板橋区×イタリア・ボローニャ オペラガラコンサート2026|出演者・曲目・友好都市の歴史

板橋区立文化会館の外観。2018年撮影

2026年10月31日(土)、板橋区立文化会館で「板橋区×イタリア・ボローニャ 友好都市オペラガラコンサート」が開催されます。国内外で活動してきた声楽家7人が出演し、グルック、ロッシーニ、プッチーニ、ドニゼッティ、ベッリーニの歌劇から名場面を披露する入場無料の公演です。

ピアノ伴奏による独唱や二重唱を中心に、歌手それぞれの声と表現を楽しめます。演奏会の背景には、絵本をきっかけに40年以上交流を続けてきた板橋区と北イタリア・ボローニャ市の歴史があります。

公演の日程・会場・予約

開催日2026年10月31日(土)
開場・開演18時開場・18時30分開演
会場板橋区立文化会館2階・小ホール(東京都板橋区大山東町51-1)
料金入場無料・自由席
入場対象年長児から
主催板橋・ボローニャ友好都市コンサート実行委員会
協力公益財団法人板橋区文化・国際交流財団

事前予約が推奨されています。予約方法や最新の受付状況は、主催者が登録した公演案内に掲載されています。席数に限りがあり、予約状況によってはキャンセル待ちとなる場合があります。

オペラガラコンサートとは――本格的な歌唱をピアノで聴く

オペラは、歌手の歌と演技、管弦楽、舞台美術などで物語を描く「歌劇」です。全幕上演では一つの物語を初めから結末まで追います。ガラコンサートは、複数の歌劇から選んだ独唱曲や重唱を組み合わせた演奏会で、作品ごとに異なる旋律や表現を一度に聴けます。「ガラ」は祝祭的な催しを表す言葉です。

今回発表された器楽奏者は、ボローニャ出身のピアニスト、マルコ・ベッルッツィさんです。オーケストラの出演は公演案内に記載されていません。ピアノは歌手に寄り添って和音やリズムを受け持ち、独唱では言葉の抑揚、二重唱では登場人物同士の掛け合いが際立ちます。

出演者9人の経歴と声の特徴

声楽家はソプラノ2人、メゾソプラノ1人、アルト1人、テノール1人、バリトン2人の計7人。ピアニストと進行役が加わります。ソプラノやバリトンといった呼び名は「声種」で、主に声の高さや音色に基づく分類です。

若林愛、ソフィア・カルヴェラ(ソプラノ)

若林愛さんはロッシーニ《セビリアの理髪師》やベッリーニ《ノルマ》の楽曲をリサイタルで取り上げてきた声楽家です。ソフィア・カルヴェラさんはボローニャへの留学経験を持ち、ヴェルディ作品などにも取り組んでいます。ソプラノは女性の高い音域を中心とする声種で、技巧的な装飾から力強い劇的表現まで幅広い役柄があります。

林眞暎(メゾソプラノ)

林眞暎はやし・まえさんは東京藝術大学と同大学院で学び、2016年にドイツのバート・ヴィルトバート・ロッシーニ音楽祭でヨーロッパデビューしました。イタリアの歌劇場に出演し、日本では読売日本交響楽団や新日本フィルハーモニー交響楽団とも共演しています。メゾソプラノは、一般にソプラノとアルトの間の音域を中心に歌います。

望月唯(アルト)

望月唯さんはイタリア・ボローニャで活動する声楽家です。2025年にはプーランク作曲のオペラ《人間の声》を現地で上演しました。今回はアルトとして出演します。アルトは女性の低い声域を表し、低音の響きに特色がある歌手は「コントラルト」と呼ばれる場合もあります。

松田健(テノール)

松田健さんは昭和音楽大学で学び、日本オペラ振興会オペラ歌手育成部を修了しました。ボローニャへの留学経験があり、《愛の妙薬》のネモリーノなどを演じています。テノールは男性の高い声種で、恋人役や若い主人公などを担当します。

宮本史利、井上大聞(バリトン)

宮本史利みやもと・ふみとしさんは東京藝術大学で学んだ後、イタリアのパルマ国立音楽院を卒業しました。名ソプラノ歌手ミレッラ・フレーニのもとでも学び、ロッシーニ・オペラ・フェスティバルの《ランスへの旅》などに出演しています。

特別出演の井上大聞いのうえ・たもんさんは新国立劇場オペラ研修所第21期修了。2026年4月、イタリアのアニタ・チェルクエッティ国際声楽コンクールで第1位と特別賞を受賞しました。バリトンは男性の中音域を中心とし、貴族、父親、恋敵、喜劇的な人物など多彩な役柄を歌います。

マルコ・ベッルッツィ(ピアノ)と三田涼子(ナビゲーター)

マルコ・ベッルッツィさんはボローニャ出身のピアニストで、望月唯さんとイタリアで共演した経験があります。アナウンサーの三田涼子さんは、板橋区とボローニャの交流を取材した経験があり、当日は街の歴史や文化にも触れながら公演を案内します。

演奏予定5曲のあらすじと聴きどころ

公演案内で曲名が発表されているのは次の5曲です。演奏順や各曲の担当歌手、追加曲目は最新の公演情報で確認できます。

グルック《オルフェオとエウリディーチェ》「エウリディーチェを失って」

1762年ウィーン初演の作品で、題材はギリシャ神話です。音楽家オルフェオは、亡くなった妻エウリディーチェを取り戻すために冥界へ向かいます。妻を連れ戻せるものの、「地上に戻るまで振り返らない」という条件を破り、再び彼女を失います。

この場面でオルフェオが歌うのが「エウリディーチェを失って」です。登場人物が一人で感情を表す歌を「アリア」と呼びます。ゆっくりした旋律の繰り返しが、妻を失った悲しみを伝えます。

ロッシーニ《セミラーミデ》「麗しい光が」

1823年ヴェネツィア初演。古代バビロニアを舞台に、女王セミラーミデと若い将軍アルサーチェをめぐる愛情、王位継承、過去の罪が交錯します。「麗しい光が」は女王が希望を歌う場面。音が素早く上下し、旋律を華やかに飾る技巧を「コロラトゥーラ」と呼びます。

プッチーニ《修道女アンジェリカ》「母もなしに」

1918年に初演された一幕物の歌劇です。修道院で暮らすアンジェリカは、長く離れていた息子がすでに亡くなったことを知らされます。「母もなしに」は、息子への愛情と喪失を静かに歌うアリアです。一幕物は一続きで上演する比較的短い歌劇を指し、この作品は《外套》《ジャンニ・スキッキ》とともにプッチーニの「三部作」を構成します。

ドニゼッティ《愛の妙薬》「つまりあの素晴らしい」

1832年初演の恋愛喜劇。青年ネモリーノはアディーナに恋をし、薬売りドゥルカマーラから「愛の妙薬」を買おうとします。薬の正体はただの酒。予定曲は二人の掛け合いが楽しい二重唱です。二重唱(デュエット)は、二人の歌手が交互に歌ったり、同時に異なる旋律を歌ったりする形式。喜劇的な歌劇は「オペラ・ブッファ」と呼ばれます。

ベッリーニ《ノルマ》「御覧なさい、ノルマ」

1831年初演。古代ガリアの巫女ノルマと若い巫女アダルジーザは、同じローマ人の将軍ポリオーネを愛しています。「御覧なさい、ノルマ」は、苦しい立場にある二人が心を通わせる二重唱です。長く滑らかな旋律が交わり、互いの声が寄り添うように重なります。

初めて聴く人のためのオペラ用語

  • アリア:一人の人物が感情を表す独唱曲です。
  • 二重唱(デュエット):二人が歌う曲。会話のような掛け合いや、同時に声を重ねる表現があります。
  • 重唱(アンサンブル):複数人で歌う形式。三重唱、四重唱なども含みます。
  • レチタティーヴォ:会話に近い抑揚で歌い、物語を進める部分。「叙唱」ともいいます。
  • ベルカント:イタリア語で「美しい歌」。滑らかな旋律、均質な声の響き、呼吸の制御、装飾的な技術を重視する歌唱文化です。ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニの作品と深く結びついています。
  • コロラトゥーラ:細かい音符を素早く歌うなど、旋律を華やかに飾る技巧です。
  • レガート:音と音を滑らかにつなげる歌い方です。
  • 声種:音域や声色に基づく歌手の分類。女性はソプラノ、メゾソプラノ、アルト、男性はテノール、バリトン、バスなどです。
  • リブレット:オペラの歌詞やせりふを記した台本です。

オペラがヨーロッパで生まれ発展した過程は西洋音楽史まるわかりガイドで、東京に根づいた歌劇や浅草オペラの歴史は東京の音楽史を歩くで紹介しています。

ボローニャはイタリア屈指の音楽都市

ボローニャはイタリア北部エミリア・ロマーニャ州の州都。古くから大学と芸術が栄え、ボローニャ歌劇場、音楽院、フィラルモニカ・アカデミーなどの施設と団体が文化を支えています。2006年にはユネスコ創造都市ネットワークの「音楽都市」に認定されました。

イタリア・ボローニャ市にあるボローニャ歌劇場の外観
ボローニャ歌劇場の外観(2022年)。写真:Zairon/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)。

18世紀に開場したボローニャ歌劇場は、イタリアのオペラ文化を伝える施設の一つです。今回の出演者にも、この街で声楽を学んだ人や活動する音楽家が加わっています。

板橋区とボローニャ市――絵本から始まった友好都市交流

1981年:板橋区立美術館の絵本原画展

板橋区とボローニャの交流は、1981年に板橋区立美術館で開催された第1回ボローニャ国際絵本原画展から始まりました。ボローニャ児童図書展に関連する原画展を日本で紹介し、絵本作家やイラストレーターの作品が両都市を結びました。

1993〜2005年:絵本の寄贈と友好都市協定

1993年からボローニャの児童図書展を通じた絵本の寄贈が始まり、「ボローニャ・ブックフェアinいたばし」などで海外の絵本が紹介されました。1994年には「いたばし国際絵本翻訳大賞」が始まります。

2005年7月7日、板橋区とボローニャ市は友好都市交流協定を締結しました。文化交流に加えて産業・商工業や市民交流を推進する取り決めです。2025年には締結20周年を迎えました。

2021〜2022年:絵本館と姉妹図書館

2021年、いたばしボローニャ絵本館は板橋区立中央図書館の新館に併設されました。2022年3月には中央図書館とボローニャ市立サラボルサ児童図書館が姉妹図書館提携を締結。資料交換や読書活動を通じた交流が広がっています。今回のオペラガラコンサートは、絵本から育まれてきた関係を音楽の分野にも広げます。

板橋区立文化会館へのアクセス

会場は板橋区立文化会館(東京都板橋区大山東町51-1)の2階小ホールです。東武東上線「大山駅」北口から徒歩約3分、都営三田線「板橋区役所前駅」A3出口から徒歩約7分。一般来場者向けの駐車場はありません。

公演の受付状況、出演者、プログラムは主催者登録の公演案内に掲載されています。

参考資料・公式情報

公演情報は2026年10月14日時点です。出演者、曲目、予約状況は主催者の最新案内に準じます。