はまゆう山荘の歴史と建築|小栗忠順が結んだ横須賀・倉渕の縁

群馬県高崎市倉渕町川浦の「はまゆう山荘」は、横須賀市が1987年に開設した保養施設を起源とする宿泊・温泉施設です。施設の背景には、横須賀製鉄所の建設を進め、上野国権田村で生涯を終えた小栗忠順の歴史があります。現在は高崎市の施設として運営され、横須賀市民向けの利用制度も残っています。

なぜ横須賀市が倉渕に宿泊施設を建てたのか

横須賀市と旧倉渕村は1981年に友好都市提携を結びました。横須賀は小栗忠順が近代化事業を進めた場所、倉渕は小栗家の知行地と墓所がある場所です。横須賀市は市制施行80周年記念事業として、1987年5月20日に「横須賀市民休養村」を開設しました。「はまゆう山荘」という名称には横須賀市の花であるハマユウの名が使われています。

2005年の移譲と2006年の合併

2005年10月、施設は横須賀市から倉渕村へ移譲されました。倉渕村は2006年1月23日に高崎市へ編入され、旧村との正式な友好都市提携は終了しましたが、山荘は高崎市の施設として存続しています。

建築の見どころ

石と木を生かした建物は、第29回建築業協会賞を受賞しました。吹き抜けのロビー、森林に囲まれた客室など、山間の保養施設としての特徴を備えています。施設公式サイトでは21室の客室が案内されています。

倉渕川浦温泉「小栗の湯」

温泉は小栗忠順にちなむ「小栗の湯」です。施設が案内する泉質は含鉄(Ⅱ)-ナトリウム・カルシウム-塩化物冷鉱泉。建物の開設は1987年ですが、温泉の掘削・認可は2000年代後半の事業で、施設の開設と温泉導入は別の時期です。

横須賀市民が優遇される制度

高崎市の「はまゆう山荘設置及び管理に関する条例」は、料金区分の「市民等」に高崎市民とともに横須賀市に住所を有する人などを含めています。施行規則には予約受付時期の区別もあります。正式な友好都市提携が終了した後も、施設の利用制度には横須賀との歴史的関係が残っています。浦安市民向けの割引も案内されていますが、条例上の区分とは根拠が異なります。

現在の運営主体――倉渕ふるさと公社

現在のはまゆう山荘は高崎市の公の施設で、運営を担う指定管理者は一般財団法人倉渕ふるさと公社です。2024年4月1日から2029年3月31日までの指定期間に、利用料金と指定管理料を併用する方式で管理されています。横須賀市が施設を建設し、旧倉渕村へ移譲したことと、現在の所有・管理の仕組みを区別すると、自治体合併後の歴史がより分かりやすくなります。

出典:高崎市「指定管理者制度導入施設一覧」。

電車・バスでのアクセスと無料送迎

公共交通で訪れる場合、JR高崎駅西口から群馬バスの権田行きに乗り、終点の権田バス停から施設の送迎を利用できます。施設公式案内では、権田バス停からの無料送迎は2人以上の予約制です。

JR高崎駅東口からも無料送迎が案内されており、原則午後1時集合、2人以上で事前予約が必要です。配車状況などにより受け付けられない日があるため、原則2週間前までの予約を求めています。大型連休、お盆、年末年始などは送迎の運休期間です。20人以上の団体には高崎市内の希望場所からの送迎も案内されています。

出典:はまゆう山荘「アクセス」。

基本情報・利用案内

所在地は群馬県高崎市倉渕町川浦27-80。宿泊、温泉、研修・団体利用に対応しています。客室や料金、送迎の条件は変更されるため、はまゆう山荘公式サイトで確認してください。

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1981年の友好都市提携から2005年の施設移譲、合併後の交流までの経緯は、横須賀市と旧倉渕村の交流史で詳しく紹介しています。

参考資料

この記事を書いた人
ゆる歴史散歩会 運営者
なかまつ

北海道大学工学部卒。現在はIT系会社員の傍ら、年間400回以上の街歩きイベントを企画し、これまで延べ25,000名以上の方にご参加いただいている、ゆる歴史散歩サークルを運営しています。東京の歴史・文化・建築・地形などを、初心者でも気軽に楽しめるイベントとして企画しています。

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日本史・社会制度