藝大生が考えるグッドデザイン展と最終日のNIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHO|有楽町の夜を楽しむ開催レポート

GOOD DESIGN MARUNOUCHIで展示を鑑賞する参加者

2026年8月6日(木)19時15分から、10名で有楽町・丸の内エリアのデザイン展示と夜の公共空間を楽しむ会を開催しました。集合は新東京ビル2階の丸の内フォトギャラリー。そこからGOOD DESIGN MARUNOUCHIで東京藝術大学デザイン科3年生による企画展「オルタナティブG 藝大生が考えるグッドデザイン」を鑑賞し、最後はこの日が最終日だった「NIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHO」へ向かいました。

学生の視点で「良いデザインとは何か」を問い直す展示と、丸の内仲通りを夜の遊び場に変える社会実証。さらに、ビルの隙間を公園のような居場所へ変えたSlit Park YURAKUCHOもあわせて見ることで、有楽町の街を「デザインされた都市空間」として立体的に楽しめる夜になりました。

新東京ビル2階の丸の内フォトギャラリー展示室
集合場所となった新東京ビル2階の丸の内フォトギャラリー

今回のコース概要

  • 新東京ビル2階・丸の内フォトギャラリーで集合
  • Slit Park YURAKUCHOの空間を見学
  • GOOD DESIGN MARUNOUCHIで「オルタナティブG 藝大生が考えるグッドデザイン」を鑑賞
  • 丸の内仲通りの「NIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHO」へ移動し、展示や体験を楽しむ

今回は長距離を歩く街歩きというより、近接する文化施設と公共空間をつなぎながら、現代の有楽町・丸の内で試みられているデザインを体験する構成です。丸の内の成り立ちや建築をさらに知りたい方は、当会の丸の内エリアの歴史と建築ツアーや、丸の内・大手町を歩く|東京駅保存と容積移転で読む再開発入門もあわせて読むと、街の見え方がより立体的になります。

Slit Park YURAKUCHO

有楽町で印象的なのが、建物と建物の「隙間」をそのまま都市の居場所へ変えたSlit Park YURAKUCHOです。三菱地所設計の公式紹介によると、この場所は新国際ビルと新日石ビルの間にある路地を改修し、丸の内仲通りのにぎわいをビルの内部へ引き込み、さらに裏路地や隣街区へつなげる「公園のような小路」として整備されました。

Slit Park YURAKUCHOの緑と照明に囲まれた路地空間
新国際ビルと新日石ビルの間に整備されたSlit Park YURAKUCHO

設計を手がけたOpen Aの資料では、改修前の路地は駐輪場として使われていたことが紹介されています。2020年から2022年にかけて計画・整備され、植栽や家具、半屋外のラウンジなどを組み合わせることで、通過するだけだった隙間を「滞在できる場所」へ変えたのが大きな特徴です。

Slit Park YURAKUCHOで展示を楽しむ参加者
Slit Park YURAKUCHOの半屋外空間で展示を見ながら散策

見どころは、立派な建築物そのものというより、既存の都市の余白をどう読み替えているかという点です。大規模再開発で街区を丸ごと作り替えるのではなく、すでにあるビルの間に新しい動線と居場所を差し込む。夜には照明や植栽も相まって、オフィス街の硬質な風景の中に小さな「抜け」が生まれます。丸の内仲通りを歩く際は、正面のショーウインドーだけでなく、建物の間へ伸びる細い動線にも注目すると、都市デザインの工夫が見つけやすくなります。

GOOD DESIGN MARUNOUCHIで「オルタナティブG」を鑑賞

続いてGOOD DESIGN MARUNOUCHIへ。ここでは2026年8月2日から12日まで、東京藝術大学デザイン科の学部3年生による企画展「オルタナティブG 藝大生が考えるグッドデザイン」が開催されていました。公式案内によれば、本展は「良いデザインとは何か」という問いを出発点に、学生それぞれが考える新たな「グッド」を提示する展覧会です。プロダクト、グラフィック、映像、空間など、形式を一つに限定しない点も特徴でした。

GOOD DESIGN MARUNOUCHIの外観と企画展会場
GOOD DESIGN MARUNOUCHIで開催された「オルタナティブG 藝大生が考えるグッドデザイン」
GOOD DESIGN MARUNOUCHI「オルタナティブG」の展示風景
東京藝術大学デザイン科3年生による企画展の会場

この日は藝大げいだい生の案内付きで展示を鑑賞しました。説明を聞きながら作品を見ると、完成した形だけではなく、「なぜこの形にしたのか」「何を良いと考えているのか」という制作の出発点に目が向きます。グッドデザインという言葉から、整った外観や便利な機能を想像しがちですが、展示では身体感覚やコミュニケーション、音、動き、遊びなど、さまざまな切り口から問いが広がっていました。

GOOD DESIGN MARUNOUCHIで展示を鑑賞する参加者
藝大生の案内を受けながら「オルタナティブG」の展示を鑑賞
GOOD DESIGN MARUNOUCHIの体験型展示を見る参加者
形や素材、動きに触れながら学生の提案を体験

会場には見るだけでなく、手を動かしたり、近づいて仕組みを確かめたりしたくなる展示もありました。参加者同士で展示を見比べながら、学生の提案を自分の生活感覚へ引き寄せて考える時間になりました。

GOOD DESIGN MARUNOUCHI「オルタナティブG」の会場全景
プロダクトや映像、空間を横断する多様な展示
GOOD DESIGN MARUNOUCHIの立体作品と体験展示
触れて変化を楽しめる作品もあり、展示を囲んで鑑賞しました
GOOD DESIGN MARUNOUCHIの音や空間を使った展示
音や空間を取り込んだ展示をじっくり鑑賞

GOOD DESIGN MARUNOUCHIは、日本デザイン振興会が運営するデザインの発信拠点です。今回のような企画展を見る際には、「完成品として美しいか」だけでなく、課題の見つけ方、使う人との関係、素材や空間の扱い方まで見ると、デザインの背景をより深く読み取れます。

NIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHO――夜の仲通りを遊び場へ

展示鑑賞の後は、丸の内仲通りで開催されていた「NIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHO」へ移動しました。公式サイトによると、会期は2026年7月24日から8月6日までで、私たちが訪れた日は最終日。通常は18時から22時まで、最終日の8月6日は21時まで開催され、入場無料・予約不要のプログラムでした。

NIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHOの光る球体展示
丸の内仲通りを彩ったNIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHO

この企画は、NEWSKOOLと三菱地所が丸の内仲通りで実施した社会実証プロジェクトです。主催者発表では、インタラクティブ技術を都市空間に導入し、夜間の滞在価値や新しい公共空間の使い方を検証することが目的とされています。昼間はオフィスワーカーや買い物客が行き交う仲通りに、光るオブジェや体験型の遊具が置かれることで、街路そのものが「通る場所」から「立ち止まって遊ぶ場所」へ変わっていました。

NIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHOの体験型遊具
最終日の夜、体験型の遊具を囲んで楽しみました

私たちも展示を見たり、スタッフの話を聞いたりしながら、会場をぶらぶらと巡りました。巨大な光の球体や、身体を使って関わる遊具が街路に置かれている光景は、一般的なイルミネーションとは少し違います。鑑賞者と作品の距離が近く、周囲の人の動きまで含めて空間が成立しているところが面白いポイントでした。

夜の丸の内仲通りとNIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHO会場
夜間の公共空間活用を試みた丸の内仲通りの会場
NIGHT PARK & PLAYGROUND YURAKUCHOの光る椅子型インスタレーション
街路空間に置かれた光と遊びのインスタレーション

丸の内仲通りは、道路空間を歩行者中心の滞在空間として活用する試みが継続して行われてきた場所です。今回のNIGHT PARKも、その延長上で「夜の時間帯に街路をどう使えるか」を考える実験と見ることができます。昼と夜で同じ道の役割が変わるところに、都市空間のデザインの面白さがあります。

有楽町で見えた「デザイン」の幅

今回の会では、学生による作品展示、ビルの隙間を再編集したSlit Park、丸の内仲通りを使った夜間の社会実証を一晩で体験しました。対象は作品、建築、街路と異なりますが、どれも「すでにあるものをどう見直し、人の行動をどう変えるか」という視点でつながっています。

丸の内・有楽町は近代建築や再開発の歴史でも知られる地域です。以前開催したインターメディアテクと丸の内の夜さんぽ開催レポートでは、旧東京中央郵便局の建築史や東京駅周辺の夜景を取り上げています。今回のような現代デザインの展示と読み比べると、歴史的な建物を残す方法と、新しい公共空間をつくる方法の両方を考えることができます。

TimeWalkで現在地周辺の歴史スポットを探す

今回はイベント中にTimeWalkは利用していませんが、丸の内・有楽町を自分のペースで歩く際には、現在地や指定地点の近くにある歴史スポットを地図で探せるWebアプリ「TimeWalk」も使えます。気になった場所の周辺にどんな史跡や建築があるかを調べながら歩くと、展示鑑賞の前後にも街の歴史を楽しめます。

現在地から歩ける史跡をTimeWalkで地図から探す

まとめ

この日は、藝大生が考える「グッドデザイン」から、Slit Parkの路地空間、最終日のNIGHT PARKまで、有楽町の中に点在するさまざまなデザインを10名で楽しみました。展示室の中だけでなく、建物の隙間や道路まで観察対象にすると、街はぐっと面白くなります。

ゆる歴史散歩会では、歴史的な建物や史跡だけでなく、展覧会、都市空間、季節イベントなども組み合わせながら、東京の街を初心者でも気軽に楽しめる企画を開催しています。次回も、街の背景を知ることで日常の風景が少し違って見えるような時間をつくっていきます。

参考資料