2024年12月1日(日)18時から、ゆる歴史散歩会の18名で東京・文京区目白台の肥後細川庭園を訪れ、期間限定の紅葉ライトアップ「ひごあかり」を鑑賞しました。熊本藩細川家にゆかりのある日本庭園で、色鮮やかな紅葉、池に映る松の雪吊り、熊本の竹あかりを楽しむ催しです。会場には細川家の歩みと熊本の文化を伝える展示もありました。
入口には「肥後細川庭園」の提灯が並び、夜の庭園へと続いていました。訪問した12月1日は2024年の開催最終日です。

肥後細川庭園と細川家
文京区立肥後細川庭園は、江戸時代末期の熊本藩細川家下屋敷に由来します。この土地は江戸時代中期には旗本の屋敷で、その後、清水家・一橋家の下屋敷を経て、細川家の下屋敷・抱屋敷となりました。明治以降には細川家の本邸として使われた時期があり、1961年に都立公園として開園、1975年に文京区に移管されました。
庭園は、池を中心に園路をめぐらせる池泉回遊式。目白台の台地から神田川へ下る斜面を生かし、木立を山に見立て、湧水の流れと池、庭石を組み合わせています。文京区は、モミジやハゼノキが色づき、池の水面に映る秋の景観を特色に挙げています。夜間のライトアップを理解するうえでも、池と斜面という地形は大切な見どころです。
園内の松聲閣は、細川家の学問所として使われたと伝わる大正時代の建物。改修を経て細川家の住居として使われた時期もあり、2016年に保存・修復と耐震化を伴うリニューアルが行われました。関連する東京と熊本の歴史散歩ガイドには、細川家の江戸屋敷や隣接する永青文庫の解説もあります。
2024年・2023年・2022年の「ひごあかり」開催概要
「ひごあかり」は、肥後細川庭園の秋の紅葉、松の雪吊り、熊本との歴史的な縁を結び付けた催しです。開催日数・観覧時間・料金は年によって違います。
2024年|11月27日(水)~12月1日(日)
文京区の公式チラシによると、2024年は17時30分~20時(最終入園19時30分)、入園無料、雨天中止。紅葉と松の雪吊りのライトアップ、熊本の竹あかりが実施されました。文京区の開催報告には、熊本県の観光PR展示や熊本市の「悠久のときを綾なす細川文化パネル展」も記録されています。当会の開催日は最終日の12月1日18時、参加人数は18名です。
2023年|11月25日(土)~12月3日(日)
公園財団の開催案内によれば、17時30分~20時30分(最終入園20時)、入園料300円(未就学児無料)。紅葉と雪吊りを約150灯のLEDで演出し、「CHIKAKEN(ちかけん)」の竹あかり、地域の子どもたちによる灯火カップ、肥後菊や伝統工芸の展示などが企画されました。
2022年|11月19日(土)~11月27日(日)
熊本県の発表では、2019~2021年の休止を経て3年ぶりの開催。ヤマモミジ、エノキ、ハゼ、雪吊りを約140灯のLEDで照らし、熊本に関連した竹あかりを展示しました。2022~2024年の開催期間は照明事業者の開催履歴でも確認できます。過年度の料金や時間は次回開催の条件を表すものではないため、再訪時は庭園公式サイトで最新案内をご確認ください。
紅葉と竹あかりが彩る夜の庭園
芝生の周辺では、竹をくり抜いた柱や丸い籠状のオブジェが柔らかく光り、その後ろには赤、黄色、緑に照らされた樹木が広がっていました。熊本を拠点に活動する竹あかり制作集団CHIKAKENの作品は、竹に開けた穴から光を漏らす仕組みで、竹の素材感を生かした幾何学模様が特徴です。

竹の柱には大小の穴が開けられ、球形の作品や斜めに並ぶ光の模様が庭園に浮かびます。ライトアップの光源をただ明るくするだけでなく、竹の影と透過光を生かしている点も見どころでした。


夜の園路には来園者の姿があり、光の作品や紅葉をそれぞれの角度から眺めていました。竹あかりの小さな灯りと背景の大きな樹木の照明が対照的です。

池の水鏡と松の雪吊り
池の対岸には、円錐状の縄を張った松の雪吊りが見えます。雪による枝の損傷を防ぐための冬の庭園技術で、ライトアップの際には放射状の縄が細い光の線として浮かび上がります。穏やかな水面に上下反転した景色が現れ、枝葉の紅色、雪吊りの白色、建物の明かりが重なりました。

池の中央だけでなく岸の木々にも目を向けると、赤く染まったモミジや黄色く照らされた木立が、暗い水面を背景に鮮やかに浮かんでいました。台地から池へと高低差を付けた庭園の構成が、夜景に奥行きを与えます。


園路では低い位置の照明が足元を照らし、上方の枝葉には異なる色の光が当てられていました。樹林地は斜面に階段が多いため、夜間の鑑賞では足元への注意も大切です。

熊本との交流を伝える光の展示
撮影した光の作品には「KUMAMON 15th ANNIVERSARY」の表示があり、くまモンと熊本を題材にした展示となっています。この表示から作品の制作年・展示年は別途確認が必要ですが、写真には熊本のキャラクターを使った竹あかりの様子が残されています。熊本県・熊本市と文京区・新宿区は2015年に「文化と歴史を縁とする包括連携」の覚書を結び、細川家などの歴史的つながりを現在の交流へ生かしています。

細川家の歴史を学ぶ|現地の解説展示
撮影した資料には「細川家と熊本」のパネルがあり、細川家が熊本藩主となった流れと、その後に受け継がれた武芸・芸能・工芸を紹介しています。庭園の名前にある「肥後」は現在の熊本県を中心とする旧国名であり、目白台に残る細川家の庭園と熊本の歴史はつながっています。

細川藤孝|戦国の武将にして文化人
細川藤孝(幽斎)は、戦国から江戸初期にかけて活躍した武将であり、和歌・古典文学にも優れた人物です。写真のパネルは古今伝授の間、田辺城籠城など、政治・軍事と古典文化の双方を紹介しています。古今伝授とは『古今和歌集』の解釈や秘伝を師から弟子へ伝えることを指し、藤孝が文化の継承でも重要な位置にいたことを伝えます。

細川忠興|茶の湯と武家文化
細川忠興は藤孝の子で、茶人としては三斎の名でも知られます。千利休に学び、利休七哲の一人に数えられました。展示には茶室「仰松軒」と手水鉢が登場し、武家の暮らしの中に茶の湯が深く入り込んでいたことを教えてくれます。

細川忠利|熊本城を引き継いだ藩主
細川忠利は1632年に肥後熊本へ入封し、熊本城を中心に藩政を担いました。細川家と熊本の結びつきを決定的にした出来事です。写真には熊本城や泰勝寺跡が紹介され、東京の庭園と熊本城の歴史をつなぐ資料になっています。

細川光尚|熊本藩政の継承
細川光尚は忠利の後を継いだ熊本藩主で、展示には妙解寺跡や阿部事件などが取り上げられています。細川家の江戸屋敷の配置と時代背景は、自サイトの正保年中江戸絵図の解説や御江戸大名小路絵図の解説で詳しくたどれます。

肥後の武芸・茶道・食文化と伝統工芸
展示には武田流(細川流)の騎射流鏑馬、肥後古流茶道、辛子蓮根などもありました。戦国時代に始まる武家の伝統が、熊本で武芸、作法、食として伝わる姿を紹介するものです。写真を通して、庭園を所有した細川家の文化的な広がりを見られます。

肥後象嵌は金属の表面に異種の金属をはめ込んで模様を表す熊本の伝統工芸。展示には熊本城を描いた作品がありました。刀装具の装飾文化とも関わりを持つ精緻な技術で、武家文化と今日の工芸が結びついていることが感じられます。

アクセスと次回の見学に向けて
肥後細川庭園は東京都文京区目白台1-1-22。都電荒川線「早稲田」停留場から徒歩約5分、地下鉄有楽町線「江戸川橋」駅・東西線「早稲田」駅から徒歩約15分です。通常の庭園の開園時間は11月~1月が9時~16時30分(入園は16時まで)。通常入園は無料ですが、ライトアップ特別公開は年度により料金・時間が異なります。樹林地の急坂や階段にも注意してください。
関連記事とTimeWalk
細川家ゆかりの東京の歴史をさらに歩くなら、東京の熊本ゆかりの地を歩く、細川家の別の庭園史に触れる戸越公園と品川歴史散歩も参考になります。TimeWalkは、現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探し、自分で歴史散歩を楽しめるWebアプリです。庭園の特別公開や通行可能な園路については施設案内に従ってください。
開催を振り返って
18名で訪れた夜の庭園では、紅葉の色彩、池の水鏡、竹あかりの緻密な光の模様が印象に残りました。細川家と熊本の歴史展示に触れる機会もあり、日本庭園と武家文化をあわせて味わえた一夜でした。

