第1次ドナルド・トランプ政権は、2017年1月20日に発足しました。発足時には企業経営者、軍出身者、共和党政治家を多く登用しましたが、4年間を通じて閣僚やホワイトハウス中枢の交代が相次ぎました。
政権の仕事も大きく変化します。2017年には減税、移民規制、環境・規制政策の見直しを進め、2018年以降は中国との関税戦争やUSMCA交渉が本格化しました。2019年には第1次弾劾、2020年にはCOVID-19という巨大な危機が重なります。
この政権は、政策だけでなく「誰が残り、誰が交代したか」を追うことで輪郭が見えやすい政権です。国務長官、国防長官、司法長官、国土安全保障長官、首席補佐官、国家安全保障担当大統領補佐官が次々と入れ替わり、Acting(代行)として長期間実務を担った人物も目立ちました。
現代アメリカ政権シリーズ:ジョージ・W・ブッシュ → バラク・オバマ → 第1次トランプ(現在の記事) → バイデン → 第2次トランプ。全体の流れは歴代アメリカ大統領一覧で確認できます。
- まず確認|第1次トランプ政権のCabinetとこの記事で扱う人
- 2017年|どんなチームで政権を始めたのか
- 発足時の主要メンバー一覧
- 外交・安全保障|ティラーソン、マティスからポンペオへ
- 司法・移民|セッションズ、バー、DHSの人事
- 経済・通商|減税と中国関税を進めたチーム
- 国内政策を担った各省の長官
- ホワイトハウス中枢|4人の首席補佐官
- 国家安全保障補佐官が4人替わった
- 大統領側近|クシュナー、イヴァンカ、ミラー
- 指名されたのに就任しなかった人もいた
- 2018年中間選挙と第1次弾劾
- 2020年COVID-19|政権最後の危機対応チーム
- 政策はその後どうなった?9つの「答え合わせ」
- 2021年1月6日と第1次政権の終わり
- オバマから第1次トランプ、そしてバイデンへ
- 参考文献・一次資料
まず確認|第1次トランプ政権のCabinetとこの記事で扱う人
米国のCabinetは、副大統領と15行政省の長が基本です。第1次トランプ政権では、このほか大統領首席補佐官(White House Chief of Staff)、EPA Administrator、OMB Director、U.S. Trade Representative、CIA Director、Director of National Intelligence、SBA Administrator、国連大使などにもCabinet-level rankが与えられました。
本記事では、大統領と副大統領、15行政省の上院承認を受けた正式トップ24人を中核にし、長期間実権を持ったActing、首席補佐官4人、国家安全保障担当大統領補佐官4人、通商・移民・COVID-19対応で重要だった側近も加えます。
2017年|どんなチームで政権を始めたのか
発足時の人事では、企業経営者と軍出身者が目立ちました。国務長官レックス・ティラーソンはエクソンモービルCEO、財務長官スティーブン・ムニューシンは投資銀行出身、商務長官ウィルバー・ロスは投資家でした。
安全保障では、国防長官ジェームズ・マティス、国家安全保障担当補佐官マイケル・フリン、国土安全保障長官ジョン・ケリーなど軍歴を持つ人物が重要ポストに入りました。一方、教育長官ベッツィ・デボスやEPA長官スコット・プルイットなど、オバマ政権期の政策を大きく見直す意図が明確な人事もありました。
発足時の主要メンバー一覧
| ポスト | 発足時 | 主な後任 |
|---|---|---|
| 大統領 | ドナルド・トランプ | 4年間在任 |
| 副大統領 | マイク・ペンス | 4年間在任 |
| 国務長官 | レックス・ティラーソン | マイク・ポンペオ |
| 財務長官 | スティーブン・ムニューシン | 4年間在任 |
| 国防長官 | ジェームズ・マティス | マーク・エスパー |
| 司法長官 | ジェフ・セッションズ | ウィリアム・バー |
| 内務長官 | ライアン・ジンキ | デービッド・バーンハート |
| 農務長官 | ソニー・パーデュー | 4年間在任 |
| 商務長官 | ウィルバー・ロス | 4年間在任 |
| 労働長官 | アレックス・アコスタ | ユージン・スカリア |
| 保健福祉長官 | トム・プライス | アレックス・アザー |
| 住宅都市開発長官 | ベン・カーソン | 4年間在任 |
| 運輸長官 | イレーン・チャオ | 2021年1月に辞任 |
| エネルギー長官 | リック・ペリー | ダン・ブルイエット |
| 教育長官 | ベッツィ・デボス | 2021年1月に辞任 |
| 退役軍人長官 | デービッド・シュルキン | ロバート・ウィルキー |
| 国土安全保障長官 | ジョン・ケリー | キルステン・ニールセン |
上院承認票を見ると人事の政治的温度差も分かります。マティス国防長官は98対1、シュルキン退役軍人長官は100対0。一方、デボス教育長官は50対50となり、ペンス副大統領の決選票で承認されました。ムニューシン財務長官は53対47、セッションズ司法長官は52対47でした。
外交・安全保障|ティラーソン、マティスからポンペオへ
ドナルド・トランプ|大統領
不動産事業とテレビ出演で知られた実業家で、主要公職の経験を持たずに大統領へ就任しました。選挙では移民規制、貿易赤字の是正、減税、規制緩和、同盟国の負担増などを掲げました。
政権では、従来の自由貿易・多国間協調をそのまま継承せず、中国関税、NAFTA再交渉、パリ協定離脱、イラン核合意離脱などを進めました。
マイク・ペンス|副大統領

下院議員、インディアナ州知事を経験した共和党政治家です。議会共和党との調整役を担い、2020年にはWhite House Coronavirus Task Forceの責任者としてCOVID-19対応を統括しました。
2021年1月6日には、憲法上の上院議長として大統領選挙の選挙人票集計を進めました。この場面でトランプとの関係は政権発足時とは大きく変化しました。
レックス・ティラーソン|企業経営者から国務長官へ

石油大手エクソンモービルの会長兼CEOを務めた人物で、公職経験のないまま国務長官へ就任しました。ロシアを含む国際的な企業活動の経験を持っていました。
在任中は北朝鮮、イラン、湾岸諸国などを担当しましたが、外交方針をめぐる大統領との不一致が表面化し、2018年3月に退任が発表されました。
マイク・ポンペオ|CIA長官から国務長官へ

陸軍士官、下院議員を経て2017年にCIA長官へ就任し、2018年に国務長官へ移りました。北朝鮮首脳外交、イランへの「最大限の圧力」、中国政策、中東外交などを担当しました。
トランプ第1期後半では、大統領との政策的一体性が高い外交責任者として長く在任しました。
ジェームズ・マティス|発足時の国防長官

海兵隊大将、中央軍司令官を務めた軍人です。国防長官就任には退役後7年の要件を免除する特例法が必要でした。上院承認は98対1でした。
同盟国との関係維持や国防政策で大統領と異なる見解を持つ場面があり、2018年12月、シリアからの米軍撤収方針などを背景に辞任を表明しました。
マーク・エスパー|後半の正式国防長官

陸軍出身で、Raytheonの政府関係部門、陸軍長官を経て2019年に国防長官へ就任しました。中東、アフガニスタン、中国政策、2020年の国内騒乱への軍対応などを担当しました。
2020年11月に解任され、政権末はクリストファー・ミラーが国防長官代行(Acting Secretary of Defense)を務めました。
司法・移民|セッションズ、バー、DHSの人事
ジェフ・セッションズ|司法長官

アラバマ州司法長官、連邦上院議員を務めた保守派政治家です。移民法執行の強化や犯罪対策を進めました。
2016年選挙へのロシア介入捜査から自らを外したことで大統領から強く批判され、2018年中間選挙直後に辞任しました。
ウィリアム・バー|2度目の司法長官

父ブッシュ政権でも司法長官を務めた法律家で、2019年に再び司法長官へ就任しました。ロシア捜査、連邦法執行、2020年選挙をめぐる司法省の対応などで注目されました。
2020年12月に辞任し、政権末はジェフリー・ローゼンが司法長官代行(Acting Attorney General)を務めました。
ジョン・ケリー|DHS長官から首席補佐官へ

海兵隊大将、南方軍司令官を経て国土安全保障長官へ就任しました。2017年7月にはラインス・プリーバスの後任としてWhite House Chief of Staffに移ります。
国境管理や移民政策を担当した後、大統領執務室の運営を引き締める役割を担いましたが、2019年1月に退任しました。
キルステン・ニールセン|家族分離問題期のDHS長官

国土安全保障分野の実務経験を持ち、ケリー首席補佐官の下でWhite House Principal Deputy Chief of Staffを務めた後、2017年12月にDHS長官へ就任しました。
2018年のzero-tolerance政策と国境での家族分離問題の時期にDHSを率いました。2019年4月に辞任し、その後は正式長官が長く置かれませんでした。
長官代行(Acting)が続いたDHS
ニールセン退任後はケビン・マカリーナン、チャド・ウルフらが代行としてDHSを率いました。2020年、GAOはニールセン退任後の継承手続きが適切ではなく、マカリーナン、その後のチャド・ウルフらの就任にも問題があると判断しました。
第1次トランプ政権では、正式長官の交代だけでなく、Acting人事が長期化し、その法的正当性まで争われたことが特徴です。
経済・通商|減税と中国関税を進めたチーム
財務省が税制や国債管理を担う一方、金融政策はFRBが独立して判断します。大統領が利下げを命令できるのかという制度上の関係は、FRB・FOMCのQ&A解説で整理しています。
スティーブン・ムニューシン|4年間在任した財務長官

Goldman Sachsや投資会社を経て財務長官へ就任しました。2017年のTax Cuts and Jobs Act、対中経済交渉、COVID-19時のCARES Actなど、政権を通じて主要経済政策を担当しました。
閣僚交代が多い政権で4年間在任した数少ない主要閣僚です。
ウィルバー・ロス|商務長官

企業再建投資で知られた投資家で、商務長官として関税、産業政策、国勢調査、対中政策などに関わりました。
ロバート・ライトハイザー|通商代表

レーガン政権でUSTR次席代表を務めた通商法律家で、2017年にU.S. Trade Representativeへ就任しました。
Section 301に基づく対中関税、NAFTA再交渉、USMCA交渉で中心的役割を担いました。トランプ政権の通商政策を理解するうえで最重要人物の一人です。
ピーター・ナバロ|対中強硬論を政策へ持ち込んだ側近

経済学者で、中国の産業政策や貿易慣行を長く批判してきました。White House National Trade Council、Office of Trade and Manufacturing Policyを通じて通商・製造業政策に関与しました。
国内政策を担った各省の長官
ライアン・ジンキ/デービッド・バーンハート|内務省


ジンキは海軍特殊部隊経験、下院議員を経て内務長官に就任し、公有地、エネルギー開発、環境規制を担当しました。2019年に退任し、副長官だったバーンハートが後任となりました。
ソニー・パーデュー|農務長官

ジョージア州知事経験者で4年間在任しました。中国との関税戦争で農産物輸出が打撃を受ける中、農家向け支援策も担当しました。
アレックス・アコスタ/ユージン・スカリア|労働省


アコスタは連邦検事、法学部長などを経て労働長官に就任し、2019年に辞任。後任のスカリアは労働・行政法に詳しい弁護士で、COVID-19期の雇用・職場政策を担当しました。
トム・プライス/アレックス・アザー|保健福祉省


プライスは下院議員・整形外科医出身で、ACA見直しを進める役割を期待されましたが、政府機利用をめぐる問題で2017年に辞任しました。
後任のアザーは製薬会社経営経験とHHS勤務経験を持ち、2020年COVID-19流行時の保健福祉長官となりました。
ベン・カーソン|住宅都市開発長官

著名な脳神経外科医で、2016年共和党大統領候補指名争いにも参加しました。HUD長官として低所得者住宅、都市開発、Opportunity Zonesなどを担当しました。
イレーン・チャオ|運輸長官

ブッシュ政権で8年間労働長官を務めた経験者です。第1次トランプ政権では運輸長官としてインフラ、航空、道路政策を担当し、2021年1月6日の議会襲撃後に辞任しました。
リック・ペリー/ダン・ブルイエット|エネルギー省


ペリーはテキサス州知事を経てエネルギー長官へ就任し、2019年末に退任。後任のブルイエットはエネルギー省副長官から昇格しました。
ベッツィ・デボス|教育長官

学校選択やチャータースクールを支援してきた教育政策活動家です。上院採決は50対50となり、副大統領ペンスの決選票で承認されました。
学生ローン、学校選択、Title IX規則などを担当し、2021年1月6日の議会襲撃後に辞任しました。
デービッド・シュルキン/ロバート・ウィルキー|退役軍人省


シュルキンは医師でオバマ政権からVA次官として留任し、トランプ政権で長官に昇格しました。2018年に退任し、国防総省勤務経験を持つウィルキーが後任となりました。
ホワイトハウス中枢|4人の首席補佐官
ラインス・プリーバス|共和党組織との橋渡し

共和党全国委員長から初代White House Chief of Staffへ入りました。議会共和党や党組織との関係を担いましたが、2017年7月に退任しました。
ジョン・ケリー|軍人型の組織運営を試みた首席補佐官
DHS長官から首席補佐官へ移り、ホワイトハウスへの情報・面会ルートを整理しようとしました。2019年1月に退任しました。
ミック・マルバニー|OMB長官兼大統領首席補佐官代行(Acting Chief of Staff)

下院議員からOMB Directorとなり、2019年からActing White House Chief of Staffを兼任しました。正式な首席補佐官として上院承認を受ける役職ではありませんが、「Acting」として長期間ホワイトハウス運営を担いました。
マーク・メドウズ|COVID-19期と政権末を支えた首席補佐官

共和党下院議員、Freedom Caucus議長を経て2020年3月に首席補佐官へ就任しました。COVID-19対応、2020年選挙後の政権運営を大統領の近くで担当しました。
国家安全保障補佐官が4人替わった
マイケル・フリン

国防情報局長を務めた退役中将で、政権発足時の国家安全保障担当大統領補佐官でした。ロシア大使との接触をめぐる説明問題で、就任から約3週間で辞任しました。
H.R.マクマスター

陸軍中将で、フリンの後任として2017年2月に就任しました。アフガニスタン戦略や国家安全保障戦略を担当し、2018年に退任しました。
ジョン・ボルトン

ブッシュ政権で国連大使を務めた外交・安全保障の強硬派で、2018年に就任しました。イラン、北朝鮮、ベネズエラなどで強硬策を主張しましたが、2019年に退任しました。
ロバート・オブライエン

人質問題担当大統領特使を経て2019年9月に就任し、政権末まで国家安全保障担当大統領補佐官を務めました。中国、イラン、中東、COVID-19などを担当しました。
大統領側近|クシュナー、イヴァンカ、ミラー
ジャレッド・クシュナー

大統領の娘婿でSenior Advisorを務め、中東外交、刑事司法改革、政府改革、COVID-19物資調達など幅広い政策に関与しました。アブラハム合意では重要な交渉役となりました。
イヴァンカ・トランプ

大統領の長女でAdvisor to the Presidentを務め、女性の雇用・家族政策、職業訓練などを担当しました。
スティーブン・ミラー

上院議員スタッフからトランプ陣営に加わり、Senior Advisorとして移民・国境政策、演説作成に深く関与しました。
指名されたのに就任しなかった人もいた
労働長官候補アンドリュー・パズダーは指名を辞退し、アレックス・アコスタが就任しました。退役軍人長官候補ロニー・ジャクソンも指名を撤回。国防長官候補パトリック・シャナハンも正式指名の手続きを完了せず辞退しました。
大統領が指名を発表しても、上院承認や本人の辞退などで就任に至らないことがあります。第1次トランプ政権は、この仕組みが特に目立った政権でした。
2018年中間選挙と第1次弾劾
2018年中間選挙では民主党が下院多数派を奪還しました。2019年以降は分割政府となり、国内立法の余地が狭まる一方、通商、外交、移民など大統領権限を使いやすい分野の比重が高まりました。
2019年12月、下院はウクライナ問題をめぐりトランプを弾劾訴追しました。2020年2月、上院は権力乱用と議会妨害の両条項で有罪に必要な3分の2へ達せず、無罪となりました。
2020年COVID-19|政権最後の危機対応チーム
2020年にCOVID-19が米国で拡大すると、政権の仕事は再び危機対応へ変わりました。White House Coronavirus Task Forceはペンス副大統領が統括し、HHSのアザー、国立アレルギー・感染症研究所長アンソニー・ファウチ、デボラ・バークス調整官らが加わりました。
2020年3月にはCARES Actが成立し、家計、企業、失業者、医療機関などへの大規模支援が実施されました。
ワクチン開発・製造・調達ではOperation Warp Speedが進められ、2020年12月には米国でCOVID-19ワクチンの緊急使用が始まりました。大量接種の本格化は翌年のバイデン政権へ引き継がれます。
政策はその後どうなった?9つの「答え合わせ」
1. Tax Cuts and Jobs Act|主要な個人税率は後に恒久化
2017年のTax Cuts and Jobs Act(TCJA)は法人税率を35%から21%へ引き下げ、個人所得税率や各種控除も変更しました。個人向け措置の多くには2025年末までの期限がありました。
2025年に成立した税法では、TCJA由来の10%、12%、22%、24%、32%、35%、37%の個人所得税率が恒久化されました。第1次トランプ政権の代表的政策は、後継政権を経ても税制の基本構造として残りました。
2. 中国へのSection 301関税|バイデン政権でも維持された
2018年以降、USTRはSection 301に基づき中国製品へ追加関税を課しました。中国の技術移転、知的財産、産業政策を問題視した措置です。
バイデン政権はこれを全面撤廃せず、2024年の4年レビュー後も維持し、一部戦略品目では関税率を引き上げました。対中関税は第1次トランプ政権だけで終わらない政策となりました。
3. USMCA|NAFTAを置き換え、現在も続く
トランプ政権はNAFTAを再交渉し、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を締結しました。2020年7月1日に発効し、北米自由貿易の基本枠組みを置き換えました。
USMCAは現在も運用され、2026年には最初の6年共同レビューが行われています。
4. 最高裁判事3人|政権終了後にも残る人事
トランプはニール・ゴーサッチ、ブレット・カバノー、エイミー・コニー・バレットの3人を最高裁判事に任命しました。
最高裁判事は終身任期のため、この人事は大統領任期終了後も米国の司法判断に影響する制度的な遺産です。
5. 移民・旅行制限|第2次トランプ政権へつながった
第1次政権では国境管理強化、難民受け入れ縮小、特定国からの入国制限などを進めました。旅行制限は2018年のTrump v. Hawaiiで最高裁が大統領権限を認めました。
バイデン政権は一部政策を撤回しましたが、第2次トランプ政権は2025年に新たな国別入国制限を導入しました。政策思想が次のトランプ政権へ継承された例です。
6. JCPOA離脱|オバマ外交を反転
2018年、トランプ政権はオバマ政権が参加したイラン核合意(JCPOA)から米国を離脱し、対イラン制裁を再導入しました。
オバマ政権の記事と並べると、政権交代によって外交合意が大きく反転したことが分かります。
7. アブラハム合意|後継政権でも関係は残った
2020年、イスラエルとUAE、バーレーンが米国仲介で国交正常化合意に署名しました。その後モロッコ、スーダンも正常化の枠組みに加わりました。
バイデン政権もアブラハム合意で生まれた外交関係を維持しました。政権交代後にも残った外交成果の一つです。
8. パリ協定離脱|復帰後、第2次トランプ政権で再離脱
第1次トランプ政権はパリ協定からの離脱を決定し、2020年11月に正式離脱しました。バイデン政権は2021年に復帰しました。
第2次トランプ政権は再び離脱を通告し、2026年1月27日に米国の再離脱が発効しました。
9. Operation Warp Speed|ワクチン開発からバイデン政権の接種へ
Operation Warp SpeedはCOVID-19ワクチンの研究、製造、調達を同時並行で進める計画でした。2020年12月に最初のワクチンが緊急使用許可を受け、接種が始まりました。
大規模な接種キャンペーンは2021年のバイデン政権へ引き継がれました。危機対応が政権交代をまたいで継続した例です。
2021年1月6日と第1次政権の終わり
2020年大統領選でジョー・バイデンが勝利した後、トランプは選挙結果を争いました。2021年1月6日、選挙人票を集計する連邦議会へ群衆が侵入し、手続きが一時中断しました。
ペンス副大統領は選挙人票の集計を進め、議会は翌7日にバイデン当選を正式確認しました。その後、下院はトランプを「反乱の扇動」で2度目の弾劾訴追。上院裁判は退任後に行われ、57対43で有罪票が多数となったものの、必要な3分の2に達せず無罪となりました。
オバマから第1次トランプ、そしてバイデンへ
第1次トランプ政権は、オバマ政権の多くの政策を見直して始まりました。パリ協定、JCPOA、移民政策、環境規制などで大きな転換が起こりました。
一方、すべてが次政権で消えたわけではありません。中国関税、USMCA、アブラハム合意などはバイデン政権にも引き継がれました。COVID-19ワクチン接種も、第1次トランプ政権の開発・調達からバイデン政権の大量接種へ続きます。
人事を見ると、第1次トランプ政権は特に交代が多く、正式長官だけでは政権の実態を把握できません。Acting、首席補佐官、国家安全保障補佐官、大統領側近まで追うことで、4年間の政策と政権運営の変化が分かります。
参考文献・一次資料
政権構成・人事
Trump White House Archive, President Donald J. Trump Announces His Cabinet
https://trumpwhitehouse.archives.gov/presidential-actions/president-donald-j-trump-announces-cabinet/
U.S. Senate, Donald J. Trump Cabinet Nominations
https://www.senate.gov/legislative/nominations/Trump_cabinet.htm
U.S. Senate, Supreme Court Nominations
https://www.senate.gov/legislative/nominations/SupremeCourtNominations1789present.htm
Acting・DHS
U.S. Government Accountability Office, B-331650
https://www.gao.gov/products/b-331650
通商・税制
U.S. Trade Representative, Section 301 Four-Year Review
https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2024/september/ustr-finalizes-action-china-tariffs-following-statutory-four-year-review
U.S. Trade Representative, USMCA
https://ustr.gov/trade-agreements/free-trade-agreements/united-states-mexico-canada-agreement
Internal Revenue Service, 2025 tax legislation guidance
https://www.irs.gov/irb/2025-45_IRB
外交・COVID-19
Trump White House Archive, Abraham Accords
https://trumpwhitehouse.archives.gov/briefings-statements/abraham-accords-peace-agreement-treaty-of-peace-diplomatic-relations-and-full-normalization-between-the-united-arab-emirates-and-the-state-of-israel/
Trump White House Archive, CARES Act
https://trumpwhitehouse.archives.gov/wp-content/uploads/2020/03/CARES_Act_Designation_3-27-20.pdf

