2025年4月12日(土)15:00〜17:00、ゆる歴史散歩会では東京都江東区有明の「そなエリア東京」で、団体向けの防災体験学習に参加しました。参加者は20名。地震発生後の街を再現した実物大ジオラマを進む「東京直下72hTOUR」を中心に、避難生活の備え、首都直下地震、災害対応拠点の設備まで、館内を巡りながら学ぶ2時間です。
防災は知識として読むだけでは、自分がその場に置かれたときの判断まで想像しにくいテーマです。今回は団体ツアーで、被災した都市の再現空間やタブレットを使った体験展示を見ながら、「地震の直後に何を見るか」「支援が十分に届かない時間をどう過ごすか」を具体的に考えました。

そなエリア東京の屋上からは、東京臨海広域防災公園の広場や周辺の有明の街を一望できます。普段は開放的な公園ですが、ここは大規模災害時に国の災害応急対策を支える拠点として整備された場所でもあります。
開催概要
- 開催日:2025年4月12日(土)
- 時間:15:00〜17:00
- 参加者:20名
- 会場:防災体験学習施設 そなエリア東京
- 内容:団体見学、東京直下72hTOUR、防災学習展示の見学
15時に集合して自己紹介を行い、15時30分から東京直下72hTOURへ。館内スタッフの案内を聞きながら、参加者それぞれがタブレットを手に展示を巡りました。

そなエリア東京と東京臨海広域防災公園
東京臨海広域防災公園は、東京都江東区有明にある広域防災公園です。国営公園約6.7ヘクタールと都立公園約6.5ヘクタールが一体となり、合計約13.2ヘクタールの規模を持ちます。2010年7月1日に開園しました。
この公園の大きな特徴は、平常時と災害時で役割が大きく変わることです。平常時は芝生や広場を利用でき、防災体験学習施設「そなエリア東京」で学習もできます。一方、大規模災害時には首都圏の広域的な災害応急対策を支える「基幹的広域防災拠点」として機能します。公園公式サイトでも、大規模災害時には緊急災害現地対策本部が設置されるため、一般の避難場所として利用する公園ではないことが案内されています。
阪神・淡路大震災を契機に広域防災拠点の必要性が強く意識され、国と東京都が一体的に整備を進めました。そなエリア東京は、その防災拠点の機能を日常の学びにつなげる施設です。災害時だけ使う場所を閉じておくのではなく、平常時から多くの人が訪れ、防災を自分の生活に引き寄せて考えられる点が重要です。

2階の防災学習ゾーンでは、避難生活や家庭での備えを扱う展示を見学しました。展示を見るだけでなく、「自宅なら何が足りないか」「外出中ならどう動くか」と置き換えて考えられる構成になっています。
災害対応の中枢をのぞくオペレーションルーム
館内には、首都直下地震発生時に緊急災害現地対策本部の候補地となるオペレーションルームがあります。公式案内では約960平方メートル、186席に加えて打ち合わせスペース84席を備え、中央防災無線、映像伝送、テレビ会議などの設備が用意されています。


このオペレーションルームは映画『シン・ゴジラ』の撮影にも使われました。作品の中で巨大災害に対して多くの機関が情報を集約し、判断を重ねる場面の背景になった場所を、実際の災害対応施設として見られるのも見どころです。
防災体験学習ツアー「東京直下72hTOUR」
「東京直下72hTOUR」は、地震発生後、支援が少ない時間を生き抜く知恵を学ぶ体験型プログラムです。1階の防災体験ゾーンに、被災した駅前や住宅地を再現した実物大ジオラマがあり、音響・照明・映像とタブレット端末を組み合わせて進みます。

ツアーのポイントは、被害写真を眺めるのではなく、自分が被災した街の中にいる設定で進むことです。倒壊した建物、火災、落下物などが再現された空間を歩くと、普段なら何気なく通る駅前や商店街にも、地震時には複数の危険が同時に現れることが分かります。

参加者はタブレットの問題に答えながら進みました。災害時には「知っている」ことと「その場で選べる」ことの間に差があります。クイズ形式で判断を求められることで、避難経路、火災、余震、身の回りの危険などを自分の行動として考えやすくなっていました。

再現被災市街地で見るべきポイント
実物大ジオラマでは、壊れた建物だけでなく、道路、駅、看板、電柱、室外機など、都市の日常を構成するものが災害時の危険要因へ変わる様子に注目すると学びが深まります。「頭上に落下物はないか」「火災から離れる方向はどちらか」「余震が来たとき安全な場所はどこか」と考えながら歩く展示です。


火災と倒壊家屋を組み合わせた場面は、地震災害が一つの現象だけで終わらないことを視覚的に伝えます。建物被害のあとに火災が発生し、道路が塞がれ、避難そのものが難しくなる可能性があります。

避難した後の生活まで考える
災害対応は安全な場所へ逃げれば終わりではありません。そなエリア東京では、避難生活や家庭での備えも展示の大きなテーマです。電気・水道・ガスなどのライフラインが止まったとき、食料や水だけでなく、衛生、情報、睡眠、トイレなど生活全体をどう維持するかが課題になります。

2階には、身近な物を災害時に活用する知恵や、備えておきたい物を考える展示もあります。公式サイトでは「72時間生き抜くヒント」や紙食器の作り方などの学習資料も公開されており、見学後に自宅で復習できます。
団体ツアーで学んで感じたこと
今回は20名で同じ展示を巡ったため、個人見学とは違い、説明を聞いてから同じ場面を一緒に体験できました。館内ではタブレットを手に画面と展示を見比べる場面が多く、再現された被災市街地では参加者が周囲を見回しながら進みました。
防災というテーマは重くなりがちですが、体験型展示は「怖さを知る」だけで終わらず、「では何を準備し、どう判断するか」へ学びを進められるのが特徴です。
地震・煙・暴風雨・都市型水害など、別の災害を実際に体験できる施設については、本所防災館「自然災害体験ツアー」の開催レポートもあわせてどうぞ。また、有明の街そのものを歩いて知りたい方は、同じ日に開催した有明散策の開催レポートで、臨海副都心の成り立ちや公園・水辺の風景を紹介しています。
まとめ
そなエリア東京は、首都直下地震を「知識」だけでなく、都市の中で自分がどう動くかという「行動」に置き換えて学べる施設でした。東京直下72hTOURの再現市街地、避難生活の展示、そして実際の災害対応拠点となるオペレーションルームまでを見ることで、発災直後から支援体制までを一つの場所で考えられます。
今回の団体見学では、20名で同じ体験を共有しながら、防災を身近な問題として学びました。「今いる街が災害時にどう変わるのか」を想像することも、都市を知る大切な視点です。

