
2024年3月9日16時30分から、ゆる歴史散歩会では「石神井公園のお散歩と練馬区ふるさと文化館と旧内田家住宅の見学などを楽しみます」を開催しました。参加者は8名。都立石神井公園の三宝寺池を歩き、中世の石神井城跡をたどったあと、練馬区立石神井公園ふるさと文化館と旧内田家住宅を見学しました。
自然豊かな公園を気持ちよく散歩しながら、城跡、湧水池、農業、民家、昭和の暮らしへと話題がつながり、練馬の歴史と自然を一度に味わえる回になりました。この記事では当日の記録に加え、練馬・練馬城、三宝寺池、石神井城、ふるさと文化館の見どころを公的資料に基づいて紹介します。

今回のコース概要
今回の主な見学先は、石神井公園・三宝寺池、石神井城跡、練馬区立石神井公園ふるさと文化館、池淵史跡公園の旧内田家住宅です。距離や所要時間は当日の記録が残っていないため、訪問先の流れだけを紹介します。

練馬、練馬城の歴史
練馬区によると、区内には約3万年前の旧石器時代から人が暮らした痕跡があります。中世になると、14世紀半ばごろに豊島氏が石神井川沿いへ勢力を広げ、練馬城と石神井城を築きました。文明9年(1477年)には太田道灌との戦いによって両城は落城したと考えられています。
練馬城跡は現在の向山三丁目、旧としまえんとその南側一帯に広がる中世城館跡です。石神井川の急崖や浸食谷など自然地形を防御に利用し、1988年の発掘調査では空堀が見つかりました。一方、地表には往時の城郭遺構は残っていません。今回訪れた石神井城と同じ豊島氏の城をあわせて考えると、石神井川流域を軸にした中世の地域支配が見えやすくなります。
江戸時代の練馬は、大根、ゴボウ、イモなどを江戸市中へ供給する近郊農村として発展しました。今回のふるさと文化館では、この「江戸を支えた農村」という歴史を、農具や練馬大根の展示から具体的にたどることができました。
練馬城をさらに歩いて知りたい方は、当サイトの「練馬駅から豊島園・練馬春日町へ歴史散歩|練馬城跡・田島山十一ヶ寺」もあわせてどうぞ。石神井城と練馬城を比較すると、豊島氏と石神井川流域の歴史がより立体的に見えてきます。
三宝寺池
三宝寺池は石神井公園を代表する水辺です。練馬区の遺跡資料では、三宝寺池の南一帯に旧石器・縄文・弥生・古墳・奈良・平安・中世にまたがる石神井台遺跡・石神井城跡が広がり、周辺には湧水池を中心として遺跡が広範囲に分布するとされています。水辺の自然と、人が長く暮らしてきた土地の歴史が重なっている場所です。
今回も池畔をゆっくり歩き、水面や鳥を眺めながら散策しました。1枚目の写真には水辺で見かけたハッカンが写っています。個体の来歴までは今回の記録から判断できないため、当日見かけた個体として紹介します。

石神井城跡|豊島氏の城館を地形から読む
石神井城は三宝寺池の南、石神井川の谷との間にある台地に築かれた豊島氏の城館です。文明9年(1477年)、城主の豊島勘解由左衛門尉の時に太田道灌に攻められ、その後は廃城となりました。現在も城の中心部にあたる内郭の土塁と空堀が残り、東京都指定史跡となっています。

現地の案内板が示す中心内郭跡は、城跡を理解する重要な手掛かりです。1998年の発掘では深さ約5メートルの空堀が見つかり、2000年の調査では土塁の盛土下層から鉄製小刀も出土しました。建物が残っていない城跡では、堀・土塁・台地の縁といった地形を意識して歩くと、中世城郭の姿を想像しやすくなります。

石神井城址の表示を見ながら、三宝寺池と台地の位置関係をたどりました。公園散歩の景色の中に城郭遺構が溶け込んでいるため、案内板を手掛かりに「なぜこの場所に城が置かれたのか」を考えるのも見どころです。
石神井公園ふるさと文化館
練馬区立石神井公園ふるさと文化館は、練馬区の歴史、伝統文化、自然を体験しながら学べる施設です。常設展示室では、遺跡の出土品、工芸品、練馬大根をはじめ、練馬の歴史と人々の暮らしを紹介しています。地域を歩いたあとに展示を見ることで、屋外で見た地形や史跡と、生活史・産業史を結びつけられます。

展示では、江戸の人口増加と近郊農村の関係、練馬から江戸・東京へ農産物が運ばれたことなどが紹介されていました。都市の消費を周辺農村が支える構図を知ると、練馬が江戸近郊の農村として発展した背景が分かります。

練馬大根の展示では、品種の特徴や生産の歩みを資料と実物展示から学べます。現在の住宅地の景観だけでは想像しにくい農村の歴史を、地域を代表する作物から具体的にたどれるのが見どころです。

館内には農具や生活道具なども展示され、地域の暮らしの変化を比較できます。歴史散歩の途中に博物館を組み込むと、屋外の史跡だけでは拾いにくい生活文化まで理解を広げられます。

昭和の暮らしを思わせる展示も見学しました。中世城郭から江戸の農業、近現代の生活まで、同じ地域の時間の積み重なりを一つの施設で追えるのが、ふるさと文化館の魅力です。
旧内田家住宅|明治期の練馬の民家へ
旧内田家住宅は、明治20年代初頭の建築と推定される伝統的な茅葺き民家です。もとは練馬区中村にあり、2007年に解体されたのち、2010年に石神井公園ふるさと文化館の屋外展示施設として池淵史跡公園へ移築復元されました。区内に現存する数少ない伝統的茅葺き屋根の民家建築として、練馬区指定文化財になっています。

大きな茅葺き屋根と木造の外観は、ふるさと文化館の展示で学んだ農村の暮らしを、建物のスケールで体感できる場所です。

内部では畳敷きの部屋、建具、縁側から庭へつながる空間を見ることができます。資料だけでなく、実際の住空間に身を置くことで、近代の練馬の暮らしをより具体的に想像できました。
自然と歴史を一緒に楽しめる石神井公園散歩
今回の散歩では、三宝寺池の自然を楽しみながら石神井城跡へ進み、ふるさと文化館と旧内田家住宅で練馬の農業・生活文化まで学びました。参加者8名で、自然豊かな公園を気持ちよく歩き、歴史と自然の両方を満喫できた一日でした。
石神井公園は、池だけを見ても気持ちのよい場所ですが、城跡の地形、豊島氏、江戸近郊農村、練馬大根、古民家という視点を重ねると、散歩の見え方が広がります。
TimeWalkで近くの歴史スポットを探す
散歩の予習・復習や、自分のペースで周辺の史跡を巡りたいときは、ゆる歴史散歩会のWebアプリ「TimeWalk」も利用できます。現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめるWebアプリです。

