2026年10月23日(金)19時15分から、ゆる歴史散歩会の「地上200mの夜景と浜離宮の『十三夜』お月見散歩(解説付き)」を開催し、24人が参加しました。集合場所はカレッタ汐留46階。東京湾の夜景を眺めた後、浜離宮恩賜庭園の夜間特別イベントへ向かいました。空は曇りで、お目当ての月は姿を現しませんでしたが、光に照らされた将軍家ゆかりの庭園や尺八の演奏に触れた秋の一夜となりました。
散策の概要|汐留の展望フロアから浜離宮へ
当日は「カレッタ汐留46階スカイレストランフロア・展望スペース『SKY VIEW』→浜離宮恩賜庭園」の順に訪ねました。展望スペースから浜離宮と東京湾を見下ろし、その後、実際に庭園へ足を運ぶ構成です。園内ではライトアップ、伝統芸能の舞台、復元された御茶屋、潮入の池、月見台の供え物などを写真に収めました。
カレッタ汐留|地上約200mの夜景と再開発の歴史
集合したカレッタ汐留は、旧国鉄・汐留貨物駅跡地を中心とした再開発で生まれた複合施設です。2002年12月1日に開業し、飲食店に加えて劇団四季の劇場、広告文化を扱うアドミュージアム東京などを備えています。名称の「カレッタ」はアカウミガメの学名「Caretta caretta」に由来します。江戸の海辺に隣接するこの一帯は、鉄道貨物輸送の拠点を経て、高層ビル群が立ち並ぶ汐留へと姿を変えました。

46階の無料展望スペース「SKY VIEW」は地上約200m。築地・勝どき方面から東京湾、お台場、レインボーブリッジなどを望める場所で、夜景を楽しむ人たちの姿もありました。フロアにはレストランが並び、窓越しに湾岸の街の光が広がります。

眼下には暗い緑地として浜離宮の輪郭が浮かび、その先には水面と橋、対岸のビル群が続きます。これから歩く庭園を上から眺めると、高層都市のすぐ隣に広大な歴史的庭園が残されていることを実感できます。

浜離宮恩賜庭園|将軍家の別邸から特別名勝へ
浜離宮恩賜庭園の地は、江戸時代初期には将軍家の鷹狩場が広がる海辺の葦原でした。1654年、四代将軍・徳川家綱の弟である松平綱重が海を埋め立て、甲府浜屋敷の整備を始めます。やがて綱重の子・徳川家宣が六代将軍となり、屋敷は将軍家の別邸「浜御殿」になりました。歴代将軍の手で庭が整えられ、十一代将軍・徳川家斉の時代にほぼ現在の姿が完成します。
明治維新後は皇室の離宮となり、1946年に都立庭園として公開されました。現在は国の特別名勝・特別史跡の二重指定を受けています。2026年は都立庭園として開園80周年に当たる年でもありました。
園内の「三百年の松」は、六代将軍・家宣による庭園改修をたたえて植えられたと伝わる黒松です。低く伸びる太い枝が照明を浴び、昼間とは異なる立体感を帯びていました。

浜離宮でお月見散歩 ~将軍の御庭で栗名月を愛でる~
東京都公園協会が主催した「浜離宮でお月見散歩」は、2026年10月21日から23日までの3日間にわたる夜間特別企画です。園路や木々を柔らかな明かりで照らし、開園時間を21時まで延長しました。今回の開催日・10月23日は、まさに旧暦9月13日の「十三夜」に当たります。
十三夜は、旧暦8月15日の中秋の名月に続いて月を愛でる日本独自の習わしで、「栗名月」「豆名月」「後の月」とも呼ばれます。秋の収穫物を供えることが名前の由来です。満月を待つ十五夜とは少し異なり、満ちる途中の月の姿にも親しんできた行事です。
月の見えない夜を彩った光と尺八
曇り空のため月そのものは見られませんでした。それでも園内には、青く広がる光や、うさぎをかたどった投影が現れ、歩く先々で表情を変えていました。

会場では伝統芸能公演「小夜の調べ」も実施されました。10月23日の出演者は尺八奏者の善養寺惠介さん。公式案内では18時30分と19時45分の2回公演で、可美真手命の銅像付近に舞台が設けられました。写真には、多くの来園者が足を止めて尺八の演奏に耳を傾ける光景が写っています。

別の園路には白いうさぎの姿が浮かぶ光の演出も。月が雲に隠れた夜にも、お月見の題材が庭の随所に散りばめられていました。

燕・鷹・松の御茶屋|将軍が客をもてなした建物
浜御殿の御茶屋は、歴代将軍が賓客と食事を楽しみ、調度品を鑑賞し、鷹狩りの際に休息した建物です。戦災などで失われた建物のうち、松の御茶屋は2010年、燕の御茶屋は2015年、鷹の御茶屋は2018年に史資料に基づいて復元されました。
まず目を引いたのは、ライトアップされた燕の御茶屋。背後の高層ビルと木造建築が一つの景色に収まります。

鷹の御茶屋の屋根には、厚みのある茅葺きが見られます。鷹狩りは、飼いならした鷹を用いて鳥などを捕らえる武家の伝統的な狩猟です。この庭園には、鴨を誘導して捕らえるための鴨場も残っています。

御茶屋の見学を待つ人の列も見られました。文化財の復元建物が夜間の庭園で照らされる機会は、建物の輪郭や周囲の景色に改めて目を向けられる時間です。

鷹の御茶屋では、鷹が出番を待つ「鷹部屋」の解説も掲示されています。室内を暗く保って鷹を落ち着かせたことや、止まり木・水浴び用の水舟、餌を置く棚など、鷹の世話に必要な設備を図で学べます。

実物大の鷹の展示もあり、かつての庭園が鑑賞や宴席の場であると同時に、将軍の狩猟文化と結び付いていたことが伝わります。

潮入の池と中島の御茶屋|海とつながる江戸の庭園
浜離宮最大の特徴の一つが「潮入の池」です。東京湾の海水を引き込み、水門の操作によって潮の満ち引きを生かして水景を変える仕組みで、現在も都内で海水を用いる貴重な庭園の池です。ボラやハゼなどの魚も生息しています。

岸と中島をつなぐ「お伝い橋」の先にある中島の御茶屋は、江戸時代に月見や夕涼みに使われたと伝わります。現在の建物は1983年の再建。夜は御茶屋と対岸の明かりが水面に映り、池の奥行きが際立ちました。

月見台のお供えと松の御茶屋
月見台には、団子のほか栗、柿、サツマイモなど秋の実りが並んでいました。十三夜を「栗名月」と呼ぶ背景が、実際のお供え物を通してわかります。主催者によるお供え式は10月21日に行われ、今回訪れた10月23日は設置された月見台を見学しました。

松の御茶屋の障子には温かな光がともり、遠景には東京タワーも見えました。伝統的な御茶屋の建築と現代の街の灯りを一緒に眺められるのは、都心の浜離宮らしい風景です。

園内には飲食と休憩のためのテントも設けられていました。公式案内では、特別期間中に軽食などを扱う「月傘亭」や、夜間営業の中島の御茶屋も紹介されていました。

浜離宮を訪れる際の実用情報
浜離宮恩賜庭園の所在地は東京都中央区浜離宮庭園1-1。通常の開園時間は9時~17時(最終入園16時30分)、一般入園料は300円です。大手門口へは都営大江戸線の汐留駅・築地市場駅から徒歩約7分。2026年のお月見企画では21時まで延長され、最終入園は20時30分でした。夜間は立ち入り制限があり、中の御門は17時に閉門するため、17時以降は大手門から入園する案内でした。次回の実施内容や入園方法は、訪問前に公式サイトをご確認ください。
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同じ港区の夜景と徳川将軍家ゆかりの場所に関心のある方には、浜松町~麻布十番ナイトウォークの開催レポートもおすすめです。夜間の歴史的建築の公開を訪ねた記録は、迎賓館赤坂離宮の夜間公開レポート、光の演出と歴史を組み合わせた企画は浅草寺のプロジェクションマッピング開催レポートで紹介しています。
おわりに
24人で見上げた空に十三夜の月は現れませんでしたが、地上約200mの展望フロアから眺めた湾岸の夜景と、浜離宮の松・御茶屋・池を照らす明かり、尺八の響きが当日の風景として残りました。月見台に並んだ秋の実りにも、江戸から続くお月見の楽しみ方を感じられました。
参考資料
- 東京都公園協会「浜離宮でお月見散歩 ~将軍の御庭で栗名月を愛でる~」(2026年の開催内容・演奏・開園情報)
- 東京都公園協会「浜離宮恩賜庭園」(庭園史・御茶屋・潮入の池・三百年の松)
- 国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」(十三夜・2026年の暦)
- カレッタ汐留「カレッタ汐留とは」(施設概要・開業年・名称の由来)
- カレッタ汐留「スカイレストラン」(46階の展望スペース)
- 東京都都市整備局「汐留地区」(貨物駅跡地の再開発)
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