隅田川とうろう流し完全ガイド|歴史・参加方法・料金・見どころ【2026】

隅田川とうろう流し会場となる吾妻橋付近の隅田川

浅草の夜、吾妻橋の下を小さな灯りがゆっくりと流れていきます。

隅田川とうろう流しは、夏の隅田川を代表する行事の一つです。始まりは1946年。関東大震災や東京大空襲などで亡くなった人々を弔うため、戦後の浅草で始まりました。

1965年を最後にいったん途絶えましたが、隅田川の水辺整備が進んだ2005年に復活しました。現在は吾妻橋付近の浅草側と墨田区側の両岸から参加できます。2026年は8月15日(土)に開催予定です。

2026年の隅田川とうろう流し

2026年の隅田川とうろう流しは、8月15日(土)に吾妻橋付近の隅田川両岸で開催予定です。開催時間は18時30分から20時15分です。

項目浅草側(台東区)墨田区側
会場吾妻橋付近の隅田川テラス隅田川親水テラス(吾妻橋1丁目23番地先)ほか
時間式典・流し初め18:30、とうろう流し18:45〜20:1518:30〜20:15
天候雨天決行荒天時は翌日に順延
とうろう受付・販売方法は浅草観光連盟の案内で確認できます事前販売1基1,700円、当日販売1基2,000円。オンライン販売は別途送料420円

墨田区側のオンライン事前販売は8月6日まで、店頭での事前販売は8月14日までの予定です。当日販売は区役所前うるおい広場で15時から行われます。荒天による順延・中止の案内は、前日11時に墨田区観光協会の案内で確認できます。

とうろうを自分で流すほか、川岸から灯りを眺める楽しみ方もあります。屋形船やクルーズ船から眺める場合は、各船会社の運航内容と予約条件が異なります。

隅田川とうろう流し会場となる吾妻橋付近の隅田川
隅田川と吾妻橋、2015年。撮影:そらみみ (Soramimi)/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0。とうろう流し当日の写真ではありません。

隅田川とうろう流しとは

とうろうに思いや願いを書き、火をともして川へ流す行事です。

隅田川とうろう流しでは、亡くなった人への慰霊いれい鎮魂ちんこんに加え、家族の健康、平和、個人的な願いなどを書いたとうろうも流されています。

現在の会場は吾妻橋付近の隅田川両岸です。西側が台東区浅草、東側が墨田区です。2017年に台東区と墨田区が観光分野の連携協定を結び、現在は両区が関わる行事として開催されています。

1946年、戦後の浅草で始まった

隅田川とうろう流しは、1946年(昭和21年)の「浅草復興祭」で始まりました。

東京は前年の1945年3月10日の東京大空襲で甚大な被害を受け、隅田川周辺でも多くの人が亡くなりました。関東大震災をはじめ、隅田川周辺で命を落とした人々を弔う法要として、終戦翌年にとうろうが流されました。震災・戦災の慰霊については、東京都復興記念館と横網町公園でたどる関東大震災・東京大空襲の記憶でも詳しく紹介しています。

戦後間もない浅草で始まったこの行事には、慰霊とともに、焼け野原となった街の復興を願う時代背景がありました。

大正時代の吾妻橋と隅田川、浅草の景観
大正時代の吾妻橋・隅田川・浅草。撮影者不詳/Wikimedia Commons/Public Domain。1946年のとうろう流し開始以前の景観を示す歴史写真です。

1965年に途絶えた理由

隅田川とうろう流しは、1965年(昭和40年)を最後に中断しました。

背景にあったのが、高潮や洪水から市街地を守るための防潮堤ぼうちょうてい整備です。隅田川の両岸には高い堤防が造られ、人々が川面へ近づきにくい構造になりました。安全性を高める治水工事によって、それまで川辺で行われていたとうろう流しを続けることが難しくなりました。

東京の河川が治水によって大きく姿を変えた背景は、荒川放水路と岩淵水門で読む東京の治水史でもたどれます。

2005年、約40年ぶりに復活

その後、隅田川では水辺を歩けるテラスやスロープなどの親水しんすい空間が整備されました。人が再び川辺へ近づける環境が整い、2005年(平成17年)、隅田川とうろう流しは約40年ぶりに復活しました。

防災のために川と街を隔てた時代を経て、治水機能を保ちながら水辺を利用できる隅田川へと変化したことが、行事の復活につながりました。現在の隅田川テラスや橋の夜景を歩いて見たい方は、隅田川ナイトウォーク完全ガイドも参考になります。

吾妻橋と隅田川はどんな場所だったのか

現在の会場となる吾妻橋周辺は、江戸時代から浅草と隅田川を代表する景観の一つでした。浅草は浅草寺の門前町として人を集め、隅田川と結びついた行楽地として発展しました。雷門や浅草寺だけでなく、街と川の関係まで歩いて知りたい場合は、浅草歴史散歩ガイドで周辺の歴史をたどれます。

歌川広重の『名所江戸百景』にも、吾妻橋上流の隅田川と浅草周辺が描かれています。舟運、寺社参詣、花見、花火など、隅田川は江戸の人々にとって交通路であると同時に、大きな行楽空間でした。

歌川広重が1857年に描いた吾妻橋上流の隅田川と浅草の風景
歌川広重『吾妻橋金龍山遠望』、1857年。Wikimedia Commons/Public Domain。とうろう流しを描いた作品ではありません。

近代以降も浅草は東京を代表する繁華街として発展し、吾妻橋は浅草と向島方面を結ぶ重要な橋となりました。現在のとうろう流しは、この長い水辺利用の歴史の上で行われています。

浅草側と墨田区側のどちらから参加する?

会場は吾妻橋を挟んだ両岸にあります。

浅草側は浅草駅や雷門から近く、浅草観光と組み合わせやすい場所です。墨田区側は隅田川親水テラスを利用し、東京スカイツリー方面からもアクセスできます。

2026年は、浅草側と墨田区側で天候時の案内やとうろうの受付方法が異なります。参加する岸を先に決め、販売場所と当日の動線を確認しておくと移動が分かりやすくなります。

とうろうには何を書く?

とうろうには、亡くなった人の名前や供養の言葉だけでなく、家族の健康、災害のない一年、平和への願いなど、さまざまな思いを書くことができます。

行事の始まりは戦災や震災の犠牲者への慰霊ですが、現在は一人ひとりの思いを灯りに託す行事として受け継がれています。

自分で流す・川岸から見る・船から見る

とうろうを購入して自分で流す

とうろうを購入し、文字を書いて、指定された場所から川へ流します。行事そのものに参加したい人に向いた楽しみ方です。

川岸から見る

とうろうを購入せず、隅田川沿いから眺めることもできます。日没後は川面に流れる灯りが目立つようになり、吾妻橋周辺には見物客が集まります。

屋形船やクルーズ船から見る

隅田川を運航する屋形船やクルーズ船から、川面のとうろうを見る方法もあります。運航内容や予約方法は船会社ごとに異なります。

何時ごろ見るときれい?

2026年は18時30分から始まり、とうろうが流れ始める時間帯から徐々に川面の灯りが増えていきます。8月中旬の東京では開始直後は空に明るさが残り、日が落ちるにつれて灯りが見えやすくなります。

明るい時間帯には会場や川の景観が分かりやすく、暗くなってからは灯りの美しさが際立ちます。時間による景色の変化も見どころです。

近年の開催状況

隅田川とうろう流しは、毎年8月中旬を中心に開催されています。新型コロナウイルスの影響を受けた時期には通常開催が難しくなり、2022年は中止となりました。2023年8月12日に4年ぶりの一般参加型開催が戻り、2024年は8月10日、2025年は8月16日に開催されました。2026年は8月15日の開催予定です。

参加方法や販売方法は年によって変わるため、毎年の開催案内で確認するのが確実です。

2026年は8月15日に開催

2026年8月15日は終戦から81年にあたる日です。

隅田川とうろう流しは、東京大空襲や関東大震災などで亡くなった人々への慰霊を起点に始まりました。戦後81年の夏も、吾妻橋付近の隅田川に灯りが流れる予定です。現在の浅草と隅田川を眺めながら、戦災、震災、戦後復興、治水、水辺の再生までを一つの場所でたどれます。

吾妻橋周辺の歴史スポットを地図で探す

浅草や隅田川を歩くときは、街歩きWebアプリTimeWalkで、現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図から探せます。とうろう流しの前後に浅草や隅田川周辺を歩く際の予習・復習にも使えます。

参考文献

  1. 台東区公式観光情報「隅田川とうろう流し」
  2. 浅草観光連盟「隅田川とうろう流し」
  3. 墨田区「隅田川とうろう流し」開催案内
  4. 東京都 河川利活用ポータルサイト「隅田川とうろう流し」
  5. Wikimedia Commons「Azumabashi Bridge on Sumidagawa River」
  6. Wikimedia Commons「100 views edo 039」
  7. Wikimedia Commons「Azumabridge-asakusa-taishoera」