺らしい景観が見られます。

墓所では通行や法要の妨げにならない位置から見学します。東京タワーを撮影するときは、墓石や墓参者が写り込まない構図を選びます。

5.心光院|増上寺の歴史と「お竹大日如来」

心光院の始まりは、1393年に酉誉聖聰が増上寺を開いた際、山内に学寮として庵を結んだことにさかのぼると伝わります。1598年の増上寺移転に随行し、1695年には徳川秀忠の菩提のための増上寺別院・念仏道場となりました。

1761年、9代将軍徳川家重の墓所造営に伴って芝赤羽橋際へ移転し、1945年の空襲後、1950年に現在地へ移りました。江戸時代から残る表門と1955年落成の本堂は国の登録有形文化財です。

お竹大日如来とは

境内には「お竹大日如来」を祀る堂があります。お竹は江戸時代初期の奉公人で、自分の食事を貧しい人に施し、流しに残った飯粒を集めて食べたという伝承を持つ人物です。5代将軍徳川綱吉の生母・桂昌院はその徳をたたえ、お竹が使ったとされる流し板を納める袋と箱を寄進したと伝わります。

表門越しに東京タワーを望む構図は、江戸の寺院と昭和の電波塔が一つの画面に収まる、このコースを代表する景観です。

6.聖オルバン教会|アントニン・レーモンド設計の木造礼拝堂

聖オルバン教会は1956年創立で、同年にアントニン・レーモンド設計の礼拝堂が建てられました。日本聖公会東京教区で唯一、すべての礼拝を英語で行う教会です。信徒は日本を含む各国から集まり、礼拝は来訪者にも開かれています。

日本聖公会聖オルバン教会の木造礼拝堂外観
日本聖公会聖オルバン教会、2014年。撮影:Aw1805/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0。

レーモンドはフランク・ロイド・ライトの帝国ホテル建設に伴って来日し、日本の素材と近代建築を結びつけた建築家です。聖オルバン教会では、木造の柱梁、急勾配の屋根、簡素な外壁が小さな礼拝空間を形づくっています。礼拝中の見学や撮影は避け、公式案内に従ってください。

7.松蓮社|公開日限定の洞窟に祀られる八臂弁財天

松蓮社は増上寺の子院の一つです。港区の地域資料では、徳川家光の長女・千代姫の位牌殿として、千代姫が亡くなった1698年に尾張徳川家が建立したと伝えられています。境内奥には手掘りの跡が残る弁天洞があり、八臂弁財天が祀られています。

八臂の「勝利弁財天」

弁財天像は八本の腕に弓、羂索、戟、杵、矢、輪、斧、刀などを持つ姿とされ、「勝利弁財天」とも呼ばれます。

見学方法と注意点

  • 公開日は原則毎月1日・17日です。
  • 洞内は暗いため、入口の案内と照明の指示に従います。
  • 足元が不安な方は無理に入らず、雨天時は滑りやすさに注意します。
  • 法要や管理上の理由で閉鎖される場合があります。

洞窟が非公開の日でも、心光院、聖オルバン教会、青松寺を結ぶ散歩は可能です。公開日だけを前提にせず、寺院の都合を優先して訪ねてください。

8.青松寺|江戸三箇寺と駒澤大学の源流

萬年山青松寺は、太田道灌が雲岡舜徳を招き、1476年に開いたと伝わる曹洞宗寺院です。江戸時代には江戸府内の曹洞宗寺院を統括した「江戸三箇寺」の一つに数えられました。徳川家康の江戸城拡張に伴って現在地へ移り、長く「貝塚の青松寺」と呼ばれました。

東京都港区愛宕にある青松寺の山門と境内
曹洞宗萬年山青松寺、2008年。撮影:Dondekkon/Wikimedia Commons/CC BY-SA 3.0。

獅子窟学寮から駒澤大学へ

青松寺には僧侶の学問所「獅子窟学寮」が置かれました。1875年、この学寮内に曹洞宗専門学本校が開校し、翌年に駒込吉祥寺の旃檀林と合併します。この流れが後の駒澤大学へつながりました。

駒澤大学と曹洞宗学寮の歩みを詳しく知りたい方は、吉祥寺(文京区)の歴史と周辺散策もご覧ください。

現地で見るポイント

  • 愛宕通りに面する山門と、奥へ広がる境内の軸線。
  • 江戸の学寮を現代へつなぐ獅子窟の歴史。
  • 境内で行われる坐禅会や講座は、開催情報を確認して参加します。

おすすめの回り方

歴史を重視する2時間30分コース

神谷町駅から森JPタワーの外観を見た後、霊友会釈迦殿、西久保八幡神社を経て、瑠璃光寺、心光院、聖オルバン教会、松蓮社、青松寺へ進みます。各地点で10~15分を目安にし、公開施設だけ内部を見学します。

外交史料館を加える3時間30分コース

森JPタワー5階の外交史料館展示室を最初に見学します。常設展示と企画展示を見る場合は30~60分を追加してください。展示室は月曜日から土曜日の10時~17時30分、入室は17時まで、入場無料です。日曜、祝日、年末年始、臨時休室日は休みです。

松蓮社の公開日に合わせるコース

洞窟を最優先にする場合は、松蓮社へ先に立ち寄り、公開を確認してから周辺を回る方法もあります。洞窟の公開状況が不明なときは、現地で長時間待たず、他の寺社・教会へ切り替えます。

よくある質問

松蓮社の洞窟はいつ入れますか

公開情報では原則毎月1日・17日です。ただし常時公開ではなく、臨時変更の可能性があります。訪問当日の案内を優先してください。

森JPタワーから東京タワーの景色を無料で見られますか

一般向けの無料開放は終了しています。33・34階は、オフィス関係者やHills House、対象飲食店などの利用者が入館できます。最新の利用条件はHills House公式サイトで確認してください。

すべて無料で見学できますか

寺社の参拝、教会の外観、外交史料館展示室は基本的に無料です。森JPタワー上層階は対象店舗の利用などが必要です。寄付やお賽銭、催事参加費が必要な場合があります。

雨の日でも歩けますか

歩けますが、坂道、石段、寺院の境内、洞窟入口は滑りやすくなります。松蓮社の洞窟は天候や管理状況によって見学できない場合があります。

子ども連れでも回れますか

地上のコースは子ども連れでも歩けますが、洞窟内の暗さや足元には注意が必要です。礼拝堂や墓所では静かに行動し、保護者が必ず付き添ってください。

参考資料

TimeWalkで近くの歴史スポットを探す

このコースの前後に寄り道したいときは、TimeWalkをご利用ください。TimeWalkは、GPSを使って現在地周辺の歴史スポットを距離順に探せる街歩きガイドです。決められたコースを歩くだけでなく、その場で気になった神社、寺院、史跡、建築へ寄り道できます。

麻布台・芝公園周辺では、この記事で紹介した8地点に加えて、増上寺、東京タワー周辺の史跡、愛宕山、虎ノ門の旧跡などを探せます。散歩中にTimeWalkを開いて、近くの歴史スポットを見つけると、予定していなかった場所の歴史にも出会えます。

この記事を書いた人
ゆる歴史散歩会 運営者
なかまつ

北海道大学工学部卒。現在はIT系会社員の傍ら、年間400回以上の街歩きイベントを企画し、これまで延べ25,000名以上の方にご参加いただいている、ゆる歴史散歩サークルを運営しています。東京の歴史・文化・建築・地形などを、初心者でも気軽に楽しめるイベントとして企画しています。

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