浅草・雷門盆踊り~夢灯篭~2026|歴史・絵どうろう・2024~2026年の記録

浅草雷門と絵どうろう

浅草寺の雷門を背に、並木通りいっぱいに踊りの輪が広がる「雷門盆踊り~夢灯篭ゆめとうろう~」。浅草を代表する古い祭礼の一つに見えますが、現在の形で始まったのは2017年です。地元商店会が地域の盆踊りをよみがえらせ、観光客も加われる新しい浅草の夏祭りとして育ててきました。

もう一つの主役が、秋田県湯沢市から届く「絵どうろう」です。その源流には約300年続く湯沢の七夕行事があります。新しい浅草の盆踊りと、長い歴史をもつ秋田の灯りの文化が出会うところに、この祭りならではの景色があります。

ここでは2026年の最新開催情報とともに、2017年の始まり、コロナ禍を挟んだ変化、2024~2026年の開催内容と曲目を記録します。開催情報は最新年に合わせて更新し、過去の内容は祭りの歩みとして残します。

雷門盆踊り2026の開催情報

2026年の「雷門盆踊り~夢灯篭ゆめとうろう~」は9月5日(土)、浅草雷門前の並木通り界隈で開催されました。2026年で10回目を迎えています。

項目2026年の内容
開催日2026年9月5日(土)
盆踊り17:30~20:00
会場並木通り界隈(浅草雷門前)
参加誰でも参加可能
雨天雨天決行、荒天中止
主催雷門一之宮商店会・雷門東部商店会

30分ずつ3回に分けて踊る

盆踊りは17時30分、18時30分、19時30分から各30分の3部制です。各回の間に30分の休憩・入れ替え時間が入り、3回とも同じ曲構成で踊ります。公式サイトは、混雑防止と熱中症対策のための方式としています。

時間内容
17:30~18:00盆踊り
18:00~18:30休憩・入れ替え
18:30~19:00盆踊り
19:00~19:30休憩・入れ替え
19:30~20:00盆踊り

2026年の曲目は全7曲

  • 東京音頭
  • 炭坑節
  • たいとう音頭
  • 輝け日本富士山踊り
  • 東京スカイツリー音頭
  • Got To Be Real
  • 波乗りジョニー

定番の盆踊り曲、台東区や東京にゆかりのある曲、ディスコやJ-POPが一つの輪の中に並びます。公式サイトでは全7曲の練習動画も公開されました。

絵どうろうは前日から点灯

2026年は秋田県湯沢市ゆざわしから21基の絵どうろうが運ばれました。9月4日は雷門一之宮商店会、5日は同商店会と並木通りで17時ごろから20時まで点灯。5日には飲食販売のほか、浅草警察署、浅草消防署、自衛隊、湯沢市などのブースが並び、16時20分からは陸上自衛隊第1師団第1音楽隊の演奏も予定されていました。

夜の浅草に並ぶ絵どうろう
夜の通りに並ぶ絵どうろう。点灯後は絵柄が浮かび上がる(2026年9月5日撮影)
雷門盆踊りの屋台と雷門
雷門近くの沿道に並ぶ屋台・ブース。夜には多くの来場者でにぎわった(2026年9月5日撮影)
浅草警察署の広報展示の白バイ
浅草警察署の広報展示に並んだ白バイ(2026年9月5日撮影)
雷門盆踊り会場の自衛隊広報展示車両
会場の自衛隊広報展示に並んだ車両(2026年9月5日撮影)

会場には公式の荷物置き場・荷物預かり所はありません。浅草駅周辺には複数の鉄道路線が集まり、東京メトロ銀座線の浅草駅から雷門まではすぐです。

雷門盆踊りは2017年に始まった

雷門かみなりもんは浅草寺の総門で、東京を象徴する景観の一つです。その正面から南へ伸びる並木通りを舞台に、現在の雷門盆踊りが始まったのは2017年でした。

主催するのは雷門一之宮商店会と雷門東部商店会。2026年の関係者取材では、かつて町会で行われていた盆踊りを復活させ、地域に昔のようなにぎわいを取り戻したいという思いから始まったと説明されています。2017年の雷門一之宮商店会の記録には「Sweets&夏おどり2017」とあり、秋田県湯沢市との企画もすでに登場しています。

翌2018年の記録では、東京都の補助を受けた商店街振興事業として、盆踊りという日本文化と浅草のにぎわいを世界へ発信し、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて海外からの来訪者との交流を目指していたことが紹介されています。地元の人と国内外の観光客が同じ輪に入って踊る現在の姿は、始まった当初から企図されていたものでした。

浅草の街そのものの成り立ちや浅草寺との関係は、浅草歴史散歩ガイド|浅草寺と江戸の門前町を歩く東京街歩きで詳しく紹介しています。

2017年から2023年までの歩み

始まってから10年ほどの祭りですが、その間には規模の拡大とコロナ禍による形態変更がありました。毎年同じ形を繰り返したのではなく、地域の状況に合わせて姿を変えています。

主な動き
2017年「Sweets&夏おどり2017」として始動。湯沢市との企画も行われる
2018年雷門前の並木通りに櫓と踊りの輪。湯沢市の絵どうろうを展示
2019年9月7日18:00~21:00に開催。前年の踊りの輪は約2000人と紹介される規模に成長
2020年通常の盆踊りを見送り、絵どうろうの点灯、映像上映、盆踊りパレードなどを実施
2021年通常の盆踊りは中止。前年に続き盆踊りパレードを実施
2022年3年ぶりに通常の盆踊りが復活。18:00~20:00に開催
2023年9月9日18:00~20:00に開催。2019年以来4年ぶりの本格的な構成で復活

2020、2021年は踊りの輪をつくらなくても、絵どうろうやパレードを残しました。2022年に通常の盆踊りが戻り、2023年には会場の催しを含む本来の規模へ近づいています。

「夢灯篭」を生んだ秋田・湯沢の絵どうろう

雷門盆踊りの夜景を特徴づけるのが、秋田県湯沢市ゆざわしから運ばれる絵どうろうです。浴衣姿の女性などを描いた大型の灯籠に明かりが入り、雷門前の都市景観に柔らかな光が連なります。イベント名の「夢灯篭」も、この絵どうろうにちなみます。

浅草雷門と絵どうろう
雷門前に立つ絵どうろう。浅草の象徴的な景観と湯沢の灯りの文化が重なる(2026年9月5日撮影)

源流は約300年続く七夕絵どうろうまつり

湯沢市の「七夕絵どうろうまつり」は、毎年8月5日から7日に行われる夏の祭りです。湯沢市は、その歴史を徳川時代から約300年としています。

起源として伝えられているのは、秋田藩佐竹南家七代目の義安よしやす公に、京都の公卿・鷹司たかつかさ家から嫁いだ女性の物語です。故郷の京都を思う気持ちを五色の短冊に託し、青竹に飾ったことが始まりとされます。明治期には家々の軒先に灯籠が飾られ、大正・昭和期には大型の絵どうろうが町を彩る形へ発展しました。

湯沢市の絵どうろうの歴史を紹介する会場案内板
会場に掲示された、湯沢市の絵どうろうの歴史を紹介する案内板(2026年9月5日撮影)

現在の美人画は一枚を仕上げるのにも長い時間を要し、湯沢市は毎年1カ月以上かけて描かれていると紹介しています。浅草で見られる絵どうろうは、単なる会場装飾ではなく、湯沢で受け継がれてきた制作文化を東京へ運んだものです。

浅草と湯沢を結ぶ交流

絵どうろうが雷門盆踊りに登場した背景には、浅草と湯沢の地域交流があります。2026年のイベント事務局への取材では、台東区議会議員が湯沢市の七夕絵どうろうまつりを訪れて感銘を受けたことがきっかけと説明されています。2017年の初回から湯沢との企画があり、2018年には会場各所に絵どうろうが並びました。

こうした交流は現在も続いています。2026年の公式開催案内でも湯沢市は協力団体に名を連ね、会場には湯沢市PRブースが設けられました。絵どうろうの展示と地域紹介が一体となり、雷門盆踊りは浅草と湯沢を結ぶ交流の場にもなっています。

雷門盆踊り会場の日本酒試飲ブース
会場の日本酒試飲の様子(2026年9月5日撮影)

2024・2025・2026年を比較する

直近3年間を見ると、雷門盆踊りは開催時間と曲構成を調整しながら、現在の形へまとまってきたことがわかります。

開催日盆踊り曲数主な特徴
2024年9月7日18:00~20:008曲第8回。ディスコ曲を既存の盆踊りの振りで踊る構成が目立つ
2025年9月6日17:30~20:007曲30分×3部制。絵どうろう21基
2026年9月5日17:30~20:007曲第10回。3部制を継続。絵どうろう21基

2024年|8曲を2時間で踊った第8回

2024年は9月7日、18時から20時まで開催されました。曲目は「東京音頭」「炭坑節」「ふるさと音頭」「七福神音頭」「たいとう音頭」「September」「Got To Be Real」「波乗りジョニー」の8曲です。

特徴的なのは、Earth, Wind & Fireの「September」を七福神音頭の振りで、Cheryl Lynnの「Got To Be Real」を東京音頭の振りで踊ったことです。伝統的な盆踊りの身振りをそのまま現代のポップミュージックへ接続する構成で、「波乗りジョニー」も含めて雷門盆踊りの自由度の高い選曲がよく表れています。

テレビ朝日の当日報道では、地元住民に加え多くの外国人観光客が踊りに参加した様子が紹介されました。観光地・浅草で誰でも輪に加われるという、創設時からの狙いが実際の会場風景に現れています。

2025年|30分3部制へ

2025年は9月6日、17時30分から20時まで開催。17時30分、18時30分、19時30分開始の各30分に分ける3部制となりました。前年の2時間連続型から、休憩と入れ替えを挟む方式へ変わっています。

曲目は「東京音頭」「炭坑節」「たいとう音頭」「輝け日本富士山踊り」「東京スカイツリー音頭」「Got To Be Real」「波乗りジョニー」の7曲。「ふるさと音頭」「七福神音頭」「September」が外れ、「輝け日本富士山踊り」と「東京スカイツリー音頭」が入りました。絵どうろうは21基が展示されています。

2026年|10回目、現在の構成が定着

2026年は9月5日に10回目を迎えました。混雑防止と熱中症対策を理由とした30分3部制を継続し、曲目も2025年と同じ7曲。絵どうろうも21基が並ぶ構成です。主催者によると、2025年には踊りの輪が約2000人に達しました。

10回目となった2026年は、2025年に導入された3部制と7曲構成を引き継ぎました。2017年に始まった地域の盆踊りは、雷門前という場所、湯沢の絵どうろう、多様な選曲を組み合わせた現在の姿へ育っています。

2026年9月5日の19時30分~20時の最終回を、盆踊り会場の西側から撮影した映像です。踊りの輪に加え、並木通り沿道の観客や会場全体の広がりがわかります。19時~19時30分は盆踊りの休憩時間でした。

雷門盆踊り終了後の櫓
盆踊り終了後の櫓。提灯の明かりの下で出演者らが並ぶ(2026年9月5日撮影)

曲目に表れる雷門盆踊りらしさ

雷門盆踊りでは、「東京音頭」「炭坑節」といった広く知られた盆踊り曲に、「たいとう音頭」「東京スカイツリー音頭」など地域性の強い曲が並びます。さらに「Got To Be Real」「波乗りジョニー」のようなポップスも踊られます。

2024年の「September」は七福神音頭の振り、「Got To Be Real」は東京音頭の振りを当てていました。新しい曲を取り込む一方、踊りの身体表現には盆踊りの型を残しています。2018年に掲げられていた「盆踊りという日本文化を世界へ発信する」という目的とも相性がよく、観光客が多い雷門前という場所で、曲のジャンルを越えて輪に入りやすい構成になっています。

雷門前の並木通りで踊る意味

雷門かみなりもん前は、浅草寺へ向かう人が絶えず行き交う場所です。普段は交通と観光の動線である並木通りが、祭りの日には櫓を中心とする踊りの空間へ変わります。町会の盆踊りを復活させるという地域側の目的と、国内外の旅行者が集まる観光地の性格が、同じ場所で重なります。

浅草では寺院境内を会場にする盆踊りもあります。西浅草の東本願寺で行われる盆踊りについては、浅草・東本願寺盆踊り|日程・見どころ・歴史と2024・2025年の記録で紹介しています。雷門盆踊りと見比べると、同じ浅草でも会場の成り立ちや祭りの雰囲気が大きく異なります。

浅草の夏の「灯り」をたどるなら、隅田川で行われる隅田川とうろう流しの歴史と参加方法もあわせて読むと、盆踊りとは異なる水辺の供養行事との違いがわかります。

初めて行く人が知っておきたいこと

会場は雷門の正面、並木通り

雷門かみなりもんから雷門通りを渡った南側に延びるのが並木通りです。2026年はこの通り一帯が盆踊り会場となりました。東京メトロ銀座線浅草駅は雷門至近で、都営浅草線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレスの浅草駅からも徒歩圏内です。

踊りは誰でも参加できる

雷門盆踊りは、地元住民に限らず誰でも踊りの輪に参加できます。公式サイトには練習動画もあり、当日の曲目を事前に確認できます。2026年は3部とも同じ7曲で構成されました。

絵どうろうを見るなら日没前後から

2026年の絵どうろう点灯は17時ごろから20時。明るい時間には美人画の線や色彩を見やすく、日が落ちるにつれて灯りが紙面を透かす景色へ変わります。前日にも雷門一之宮商店会で点灯されました。

よくある質問

雷門盆踊りはいつ始まった祭りですか?

現在の雷門盆踊りは2017年に始まりました。雷門一之宮商店会と雷門東部商店会が、かつて町会で行われていた盆踊りを復活させ、地域のにぎわいにつなげる形で始めたものです。2026年で10回目を迎えました。

参加は無料ですか?

盆踊りへの参加は無料です。会場の飲食販売などは別途料金がかかります。

踊りを知らなくても参加できますか?

参加できます。誰でも輪に加われる形式で、公式サイトには各曲の練習動画も用意されています。

「夢灯篭」の絵どうろうはどこの文化ですか?

秋田県湯沢市ゆざわしの文化です。湯沢の七夕絵どうろうまつりは約300年の歴史をもち、現在の雷門盆踊りでは地域交流を通して運ばれた絵どうろうが会場を彩ります。

雨でも開催されますか?

2026年は雨天決行、荒天中止の案内でした。年によって運営条件が変わる可能性があるため、開催当日は雷門盆踊り公式サイトの最新案内が確実です。

参考資料